コラム・観戦記

第5期最高位戦Classic②

さて、今回から昨年のクラシック決勝編です。

決勝メンツは、ミューの「井出洋介プロ」、「下出和洋プロ」、「小林剛プロ」。

前半は昨年の優勝後、編集部でインタビューをしたものを掲載します。

 

絶好のスタートを切った1回戦は、基本的なクラシックルールでのバランス感覚や思考などに加え、

決勝への入り方や相手3人の話など、お話が長くなりましたので、東場と南場に分けて掲載致します。    

編集部 

 

 

 

編集部(以下、編) 早速振り返って頂きますが、日本オープンを勝ち、(割とすぐ後の)クラシックも快調に予選を勝ち上がり決勝進出。決勝前の心境はどうでしたか?日本オープン勝ったのでやっぱり少し余裕がありましたか?

 

村上(村)  そうですね。勝った後に言うのもあれですが・・・。予選から調子がよかったので。
もちろん予選がいいから決勝がいいとは限らないのですが、精神状態はかなりよかったですね。
井出さん、小林(剛)くんはこのルールでは実績もありますし、普段からこのルールに近いですし。
下出さんは、選手歴は同じなんですが、1度覇者になっているので、正直そんなに勝てるだろうとかはまったく思えないメンバーだったので、
それよりいい麻雀が打てるかな、という気持ちでした。それで結果がついてくればいいかなと。だからそんなに気負った感じではなかったですね。

 

 

編  もちろん相手が誰だったとしても、「勝てるだろう」とは思わないですけどね(笑)

村  麻雀ですからね(笑)

編  正直な所、強敵揃いで少しやりにくそうだなという気持ちはありましたか?

 

村  そうですね。リードすれば3人で苦しめにくるだろうというのは思ってましたし。
ただ逆に他の誰かが抜け出せば、その人をダントツにしないような意思の疎通はできるようなメンバーだと思っていたので、最後までもつれるだろうというのもありましたね。
そういう意味では最後まで楽しめるだろうという感じでしたね。

 

編  この決勝という最高の舞台で。

村  はい!しかも最高位戦からは僕一人だったので、応援団も多くて。そういうのも込みで、楽しめそうかなと。

 

編  なるほど。やっぱり良い意味で余裕が感じられますね。  

そして1回戦、起家スタートの村上さんですが、いきなり「らしい」4000オールを上がります。

これ、村上さんはほぼ100%曲げてる形ですよね。

 

決勝1回戦東1局 ドラ

 

 

村  そうですね。クラシックルールでも最高位戦ルールでもダマったことがないくらいですね。

編  ですよね。クラシックでもずっとこれでやってきましたもんね。

村  巡目的に曲げないほうが損だと思うんですけどね。もちろん曲げない人もいっぱいいますけど。
もしこれが空振ったとしてもなんとも思わないというか・・・。
待ちがドラ筋なので、出あがりがあるとしたら2900になってしまいますよね
・・・。
2600オールか4000オールをあがらなければいけない手牌という感じがするので。
例えばドラまたぎで5800確定といった手牌なら、巡目や捨て牌次第では僕もヤミテンにすることもありますが。   

 

編  リーチしてあっさり高めのドラをツモ、と。村上さんはやっぱり「今日はイケてる」、とか全く

考えないんですか(笑)?

村  もちろん、ツいてるなとは思いますけど(笑)いつも思うのは、ツいてるのはこの局までかもしれないなとも思うんです。だからその後も集中力を切らさず打とうと。
僕の麻雀はオリ時を見極めながらやってるような部分があるので。調子がいいからといって行き過ぎてしまうのが怖いのです。
リーチをいっぱいするので・・・リーチをかけたらその瞬間から全ツなわけですから、逆にリーチしていないときはオリ気味のほうがバランス取れているんじゃないかな、と。
 

編  なるほど・・・。この後、あがりがどんどん出てくる展開になっていきますね。

 

村  そうですね。4000オールあがった後、井出さんが1300・2600あがるんですよね?
僕は親だったんですけど、6巡目くらいから安牌を残したり、井出さんと剛くんのヤミテンに対して現物を抜いたりして対応していたので、しっかり打てているなという感じはありましたね。
剛くんが両面ターツ外しをしていて、「あ、やばそうだな」と。井出さんもそれに対して強い牌切ってきていたので、「ああ、2人ともテンパイかな」と。
これも大体読み通りだったので、そういう所で「今日はしっかり打てているな」というのを確認できますよね。

編  では東2局ですが。この局は井出さんがカンヤミテンで・・・これ村上さんも同巡にテンパイしてますね。

 

東2局0本場ドラ                            

村  そうですね。安牌のトイツ落としでタンヤオ・ドラ1をテンパったんですけど。

 

編  安牌をトイツ落とししてテンパイ入るっていうのは、テンパイの入り方がすごく良いですね。

 

村  そう思ってたら井出さんがすぐあがって。このヤミテンはちょっと読めないので、ここで持ってきたら打っていた可能性があったので「ツいてるな」というのは思いますね。
逆に剛くんの仕掛けに対して2巡前くらいに裏筋のを勝負しているんですけどね。
バランス的にはちょうどいいくらいの攻め方だと思っていますけどね。それでロンと言われてもしょうがないかな、という感じで。

 

編  小林さんとは今までに対戦を重ねて、打ち筋は掴んでいたのですか?

村  そんなにたくさんはやってないですけど、剛くんの打ち方はよく知ってます。だから、仕掛けは井出さん下出さんのほうが、仕掛けたらテンパイに近いとか打点が高いとかと思っていたので、剛くんを一番なめようとは思ってました。剛くんは遠いところからでも仕掛けますからね。
剛くんの仕掛けに対しては、何割かボーダーを下げてやってましたね。

 

編  その辺も含めて読みが当たってましたね。そして、下出さんがこれに飛び込んで20000点を切るという展開になります。

編 で、東3局ですが。村上さんがポンテンを取ってあがるという局です。 

 

東3局0本場ドラ                                 

 

村 これ、ちょっと変わった打ち方しているんですよね。チートイの芽も残したくて、

からを切ってるんですよね。
で、引いたときだけメンツ手のシャンテンに取ろうかなと。

編 すると次巡そのツモ!!方向性がバシっと決まるツモが来ると嬉しいですよね。

村 そうですね。やっぱりクラシックルールってチートイにしやすいので切ったんですけど。

最高位戦ルールだったらこういう打ち方しないかな。發とか切ってそうだし。

 

編 この時下出さんが早そうだったんですよね。

村 あ、思い出した!ダブ東をツモ切ってるんですよね。

 

編 で、下出さんのをポンして・・・この時は下出さんがテンパイだという風には読んでいたんですか?

村 この時はテンパイだとは思って無かったですね。
ただ、この時打ち出すが下出さんの先切りしているの外だったし、自分から見てももワンチャンスだったので、打ちやすかったですね。
後、捨て牌的にもが拾えそうだったんですよね。井出さんが第一打だし、僕がって手出ししてるし。
それであがれなさそうだったら下出さんの現物ので回ろうかな、というとりあえずのポンテンだったんですけどね。

編 実際には下出さんはでシャンテンで、その後を引いてテンパイ、と。

村 そうですね。もうこの辺りではほぼテンパイと読んでましたね。で、どこまで押そうかな・・・と考えていたらすぐにあがれたという感じで。

 

編 こういうのは大きいですよね。

村 1、2巡以内に無筋引いたらオリちゃいますからね。本当に大きいです。

 

編 で、東ラスですが・・・村上さんが下出さんに1300を打った局。実は初日、これ以外ほとんど放銃なかったんじゃないですか?

 

東4局ドラ 

 

 

村 たしか2回くらいじゃないかな?これはもう覚悟して打ちました。
  僕が打の所でのくっつきの形にしてるんですけど。その後下出さんがで、「どっちか当たるかな」と思って切ったら、本当に当たったけど安かった、みたいな。
  他にも無筋はありますし、手格好的にも切るんですけど。ちょっと微妙だったのは、を先切りする選択肢もなくはなかったので・・・

 

編 タンピン形ですからね。マンズのくっつきで。
村 ソウズがで、打点重視でを切るというのも全くなくはなかったので、どうなのかな、と。ただ、引きがあるので今見てもだとは思いますけど。

編 実際に下出さんがアンコで。ソウズの上が良さそうですもんね。

村 そうですよね。井出さん第一打下出さん3巡目に切ってるし、剛くんもツモ切ってるし。で、自分のあがりを取りにいったら打ってしまったと。通ればかなり絶テンのですからね。後から見たら切りが正解かもしれないけど、もう一回僕がやったらまた残しそうだな、というかんじですね。

編 まあ、1回戦だからなおさらそうですよね。

 

 

とここで一区切り。南場の模様は次回お届けします!

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