2017年6月10日、「関西Classicプロアマリーグ2017」決勝が雀サクッTVにて配信されました。
その模様を最高位戦日本プロ麻雀協会 関西本部 矢後 誠がレポートいたします。
乱筆乱文ではありますが、最後までお付き合いいただければと思います。
関西Classicプロアマリーグは、今年より開催されたプロアマリーグです。
開催日は平日の19時~ 半荘3回戦を1節とし予選を5節、その後準決勝と決勝を行いました。
関西で平日の夕方からリーグ戦を行うのは初の試みです。
特殊なClassicルールでしたが、毎節多くの一般の方が参加されておりました。
今回開催されたClassicルールはここで説明しますと本題に入れませんので最高位戦公式サイトで御確認ください。
では、決勝戦のメンバーを御紹介しましょう。
予選1位 小西 隆之 さん(一般)
現アマ最高位のタイトルを持つ。
アマチュアながら麻雀に対する姿勢は非常にすばらしいものがあります。
実はこれが「雀サクッTV」にて初めての対局で、インタビュー時にはかなり緊張しているように見られました。
卓についたら普段どおりの小西さんでした。
雀風は「仕掛けが下手だから門前派」と御自身で表現しております。
予選2位 高見 直人 プロ(日本プロ麻雀協会)
唯一残ったプロなのですが、インタビューの挨拶にはびっくりした視聴者の方も多いだろう。
インタビューではおちゃらけていましたが、関西Classicプロアマ第1節の優勝者です。
所属する協会は一発裏ドラありのルールなので、その対極のルールで決勝に残るのは雀力の高さを感じます。
雀風は「昭和系雀士 思い込みでの打牌があります」ということです。
予選3位 柴田 秀昭 さん(一般)
関西プロアマ2015優勝者。
競技麻雀が大好きで、関西で開催される競技麻雀団体にはほぼ顔をだしています。
成績も安定しており、様々な大会の決勝に残っております。
ここ最近は優勝していないそうで、今回は是が非でも優勝したいと言っておりました。
雀風は柴田さんも「昭和の麻雀」と表現されておりました。
手役重視のスタイルということですね。
予選4位 石沢 勇人 さん(一般)
関西プロアマ2016優勝者。
彼は最高位戦のC1の対局にはほぼ観戦に来るほどの競技麻雀好きです。
麻雀最強戦ではインターネット麻雀天鳳の代表となり、近畿・四国最強位決定戦に出場しております。
ファンが多く、当会の新島選手も嫉妬するほどでした。
雀風は「バランス型」関西プロアマ2016決勝卓では10万点を叩いて優勝しております。
以上のメンバーで半荘3回戦を行います。 ※本文中では敬称を省略しております。
1回戦
並び 柴田 石沢 高見 小西
いきなり好配牌を手にしたのは北家の小西。
2巡目に ツモ ドラ
ピンフドラ1の両面両面のイーシャンテンになります。
しかし、この両面が15巡目まで無駄ヅモの嵐。
Classicルールではオリのタイミングが非常に難しいといわれております。
小西はこの手を諦めてオリました。
親の仕掛け、ノーテン罰符がないルールではここまでが限界か?
次巡に親の柴田がをツモりあげた。
ポン ツモ ドラ
安目だが 混一色の1300ALLのツモ。
小西が対局前に「4000ALLを1回アガれれば、まず連対は外さない」と言っていたが、それを考えると十分な先制パンチである。
流局が続いた東3局3本場、親の高見に大物手が入る。
8巡目 ツモ ドラ
一盃口が確定し、高目は5800点の5面張である。
ツモ牌を確認した高見は迷わずリーチを打つ。
ダマでは安目でピンフ一盃口の2900点。
これだけの手をもらい、結果がそれではかなりもったいない。
リーチをして最低でも5800点にはしたいところであろう。
しかし、このはこの時点で5枚残り。
5枚もあれば優秀なのですが、5面張で残り5枚となると少し物足りない気がします。
流局か?と思われた17巡目にをツモアガり4000は4300ALLのアガリとなった。
続く東3局4本場も高見が先手をとる。
8巡目 ツモ ドラ
この手もノータイムでドラ切りリーチ。
解説陣は「先ほどの大きな手をアガったので強気に攻めた」と言っておりました。
本来ならば、辺チャンを捨ててドラにくっつける手替わりを見たいところ。
高見もそれは十分わかっていると思うのですが、このリーチは通行料代わりじゃないかと思いました。
相手はアマチュアとはいえ、関西屈指の打ち手です。
その相手に打牌制限させたかったんじゃないでしょうかね。
後日この点を平井に聞いてみました。
1本目でラスだけは引きたくない心理が強いと見て、親のドラ切りリーチにドラを合わせる人(=ほぼベタオリになる)がいれば儲けもの。
いなくても早そうな石沢だけ抑えつければある程度ツモのチャンスありそう。
は山に1.5枚くらいいるんじゃないか?という読みだったそうです。
確かにこの親のリーチには子は戦いにくい。
結果は流局。
Classicならではの理想の親落ちとなりました。
東4局5本場
6巡目 ツモ
またも先手をとれた高見。
このテンパイは打のダマテンに構えます。
が、次巡ツモでと入れ替えてリーチ。
石沢からが出て、2000は3500点のアガリとなりました。
これで高見は先ほどのリーチ棒も回収し45100点のトップとなります。
高見「今度は自分が子なので、親を筆頭に押し返しは想定される場面。一度空切り入れればはボヤけるので、空切りリーチすれば無筋を1つ押すならを選んでくれる、という状況になりやすいと思って「他に目立った動きがなければ空切り牌を引いたらリーチ」は決めてました。ただでスライドして切りリーチの場合は単純に他が押せる筋が増えるので、ツモ切りダマ続行とどちらが有利かを考えました。結局筋のは押され辛い捨て牌だと判断して、の3枚を通す代わりに早いリーチを打てる利を選びました。」
本人は思い込みの打牌があると表現しておりますが、対局者の心理を考えた打牌が見事にハマる。
このアガリで1回戦トップは、ほぼ確定させた。
南1局
ここまで受けさせられてばかりいた石沢ですが、ようやく手が入ります。
9巡目 ツモ ドラ
3面張になる絶好のツモでリーチ。
石沢の河が※全て手出し となってます。
4巡目のが先切りとなってますね。
この様にClassicルールではテンパイだけでは意味がありません。
ノーテン罰符がありませんからね。
アガらないと収入にならないのでアガリを目指した手組が必要となります。
石沢が打とした時の手牌はこのとおり。
ツモ
ほとんどの人が打じゃないかと思います。
七対子も見えますからね。
打ならば、二盃口テンパイも組めております。
ここでを切ることにより、将来待ちになった時にアガリ易いようにしているんですね。
もちろん先にが入ることもあります。
たまたまいい結果になっただけじゃないかとも思う方もいるでしょう。
でも理想どおり進めば出アガリが期待できる手順になります。
安全牌が無くなった柴田の放銃となったのですが、柴田としては親も落ちてラスに落とされてと非常に痛い局となってしまいました。
南2局
まだアガリが出てないのは小西だけ。
小西としてもまだ親番が残っているとはいえ、ノー和了で親番は迎えたくない。
8巡目のこのテンパイをいれてダマテンに構えます。
ドラ
しかし、黙ってないのは柴田。
8巡目に の国士無双イーシャンテンになりました。
高見もを仕掛けてイーシャンテンとなります。
ここでも親番の石沢が一人取り残されてしまいます。
10巡目に小西がツモ和了。
うれしい初アガリとなりました。
南3局
トップ目高見の親番。
アマチュア3人の理想はここで満貫等をツモ和了し、少しでも近づきたいところである。
先ほど初アガリをした小西が先手をとる。
6巡目 ドラ のテンパイでリーチをかけました。
8巡目 この手で石沢が追いかけリーチ。
挟まれる形になった高見と柴田はオリを選択。
高見はツモ次第では終盤に手がかかるのでは?と思われましたが無難にオリきりました。
石沢×小西の一騎打ちとなったこの局は石沢が小西へで放銃。
これで小西が2着目に浮上した。放銃した石沢がラスに。
オーラスを迎え、逃げる高見。
追う親番小西。
ラスを避けたい柴田と石沢。
親番小西がまとまった配牌をもらうも柴田がの500/1000をツモり1回戦が終了した。
1回戦目は、
高見 +25.7 小西 +7.2 柴田 ▲10.1 石沢 ▲22.8 という着順になりました。
2回戦
並び 柴田 石沢 高見 小西
1回戦と同じ並びでスタート。
2回戦は高見にはトップを獲らせたくない。
しかし自分の素点も稼ぎたい。
そんな思惑か?いきなり手がぶつかった。
東1局 9巡目 ドラ から柴田のをチーしてテンパイを入れた石沢。
13巡目 加カン ポン にこのテンパイを入れた柴田。
3900点をめぐる争いは石沢が柴田への放銃で決着。
続く東1局1本場も柴田と石沢がぶつかる。
今度は先にテンパイを入れたのは柴田。
9巡目 柴田 チー
9巡目 石沢 ツモ ドラ
石沢は打でリーチ。
次巡の柴田のツモは当たり牌のであったが、冷静に安全牌の打の単騎に受ける。
石沢がをツモアガリ1300/2600は1400/2700のアガリとなった。
流局を挟んで迎えた高見の親番。
テンパイ一番乗りは柴田であった。
東3局1本場 9巡目 ドラ
ドラ引きや一手変わり三色も見える。
最近の主流は手変わりを待たずに即リーチといくのだろうが、このルールではダマで手変わりを待つのが優秀に思う。
早い巡目からドラを抱えていた高見にようやく13巡目にテンパイが入った。
13巡目
高見の場合は親であり役が無い。
うっかりこぼれたでアガれないのは緩手であろう。
何より打点が違いすぎる。
終局間近に高見がをツモアガり、4000は4100ALL。
これで一気にトップに立った。
続く2本場は、13巡目に小西がフリテンリーチ。
それまでダマに構えていた柴田も追いかけリーチと手がぶつかった。
小西 ドラ
柴田
トップ目の高見はリャンシャンテン。
2人の一騎打ちかと思われたのだが、高見が果敢に仕掛けていく。
ここから石沢の切ったをチー。
次巡にもをチーして、単騎で追いついた。
その後待ちに変えて柴田からがこぼれた。
打点は1500点の2本場で2100点だが、リーチ棒2本も入れて4100点の収入である。
結果非常に大きなアガリであった。
解説でも言っていたのだが、普通に考えればここはおとなしくオリて静観するのがセオリーである。
果敢に攻めた結果、小西のアガリ牌を流して高見のアガリとなった。
これは賛否両論だと思われる手順である。
が、僕は見ていて高見の覚悟が伝わってきた。
正直この局面、放銃する可能性も非常に高くなる。
しかし、仮に放銃したとしてもこの局でラスになるわけではない。
相手が反撃してきたこの局面だからこそ、そのアガリを潰す価値があると判断したんではないかと感じました。
もちろん損得で考えるならば、万が一放銃してしまったことを考えるとここはオリの一択である。
しかし高見は攻めた。
高見の中では4000ALLはセーフティーリードではなかったのだろう。
対局者をリスペクトしている高見であるからこそこの選択だったと思う。
次局も高見が大物手を入れる。
6巡目 ポン
またドラが暗刻である。
早い巡目なので出アガリもあるかと思われたが結果流局となる。
ドラ暗刻までは対局者も分からなかったろうが、これ以上加点させないために全員が撤退して高見に加点をさせなかった。
途中高見がをツモったのだがほぼノータイムでリャンメン選択。
よりもシャンポンならばツモアガって8000ALLという結果になっていた。
しかし、この手牌をシャンポンにできる人がどれくらいいるのだろうか?
高見も終わった後に少し触れていたがこの選択は普通の人ならばこう受ける打牌であろう。
高見の親が落ちた時点での点数は、高見45000 石沢27500 柴田24000 小西23500
3人の対局者にこの点差が重くのしかかってくる。
逆に高見は仕掛けて局を流しにかかる。
手牌を短くするのは、対局者にとっては非常にチャンスなのだが、今日の高見を象徴する局が東4局。
柴田がを仕掛けて8巡目にこのテンパイ
ポン ドラ
高目、南チャンタ三色の3900点である。
高見も8巡目にをチーしてこの形
チー
ピンズの一気通貫を目指して打とする。
次巡にも残したが放銃になる・・・はずであった。
高見のツモは小西に暗刻の
ツモ切った高見に柴田が手牌を倒す。
1000は2200点である。
これを単純にツキで片付けたくはないと思う。
高見は終始「攻める」判断をしてきた。
それがいい結果になっている。
今日の高見は徹底している。
役牌対子は仕掛ける。
一番仕掛けが多かったのは高見である。
結果論かもしれないが、攻めたからアガリきった局、攻めたから放銃を回避した局が多くみられた。
その後も加点をして、高見の2連勝となった。
2回戦目結果は
高見 +31.1 石沢 ▲0.6 小西 ▲11.6 柴田 ▲19.9
トータルでは
高見 +56.8 小西 ▲4.4 石沢 ▲23.4 柴田 ▲30.0 となる。
高見の優勝はほぼ確定と言える点差だ。
2着の小西の条件が高見とトップラスを決めて37200点差をつけなくてはならない。
2回戦の高見は49100点のトップであったがラスの柴田とは28700点差。
ここに約10000点上乗せしないといけないのだ。
石沢、柴田はさらに20000点を上乗せしないとならない。
この条件が3人のアマチュアに重くのしかかる。
3回戦
石沢 柴田 小西 高見 ラス親はトータルトップになる。 高見の下家の石沢が起親となる。
東2局、本日何回目だろうか?高見にドラが固まる。
11巡目 ドラのをカンした高見が
カン で先制リーチ。
同巡石沢が追いかける。
ドラをカンされようが、高見がリーチならば直撃チャンスである。
ここまで対局者はすべてソフトに打牌していたのだがこの時ばかりは石沢も強打で追いかけた。
石沢の気合が感じられた瞬間である。
石沢が安目のをツモあがり、1300/2600は1400/2700のツモあがりとなる。
次局の小西の親番。
5巡目に小西にテンパイがはいる。
ドラ
柴田がを切るも小西は平然とこれを見逃し。
これまでのように高見がをポン、チーと仕掛ける。
高見の3フーロを受けて、柴田が切った2枚目のに小西が手牌を倒した。
見逃したのは高見直撃を狙っていたのだが、さすがにこれ以上高見に加点されるならば・・・ということであろう。
高見はこの見逃しを理解したはずであるが、この時の高見の心理はどうであっただろうか?
次局先制したのは石沢。
6巡目 ドラ
河がでリーチである。
高見から見れば、非常に怖いリーチであろう。
待ちを選べれば高見からの直撃も狙える可能性もある。
が、残念なことに石沢は打点が必要なのである。
ならばとドラ単騎でリーチ。
小西が15巡目に追いかける。
小西も1巡まわしてからのリーチであった。
どちらも高見から直撃を狙いたいのであるが、まずは自分がトップにならなければならない。
苦渋のリーチは石沢がをツモりあげ、3000/6000のアガリとなった。
このアガリで石沢が49800点のトップになるが、高見との差はまだ30Pほどある。
石沢の親が流れた南2局1本場
高見が6巡目にリーチをする。
スイッチャーの僕も思わず耳を疑ったリーチ宣言である。
ドラ
2000点の加点も大きいが、1局進めるだけでも非常に大きな局面である。
確かに全員が前に出なければならない状況であるが、この半荘は直撃を狙われ、守りを意識してしまうだろう。
しかし高見の判断はリーチであった。
結果,小西からが出て大きな大きな3900は4200のアガリとなった。
南3局 小西が1000ALLをツモアガった1本場。
小西にこんな手牌がはいる。
8巡目 ドラ
同巡に高見のを仕掛けて
ポン
小西の選択は単騎であった。
高見から24300点を直撃すると、なんと100点差で小西がマクる。
はこの時点で石沢の手に1枚あるだけ。なんと山に2枚いる。
同巡,高見も役なしのテンパイがはいる。
ドラ
高見がをツモったらどうするだろうか??
解説も視聴者も固唾を飲んで見守ったこの局は流局となった。
高見は途中ツモとなった時点で、嵌待ちをシャンポンに受けた。
裏目のをツモった時点での対子を落としてオリた。
オーラスの条件はこのとおり。
石沢/小西 高見直撃24000点、8000/16000ツモ。
どちらも条件を狙いにいったが高見が手牌を伏せて全対局が終了した。
対局後のインタビューはこのとおりであった。
柴田「完敗だった。チャンスがあったが、高見プロにやられました。応援していただいた方ありがとうございました。また頑張ります。」
小西「完敗でした。高見さんが強かった。小三元の局は面白かった。海底で12000ALLあるので、小三元に構えてみました。すごい緊張しました。本当に面白い対局でした。また頑張ります。」
石沢「完敗です。高見プロ強かったですが、我々クラスより上にいきました。3回勝負で2回トップ獲られたら厳しいですね。御視聴いただいてありがとうございました。高見プロにどこかでリベンジしたいです。」
高見「最初ふざけてすごいプレッシャーでした。予選で小西さん柴田さんと対局したときにラスだったのでリベンジできました。序盤はツイてましたね。昭和のおじさんなんで流れがいいところは行こうと思いました。この方々は手を作ってくるので安心できなかった。」
コメントにもあるように、高見が終始圧倒した決勝戦となりました。
この日の高見は徹底的に攻め続けたのが、いい結果に結びついたのでしょう。
結果だけみると、差がついた対局となりましたが全員に見せ場のある面白い対局だったと思いますが、視聴者の皆さんはどう感じたでしょうか?
今回はニコ生のコメントに柴田さんの奥さんがコメントしたり、小西さん、石沢さんに応援コメントが多くよせられたりとコメントが非常に楽しい放送でした。
ニコニコ生放送では視聴期間は過ぎておりますがこの対局の模様はYoutubeにUPされております。
1回戦 https://youtu.be/NafzTvD-2zU
2回戦 https://youtu.be/Z_pT6trCLi8
3回戦 https://youtu.be/mr2xlB2dKXE
ぜひ関西在住の皆さんは最高位戦プロアマに参加して、配信される決勝戦を目指してください。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。では皆さん、最高位戦プロアマリーグでお会いしましょう!!
(文 : 矢後 誠)