コラム・観戦記

Classicプロアマリーグ2017決勝 観戦記 野口みちる

プロアマ混合のClassicリーグが2015年にスタートし、多くの方に御参加いただき2016年度も2月25日決勝を迎えた。
今期の参加人数は113名。
この頂点を決める決勝。
4半荘トータルトップで優勝となる。
全8節(1節4半荘)のトータル上位16名で準決勝を行いさらに勝ち進んだ4名が今日の決勝の日を迎えた。

全8節の成績はこちら

準々決勝・準決勝のニュース記事はこちら

決勝に駒を進めた4名

写真左から、中西龍さん 麻雀歴5年 攻撃型
佐藤やすしさん 麻雀歴29年 守備型
轟雄太さん 麻雀歴10年 門前志向
坂井亮太さん 麻雀歴15年 心理戦が好き

麻雀歴と自分のスタイルを聞いてみたところ、このような答えが返ってきた。
それぞれ違ったスタイルの4名がこの後どのような激戦を繰り広げるのか楽しみだ。

 

1回戦

東家から中西・坂井・轟・佐藤

東1局

東家の中西が好配牌をもらう。
ドラは無いもののトイツで6巡目には以下の形。

ここで中西は打で最も受け入れの広いイーシャンテンに構えた。
一発裏無しのClassicルールでこの巡目であれば打として高打点を目指す選択もあっただろう。
しかし中西はClassic決勝の場でもいつもどおりの麻雀を打ち

 リーチ

ツモで1000オールをあがり幸先の良いスタートを切った。

南2局

坂井30400点 轟28300点 佐藤22300点 中西39000点で迎えた南2局。
ドラは
佐藤の11巡目の手牌が以下である。

ここから打
ドラがなのでマンズかピンズのリャンメンを払う選択をすることが多そうだが佐藤はすべてのリャンメンを受け入れられ、かつ高打点になるを選んだ。
すぐにと引き入れ

でヤミテン。
ここでの選択もドラの受け入れを考えて打とすることもあるだろう。
しかし佐藤は567の三色の可能性を残した。
その後をサラリとツモ切り残りツモ1回のところで待望のツモ。
結果的には流局となったが佐藤の意志の強い麻雀を観ることができた一局であった。

オーラス

中西39000点 坂井30400点 轟28300点 佐藤22300点

これまでのMax打点が中西の1000オールと小場の展開。
坂井が配牌イーシャンテンのチートイツの好配牌をもらう。
3、4巡目にドラを連続で引き入れ出あがり6400点のテンパイ。
ツモ、もしくは中西からの直撃でトップになる。
しかし中西も軽い手が入っており初牌の字牌も切り飛ばしていっている。
7巡目に轟がをツモ切り坂井のあがりとなった。
1、2着の着順は変わらなかったがこの放銃で轟はラスまで落ちてしまった。

1回戦スコア
中西39000点 坂井37400点 佐藤22300点 轟21300点

1回戦終了時ポイント
中西+21.0 坂井+11.4 佐藤▲11.7 轟▲20.7

 

2回戦

並びは東家から坂井・中西・轟・佐藤

東3局 ドラ

南家の佐藤6巡目に

役なしのテンパイ。
ヤミテンに構える。
ドラ引きの高めイーペーコーもしくはとドラのシャンポンになるまでこの手を育てていこうというところだろうか。
一発裏ありのルールであればこれは即リーチする人が多いと思うがClassicルールでのこの手はMax1000・2000。
一手変わりで大きく打点アップの見込めそうな手をリーチしない打ち手の方が多いかもしれない。
ただ手変わる前に2枚目のが放たれた。
佐藤はこの瞬間に想定していた理想形を諦めをポン。
どこまで理想の形を目指し我慢するのか、さばく局面なのか、最高位戦ルールとClassicルールでは判断が変わる。
そこが魅力の一つでもあるだろう。
この局は流局であった。

2回戦も中西が軽快にあがりを重ねリードしていく展開。
1回戦と同様に中西が場を支配し連勝となった。

2回戦スコア
中西35200点 佐藤30500点 轟30100点 坂井24200点

2回戦終了時ポイント
中西+38.2 坂井▲6.4 佐藤▲7.2 轟▲24.6

1、2回戦中西が連勝を決めたことにより他の三名は自分のトップそして中西のポイントを削りたいという共通の認識が生まれたであろう。

 

3回戦

並びは佐藤・轟・坂井・中西

東場は三者の思惑どおり。
中西の点棒はわずかではあるが減っていた。

南1局1本場

佐藤35800点 轟28200点 坂井27900点 中西28300点

ここまで苦しい展開を強いられてきた轟にファインプレイが。。。
親の佐藤

 ポン

 ポン

中西

 チー

親の佐藤はイーシャンテンでテンパイと同時に轟か中西に放銃となってしまう手牌。
しかも目下トータルトップ目の中西に打ってしまう可能性が高い。
そんな中、坂井が放ったを轟が大明槓。
がすべて見えてしまったことにより佐藤におりるという選択肢が生まれ中西に放銃することなく流局。
轟は自身のあがりも無かったが中西のあがりも防ぐことになった。
Classicならではの面白さを感じる一局となった。

南3局4本場

坂井31800点 中西28300点 佐藤32700点 轟27200点

なんとしてでも中西をラスに押し付けたいであろう三者。
まずは轟がラス抜けを目指す仕掛けを始める。
続けて坂井も役牌をポン。
そんな中、佐藤が待ちのテンパイを果たす。
早い巡目だ。
トータルポイントを考えればリーチの選択もあるだろう。
しかし佐藤はダマテンにし坂井から出たも華麗にスルーした。
坂井から2000点をあがってもオーラス中西の条件が軽くなるだけだ。
絶対に楽にはさせない。
そう言っているようであった。
この局は三者の想いが叶い轟が700/1300のツモあがり。

 チー チー ツモ

中西をラスにしてオーラスを迎えることができた。
あとは自分がトップになるか最悪流局でも良いと思っていただろう。。。

南4局 ドラ

しかし今日は中西の日だということなのだろうか。
三者が必死に作り上げたこの状況をあざ笑うかのように親の中西が4巡目リーチ。
この時戦えそうな手牌の者はおらず流局を祈る三者の長い時間が始まるのであろうと思った。
そんな筆者の、いや三者の気持ちを打ち砕くように次巡「ツモ」の声。
そして続いた言葉は「6000オール」。

 ツモ

決勝初めての満貫以上のあがりが事実上の勝者を決める大きな意味を持つあがりとなった。

3回戦スコア
中西41100点 坂井32400点 佐藤23500点 轟23000点

3回戦終了時ポイント
中西+61.3 坂井+0.0 佐藤▲17.7 轟▲43.6

 

4回戦

並びは坂井・佐藤・中西・轟

こういったポイント状況の最終戦をどう戦うかは様々な考え方があるかと思う。
優勝を目指すもの。
2位で良しとするもの。。。
過去のタイトル戦でもこのような状況は珍しくなく戦い方には様々な意見がある。

東3局 ドラ

佐藤の7巡目の手が以下。

ここに打たれた1枚目のをスルー。
次巡ツモ
そして2枚目のをポン

 ポン 打

ここでも佐藤の高打点志向はブレることなくシャンポンに受ける。
しかし結果は流局。
リャンメンに受ければ坂井が放銃していた可能性が高いが、自分の麻雀を貫いた佐藤らしい一局であった。

決勝の戦い方は難しい。
どう打つことが正しいのか??
筆者は自分の考えに基づきそれを貫くことこそが正解であると考える。

4回戦スコア
轟35500点 中西32600点 坂井31500点 佐藤20400点

4回戦終了時ポイント(最終)
中西+67.9 坂井▲2.5 轟▲26.1 佐藤▲39.3

優勝は中西龍さん

プロアマリーグでも決勝に駒を進める好成績を収めていた強者が2016年度Classicプロアマリーグの覇者となった。

2017年度Classicプロアマリーグは3月5日開幕した。
2016年度と同様な熱い戦いが繰り広げられることと思う。
より多くの方にClassicルールを知ってもらい打っていただきたい。
2017年度はさらに多くの方に参加いただけたら嬉しいです。

 

( 文 : 野口 みちる ) 野口 みちる

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