コラム・観戦記

【第22期發王戦 ベスト16トーナメント】

最高位戦事務局から「三連覇への道をHPのネタにして欲しいので勝って下さいね!」と言われていましたが、あっさりと負けてしまいました!


ベスト16は牌譜が残っていないので、詳しい局面図ではなくてトーナメントの戦い方という面から自戦記を書こうと思います。

第22期發王戦ベスト16
私の卓は、

木原 浩一  日本プロ麻雀協会Aリーグ 現最高位戦Classic
中嶋 和正  最高位戦日本プロ麻雀協会Aリーグ
男澤 寛太  最高位戦日本プロ麻雀協会C3リーグ

ベスト16のトーナメントは半荘3回戦。
同一メンバーで半荘3回打ち、トータルポイント上位2名がベスト8へ勝ちあがります。
最高位戦ルールなので30000点持ち30000点返し、ウマが10-30です。
1着順上回ることで20ポイント差がつくことになるので、条件計算をするときは現状のポイント差を出し、20ポイントを1着順として考えるとわかりやすいです。

例:35ポイント差を縮めたい
1着順上ならそれだけで20ポイント縮まるので、1着順上だと素点で15000点必要。
2着順上ならそれだけで40ポイント縮まるので、2着順上だと素点は要らない。

 

1回戦

3回勝負なので1回戦はあまり関係のないように見えますがそうではありません。
二人通過できるトーナメントでは、相手が強ければ強いほど勝ち上がり条件の把握が早いので、終盤は通過ポジションにいる二人で有利に局を潰してきます。
極論を言うと、3回戦のオーラスは通過ポジションにいる者が、もう一人の通過ポジションにいる者に差し込んで終わらせにきます。
つまり、通過ポジションにいて進行するというのはかなり優位ということです。

3回戦トーナメントの1回戦目は、絶対に連対する!できるならトップ!!と気合いを入れて挑みます。

しかし願い叶わず3着で終了。

1回戦結果
木原 +43.9
中嶋 +10.5
佐藤 △16.6
男澤 △37.8

2回戦

2回戦でやることは1回戦の着順によって変わってきます。
1回戦で連対していると、既に通過ポジションなのでそれを確定させる、もしくは3回戦が優位になるように打ちます。
具体的には、

1回戦トップ → 2回戦連対すればほぼ通過決まり!
1回戦2着  → 2回戦トップならほぼ通過決まり!

逆に、
1回戦トップ → ラスだと振り出しに戻る。3着だと少し優位な3回戦。
1回戦2着  → 2着だと少し優位な3回戦。3着だと振り出し。ラスだと不利な3回戦。

もちろん他の着順にも影響しますが、ザックリ考えるとこんな感じになります。

1回戦が逆連対だった場合は逆に考えるわけですが、通過ポジションではないので、自分がトップを取れなさそうな場合は「誰をターゲットに絞るか」を考えた方が良いです。
この「誰」というのは1回戦トップだった人と2着だった人のどちらか、今回で言えば木原か中嶋かということです。
もちろん男澤も敵ですが、現状自分の方が上なのであまり考えません。
また1回戦ラスでも、1回戦3着だった人より着順が上回ればその人とは並ぶので、ここもあまり気にしません。

今2回戦は東1局に、中嶋が木原から8000をあがります。
さらに東2局は男澤が3000/6000、東3局中嶋が2000/4000と続きます。

こうなるとターゲットは木原になるわけです。
トータルポイントで中嶋には走られても良いので、自分が他二人より上に行くことを目指します。

2回戦オーラス

木原 11400
佐藤 20500
男澤 42100
中嶋 46000

まず現状、このまま終わって3回戦に突入するとこうなります。

<<このまま終わったとき>>
中嶋 +56.5
木原 △4.7
男澤 △15.7
佐藤 △36.1
私の通過条件は、男澤より着順が上(1着順上なら素点で400点差必要)、かつ木原より着順が上(1着順なら素点で11400点差必要、2着順なら無条件)となります。

私が木原にまくられるとこうなります。(木原のアガリ点数は考慮せず、順位点だけを変えて計算しています)

<<木原にまくられてしまった!>>
中嶋 +56.5
木原 +15.3
男澤 △15.7
佐藤 △56.1
私の通過条件は、上記のものに対して男澤とあと1着順、木原とあと2着順上にならなければならないというかなり厳しい条件になります。

次に、男澤がトップになってしまったとき。(同じく男澤のアガリ点は考慮しません。)

<<男澤がトップになってしまった!>>
中嶋 +36.5
男澤 +4.3
木原 △4.7
佐藤 △36.1
私の通過条件は、木原とは同じ(木原より着順が上(1着順なら素点で11400点差必要、2着順なら無条件))、男澤ともう1着順余分につける感じ。
中嶋とは縮まっていますが、72.6ポイント差なので中嶋をまくるにはトップラス条件。あまり現実的ではありません。

つまり、ターゲットを木原に絞って、中嶋には走ってもらった方が通過しやすいということです。
この場面では木原にまくられない、かつ男澤にトップを取らせないことを最優先に考えます。

さて、オーラスはこんな手をテンパイしました。

   ドラ


リーチしますか?

上記の目的であればダマテンが良さそうですが、3回戦が少しでも楽になる選択をしたいです。
このまま終わった場合、木原と1着順上だと素点差で11400点差。ここを詰めたいのでリーチをする選択もあります。
しかし男澤との素点差は400点なので、対男澤で考えると何点あがっても大差がないということになります。

現状の着順を優先し、ダマテンにしました。
更にを引いてジュンチャンへと変化しましたがダマテン続行。
男澤からリーチが来たケースだけリーチをするつもりでした。男澤からのハネ満直撃すると、

<<男澤からハネ満取ってやった!>>
中嶋 +36.5
佐藤 △3.1
木原 △4.7
男澤 △48.7

このようになり、木原と着順勝負、男澤とは2着順差をつけられなければほぼ大丈夫という条件になり、現状よりかなり楽です。

実践ではこのように、大雑把ですがだいたい計算して打つようにしています。
ダマテンのまま男澤から8000をあがって3回戦突入。
当然この8000は中嶋からはあがりません。

2回戦までのトータル
中嶋 +56.5
木原 △4.7
男澤 △23.7
佐藤 △28.1

これで私の通過条件は、男澤より着順が上、かつ木原より着順が上(1着順なら素点で3400点差必要)という条件。
木原との1着順11400点差をオーラスの8000で3400点差に縮めた形なので、オーラスの8000は木原からあがるのが一番嬉しかったということです。(木原から出たとすると、木原・男澤と3人の着順勝負になります。)

3回戦

オーラスで男澤より200点上、木原より8300点上でしたが男澤にあがり切られてしまい敗退でした。
トーナメントで有利になる展開作りは十分できたと思いますが、肝心な着取りという部分で敗退したような感じでした。
小手先の技術を重要視しすぎていたかもしれません。

無冠になってしまったので、はやく次のタイトルを取ってまた連載をスタートできたらと思います!

つづく・・・と良いなっ!

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