コラム・観戦記

【第22期發王戦ベスト16レポート】

去る1月25日。神楽坂ばかんすにて第22期發王戦ベスト16+準決勝が開催されました。

       
4名が同じ面子で2~3半荘を戦い、トータル上位2名が勝ち上がりというトーナメント戦が特徴の發王戦も、残る2回のトーナメント戦で決勝の4名がいよいよ決まる。
ベスト16からは現發王位・佐藤聖誠と現最高位・新井啓文が加わりシード選手も出そろった。

 

 

1卓 佐藤聖誠(現發王位)vs木原浩一(協会)vs中嶋和正(最高位戦)vs男澤寛太(最高位戦)

 

  

 

トーナメント巧者として知られる佐藤。前人未到の三連覇がかかり注目を集めた東1局。
リーチピンフツモ表1裏1の2000/4000で先制すると、続く東2局も6巡目に

 

このイーシャンテン。やはり今期も本命の一人か・・・と思いきや、ここから思わぬ苦戦を強いられる。
木原の跳満ツモや中嶋の細かいアガリなどでこの半荘佐藤は一時ラスにまで落とされ、オーラスも男澤→木原のラッキーな横移動で辛うじて3着。

2回戦は、中嶋と男澤二人が絶好調。両者とも軽く4万点オーバーに到達し、残された木原・佐藤は非常に苦しい。
オーラスを迎えて点棒状況は
中嶋 46000
男澤 42100
佐藤 20500
木原 11400

このオーラスは、佐藤が男澤からヤミテンのピンフ純チャン8000を出アガリ。
この1局について佐藤が自ら心境を書いたブログが非常に興味深い。
トーナメント巧者は条件戦に於いて何を考えているのか?
是非ともご一読いただきたい。

Menber’s blog 佐藤聖誠 【第22期發王戦 ベスト16トーナメント】

さて、3回戦を迎えてポイントは
中嶋 +56.5
木原 △4.7
男澤 △23.7
佐藤 △28.1

中嶋が一人抜けており、ほぼ通過確定。残る1枠を木原・男澤・佐藤がほぼ着順勝負で争うこととなる。
東4局、木原のリーチをかいくぐって佐藤がタンヤオ七対子をツモアガリトップ目に立つも、南2局では男澤が三色ドラ1をツモって2000/4000で追いすがる。

男澤は38期前期入会の新人選手。唯一プロ予選から勝ち上がってここまできた。
若手選手ながら慎重を重ねた打ち回しで、手役を絡めたヤミテンが非常に印象的だった。

3回戦オーラス、佐藤と男澤の差はわずか200点。アガった方が通過だ。
共に序盤からバックで果敢にしかけて行くも、互いに中々テンパイが入らない・・・
このまま流局か、と思われたが決着の時はついに訪れた。
単騎テンパイに佐藤が今ツモ切った牌をツモってきた男澤が、2枚切れながらすっと単騎振り替え。
ベタオリしていた中嶋が吸い込まれるように合わせた所を出アガリ、見事通過を決めた。

通過:中嶋和正、男澤寛太

 

2卓 新井啓文(現最高位)vs綱川隆晃(協会)vs白鳥翔(連盟)vs篠原健治(最高位戦)

 

 

 

流局続きの重い立ち上がりとなった2卓。
場が動いたのは東3局4本場。
篠原が
   ドラ

 

のヤミテンを安めのながら新井から出アガリ5200は6400。供託3本も回収しトップ目に立つ。
ビハインドを背負った現最高位の新井だったが、南2局にリーチ一発ピンフ三色ドラ1の跳満を綱川から一閃。
そんな綱川も次局跳満ツモアガリ、と静かな展開から一気に大荒れに。
煽りを食らった白鳥一人が大きく沈んだラスを引いてしまった。

2回戦に入っても乱打戦は続く。
白鳥→綱川 12000
新井→白鳥 7700
白鳥 2000/4000
東1局12000放銃スタートした白鳥が、その後一気に巻き返してトップを獲得。

新井はラスを引いてしまいかなり苦境に立たされた。

 

 

2回戦終了時ポイント
篠原 +35.3
綱川 +28.4
白鳥 △4.8
新井 △58.9

追い込まれかなり厳しくなった新井だったが、東3局、綱川とのリーチ合戦を制し8000を直撃!

綱川をラスにし自身がトップに躍り出、あとは白鳥との着順・素点を調整すればよい所まで条件を作った。

 

しかしここからの綱川・白鳥の粘り腰がすごい。

南1局の親番、綱川は2000オール・5800など加点を続け原点復帰を果たす。
白鳥は1回戦ではドラアンコのテンパイを果たすも綱川の当たり牌をピタリと止めてオリるなど、素晴らしい守備が光っていた。
しかしポイント上、もはや守ってばかりもいられない。
1,2回戦とは人が変わったかのように腹を括った攻めを見せ、リーチタンヤオ一盃口を新井から直撃など一気にトップ目に。
終わってみれば、白鳥トップ・綱川2着、そしてここまでポイント首位を守ってきた篠原がラスの逆転劇となった。

通過:綱川隆晃 白鳥翔

3卓 水巻渉(最高位戦)vs平賀聡彦(最高位戦)vs設楽遥斗(最高位戦)vs吉田幸雄(連盟)

 

 

 

平賀・設楽・吉田の3人は平均打点が6000点くらいあるのではないかというほどの超打撃系なイメージ。
そのイメージにたがわず、開幕から満貫の応酬になり、なんと南1局には平賀が点棒を借りる事態に。
しかしここで終わらないのが平賀という男の恐ろしさ。
オーラスの親番で積みも積んだり8本場。気づけば静かだった水巻をかわして3着でフィニッシュ。

平賀オンステージはまだまだ続く。
2回戦では、あっという間の50000点から、2000オール、4000オール、4000オール、12000・・・
9万点という超人的な点棒を叩き出す。
ここで吉田が点棒を借りてしまうも、すぐさま満貫ツモ。南1局では設楽から更に満貫をアガッて、今度は逆に設楽が点棒を借りることに・・・
1回戦は中々手が出せなかった水巻も、南1局では

   ドラ

 

のフリテンリーチをツモって裏3の4000/8000!
南3局にもリーチピンフツモ裏1の4000オールで、平賀台風吹き荒れる中浮きの2着を確保して望みを繋いだ。

2回戦終了時ポイント
平賀 +64.7
吉田 +18.1
水巻 △23.9
設楽 △58.9

いくら打撃系が揃ったとはいえ、こんな乱打戦がそうそう続く訳が・・・ありました。

東1局からトータルラス目の設楽が6000オールスタート。
もはや毎局満貫クラスの応酬になるためこれ以上は省略するが、、、
時間打ち切り最終局を迎えた点棒状況はこちら

設楽 46200
水巻 39200
平賀 21800
吉田 12800

これをトータルポイントに換算すると・・・

平賀 +46.5
水巻 △4.7
設楽 △12.7
吉田 △30.1

現状平賀・水巻が勝ち上がり。設楽は満貫条件。親番の吉田の条件は2600オールツモ・9600以上出アガリ、但し設楽からは出アガリできない。
箱下続出の乱打戦も、最後を迎えてみれば全員に現実的な条件が残る戦いに。
これをギリギリで制したのは水巻。普段飄々とした水巻も、トーナメントの時は気合の入った非常に熱い姿を見せる。

通過:平賀聡彦 水巻渉

4卓 近藤誠一(最高位戦)vs山田浩之(連盟)vs曽木達志(最高位戦)vs阿部孝則(RMU)

 

 

1回戦、東1局で満貫をツモった近藤を山田がじわじわとかわしてトップを獲得。
ここまでは比較的静かな半荘だった。
2回戦東1局、1回戦ラスを引いた阿部が積極的なリーチ。
片割れの枯れているツモり三暗刻を強気にリーチすると見事ツモって2000/4000。
阿部は更に東4局で3副露のホンイツを成就させまたしても2000/4000。
阿部といえば守備型の、門前志向の打ち手というイメージが強かったが、ここ一番での勝負強さを見せつけた。

 

 

南1局には近藤が曽木からメンホン12000をアガって追随すると、
南3局の親番では山田が親でじわりじわりと連荘してついに阿部を捕えた。
オーラス4本場を迎えて点棒状況は

山田 44700
阿部 40900
近藤 30200
曽木  4200

ここでなんと近藤が3巡目リーチ!トップ目山田も追いかけるも捕まってしまい5800は7000と手痛い放銃。

 ロン ドラ

 
続く5本場、再逆転のリーチを山田が打つも流局。最終戦は三つ巴の様相を呈した。

2回戦終了時ポイント
山田 +35.9
近藤 +28.1
阿部 +4.2
曽木 △70.2

しかし迎えた3回戦は、阿部の独壇場だった。
東4局に、リーチ一発中表2裏3の倍満を曽木からアガると、続く南1局では

のピンフ三色ドラ1をあっさりとテンパイ。当面の敵である山田からこれを直撃し、勝敗を決した。

通過:阿部孝則 近藤誠一

準決勝レポートに続く

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