コラム・観戦記

【發王位を連覇するまで その13】

4回戦終了時トータル
水巻 +89.9
佐藤 +12.5
平賀 ▲43.4
山田 ▲59.0

残り2回戦を残して、首位水巻とは77.4ポイント差。
1着順上になれば20ポイント差が埋まるので、残り2回着順が上になれば最低40ポイント縮まります。
しかし1度でも上に立たれると、1着順上だけでも更に20開いてしまいます。
その差は100ポイントになり、最終戦トップラスを決めても4万点差をつけなければなりません。
最終戦でトップラスを決めるのは非常に難しく、5回戦に水巻より着順が下だと勝負が決してしまいます。
なので、まずは5回戦水巻より着順で上回ることが最低条件になります。

現在の差は77.4ポイントですから、ザックリ考えると残り2回で水巻と4着順差分つければ良いということになります。足りない分は2万点で1着順買う感じですね。

5回戦は東3局に水巻→山田へ8000点横移動という僥倖が起こり、水巻ラス目のまま南3局を迎えます。

5回戦南3局

平賀 40100
佐藤 29300
水巻 15700
山田 34900

水巻がラス目という願ってもいない状況ですが、自分も3着目。
できればこのチャンスに水巻との差を縮めておきたいところですが、水巻に捲られてしまうと勝負が決してしまうのでそれだけは避けたい。

オーラスの親番が残っている山田が局消化に動き、それに対し水巻が役牌を仕掛け返したところでトップ目平賀からリーチ!

少し前なら自分がケガしないように、トータルトップ目の親潰しは平賀・山田に任せてベタオリしていたでしょう。しかしもうそんな余裕はありません。
平賀からリーチ棒が出たため、自分がアガればオーラス8000出アガリでトップになれます。
また、この点棒状況ならケガしてもオーラスは3着目で迎えられそうです。
前に出て平賀に放銃してしまったらオーラスは3着取り、アガれたらトップを目指そうと思い、と押して1000点のアガリ。
同3回戦のオーラスに、ダマテンケアをして親を手放した人と同じ選択だとは思えませんね(^^;

結局オーラスはアガれず3着のまま終了。

5回戦
平賀 +38.1
山田 +16.9
佐藤 ▲12.9
水巻 ▲42.1

5回戦終了時トータル
水巻 +47.8
佐藤 ▲0.4
平賀 ▲5.3
山田 ▲42.1

そして最終6回戦。
私の条件は、平賀より着順が上。かつ水巻とトップラス、もしくは2着順差をつけて素点で8200点差つければ優勝です。

ターニングポイントとなったのは南1局。

6回戦南1局

山田 21300
平賀 35500
水巻 23500
佐藤 39700

現状のままだと優勝ですが、ほぼ三つ巴。
そこへ水巻から3巡目にリーチが入ります。

水巻は好形重視の打ち手。とくに早い巡目は形を良くする為にリーチを遅らせることも多く、3巡目リーチは形が十分であることが多い。
今局に至っては、後がない山田が親番なのでただでさえ不十分な形は考えにくく、打点はわからないがまず間違いなく好形だと思っていました。
リーチ後に役牌を仕掛け返した山田は後がないので、要らない牌はすべて切ると思われます。
ドラのバックは山にいるかどうかは不明ですが、要らなければ切る人が二人いることと、水巻が待ちになっているケースが普段より少ないことから、仕掛けやすいバックでした。

このバックがアガれてかなりリードが広がりました!!

さて、ここからは親を落としていく仕事です。
リードされている水巻も、安い手で局消化をするとは思えないので、自分が親を落としていかないと自分にとって不利な局面が生まれてしまいます。

6回戦南2局

山田 15300
平賀 32500
水巻 19500
佐藤 52700

ドラをポンされてしまいましたが、ポンして出てきたのは2枚目ので、捨て牌を見てもまだまだな様子。
ここから先は、自分のアガリにはかなりの価値があるので、この手ならば前に出る価値があります。
まだテンパイしていないと思われるので、を先切りして1000点!

6回戦南3局

山田 14300
平賀 32500
水巻 19500
佐藤 53700

さてもう一仕事。ここが一番大変な水巻の親落としです。
なぜなら、山田はもうアガりに来ない可能性が高いし、平賀も優勝に近づくアガリしかしてこないからです。
アガるのはほぼ水巻か自分のみ。自分がアガらなければ水巻の親は落ちない。それくらい思っていた方が良いでしょう。
今持っているアドバンテージを生かして、多少ケガしても良いのでアガりに行きたいところです。
水巻にスピード感があったことと、すでにターツが足りていることから、ドラ表示牌カンチャンを払い、も切って押し返し万全に構えました。
そこへ水巻リーチ!

この宣言牌をチー!
この仕掛けが一発消しだと思われる方も多いかもしれませんが、これは自分のアガリ確率を上げるために仕掛けたのです。
もちろんリャンシャンテンくらいから無筋を勝負するのはバランスが悪いと思いますが、テンパイすれば押し返す価値がある局面だと思います。
この局は水巻に2600オールをツモられてしまいますが、このを鳴いていないと一発ツモで6000オールをツモられていたようです。何度も言うようですが一発消しではないので、ただの僥倖です。

6回戦南3局1本場

山田 10700
平賀 29900
水巻 27300
佐藤 52100

水巻の捨て牌がかなり脂っこい。テンパイしたらリーチに来るでしょうから、かなり好形のイーシャンテンが入っていると思っていました。イーシャンテンならはポンテンを入れられるかもしれないので、は切らずに絞ります。
ソーズは高い色ですが、を引っ張ってしまうと押し返せなくなるのでツモ切り。
今局は絞っていたが重なり、ポンしてアガリ切ることができました。は重なりを狙っていたわけではないので、これも僥倖ですね。

こうして21期發王位を獲ることができました!
詳しい牌譜は観戦記をご覧下さい!

 

【第20期發王戦観戦記】 土田浩翔
【第20期發王戦観戦記・後半】 土田浩翔
【第21期發王戦決勝観戦記 前編】 坂本大志
【第21期發王戦決勝観戦記 後編その1】 坂本大志
【第21期發王戦決勝観戦記 後編その2】 坂本大志

 

今年も發王戦の季節がやってきましたね。
この記事がアップされる頃には、ベスト16が出揃っていることでしょう。

發王位ということでベスト16からいよいよ今年も發王位3連覇を懸けた戦いが始まります。

果たして今年はどんな戦いになるんでしょうか。

つづく?!

コラム・観戦記 トップに戻る