コラム・観戦記

採譜者フミさんの『迷宮を歩く』 ⑫

 

 今回はいきなりマージャンから入ってみようかな

 

 この時季、試験を合格して、新人プロが誕生してくる。そのプロテストを目指してみたいという友人に頼まれて、出題された問題を一緒になって取り組んでみた・・・ 大丈夫かなぁ。

 

 「点数計算」、「何待ち」問題は時間をかけずとも、なんとか正解にたどり着くが、テンパイチャンスの多さ(何種何牌)を選ぶ問題では、つい実戦感覚を優先して、つまづきそうに。

 

 例を挙げてみよう

 

 

 

 何度も愚痴をこぼしているので、覚えてくれている人もいると思うが、ぼくは大のチートイツ嫌い。手役と牌構成上、できるだけチートイツを否定する打牌を選んでしまう傾向があるので、この問題の正解である or にどうしても抵抗を感じてしまう。

 

 でも「この手をどういう構想で打ちますか?」という問題ではないので、打 or はあきらかに不正解! プロを目指すなら、きちんと正解を選べなければだめだよね。

 

 不要牌を整理し終わって、たとえば3~5巡目ぐらいでは、得点的にも最終形のカタチの強さの面でも、両面固定の打牌がいいと思う(速度をあげても、チートイツだとテンパイ時は待ちが最高3枚だしね)。ただ、ラス親でツモあと一回、しかもトップ目の上家はノーテン終了を目指して、何も牌を下ろさない。このような状況なら、さすがにこの問題の正解である or を選ばないと損だよね。

 

 

 もうひとつ例を挙げる。

 

 

 

 枚数の多さだけではなく、完全イーシャンテン形が好きなのと、いわゆる「遊び牌」のないカタチにしたいとの理由から打。これは正解だった(ホッ?)。 不安定な三色系よりも効率を上げる方が得策。

 

 

 ちょっと脇道。

 

 サンマで似たような打牌選択がある。

 

 

 

 こんな時、他の役牌をすでに刻子に出来ていれば、ノータイムで打。絶対には切らない。(理由は多数)

ただ打としておいて、を引ければ、より強いイーシャンテンに戻るのはわかるが、一瞬「遊び牌」が存在してしまうことが、どうしても気持ち悪い。

 

 

 と、ここまでの自分の考え方を振り返って、特に前回の

 

 

 

 の打牌理由なんかはどう見ても、いわゆる”デジタル”じゃないよね。

 

 そこで見切った「デジタル」「アナログ」問題をもう一度検証してみたくなった。マージャンの世界での意味合いの前にきちんと、語義に戻ろう。

 

 辞書を引いてみると、

 

 digital : 数量、データなどを数値で表現すること

 analog: 数値を連続的な物理量として表示すること

 

 となっているが、これでは皮膚感覚的には理解できないなぁ・・・

 

 自分の日常感覚に沿って置き換えてみよう。 例えば

 

 ここに一枚のパンがある。これを一万人で分けるとする。デジタルな世界では、ひとり、一万分の一枚のパンを受け取ることができる。ところが、ぼくたちが生きている現実の世界では、一万分の一枚なんてパンはゼロと同等だろう。

 

 もう少し、実現可能な範囲で考えてみよう。一枚のパンを3人で分けるとした場合、3分の一枚という均等な数字を導くことはできるが、小数点を使用して表示しようとすると、0.3333・・・・ と永遠に続く3の羅列を配分される。

 

 理数系な面を持ち合わせてないぼくにとって、こんな感じが理解の限界かなぁ。

 

 

 さて、このように再確認をしようとしていた時に、佐藤聖誠プロの採譜に付き、ある手牌と出会う。

 

【第40期Aリーグ第5節 C卓4回戦 南4局 0本場】

 

 この日トータル110pを叩き出して終わるのだが、この最終戦ではラス目に甘んじている。トップの新井までは現実的には無理、満貫ツモなら二着、三着の石橋までは3″

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