またもや、ぼく自身の日常から始めてみよう。
趣味に費やす時間はほどんど、マージャンと読書で占められてしまうが、それ以外にも多少なりと、音楽やテレビ映画の鑑賞で時を過ごすこともある。
食事の後など、ぼんやりテレビを眺めるのだけど、やはり(読書でも「小説」に限られてしまうように)情報番組などよりドラマを中心に選んでしまう。
ドラマといっても結局はミステリーが多いのだが、テンポが速く、場面転換が多すぎると、そのスピード感についていけない。
そんな中である日、時間つぶしに観ていたドラマに突如、引き込まれてしまった。そのドラマの根幹となるストーリーは、ここでは無視(簡単に言ってしまえば覚えていない・・・)。
エピローグとなるシーンで、セラピー本義務付けられた主人公の刑事が、担当の女性精神科医へ投げかけるテーゼが、随分と興味深いものだったので取り上げてみたい。
「天国へのドアと地獄のドアがある。それぞれに門番がいるのだが、天国の門番は本当のことしか言わない。地獄の門番は嘘しか言わない。許される質問はひとつだけ。さあ、どういう質問で天国へのドアを選ぶことが出来るか?」
この種のドラマでは珍しく、主人公の刑事に感情移入出来ていたので(無言のまま、視線を絡め合う二人の描写で、余韻を残したまま終わるのだが)、ぼくもつられて「天国なんて信じちゃいない。あるいはどちらのドアを選ぼうと、俺には地獄しか待っていないのでは・・・」などと、セリフにならないセリフを想いながら、この余韻にしばらく浸っていた。
しかし寝る前になって、今度はこの問題に対して、違う角度から考え始めた。
数学的?論理学的な「解」を求められるんじゃないかと、ない頭をしぼってみた。
どちらが天国で、どちらが地獄かなんて、こちらにとって不確定な「答」を求めても、返ってくる答が真実なのか嘘なのかを検証できない。
そこから考えて、不確定な部分を取り払った質問「あなたは門番ですか?」これなら、もし天国の門番なら答は「はい」、地獄の門番なら「いいえ」となる。答が明快な問いならなんでもOK。例えば○を描いて「これは○ですか?」でもよい。
求められた答を見つけられたのに、どうもしっくりこない・・・。明快な答と共に生きてこなかったぼくには、やはり、謎のまま、余韻を残して終わる方が安堵感がある。
さあここからがマージャン!
ドラマでは「天国」「地獄」の選択肢をどう解決していくかが問題だったが、麻雀でもあらゆる局面で「選択」を迫られる。極端に言えば、もう第一打から選択肢をつきつけられる。もちろん総ての問いに正確な答は出せないと、ラフに構える事も姿勢のひとつだろう。
この手牌は何年か前に出会ったものなのだが、この何切る、ほぼ全員がひとつの答え。
打
もちろんこれが一番受け入れが広く8種28牌。頭では「これしかない一打」と理解できるが、ぼくとしては非常に違和感を覚えてしまう。
では何を切るか?
ぼくの指が自然に選ぶ打牌は または!
これだと7種24牌と、打よりぐっと狭くなる。 それを理解できながら、何故打 またはを選ぶのか?
ここで選択肢の問題が係ってくる。打とすると、聴牌を取れない索子、例えばやをツモった時の打牌は当然となり(索子の形を見てのツモ切りは打④を選んだ姿勢と矛盾してしまう)選択肢を増やしてしまう。
停またはで索子を2ブロック完成形にしてしまえば、筒子のからまで全て聴牌。さきののように関連牌でありながら、聴牌しない牌は存在しなくなる。
金子プロに聞いてみたのだが、答えはやはり打。そして付け加えるように、「選択肢は多い方がいいに決まっている。場が進めば進むほど、場況に合った打牌を選べる」と金子プロらしい答え!
村上現最高位も、雨の日に呼び出したにも係らず、こんな話に3時間以上も付き合ってくれた。そしてきっぱりと「打しかない!」と強く主張。まるで「リーチ」の発声のように一点の曇りもない。そして「選択肢を減らして打ちたいなんて、怠け者なだけですよ!」と、しっかりとぼくの本性まで見抜いていた。
石橋プロ、中嶋プロも同意見(ぼくの人間性についてじゃないよ)。一時期よくサンマを打った滝沢プロ(日本プロ麻雀連盟)も「フミさんらしいなぁ」と言いながら、進めるとしたら、やはり打。
佐藤聖誠プロも同意見ながら
「ぱっと見ると、雀頭を求める麻雀になってしまいそうなので、打も考慮に入れたい」とも。
もし牌姿がだったら打。
だったら打になると、ちょっとした形の違いまで言及してくれた。
さて、プロの中でたったひとり、打と答えたのは、なんと佐々木寿人プロ(日本プロ麻雀連盟)。かなり一緒に打った仲だが、何から何まで正反対。ぼくが「麻雀オタク」なら、寿人は明らかに「ストリート系」。選択肢についても「多いと面倒くさい」とたった一言で切り捨てた。
人間的な側面も含めこんな2人同じ選択とは?
やはりマージャンは面白いね。いつになったら飽きるんだろう。
“