コラム・観戦記

日本オープン⑤

第5話

そんなわけで決勝のメンバーが確定した。
1位通過は半荘五回終了時ダントツの成績で一足先に決勝進出を決めていた鎌田。
鎌田とはかなり前に知り合っており、多少プライベートな付き合いもあったのでこの文章中もずっと敬称を略している。同卓時、俺が知っている鎌田よりも強くなってるな、という印象を受けた。
あくまで印象だから本当のところはわからないが。

 

2位通過は自分。今までいろいろなタイトル戦に何度となく挑戦してきたが、予選の内容は文句なく一番良かった。
勝ったから当然そう感じるのだろうが、予選18回打ってトップは6回、ラスはなし。ずっと集中できていたこともあり、不用意な放銃がとにかく少なかった。
ま、不用意な牌を打っても「ロン」と言われなければ気付かないだけで牌譜を調べれば細かいミスはあるだろうが。
予選は牌譜がないので、今となってはわからない。少なくとも「今の自分のベストパフォーマンス」は出せた、と言っておこう。正直、決勝戦のほうが微妙な選択が多かった。

 

3位通過、山下選手。昨年の覇者が、最後トップ条件をクリアして再び決勝戦へ。
実は10数年前、自分が大学生の頃「チャイナ吉祥寺店」で何度も同卓した仲だ。
鎌田や誠一さんは山下選手の打筋を知らない分、自分が少しだけ有利なはずだ。

 

4位通過、近藤選手。同じく打ち筋は鎌田、山下さんと比べて自分が一番良く知っている。
…考えてみると自分だけが三人のことをわりと知っていて、三人は俺以外あまり知らない。
これは決勝戦、かなり有利ではないか?もちろん4人の中で自分が一番強いはずだ、という気持ちに変わりはない。

 

ただここぞという時にギリギリまで読みを入れる時、相手が「どのような打ち手で、どのような思考をしているのか」という情報があったほうが良い。
2年前の雀王戦決勝最終局、鈴木たろうをよく知っていれば、鈴木達也は小倉の逆転を許さなかったかもしれないのだ。

 

これは実力云々の話ではなく、「相手がどのような行動に出るか」を予測するには、その人間を知っている必要がある、というだけの話で、その点において自分は明らかに有利だということだ。
昨年と違いプロ4人が決勝に残った。
4人とも自分が勝つための打ち方をすることは間違いないので、「何やってるのかわからない、読みがきかない」という状況にはなりにくい。
決勝戦のイメージをすればするほど、自分が優勝するしかない、という気持ちが強くなっていた。
もちろん、理屈では優勝確率は25%より少し高いかもね、くらいなもんだ。

 

そんなことはわかってる、わかってはいるんだけど…優勝したい!!!

コラム・観戦記 トップに戻る