麻雀というゲームは、実らないかもしれない最善手を選び続けるゲームである。
101マガジンに萱場貞二選手が似たようなフレーズを書いていた記憶がある。
実らない、とはおそらく良い結果には結びつかないという意味だと思われる。
良い結果とは例えば一局単位ではなるべく高い和了、半荘単位ではトップ、年間リーグ戦では上位入賞、
大会ではもちろん優勝…プロ入り13年間、なかなか大会での「良い結果」を出せないでいた自分にとって、
冒頭のコトバはいつも心の支えとなっていた。
いくら結果が欲しいとは言え、自分ができることはいつだってその瞬間の最善手を選ぶことだけなのだ。
そしてどんなに最善を尽くしても報われないことが少なからずある、それが麻雀というゲームの本質なのだ。
特にリーグ戦以外のビックタイトルは、最善を選び続けた上にかなり恵まれていないと決勝までもたどり着けない。プロ入りしてから年間に平均東南戦を半荘3000回以上打ち続けている自分にとっては、その大会の半荘数回も3000回のうちの数回だ。
その時だけ強くなるなんて不可能だし、またそんな努力をする意味もない。
自分にできることは前日よく睡眠をとり、普段の麻雀よりも深く集中して相手を見る、そのくらいである。
毎回そんなことはやっているのだが、リーグ戦以外で決勝まで進めたのは13年間で過去2回(マスターズと發王戦)、そんなものだ…
第8回日本オープンも、いままでの大会とたいして変わらない気持ちで参加した。昨年ベスト16まで残ったおかげで、本戦180人からの参加である。
まずは本戦初日、4分の1の45人が本選2日目に進むことができる。
ボーダーはプラス100前後だろうか。半荘6回、100くらい勝てることもわりとあるが、もちろん勝てないことの
ほうが多い。
この日はしっかりと最善手を選び続けることができたと思う。幸運にも恵まれ、211332、プラス119ポイント
で2日目に進出できた。たまに冗談で「順当に残ったよ」なんて言ったりするが、残れる時はいつだって幸運なだけで、順当なわけはない。何度でも言うが、麻雀とはそういうゲームなのだ。
2日目、昨日度の決勝シード選手が三人加わり、48人中15人が準決勝進出となる。
16分の5、昨日の本選1日目よりは勝ち上がり率は良い。
それでもやはり100近くは勝たないといけないだろうから、簡単なわけはないのだけれど。
最高位戦からは自分以外に近藤、冨澤、平賀、竹中と5人残っていた。
開始前に全員と話した内容は「みんなで準決勝に行こう!!」
もちろん5人とも残る確率はとてつもなく低い。それでも今日いる5人は僕が知る限り麻雀に対してかなり真摯に取り組んでいる5人である。
麻雀に対する想いが牌に伝わるのなら、5人とも準決勝に残れるはず…そんなわけないのは百も承知だが、そうだったらいいなとは思う。
ま、最善手を選ぶ瞬間は牌に想いが伝わるなんて1ミリも考えていないが…この日もいい具合に脳ミソが回転してくれて、自分なりに間違いがなかった上に幸運が重なってくれた。
231122、プラス142ポイントで準決勝進出となった。
最高位戦5人からはもう一人、近藤誠一選手が準決勝へ勝ち上がりとなった。
近藤誠一選手に対しては僕も特別な想いがあるので、次回以降改めて書きたいと思う。
僕と誠一さん、2人で二週間後のベスト16に挑戦する。
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