コラム・観戦記

【第19期發王戦決勝観戦記その①】

19期發王決定戦                 2011年2月20日

プロアマ混合のタイトル戦である發王戦であるが、決定戦に
残って打ち手の立場になると、団体対抗戦のような雰囲気になるのである。

まずは重い看板を背負って戦う4名を紹介しておこう。

まず最高位戦からは

・石橋伸洋

Aリーグ所属、モンドでの優勝など近年評価の高いニューリーダー世代
雀風はバランス型

・大柳 誠

Aリーグ所属、昨年惜しくも最高位決定戦進出は逃したが

こちらもニューリーダー世代
雀風は超攻撃型

日本プロ麻雀連盟からは

・中村 毅

A2リーグ所属 初の大舞台となる決勝戦、キャリアを生かせるか
雀風はメンゼン型

日本プロ麻雀協会からは

・大脇 貴久

Aリーグ所属、雀竜位 協会のホープこちらもニューリーダー世代
雀風は喰い仕掛け多用型

若い世代のせいかあまり殺気立つ雰囲気はなく、静かに戦いのゴングを待つ選手たち。
細かい技術的な解説を組み入れて、お送りします。

1回戦 起家から中村・石橋・大脇・大柳

東1局 ドラ ウラドラ

開局、先手を取ったのは大柳 9巡目リーチ 


親番の中村も で無筋を押すがの3枚切れ
を見て撤退となる。
結局、大柳がをツモアガリ1300・2600

東2局 ドラ ウラドラ

5巡目、大脇が中村からをポン  


大脇の真骨頂とも言える仕掛けで、熟知している石橋はこの仕掛けを
無視して攻め抜く。
親番の石橋は下家の大脇に対してを押し、ポンされるが怯まずにをイーシャンテンから押している。
ピンフのイーシャンテンであるが、終盤にテンパイしも打ちリーチ。
大脇はポンの後にドラを引き入れ、17巡目にをツモ 3000・6000

  

東3局 ドラ ウラドラ 
 
このような展開になると当然のように手牌がぶつかり荒場となる。

まず、南家の大柳がカンをチー。
まだ2シャンテンであるが、このような強引な仕掛けも大柳の
特徴である。

 

 

石橋も12巡目にカンをチーし打でテンパイ

 

 

大脇も仕掛けて攻めるが、石橋がをツモ切り大柳へ
役牌・チャンタ・ドラを放銃5200

 

南1局 ドラ ウラドラ 

ここまで劣勢の石橋が流れを変えるきっかけとなった局である。

石橋 10巡目に大脇からをポン
その後、をチーしてテンパイ   
15巡目にを暗槓するとを引き入れ1600・3200

南2局 ドラ ウラドラ 

親番を迎えた石橋は5,6巡目にを手出し。
10巡目までの捨牌は
の手出しは僅かな少考が入っている。
鋭い打ち手ならば瞬時に危険を察知するだろう。
テンパイしている可能性は低いが、おそらくイーシャンテン
で十分形である。
その後、石橋はを手出しでリーチ。
すべて手出しである。

この時、中村の手牌は

ここで長考に入る。
の選択を考えていたはずである。
ポイントになるのは石橋の手出しであると中村自身が
トイツ手と天秤にかけたため打ち出しているである。
はウラスジのため切りづらく打を選択して放銃。
石橋 

メンピンドラウラで12,000

これを筆者は中村の失着とみている。
なぜならば防ぐことができたからである。
石橋が6巡目にを手出ししたときのツモ牌を手牌のどの
位置に入れたのかを覚えておけば良いのである。
無論、毎巡覚える必要はなくキー牌が手出しされたときだけ
覚えておけば良いのである。
そう難しいことではない。
この局のキー牌はである。
次巡、手牌から前巡ツモったが捨てられたわけである。
つまり、の安全度の違いからを残した可能性が
高いのである。
そしてさらに安全牌のを捨ててリーチである。
は打のときにツモってきた牌であることは明白である。
のリャンメンマチ、のシャンポン待ちの
可能性は極端に低いのである。
よって打の選択がベストだったのではないだろうか。

この一打によってツキの均等が崩れたのである。
こうなると中村以外の3人がさらに激しくアガリに
向かう展開となる。
これは中村以外の3人はどんな牌姿から放銃したのか確認は
出来ないが、今後の展開はじゅうぶん予測できるはずである。

南2局1本場 ドラ ウラドラ 

体勢上昇の石橋、さらに攻め抜き14巡目リーチ

この局、が4枚切れになり石橋のアガリは厳しいな
と思っていたところ、ツモでテンパイである。
そして、16巡目にをツモアガリ、ウラドラも乗せて
4000オールとなる。
これがツキの均等が崩れたときの怖さである。

オーラスは中村が高めサンショクのリーチをかけるが
2着目の大脇から安めで1300のアガリで終了となる。

石橋+42.7 大脇+17.3 大柳△7.8 中村△52.2

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