コラム・観戦記

第41期後期C3リーグ第2節自戦記 神尾亮

 kamioryo
(41期前期/C3リーグ 神尾亮

 第41期後期C3リーグ第2節自戦記を担当させていただきます、41期前期入会の神尾亮と申します。よろしくお願いいたします。

 

「9,11,12,24・・・ この数列のきまりを説明しなさい。」

 

 私は普段、都内の学習塾で数学講師をやっています。数学という科目は、解き方の仕組みを理解することも大事ですが、日々の鍛練で「数学を解く感覚」を磨くことによって、どんな難問でも解き方が思いつくようになれる面白い科目です。「理」と「感覚」で答えを導きだす過程、これは「麻雀」に似ていると思っています。私がこの最高位戦で麻雀プロになった今、競技麻雀という世界でも結果を出していきたいと強く思っています。

 

 冒頭の数列の問題ですが、これは等差数列でも等比数列でもありません。お分かりの方もいらっしゃると思いますが、これは「金子正輝プロが最高位を取った期の数列」です。実は、私は金子プロのことが大好きで、最高位戦に入会しました。金子さんの麻雀に対する思い、真剣に取り組む姿、人間性、そこから生まれるドラマ、語り・・・すべてが私に感動を与え私を震わせてきました。私は、金子さんに近づきたいというその一心で最高位戦の門を叩きました。そして金子さんに近づくためには、私自身が上に上がっていかなければなりません。2016年前期D1リーグは何とかリーグ優勝という結果を出すことができましたが、この調子でスムーズに上に進めるとは到底思っておりません。C3リーグに昇級した今、ここで立ち止まらず上を目指して頑張っていきたいと思います。金子さんに近づくために。

 

 さて、後期C3リーグ第1節の結果は、3着→1着→2.5着→4着の△22.7pで36名中25位でした。全5節あるのでまだまだ分からないとはいえ、昇級ラインの9位は現状+48.2pですので、早速70.9pも離されてしまっています。これはいけません。今節第2節は何としてでも+100pは勝たなければなりません。

 

 第2節の対局者は、奥田(10位 +45.5p)、安田(19位 △1.8p)、須田(26位 △43.9p)、そして神尾(25位 △22.7p)。

 

1回戦

並びは、安田、神尾、奥田、須田

 

2局 ドラ: 4巡目

本日初の親番をむかえ、早々にテンパイが入る。

 ツモ:

 

役なしドラなしのペンチャンテンパイである。親の先制リーチは愚形であっても有効だと考える私は当然を切って即リーチなのだが、何を思ったかここで少考してしまった。(場況を見てもほとんど情報がない4巡目に、アガれる自信のないテンパイを取っていいのだろうか)(もしかしたら次巡、が重なるかもしれない)(ペンチャンターツを外している間に中張牌を引いてきてピンフ系になるかもしれない)このようなことが頭をよぎる。結論としては、少考の後、を切ってリーチ。今思えばこの判断がこの日の不調を表していたのかもしれない。このを上家の安田がポン。このドラのについては、私が少考しようが即リーチしようが安田はポンをしていたとは思うが、対面の須田に親のリーチの迷いを気づかれてしまった。須田に押されて500/1000。これは参った。自分の麻雀に迷いがある。

 

3局 ドラ: 8巡目。

 ツモ

 

タンヤオイーペーコーのカンテンパイである。リーチでツモればマンガンのテンパイ。ここは自信をもって切りリーチといく。するとこのを下家の親の奥田がポン。またもやリーチ宣言牌のドラポンが入る。嫌な予感がする。次巡。下家の奥田がを力強くツモりあげ4000オールを決める。言うまでもなく、この鳴かれなければ自分の一発ツモだったのである。苦しい展開。

 

3局2本場 ドラ:

奥田52000点
須田29700点
安田20200点
神尾18100点

南場の親番も維持できず、あっという間にラス前。トップの奥田にかなり離されてしまい、ラス抜けできるかどうかという展開。

11巡目。

七対子ドラ単騎のテンパイが入る。ラス目ということを考えればリーチである。出アガリはほとんど期待できないので、もしもツモることができれば3000/6000は3200/6200。裏ドラがあわよくば乗れば4000/8000は4200/8200となりトップの奥田にかなり近づくことができる。しかし、ここでは冷静にダマテンを選択。リーグ戦ということを考えるとあわよくばのトップを狙ってラスを引くことよりも、着実にラスを引かないことが大事である。チートイドラドラのダマテンを選択した直後、須田から「リーチ」の声がかかる。(来たか!)心の中で北が出ることを祈る。須田が放ったリーチ宣言牌は。6400は7000。本日の初アガリで2着目につけた。

 

4局オーラス

須田22700点
安田20200点
神尾25100点
奥田52000点

3人が競った状態の中、奥田が安田から1300を出アガる。2着を維持して1回戦は終了となった。

 

安田18900点(4着 △41.1p)
神尾25100点(2着 +5.1p)
奥田53300点(1着 +53.3p)
須田22700点(3着 △17.3p)

 

感触の悪い場面は多かったが、須田からアガったチートイドラドラのダマテン直撃で何とか救われた1回戦だった。

 

2回戦

並びは、奥田、須田、神尾、安田。

 

3局 ドラ: 8巡目

   ツモ

 

親番の配牌でがトイツで入り、1枚目のから仕掛けもチー。10巡目に小三元の種となる生牌のを引いてくる。このを残せば、小三元まで見えるが、ここは当然のツモ切り。ここでは1回戦目で少考してしまった反省もあり、を持っていることを悟られないように一瞬の間も残さずツモ切りとした。

 

11巡目。このテンパイが入る。

    ツモ

 

を少考せずに切ったことがここに生きた。ドラのシャンポンだが、なら出るかもしれない。しかし、もドラも出てこない。終局間際、奥田からツモの発声。500/1000でかわされてしまう。

 

1局 ドラ: 10巡目。

 ツモ

 

ドラのを引いてきたら、カンのダマテンに取ろうと思うくらいピンズの下が良い場況だった。そこにツモってきたのは。捨て牌を見ると下家は の切り出し、対面の親も2巡目にに切っており、も悪くなさそうである。を切り待ちでリーチといく。これが全くツモれない。1人テンパイで流局。他家の3人は手を伏せているため、自分の読みがあっていたかどうかも分からない。

 

その後もほとんど何もできず2回戦終了。放縦もないがアガリもないという何とも存在感のない麻雀が続いてしまう。

 

奥田19100点(4着 △40.9p)
須田38400点(1着 +38.4p)
神尾29800点(3着 △10.2p)
安田32700点(2着 +12.7p)

3回戦

並びは、神尾、奥田、須田、安田。

 

1局 ドラ:

早速の親番で、配牌でドラの2枚入る。ドラの翻牌が早々に鳴けるとは思えないので、を雀頭にした手牌進行を考えていると3巡目に上家の安田からが出る。すかさずポンしてドラ3となる。この巡目にドラの翻牌が出るということは、さすがに安田の手は早そうである。2巡後、安田から切りリーチが入る。

7巡目。

   ツモ

このが切りきれない。安田のリーチに対して が通っているため、 を外す進行とする。すると9巡目にこのテンパイが入る。

  

 

この、すぐさま安田からが出る。しかし、このがアガれない。なぜならば1巡目に自分でを切っているのである。フリテンである。参ったなと思い安田の河のに目をやりながら牌山に手を伸ばし、牌を持ってくるとそこにも。このはアガれる。4000オール。安田の一瞬驚いた顔を横目に東1局からリードすることに成功。

 

1局 4巡目

 ツモ

 

が重なって両面両面のイーシャンテンになるか、ズバッとを引いてこられれば最高だなぁなどと思っていると、ズバッと引き。ウキウキの切りリーチ。4巡後、をツモって裏ドラが1枚。ノリノリの4000オールとなる。

 

2局1本場 ドラ:

2局に奥田が親満を須田からアガり、奥田がポイントを増やして連荘した1本場。ここの親はかわしたいと思っていたところ配牌でがトイツで入る。早速ポンしてリャンシャンテン。

 

この手で上家の安田から3枚目のが出る。これをチーしてもよいのだが、鳴くとターツ選択が入るのと愚形が残るため、ここはあえてスルーとする。

 

  ツモ

が重なり打

 

  

 

をチーして打 のテンパイとなる。

ここで先ほどのスルーが生きる。鳴かなかったを見て、親の奥田が打2000は2300。

 

この半荘はリードを守り、トップで終了。+44.5p。

 

神尾44500点(1着 +44.5p)
奥田32600点(2着 +12.6p)
須田23100点(3着 △16.9p)
安田19800点(4着 △40.2p)

4回戦

並びは、須田、奥田、安田、神尾。

東場は何もできず他家の3人がアガる展開。本当に何もできず、ただただオリるだけとなる。苦しい。

2局 ドラ:

 チー

ソーズのホンイツをにおわせる仕掛けでペンのテンパイ。ラス目で手が入らない中、何とかアガリをつかもうとして動いた仕掛け。しかし次巡、残虐にも親からリーチの声。(でアガれてしまえ!)そう祈りながら持ってきた一発目のツモが無筋の。切りきれない。少考の末、打でテンパイを外す。次巡ツモ。ここでもう一度、少考。一発ではなくなったので、を打って攻めこむ価値があるかもしれない。とはいえ、相手は親。打ってしまうとより厳しいラスになってしまう。結局、撤退を選択。数巡後、親ツモ。メンピンツモドラ1で2600オール。はアタリだった。

 

3局 1本場

12700点持ちのラス目。何とか作ったシャンポンリーチでリーチタンヤオドラ1の5200は5500を安田から出アガる。ようやく加点ができた。しかし気づけばオーラスである。

 

4局オーラス。

18200点持ちのラス目。このラス親で、加点ができればラス回避ができる。しかし、ここでも手が入らない。テンパイ取りにむかおうとしたとした矢先、1300点の横移動によって終局してしまう。4回戦目はラスとなってしまった。

 

須田43200点(1着 +43.2p)
奥田33700点(2着 +3.7p)
安田24900点(3着 △5.1p)
神尾18200点(4着 △41.8p)

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今日1日を通して、

須田は、3着(△17.3p)→1着(+38.4p)→3着(△16.9p)→1着(+43.2p)で+47.4pとなり26位から16位にランクアップ。

奥田は、1着(+53.3p)→4着(△40.9p)→2着(+12.6p)→2着(+13.7p)で+38.7pとなり10位から8位にランクアップ。

安田は、4着(△41.1p)→2着(+12.7p)→4着(△40.2p)→3着(△15.1p)で△83.7pとなり19位から30位にランクダウン。

そして私神尾は、2着(+5.1p)→3着(△10.2p)→1着(+44.5p)→4着(△41.8p)で△2.4pでマイナスとはなったものの、25位から23位にランクアップという微妙な結果となりました。

今節は全体的に我慢する場面が多く、パッション込めて攻め込む展開がなかなか得られませんでした。もしかすると前期と比べて守りの意識が強くなっているのかもしれません。攻めの刃を磨く鍛練が必要だと感じました。次節あらためて100p勝てるようにしっかりと勉強会や練習を重ね、調整したいと思います。「ねこけん(金子正輝研究会)」の動画再生回数もあと300回は増やそう。いつか、自分自身がねこけんに参加できるようになることを祈って。

ありがとうございました。

(文:神尾亮

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