コラム・観戦記

第41期後期D1リーグ第2節自戦記 松本敦

 matsumotoatsushi
(34期後期入会/D1リーグ 松本敦

はじめにD1リーグの昇降級条件、すなわち5節かけて目指すべきゴールを確認しておくと、今回は38名中の上位9名が昇級ラインであり、ポイントに直すと概ね100pt程度あれば昇級できると考えておけばよい。

※最高位戦のリーグ戦は開始と同時に全卓の組み合わせが最後まで決定する形式であり、比較的ボーダーが読みやすい。これが日本プロ麻雀連盟に代表される、節ごとに上位から4人ずつ卓組していく方式(とある人に言わせるとビッグバン方式)であれば条件は全く異なる。

 

なので、私も他の選手と同様に「20半荘で100ptプラスする」ゴールを設定した上で初日を迎えた訳であるが、1節目は(日頃の行いの何が良かったのかはともかく)やたらツイていて大量に勝ってしまい、4半荘でプラス170pt、暫定首位で2節目を迎えることになっていた。これは最初の条件に照らすと、「残り16半荘で70pt以上マイナスしない」にゴールが修正された事と同じなので、客観的に見て相当楽な立場だと言って良いだろう。

 

とはいえ、実際には特にやることが変わるわけではなく、いつもどおり普通に進める以外に選択肢は無いのであって、では普通とは何かと問われれば、個人的にはいくつかのプリンシプルを意識することを基準にしている。

 

そのうち1つだけ紹介させて頂くと、「どちらでも良いことはあまり考えない」

例えば、立直に対して手詰まりして、生牌の發か中を勝負することになったとする。厳密には中の方を切るべきだと教わった方もいるかも知れないし、それは間違ってはいないと思うが、私に言わせればそこで發を切ったところで、信号待ちで燃費を気にしてエンジンストップを1度するかしないか程度の些細な事だと思っている。(旧来のパチスロファンの方がいれば、大花火を1日打って山の斜め揃いを1回取り零した程度だと言うと伝わりやすいかもしれない)

 

あるいは実際に2節目2回戦での以下の手牌

北家 ドラ 3巡目

ここからを切って次巡にを引いて立直をかけ、終盤にハネマンのツモアガリになったのだが、これもたまたま選択が当たっただけであって、上記から何を切っても特に問題はないし、3巡目に上記から常に正解が選べるのであれば少なくともD1リーグでヒイコラ言いながら戦ってはいないだろう。

 

では何を考えるべきかというと、例えば終盤に何を切ってオリるかどうか、与えられた状況で何点の手組をするかどうか、といった課題は一生懸命考えて結論するべきであって、その違いは結局、考えるための材料がない・ないしは少ない(=選択)か、十分にある(=対応)かの差だと思っている。つまり「選択は間違えてもよく、対応は間違えないようにする」

 

 

前置きが長くなったが、結局2節目はどうだったかというと、結果はともかく内容は非常に悪かった。(特に後半)印象的なポイントを上げると、

 

:3回戦、3着目のラス親と微差の2番手で迎えたオーラス、役牌を1つ仕掛けて

ここから打としたのは選択の問題なのだが、親の立直を受けて持ってきたのがダイレクトに裏目の。思わずショックで現物のを切ってしまった。冷静に考えればが当たりになる可能性はとても低い状況であるのだから、(が現物、その他諸々)をツモ切りしてを拾いに行くべきである。結果は引くわ、同テンを引き負けて親に満貫をアガられるわで散々な目に合い、取りこぼしの3着。

 

:最終4回戦、自身が役牌2フーロで以下の手牌

ここに上家から切りの立直を受けて打は流石にやり過ぎで、大人しく現物のを拾いに行くべき局面だった。ちょっと点棒があると変な欲を出す悪い癖で、対応を間違えないなどと言いつつ、点棒の期待値や自身の持ち点、トータルの順位等を考えても庇いようのない対応。

 

ⅲ:同じく最終戦のオーラス

親の早い立直を受けて以下の牌姿で追いかけ立直

  ドラ

これは一見普通だが、ラス目と微差の3着目にも関わらず無筋を3-4枚勝負して無理やり追いついており、しかも満直で2着になるという理由だけで立直。正直に言うと2節目は5人打ちだった上、対戦相手に長考派が多く、一般的なリーグ戦の終了時間を大幅に超えており、「もう早く終わってくれ」と思いながら押していたのだが、結果的にを引けたのは僥倖という他なく、1日の最後にして最も内容の悪い1局だったのではないか。

 

他方、対戦相手の感心した内容を1つ上げておくと

ⅳ:2回戦、対面が役牌を2つ仕掛けていてソーズのホンイツ模様

親の私の手牌が

 ドラ

で高め7700のテンパイ。これをヤミテンのまま押すのは自然と思うが、序盤に切っていたを数巡後にツモ切ると声がかかり満貫の放銃。

 ロン

なるほど、ソーズが高い場況で、枚数よりも唯一押している私が確実に切る待ちを選択している。対局中だがとても感心した。(同時に自戦記のネタができてよかったな、くらいに思っていたが、終わってみれば自身で十分ネタになるほど悪い3,4回戦の内容が上記である)

 

結果としては若干プラスの上で暫定首位のまま終わった第2節だが、反省点は山程あったので自戒を込めてこのような自戦記とさせて頂いた。

 

P.S 最高位戦のD1リーグを観戦に来られる諸兄諸姉におかれてましては、上記のような選手でなく、現役最古参の阪元選手や親子選手の嶋村Jr選手などの見応えのある麻雀を観戦されることをオススメ致します。また今期の順位は奮いませんが、柾木選手の郷ひろみに似た端正な出で立ちも必見ですので合わせてお楽しみくださいませ。

 

(文責:松本敦)

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