コラム・観戦記

最高位戦プロアマリーグ2022決勝観戦記

最高位戦プロアマリーグ2022決勝戦。

参加者延べ400名以上の中から勝ち抜いた猛者4名が最高位戦道場に集まっていた。
その4名による戦いの様子を46期前期入会の舩木駿一が観戦記にてお届けする。

 

<決勝戦のレギュレーション>

・最高位戦ルール(一発裏あり赤なし 30000点持ち30000点返し)にて実施
・全3回戦のトータルスコアにて決着
・1回戦あたり50分+1局の時間打ち切りあり

 

<決勝進出者>

中山謙一選手(最高位戦)

松本和也選手(最高位戦)

丹野賢一さん(一般)

堀井統之さん(一般)

 

 

◆1回戦

座順は起家から、堀井-中山-丹野-松本(以降、敬称略)

 

【東1局0本場】ドラ

完全に全員がフラットな状況で始まる東1局。誰しもが共通して「まずは1回アガりたい」と考えることだろう。
そんな中先制リーチをしたのは親の堀井。ピンフドラ1の手である。
しかし、同巡に中山も南・メンホン・ドラ1の大物手を入れ、ダマテンとした。

中山 謙一選手

ここに、萬子のホンイツを進めていた松本がを掴み放銃。まずは中山による満貫のアガリからスタートとなった。

 

【東4局0本場】ドラ

親の松本が2副露の仕掛けを入れているところに、またも堀井の先制リーチ。しかし、次巡に堀井がツモ切ったドラのを松本がポン。堀井の顔がやや歪んだように見えた。
堀井の悪い予感は的中し、直後松本の当たり牌であるを掴んで、12000の放銃となった。

 

【南2局1本場】ドラ

ここまで長らく場を静観していたのが、全身ロックなファッションが特徴の丹野である。
今までの沈黙を打ち破るように、ドラドラの先制リーチを打った。

丹野賢一さん

ここに、負けじと追いかけリーチをしてきたのが堀井と松本。結果は……

堀井がを掴み、丹野へ5200は5500の放銃。堀井にとっては3度目のリーチだったがまたもや成就せず、非常に悔しい展開となった。

 

【南3局0本場】ドラ

上位3人がせめぎ合う終盤戦。

松本からピンフドラ2のリーチ、さらに親の丹野からもピンフドラ1のリーチがかかる。

直後、会場内にアラームの音が響き渡った。
最高位戦の一部の対局において、時間打ち切りという制度がある。このプロアマリーグ決勝戦においても時間打ち切りが適用されており、50分+1局という制限が課されている。
つまり、現在進行されているこの南3局0本場ともう1局で1回戦が終了するということだ。

リーチをかけているのは2着と3着の選手。いずれも勝負手で、アガることができればトップ目の中山への挑戦権を得ることができる。
結果は、丹野がを掴み、松本へ8000の放銃。

 

続く、最終局の南4局0本場では中山の1人ノーテンでの流局となり、松本が逆転してトップを奪取した。

 

松本和也選手

<1回戦結果>

松本 +46.7
中山 +23.6
丹野 △15.3
堀井 △57.0

 

◆2回戦

座順は起家から、松本-中山-丹野-堀井

 

【南1局2本場】ドラ

トップ目で南場の親を迎えることができた松本が追撃のリーチをかける。


全員が慎重にオリの選択をしていた中、現物がなくなった堀井がをツモった。
通っていないスジを押すか、生牌かつ役牌のを切るか。
悩んだ末に堀井はを切り、12000の放銃となった。

 

【南3局0本場】ドラ

時間打ち切りにより、この局が最終局となった。
松本が圧倒的に有利な状況となってはいるが、各選手はなんとかして逆転の目を残したい。
1回戦からここまでアガリがなく苦しい状況が続く堀井が、何か起これと言わんばかりに、早々にをカンして、新ドラにが増えた。

しかし、これによって得をしたのが親の丹野である。
元々持っていたの対子とドラの、新ドラのを活かし、あっという間に満貫のテンパイを完成させた。


丹野は2着目の中山からアガリを捉え、見事2着に浮上して3回戦が終了した。

 

<2回戦結果>

松本 +52.6
丹野 +15.4
中山 △16.2
堀井 △51.8

 

<2回戦までの合計スコア>

松本 +99.3
中山 +7.4
丹野 +0.1
堀井 △108.8

 

ここまで松本が2回のトップで大幅にリードしている。
しかし、中山や丹野も逆転優勝の可能性が消えたわけではなく、堀井だって順位を上げられる可能性は残っている。
麻雀はいつだって何が起こるか分からない。各選手の思いがぶつかる最終戦へ、さあ行ってみよう。

 

◆3回戦

座順は起家から、松本-中山-丹野-堀井

 

【東1局1本場】ドラ

中山からピンフドラ1(高目イーペーコー)のリーチが入った。
この決勝戦において、中山は初のリーチである。実は、中山はテンパイをしたからと言って簡単にはリーチをかけない「アンチリーチ」というテーマを掲げる雀士だ。
その中山からリーチがかかったため、周囲は警戒モードに入る。
しかし、その中山に対抗したのが、1位を独走する優勝候補の松本だった。
アンチリーチのリーチに臆することなく、ここで決着をつけてやると言わんばかりに、3副露を入れ無筋をプッシュし、満貫のテンパイを入れた。結果は…、

 

松本の勇気を讃えるかのように、が中山の元へ流れ、松本が12000は12300のアガリをものにした。

 

【東2局4本場】ドラ

東1局での猛烈な連荘により、大幅に松本が抜け出している状態となったが、他家もなんとか食らいついていきたい。
まずは、丹野がタンヤオピンフのリーチをかけた。
しかし、その時点ですでに堀井がテンパイしており、丹野が堀井の当たり牌をつかみ、8000は9200の放銃となった。

ここまでずっと苦しい展開が続いていた堀井にとって初のアガリである。

 

堀井統之さん

 

【東4局1本場】ドラ

堀井がさらにたたみかける。親番で3巡目リーチをかけた。
自風のを鳴いてテンパイを入れた中山が当たり牌のを掴み、放銃。
裏ドラも乗り、12000は12300のアガリとなった。

続く東4局2本場では中山が堀井から5200は5800をアガり、南場に突入したところで時間切れのアラームが鳴り響いた。

 

南1局では中山が500/1000をツモアガり、いよいよ決勝戦は残すところ1局となる。

 

<各選手の条件>

中山 松本から48000を直撃すれば優勝、丹野をまくるアガリをすれば2位

丹野 優勝条件は無し、中山にまくられなければ2位

堀井 丹野とトップラス(48900点差以上)、または、中山とトップラス(56200点差以上)となるアガアガリをすれば3位

松本 中山に48000の放銃をしなければ優勝

 

【南2局0本場 最終局】

松本を除く各選手になかなか厳しい条件がつきつけられた。
こうなるとやはり一番現実的な競争は、中山と丹野による2位争いだ。
上記の条件を認識した丹野が素早く仕掛けを入れ、中山から1000のアガリを決めて2位を獲得した。

 

こうして、2022年の最高位戦プロアマリーグ決勝戦は静かに幕を閉じた。

 

<3回戦結果>

松本 +51.6

堀井 +26.4

丹野 △26.5

中山 △51.5

 

<決勝戦最終結果>

1位 松本 +150.9

2位 丹野 △26.4

3位 中山 △44.1

4位 堀井 △82.4

 

優勝は圧巻の3連勝を遂げた松本選手となった。

優勝した松本選手には、1月28日に行われるグランドチャンピオン大会への出場権と、發王戦本戦へのシード権が贈呈された。

4人の選手たちが己の威信と名誉をかけて臨んだ決勝戦。
しかし、そこまでには数多の参加者たちの思いが積み重ねられている。
プロアマリーグはどのような方の参加も受け付けている。
2023年のプロアマリーグもきっと熱く盛り上がることに間違いない。

ともに戦い抜いてくれる方たちの参加を、最高位戦は心待ちにしている。

 

文:舩木駿一

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