コラム・観戦記

【40期後期北海道C1C2リーグ第5節自戦記】伊藤奏子

北海道最高位戦C2リーグ第5節

 

 

前節を終えた時点でトータルスコアが+214.3

2位とは僅か0.1ポイント差ではあるものの、C2リーグの首位に立ち、C1リーグ昇級への扉に手をかけた、最終節。目標は昇級圏内の上位6名に入ること。

今回の対戦者と第5節開始時の各ポイントは以下のとおり。


 植木淳宏    +82.6
 木村元一    +121.5
 稗田祐平    △165.6
 村田亜美    +38.2

ポイント的に昇級がほぼ難しい位置にいる稗田を除き、他3名は昇級への道を決して諦めることのないスコアであり、ポイント上位の私に対する4者の網羅は厳しいだろうと予測した。

 

 

 

1回戦目は抜け番

 

 

1回戦目 結果

 

 村田    +44.4
 木村    +16.5
 稗田    △20.4
 植木    △40.5

 

 

 

2回戦目 座順は起家から、稗田、村田、伊藤、植木

 

 

東 1局は流局、親の稗田がテンパイして連荘したものの、そこから東3局まで植木の怒涛のアガリが続く。東1局1本場と東2局はどちらもマンガン、そして東3 局、私の親番では1000/2000のアガリ。その3局すべてをツモアガリで、他家の攻撃を一寸も受けることもなく東場の親番を迎えた植木。植木は1回戦 目にラスを引いたとはいえ、その勢いのまま親でこれ以上加点されては厳しい。あっさりと局を流したいところであるが、自身は北家。親を流すために北家が仕 掛けて親にツモ番を増やし、さらに加点されるケースはよくあることだ。配られた手牌にもよるが、遠く、安い仕掛けは控え、植木への放銃はしないようマーク しつつ、先行できる場合には勝負をかけようと考えていた。

 

 

東4局 北家 7巡目 ドラ

上記、チートイツのイーシャンテンで残していた牌は、ドラのの3枚。は親の植木の現物であり、植木からの攻撃があった場合には守備に構えられるようにと残していた牌である。

こ れまで3局ツモアガリを続けて勢いに乗る植木に本手が入った場合、「アガリを拾う」という意識を持ってひっそりとヤミテンに構える打ち手ではないし、この 最終節で加点できる場面ではいくらでも加点したいはずである。おそらく、本手がテンパイした際にはリーチとくるであろう。
植木の手は手出しが繰り返され、進んでいるようではあるが、まだリーチとはこない。そのうちに私の手牌はトイツかぶりをすることもなく、中盤にドラのが重なりテンパイ。が重なった場合にはヤミテンを選択するが、先にドラが重なって、場に1枚切れ、しかも親の現物の待ちは絶好であると考え、リーチを打った。

すぐに西家の村田からが放たれ、裏ドラは乗らず、8000点のアガリ。おそらく村田も親の攻撃に構えられるように残していたであったかもしれない。

南2局 南家 ドラ

 

こ れまで必死に攻める姿勢を見せてきている村田であるが、気合のリーチも空を切る場面が続いていた。私へのマンガン放銃もあり、ラス目にいる村田。なんとか この親番を連荘させたいという強い思いが伝わってきていたが、それも虚しく、ドラの暗刻を手にしていた西家の植木がツモアガリ、2000/4000。この 半荘、3度目のマンガンツモである。

 

 

南3局 東家

既にトップをひた走る植木。2着目の私は3着目の稗田との点差を少しでも離したい。南場の親で加点するべく、タンヤオドラドラの手をヤミテンに構えていたが、北家村田のリーチ宣言牌が南家植木のピンフのみの手に刺さり、親が流れた。

 

 

オーラス時の持ち点は以下のとおり

 

 稗田    20800点
 村田    9800点
 伊藤    27800点
 植木    61600点

トッ プとラスがそれぞれに大きく離れており、親番はトップ目の植木。この半荘、植木の猛攻に静かに耐え忍んでいた稗田はマンガンツモで2着浮上を目指してくる だろう。戦いがあるとすれば、私と稗田の2着争いか、もしくは親の植木がさらに加点を目指し、それを3者がかわせるのか。

 

 

南4局 北家

 

親の植木とは33800点差。役満のツモアガリは植木とトップが入れ替わる点差である。僅かな望みを抱きつつ、配牌をもらって描けた役満は四暗刻であったため、南家の稗田をマークしながらその手順を追った。が、序盤にあっさりとイーペーコーのみのテンパイが入る。

 ドラはなし

6巡目、稗田からが放たれ、1300点のロンアガリとなった。

 

 

2回戦目 結果

 

 稗田    △20.5
 村田    △50.2
 伊藤    +9.1
 植木    +61.6

 

3回戦目 座順は起家から、村田、稗田、木村、伊藤

 

 

2回戦目(私にとっては1回戦目)は植木の特大トップだったものの、状況を落ち着いて判断でき、上々の滑り出しとなった。しかし、ここ最近の自分の悪い癖がこの3回戦で出てしまうことになる。「上々の滑り出し」の次半荘、なぜか浮足立ってしまうのである。

 

 

東1局 北家 ドラ

序 盤に南家稗田からリーチが入る。ここで、1回戦目と同様に落ち着いていれば、いつもの東1局の構え方を変えることはなかっただろう。普段私は、東1局、2 局はできる限りメンゼンで最高形を目指して打つことを意識している。それによって自分のアガリとなるか、放銃となるか、その結果によって、その後どうすべ きかを考えるのが自身のスタイルだ。

稗田がリーチした巡に、西家木村から出た牌をポンして、リーチ者稗田の現物待ちでタンヤオのみのテンパイを組んだ。「捌き」の意識で動き、テンパイを入れ、一発は消えた。しかし、そのポンによって1つズレた村田のツモ牌が、稗田のアガリ牌となってしまう。ドラのが雀頭のカン待ち。2000/4000のアガリとなった。

後 に考えれば、トータルでポイントを持っていなかった稗田のリーチ。ツモられたとしても、自分は親ではないし、大きなダメージはないはずだ。自分のフォーム を崩し「捌き」にいく必要があったのか。この東1局、最初のボタンを掛け違えてしまったように思う。ここからリズムが少しずつ狂い始めるのだが、そのボタ ンの掛け違いに気づくのはもう少し先である。

 

東2局 西家 

北家村田はソウズの一色、西家の私はピンズの一色手。
村田のリーチ宣言牌をポンしてテンパイするが、村田がすぐにツモ。
リーチ・ツモ・メンホンで2000/4000。

 

東3局 南家

この局はマンズの一色手が入る。役役ホンイツトイトイが見える手で、その時は急所と思われたトイツのが、序盤に親の木村から放たれる。ポンイーシャンテン。その巡に、木村がテンパイしリーチ。数巡後、あっさりとツモアガる。リーチ・ピンフ・ツモ・ドラの2600オール。

東 1局から3局まで、アガリに向かって手を進めた仕掛けをしたものの、全局、他家のアガリが発生する結果となった。ここでかなり動揺している自分に気づく。 いつものスタイルを貫いていないこともあってか、まるで、自分の仕掛けがそれぞれのアガリを招いてしまったかのような感覚に陥りそうになったのだが、よう やく自分のスタイルを崩していることに気が付き、認めることとなる。ここからどう立て直していくか。

 

東4局 東家 ドラ

中 盤にタンヤオチートイツのイーシャンテンとなっているところに、西家稗田からリーチが入る。親ということもあって、数巡押してはみるが、そこで北家木村か ら気迫のこもった追っかけリーチがかかる。ここは引くことを決心。両者の受け牌は残っていたので難なくオリることができたが、このまま流局かと思えた終盤 に、南家村田が打とし、稗田にメンタンピンイーペーコーの高めを放銃。幸運にも失点せずの親番となった。
南場はオーラスの親番まで、自身のスタイルと心の揺れを修正しようと心に誓う。

 

南2局 西家 ドラ

中盤、下記のイーシャンテンが入る。

ツモり四暗刻のイーシャンテンである。序盤にが1枚出ているのみで、はションパイ。ただ、こののシャンポン。麻雀において尖張牌は順子作りをする上で重要な牌であり、他家から場にそうそう2枚放たれるとは思えなかったが、東場の反省を生かすのはここだと、終盤に1枚切られたも鳴かず。上家の木村はソウズの一色手かと思われる仕掛けをしていて、はもう出てこないかもしれないと思ったが、飛びつかないように堪えた。すると、2枚目のが出て、それをポン。その後、木村からの打で5200点のロンアガリとなった。

 

南3局 南家

親の木村が北家稗田の第1打を ポン。本手か否か?判断はつかなかったが、前局の放銃を踏まえて手順を変えたのかもしれない。もしかすると木村の隙をつけるのではないかと感じた。しか し、それと同時にあの重厚な打ち手の木村が第1打をポンするのだから、相当危険な手なのでは…という思いも拭いされなかった。
私の手牌は序盤整ってはいなく、順子と対子の混合手で迷いそうだったため、木村への受けを重視して、早い段階で対子手に決め打った。すると、残す牌、残す牌が全て順調に重なっていく。最終的にションパイの単騎となり、テンパイ。即ツモ。800/1600のアガリとなった。

受 けを最重要視したチートイツだったためヤミテンに構えたが、チートイツへ向かった思考と、重なりそうな牌の読みが完全に合致していただけに、ここでリーチ を打たなかったことが果たして勝負弱かったのかどうか、つまり、この場面で「受け」を第一に置いていたことが大局観としてどうだったのか。今後の課題とし ても掘り下げて考える必要はあるだろう。

 

 

オーラスの持ち点は以下のとおり

 

 村田    30900点
 稗田    36500点
 木村    22900点
 伊藤    29700点

 

南4局 東家

前 局、前々局とアガリへの糸口を見つけ、少し立て直したかと思われたオーラス親番。トップとは6800点差。トップの足元が見える位置まで浮上したものの、 配られた手牌はバラバラ。ツモもかみ合わない。ミスをしないよう打牌選択するものの、中盤にきてもリャンシャンテン。そのうちに、ラス目の木村からリーチ がかかる。最低でもマンガンツモ条件をクリアしたはずだ。2着目の村田も厳しい牌を切りながらトップを目指す。流局間際、木村のツモの発声が聞こえ、ラス を受け止めた。待ち、が高め、メンタンピンツモイーペーコー。村田のを見逃しての力強いツモであった。

 

 

3回戦目 結果

 

 村田    △11.1
 稗田    +34.5
 木村    +10.9
 伊藤    △34.3

 

4回戦目 座順は起家から稗田、伊藤、植木、木村

 

東2局 東家 9巡目 ドラ

数巡前にマンズの形がの段階で打とした際に、北家稗田にポンが入る。その後、引き、さらにを引き入れて打とし、さらに稗田がポン。上記はその後の手牌である。稗田はマンズの一色手模様。そこに、ツモ

345と456の三色からダブを利用した手まで、メンゼンにこだわらずとも、いかようにもなる非常に可能性の秘めた手である。普段であれば、何を切るかの選択に楽しみさえ感じそうな手牌だが、この局面においては、ツモが私を非常に悩ませることとなった。

北家稗田はドラ表示牌もドラも切っていてテンパイをしていてもおかしくない。マンズは切りづらい。だからと言ってピンフに向かってダブを切ったとしても、はションパイ。一色手模様の稗田に当たる可能性も大いにある。ソウズの形が良いが、第1打にを打っているため、フリテンになっている。そこを処理するのが妥当ではあるが、そうすると、残る形が場に高いマンズのとションパイの、さらにドラ周りのターツと苦しいところばかりだ。さすがに他家から東が簡単に鳴けるとは思えない。

アガリに結びつくとするならば…と長考の末、打とした。稗田からは声がかからず。次巡、ツモで打。その後、ツモで下記のテンパイが入る。


は既に表示牌も含めて場に4枚見えている。場面上は4枚残り。ただし、ドラのも場に2枚見えている。稗田が表示牌やドラを切っていたおかげで、ピンズが安い場となっていた。がそれほど悪い待ちには思えない。山には残っているだろうと読み、「リーチ」。

14巡目、ツモ
リーチ・ツモ・タンヤオ・ドラで4000オールのアガリとなった。

東2局 東家 1本場 3巡目 ドラ

 ツモ

2巡目にを引き入れての、3巡目。ツモでチャンタのイーシャンテンとなる。雀頭候補は
場に出ているのは、北家稗田が2巡目に切ったのみ。これを見て打とするが、次巡にがかぶってしまう。その数巡後、南家植木がドラのを切ってきた。それを西家木村がポン。次いで、再び植木から木村がをポン。その巡に植木がをツモ切る。その後、私の中張牌の打牌を植木がチー。次巡にまたしてもが植木からツモ切られる。

を重ねるのはミスし、も雀頭にできず、イーシャンテンのまま。木村はドラポン、ポンのあとはツモ切りが続く。局面は既に終盤だ。すると、木村がをツモ切る。のどれか一つでも重ねられていれば…と頭の中で「たられば」がぐるぐるまわっているうちに、ツ モ切りで、木村から「ロン8000」の声がかかる。木村のテンパイを予測していたにも関わらず、このチャンタの好手牌にしがみついていた自分の負けだ。 4000オールが無駄になってしまうほど、簡単に放銃してしまった。3巡目の雀頭選択ミスがなければ、全く違う展開になっていたかもしれないこの局を放銃 で終えた。大反省の一局である。

 

東3局 北家

 

前局にマンガンを飛び込んだ木村から、イーペーコーのみの1300点を取り戻す。

 

南1局 南家 

 

中盤、親の稗田がリーチ。
同巡にテンパイ。

 ドラはなし ツモ 打

 

はションパイだったが、テンパイを取りヤミテン。
最後まで押し通したが、稗田が終盤にツモ。
リーチ・ツモの1000オール。

 

南1局 南家 1本場 ドラ

東家稗田は役牌から手出ししていたが、それと合わせるように西家植木が役牌を手出しで並べ打つ。数牌の余剰牌ではなく、役牌を合わせ打っているのは、手が整っていて安全牌を抱える気がないからだろうか。私は植木の河に注目し、早い段階でリーチがくる可能性があると考えた。
私の手牌はそれほどまとまっているわけでもなかったので、ここは一休みの局だと思い、親と植木にマークを置き、安全牌をできるだけ多く残しておこうと考えた。

植木の河は1巡目から4巡目まで、三元牌との役牌が並んだ。そして、とマンズが並び、リーチが入る。

西家 植木の河

 

 リーチ

私 はその時点で、植木への安全牌を5枚抱えていた。予測どおりのリーチに、その安全牌を一つずつ切っていった。たいてい、リーチ後、数巡たてば13枚ある自 分の手牌から新しい安全牌が生まれてくることが多い。しかし、3巡たっても4巡たっても私の手牌にある数牌と同じ牌がリーチ者の河にも他家の河にも現れな い。私が引いてくるのは、リーチ者に通っていないソウズの牌ばかり。5巡たって、元々抱えていた安全牌をすべて打ち出し、12巡目、完全に手詰った。

上記がその時の私の手牌。あと数巡凌ぐには、暗刻のを切ろうかと考えた。1枚通れば、3巡凌げる。その間に、新しい安全牌が生まれるかもしれない…。そして、そっとに手をかけた。

「ロン!」

最低、最悪な123の三色高め
リーチ・ピンフ・三色・ドラ・裏でハネマンの放銃となった。

後々考えれば、ドラがな ので、下目で放銃するとある程度の打点が伴うのは想像できる。考えられる手役は、123、234の三色。三色の放銃を避けるとするならば1から4の牌は打 てない。上目の牌を切るのが正解だったはずだ。頭がクラクラする放銃。私の放銃で背後の観戦者がさーっと引いていくのがわかった。穴があったら入りたいと はこのことだ。

次局、私の親番は木村の300・500のツモにより、あっさりと流される。

 

南3局 北家 5巡目 ドラ

ここでいつまでも放銃を引きずっているわけにはいかない。反省はあとからいくらでもできる。
チャンタ模様の配牌から、有効牌をいっきに3枚引き入れて5巡目にテンパイ。

既には場に4枚切れていて、チャンタへの手替わりはない。

「リーチ」

数巡後、すっと、植木がを切った。
「ロン、8000。」

「123の三色返しだ!」と心の中で呟いたが、もちろん顔には出せない。
配牌とツモに恵まれ、前々局の大ダメージを救う幸運のアガリとなった。

 

 

オーラスの持ち点は以下のとおり


 稗田    27500点
 伊藤    30200点
 植木    26100点
 木村    36200点

 

 

南4局 西家

親 はトップ目の木村。2着から4着まで、全員にトップが見えるオーラスとなった。2着目の私と木村の差は6000点。条件はそれほど厳しくない。しかし、流 局の場合、木村は伏せればトップのままだが、私、稗田、植木はテンパイノーテンで着順が入れ変わる際どい点差だ。私と3着目の稗田の差は2700点。4着 目の植木との差が4100点。3回戦目でラスを引いている私は、できるならトップを目指したいが、最も避けたいのは放銃によるラスだ。そのため、私の優先 順位は、「1.ラス回避」「2.テンパイを入れる」「3.トップを目指す」とした。

もらった配牌はバラバラでツモも悪い。明らかに手の進 行が遅い。稗田と植木は手出しを繰り返し、順調に手を進めているようだ。すると、稗田からリーチが入る。ここでリーチ棒の1000点が卓上に出た。私の トップ条件が緩くなった。1000/2000ツモまたは5200のロンアガリでよい。また、木村への直撃ならば2600点でもOKだ。しかし、私がノーテ ンでも、植木と稗田の2人テンパイならば、2着のままである。優先すべきはラス回避。自分の決めどおり、リーチに対して受けることを選択。

植木は稗田のリーチに対して押していたが、数巡経って、まわっているのかオリているのかわからなくなった。稗田もなかなかツモることができない。
流局。
稗田の一人テンパイ。
リーチ棒を出している稗田との点差は3700点。稗田の一人テンパイの場合は、4000点の差が縮まるため、3着に落ちた。

 

4回戦目 結果

 

 稗田    +9.5
 伊藤    △10.8
 植木    △34.9
 木村    +35.2

 

 

5回戦目 起家から村田、木村、伊藤、植木

 

そ の日1回戦から連帯している木村は東1局でアガリをものにし、そのまま東2局の親番を迎える。トータルポイントでも競っている木村。5回戦開始前の私のポ イントは+208.1で2位。木村は+184.1で3位。木村の親を長引かせたくないが、なかなか流すことができず、連荘を重ねられる。

 

東1局3本場 南家 ドラ

中盤、上記のイーシャンテンとなる。ドラのを対子で使っているため、チャンタでもチートイツでもどちらも打点は見込めるが、目的は親落としのため、北家村田が切ったをポンしテンパイを取る。既にが場に2枚走っていたが、すぐにツモでマンガン。木村の親を落とすことができた。

 

東3局 東家 

ここは南家植木とのトイトイ対決となり、テンパイ打牌でトイトイのマンガンを植木に放銃する。

南2局 南家 13巡目

終盤に下記のイーシャンテン。

 

 ドラはなし

そこに、ツモ。東家の木村がマンズの一色手と思われる仕掛けをしており、既にマンズが余っている状況。は場に2枚切れていて、ソウズの河は安い。リスクを冒し、を切ってピンフリャンペーコーのテンパイを取るか、全員に安全なを切ってタンヤオチートイツのテンパイをとるか…。
ここでの放銃は致命的と踏んで、打とした。すると、次巡に木村からが打たれた。その後、親の木村の仕掛けに対し、かなり押していた植木からが放たれる。
「ロン3200」
結果論ではあるが、を切っていれば木村のをマンガンで捉えることはできていた。

南3局 1本場 東家 ドラ

前局に3900点を植木からロンアガリし、連荘しての1本場。

中盤に植木からリーチがかかるが、私も以下の手牌でテンパイを入れる。

 


 

「リーチ」

私も植木もアガることがないまま、残すはハイテイ牌となった。ツモ番は植木。が河に置かれた。
「ロン」
裏ドラをめくると、そこにが。
リーチ・ホウテイ・ドラ3・裏3で24000点のアガリとなった。

南4局 7本場

南 3局2本場は流局し、親が落ちて迎えた南4局3本場。木村を抜いてトップ目に躍り出ていた私。ゴールはもう目前であったが、オーラスに想像もしないことが 巻き起こる。ラス親の植木が、そこから流局とアガリを重ねて脅威の連荘をした。南4局3本場から6本場まで、実は私も全ての局でテンパイを入れていたのだ が、叶わず。オーラスに入った時点では持ち点がマイナスになっていた植木だったが、その連荘により、気が付けば2万点代に復活。恐ろしい選手である。

 

 

その時の各自の持ち点は以下のとおり

 村田    23900点
 木村    29700点
 伊藤    45000点
 植木    21400点

 

 

木村と私の差は、15300点。木村がトップになるには7本場の2100点を含んでも、ハネマンツモか私からのマンガン直撃。改めて条件を確認して、対局に入った。

序盤に木村がをポン。早い手でこの植木の怒涛の連荘を止めにきたか。しかし、その親落としの目論見などを打ち消すかのように、植木から「リーチ」の声がかかる。オーラスの親の勢いに押されて、誰も対抗できそうにない。再び流局だろうかと思えた終盤、親の植木の現物であるを切ると、「ロン」と低い声が響いた。木村の声だった。木村のテンパイを読めていなかったので驚いたのだが、その手を見てさらに驚いた。ホンイツ・チャンタでマンガンの手である。木村の河には1段目からソウズがバラ切りされており、ホンイツは予想だにしていなかった。8000点は10100点、トップから転げ落ちる放銃となった。

 

 

5回戦目 結果

 

 村田    △16.1
 木村    △39.6
 伊藤    +14.9
 植木    +40.8

5回戦が終了し、私のこの日のトータルは△21.1。トータルは+193.2となり、3位でC1リーグへの昇級を決めることができた。

 

C2リーグの優勝は、+224.9でこの日戦った木村元一。

 

          

 

最後に木村への放銃がなければ、この順位が入れ替わっており、優勝を逃したことは非常に悔しいところだが、当初の目標であった昇級を果たすことができたことには満足している。

来 期からC1リーグでの戦いとなる。3月まで公式戦がないが、その3か月の間にいかにトレーニングするかが、C1リーグで戦う結果に反映されるであろう。課 題としては、手順の精度を上げることはもちろんであるが、特に読みの精度と押し引きのバランスについて、レベルアップさせたいと思っている。

 

 

 

 

(文:伊藤奏子)

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