コラム・観戦記

【40期後期北海道C1C2リーグ第1節自戦記】伊藤奏子

2015年9月6日(日)
40期後期北海道C2リーグ開幕。

開幕初日の対戦者は、当日行われる抽選により決定する。
抽選を行い、自分の卓についたその瞬間、「うわっ」と思った。
初日から夫婦対決である。

対戦者は今中正宗、南文明、伊藤聖一。(敬称略)

 

  

 
今中は以前他のプロ団体に所属していたが、自身の仕事の関係で北海道へと転勤になったのをきっかけに、前期から最高位戦に移籍。

南と伊藤(聖)は、10年以上も前から師土田浩翔の元でお互いに切磋琢磨した同士であり、私にとってはその環境の中、一から麻雀を教えていただいた兄弟子たちのようなものだ。南は一時期麻雀界からその名を消してはいたが、数年前に戻ってきた。
そして、伊藤(聖)は麻雀の師であり、現在は夫である。伊藤本人を知っている方には明白な事実ではあるが、近い者に対しての麻雀の見方はけして寛容ではない。

プロとして先輩方に囲まれることとなった、開幕初日。
緊張症をここ数年で徐々に克服しつつあるが、
やはり多少の手の震えが始まる。
集中できていない状態で東1局を迎えることとなった。

並びは起家から順に、南、今中、伊藤(奏)、伊藤(聖)

東1局 西家 ドラ 9巡目

序盤にチートイツの想定をした打牌をしたのが全てだった。

上記のテンパイが入るが、自分の河にはが1メンツ並んでいる。
ピンフであれば既にアガっているこのテンパイ。
場にはゼロで北は1枚。ピンズは比較的安く、
絶好のシャンポン待ちではあるが、この河でこの手牌。
リーチをかけてアガったとして、
兄弟子たちにこの美しくない東1局の最終形を見せられるのか。
否。リーチできず。
その巡からの上家今中の打牌が
思い直してリーチをかけたとしても、
今中の2枚目ののツモ切り、
続くのツモ切りは止まらなかったかもしれない。

しかし、それも自分の選択、と割り切れていれば問題ないのだが、
その直後、今中が仕掛けを入れて形式テンパイで流局。
自分も含め、3人がノーテンで終わる。
どうやっても自分がアガっていたところを、失点で終わる。
動揺は隠せない。

東3局 親 ドラ
中盤に
からを引いて打とするも、
先に仕掛けていた上家へ2000点の放銃となり、全くリズムが掴めない。

次局は安牌残しの1巡のミスから再び上家へリーチ、チートイツで3200の放銃となる。
最悪の放銃。これ以上の失点は致命的だ。
南場の親まではじっと耐えながらこの状態を維持しようと思っていたが、
その前に勝負局が訪れる。

南2局 南家 ドラ
3巡目に上家の親からリーチが入る。
ヒントが少なすぎるリーチには真っ直ぐに向かっていきたいところだが、
現在トップ目の親のリーチ。無謀になってはいけない。
伊藤も南も親の早いリーチに対して簡単に放銃するような打ち手ではない。
安全牌も多くなく、手が進むごとに一枚一枚切り出される危険牌。
無謀かもしれない。

気がつけば中盤には


とリャンシャンテンの形になっているところにツモ
どちらのターツも通っていないが、
それならば高めを見るしかないと決心し、打
その後終盤、場に2枚飛びとなったをツモ。
リーチ。
ここまでのツモの来方を考えればツモでフィニッシュしそうだが、
やはりそれまでの内容を表しているかのようなツモで裏ドラは乗らずのマンガン。
ただ、一人沈みだったところからのマンガンツモは大きな加点となった。

オーラス、私がトップ目で32700点。
ラスからトップまで5000点圏内に全員がいる。
面白いオーラスになったと思った矢先に
上家の今中が真っ先に仕掛ける。
まもなく今中がアガりをものにするのだが、
ロンアガリの2000点。
アガって30900点。私の32700点には届かず。

ありがたいのかもしれないが…
感触のないトップ。

伊藤奏子32700点
今中正宗30900点
伊藤聖一28300点
南文明27700点
の並びで1回戦目が終了。

気持ちを新たに迎えた2回戦目。
並びは、起家から伊藤(奏)、今中、南、伊藤(聖)。

東1局 東家 ドラ

中盤に上記のイーシャンテンだったところに、
西家の南からリーチ、
追っかけて南家の今中からもリーチが入る。

数巡後、場に3枚切れのが入る。
でリーチ。
・・・
・・・
批判の声が既に聞こえてきそうではあるが…
1回戦目の不甲斐ない東1局を思い返せば、
腹をくくってツモ最高めの打リーチとするのが私の覚悟だった。

結果は、打でも打でもどちらも変わらない、
すぐに私が南への放銃牌を掴むこととなった。
ちなみには場に3枚切れ、
自分から見れば7枚目のを掴んだことになる。
前途が懸念される放銃である。

その後は、東2局に伊藤(聖)のリーチをかいくぐった南が
チンイツの倍満をアガり切り、一人旅の展開へ。

南3局、それまで冷静沈着な気配でいた伊藤(聖)が終盤にリーチをかける。
で高めリャンペーコーのピンフ手をでツモり、1300/2600。
だが、高めのは場に3枚出ていた。
知っていながらリーチをする覚悟とをツモアガリできる強さは
オーラスの親に向けた準備である。

オーラス
東家 伊藤(聖)26100点
南家 伊藤(奏)18500点
西家 今中 25300点
北家 南 50100点

前局にをツモアガった伊藤(聖)がこのままで終わるとは思えない。
要注意である。
が…1巡目に思いがけない展開になってしまった。
西家今中がドラのを第一打に選択。
トップ目の南がポン。

第一打にドラを切って鳴かれるケースが少ないというような理は通用しない。
レアケースは日々麻雀を打っていれば、至るところで起きることである。
ドラのをポンできた南がこの隙をつかないわけがない。
守るよりも加点を重視する打ち手である。
頭をよぎったのは、「危険」の2文字。
その予感通りにの加槓も入る。
南の手牌は動いている。テンパイまで間近だろうか。
あるいは既にテンパイしているのか。
ただ、南の動きによって思いのほか手が進んだのはラス目の私であった。

中盤、ピンフドラ1のテンパイが入る。
1300/2600ツモは2着目の伊藤(聖)をかわすが、
3着目の今中はかわせず、自分が3着となる。
マンガンツモを狙いたい状況。
また、裏ドラ期待のリーチをかけることは、
自身の信条から外れるが…
そんなくだらないプライドを持っている場合ではない。
南に加点させてはいけないし、
4着は4着でもロンアガリしなければいけない状況なのではないか。
それならばリーチを打つべきと判断。
リーチ。
真っ直ぐに打牌選択をしている南が一発で当たり牌を掴み
不幸中の幸いというような、マンガンのアガリで、2着に浮上。

2回戦目 結果
南文明 42100点
伊藤奏子 26500点
伊藤聖一 26100点
今中正宗 25300点

3回戦目
起家から今中・伊藤(奏)・伊藤(聖)・南

序盤は伊藤(聖)がリード。2着目に南。
その二人になんとかくらいついていこうとする私であったが、
南2局の親で連荘した1本場の終盤、
西家の南に、メンホン・を放銃してしまう。
のシャンポンでは場に2枚切れ、は1枚切れ。
なんとか連荘しようとして周りが見えていなかった情けない放銃。
この8000放銃により、南が伊藤(聖)を越えてトップとなる。
その後今中がマンガンをツモり、オーラス。
南45500点
伊藤(聖)33400点
伊藤(奏)20900点
今中20200点
テンパイノーテンで今中と順位が変わるところ、テンパイを入れられずにラスで終了。
ラスの順位点が大きいため、かなり痛いラスである。

4回戦目
並びは、起家から順に伊藤(聖)、南、今中、伊藤(奏)

起家の伊藤(聖)は、それまでの鬱憤を晴らすかのように
リーチ攻撃での連荘を重ねる。
しかし、それも東1局3本場で今中の3000/6000によって破られる。
今中と伊藤が2人浮き、私と南の2人沈み状態となる。

東3局 南家 9巡目 ドラ

私の手牌は、

ここにツモでテンパイするが、少考。
567の変化はあるが、この手材料をもらってテンパイを組んで良いものか。
トップ目の親を流すことを優先すべきか、それとも678の三色か
またはピンズの一気通貫のどちらか最高形を目指して打つべきか。
考えた末にテンパイ取らずの打とするが、
まもなく親の今中からリーチがかけられる。
最悪なことに、その間にも場に放たれてしまった。
しまった。悠長に構えているような状況ではなかったと反省したが、
そこにツモ
アガリ逃しになっているが…、追いかけてリーチ。
ノベタンの
流局。
親は待ちのリャンメンリーチ。
流局したものの、トップ目の親を連荘させてしまったことに変わりはない。
かなり危険なテンパイ取らずであったかもしれない。

東4局 東家 ドラ
それまでの流れからいって、すんなりテンパイが入るとは思えなかったが、
予想通りの展開。
終盤になんとか以下のイーシャンテンからテンパイとなる。

 ツモ

でリーチ。
流局間際の最後のツモ牌でツモとし、2000オール。

しかし、次局の1本場に南からのリーチを受け、
南が一発でドラのをツモあがる。
メンタンピン一発ツモドラ。
3000/6000で親っかぶり。

南3局 南家 ドラ 配牌

次局のオーラスの親に向けて弾みをつけるべく、
のどこからでも仕掛けていこうと考えていたが、
1段目で伊藤(聖)が今中から1000点をアガり、希望は断たれる。

南4局。足掻いて連荘。
2000オールをアガり、一度は3着目に浮上するものの、
最終的には今中ののみの仕掛けに、手順ミスでの放銃。
1000は1600を払い、4着となる。

4回戦目 結果
今中正宗 45500点
伊藤聖一 36400点
南文明 19500点
伊藤奏子18600点

1回戦目~4回戦目を通じて、
1打違いのミスによる放銃が何度かあった。
打点の大きな放銃は少なかったものの、
局面を左右する放銃となったのは確かである。

集中力を切らさず対局に臨み、手順の精度を挙げなければ、
C2への昇格などありえないし、同卓者に失礼であると大反省。

最終結果
南 文明     +33.8
伊藤 聖一    +3.6
今中 正宗    +4.7
伊藤 奏子    △42.3

 

(文責:伊藤奏子)

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