コラム・観戦記

【第40期後期C1リーグ第2節自戦記】柿木賢太郎

第40期後期C1リーグ自戦記を担当させて頂きます、柿木賢太郎と申します。皆様宜しくお願い致します。
私は第35期後期に入会しまして今季は5年目のシーズンとなっております。
5シーズン連続(半期リーグですので約2年半)でC1リーグ残留という結果になっており、いい加減通年リーグに昇級せねばと思いながら日々過ごしています。
普段は医師として勤務しており、救急外来や訪問診療、胃カメラ等、バラエティに富んだ診療業務に携わらせて頂いています。


 

麻雀の方はといいますと、「押さざるを得ない状況で押すのではなく、その前にある
チャンスに対してしっかり押し切る」ということを理念としています。

△46.8P持ちの11位として臨む第3節、残り2節での逆転昇級を狙うためには今日は最低でもマイナスを消すことが条件と考えていました

対局者は萱場、吉村、竹村。(敬称略)
萱場は言わずと知れた元101競技連盟の雄。獲得タイトルも数知れずその実力は明らか。しかし今日はリスペクトしている場合ではありません。セルジオ越後に「リスペクトしすぎだよね」と怒られてしまいます。

       萱場 貞二 選手


吉村は私が最高位戦に入るきっかけの一つになった男。2008年竹書房主催の最強戦
神奈川県予選で、私は午前の部で優勝し、彼は午後の部で優勝しました。
午後の部も観戦していた私は優勝者同士祝杯を挙げようと彼を誘い、その後も一緒に麻雀をする仲になりました。
今でも彼の優勝を決めた、オーラストップ目と跳直・倍ツモ条件でのアガリが忘れられません。
 ポン ツモ


「ツモ!3000/6000!」 えっ!?決勝でアガ2!?しかも誤申告で!?


と頭がおかしくなりそうになった私の横から鶴の一声


「お兄ちゃん、ツモり三暗刻忘れてるよ、倍満だよそれ」


「失礼しました4000/8000」
同卓者の得も言われぬ表情も忘れることができません。
しかしそんな彼もプロ5年目、私の半期先輩にあたります。


       吉村 昌敏 選手

 

竹村は私の完全なる同期。
一時期住んでいた場所が近かったこともあり、セットをする仲でもあります。
イケメンフェイスから放たれる強烈なアガリ、私は勝手に彼を最高位戦のチビノリダー(古)と呼んでおります。


       竹村 淳 選手

そんな一日、結果から申し上げますと△68.1Pで18位まで落ちてしまうという最悪の結果になってしまいました。


この日は一日中配牌、ツモ共に悪くはなかったのですが他家の先制リーチがかかるかかる。
先手を全然取れないという苦しい状況が続きました。

1回戦 南2局


親から順に 柿木28500 竹村30700 萱場32800 吉村28000 ドラ
配牌

とドラドラのチャンス手

早めに他家からリーチがかかっても、ある程度まとまっていれば押す心構えでした。
字牌が重なればいいなと思っていたところ、5巡目に待望の引き
竹村が3巡目にを手出しで打っており一枚枯れの状態でした。

10巡目

とチートイイーシャンテンの状態

関連牌ははもちろん見えておらず、は一枚枯れ。
が4枚見え、が一枚づつ
も1枚づつ見えており、が2枚枯れ。


はもちろん即ポンですが、もポンするつもりでした。
はチーするがのチーはが出なくなってしまう可能性を考えスルー
もかなりよく見えていたので、スルーするつもりでした。

すると11巡目、吉村からが打たれ、ポンして打

下家の竹村の切りがよく、いつリーチがかかってもおかしくないと感じていましたが、河にが切られていたので対応はできると考えていました。

12巡目、予想通り竹村から打でリーチの発声
現物だよー!みんな切ってー!」と心の中で叫ぶ。

そして13巡目のツモは 


かよぉぉと思いながらも、もちろん現物のを切りドラののシャンポン待ち。
1枚枯れのでしかアガリがなく、点数状況も平たいので少し押しにくい状況ではありました。
しかも手出しで現物を切っていた吉村から14巡目に打リーチの発声

そしてつかむ
吉村の河にはは切れていましたが竹村の河には萬子はしか切れていません。
竹村の待ちは索子はなさそう。筒子はと切れていました。
これ・・・結構当たる奴やん・・・
でも吉村には比較的通りそう・・・

プリッと押したら竹村からロンの声
 ロン ドラ 裏ドラ

で高め裏1で満貫の放銃となってしまいます。

平たい場であり満貫の放銃で一気にラスへ。
ほぼアガリ目の無い中、親でドラが2枚あるという状況。
正直ここは押すよりも、を切ってにくっつけての形式テンパイ狙いがベターだったのではないかと反省していります。
二軒リーチで一枚枯れのバック。相当負けそうな雰囲気ですよね。
テンパイ絶対入れないとダメな状況でないのであれば、まわって残り2局で一つでも上の着順を狙う方が良かったのではないかと思います。

しかしその後の4回戦で印象的なことがありました。
オーラス 親から 萱場46800 柿木26400 竹村41200 吉村5600
ドラ 4巡目 

2着へは満貫直撃か跳満ツモ条件
ドラを引き入れるか無理やり混一にしてリーチをしたいところ・・・これを跳満にするには5年くらい
かかりそうだなぁ。竹村が萱場にデカいの打ってくんねーかなー、等と考えていたところ。
5巡目に竹村がドラのを切ってリーチとくる。

うおきたこれ直撃チャンスだ!と思いながらも遠いよねぇ・・・などと思っていると
吉村が合わせたを萱場がでチー 


早めにをきっており、三色はなさそう。一通か字牌の後付け(は2枚切れは私が2枚持ち、は1枚づつ切れている)か、はたまた一発消してサヨウナラなのか。

私はといえば、ドラもう2枚もでちゃったよーダブ暗刻にしないと戦えないよぅ
萱場さんバックなら二人で死んじゃってるよぅ
などと思いながらを切って回っていました。

すると8巡目9巡目と萱場が竹村に対して無スジのをツモ切り。


ふぁっ!やる気の人や!これはむしろ萱場様、竹村という賊がおりますのでどうか成敗して
やってください状態になりました。
すると11巡目吉村がスッとを切り、萱場からロンの発声と共に驚きの声が出ました

イチマンニセン

え・・・?どんな形?


吉村君倒れても俺が診察するから大丈夫だよ?


  チー

 これさっき俺見たやつと一緒やああああ!俺は満貫放銃だったけど!

しかしここでの違いは
1:ドラが全部見えているということ
2:ドラは全部見えているが、5巡目という早い巡目で、かつ⑦という使いやすい牌を切ってのリーチのため、竹村がツモれば恐らく2着に落ちるであろうということ。もちろん直撃ならさらに2着に落ちる可能性は高い。

後ほど萱場さんに伺ったところ、あのリーチは愚形の三色か一通、もしくはメンタンピンが濃厚。
直撃でも2600までならOK。ツモられればまくられる、しかし3着落ちはほぼ無い状況のため
押しやすかった、とのことでした。

両方とも一枚切れの後付け。しかし理由によって押すべき押さないべきが変わってきます。
もっと状況判断の精度を上げる必要を感じた、印象的なシーンでした。

現状18位と降級圏内に入ってしまっていますが、残り2節精一杯麻雀を打ちたいと思います。
確か最後の2半荘はクイズ大会になると聞いていますのでまだまだ勝機はあると考えております。

文責 柿木 賢太郎(クイズスリアログランプリ3回優勝)  文中敬称略

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