コラム・観戦記

【第40期前期C3リーグ第4節自戦記】大平亜季

 

 

前代未聞の「あること」を成し遂げようとしている……。

 

私には入会時から近い将来の目標がある。
5年以内にBリーガーになっていること。
入会期に新設されたD1リーグでデビュー後、昇級→残留と

きている。また足踏みはしたくない。

しかし。
第3節までのポイントは△21.1。
この日負ければ昇級はかなり難しいので、なんとしても
勝ちたいところだ。

同卓者は以下の3名。( )内は3節終了時のポイント
塚田(△39.6)
江上(△120.1)
八尾(△128.3)

 

 

最終節に昇級の目を残したい塚田と、降級圏を脱出したい

江上、八尾。殴り合って、勝つ!

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【一回戦】
起家から、塚田→江上→八尾→大平

早々に起家塚田が1000オール、700オール、1000オール

とあがって3本場。
序盤に八尾からのリーチ。


私は宣言牌の
を嵌でチー。

 

がアンコの1000点のテンパイを取った。待ちは
現物待ちでもなんでもないがこの1000は2900である程度

押して、いざとなったら北でオリようと考えていた。

まもなく、親の塚田が追いかけリーチ。


この巡のツモは

親の塚田には筋であり、ドラに絡む牌でもない。
自分の手が3900になっただけで強引に捌こうとしていた

先ほどと状況は変わっていないと考えることを選んだが、
リーチ一発チートイツの9600放銃となった。

序盤、全員特徴のない河のリーチに、受けている江上と
よくわからんから勝手にやっている大平。
アガれたからかもしれないが、いいリーチに見えた。
都合よく好形を期待してしまったかもしれない。

その後、流局と親の和了が続き9本場まで積まれた。
私はなかなかリーチが実らず、オーラスの持ち点3800点。
ラス親だが、朝まであがり続けるには持参したコーヒー

が少し足りない。

南4局 親 配牌 ドラ

 

 

ドラは絶対使う打法、とを切ったがこの役牌3枚残しは
あらゆる邪念に充ちているかもしれない。
昔から大概の配牌は焦らなければテンパイすると言って

いたのだが。
それでも
待ちのピンフドラ1になり、リーチ。
終盤に出あがり。
うれしい初あがりで朝まで云々への記念すべき第一歩に。

4着△50.3

【二回戦】
起家から、江上→塚田→大平→八尾

コーヒーの残量問題は杞憂に終わり、一回戦オーラスは

その後2分で終了。
大きな4着を引いてしまったが、覆ポイント盆に返らず。

早い巡目にこんなリーチを掛ける。


東2局 南家ドラ

 


の壁で使いづらいの所在が、気になる。


3、4巡目に
を2枚並べている江上の手にはなさそうだが


開局早々、字牌より先に
を切っている二名はどうか。

「理解するとは、注意深く直面し、抵抗すること」

という言葉がある。
いい言葉なので、理解したい事柄はなんでも疑う。
私は「序盤に切り出した牌のそば、持ってないよ論」が

乱用され過ぎているのではないかと疑っている。

確かにその時点では持っていないことがほとんどだが、
必要としていないとは限らず、その牌が山に浅いか深いか

は誰にもわからない。
なのに中盤以降まで高く評価されるケースが多いのでは、

という疑念だ……。
実際、序盤に字牌より先に切る1、9牌に
を選ぶという

ことは、を持っている可能性は高めだと思う。

この局は追いかけリーチの八尾がの高目を

ツモって2000/4000。


彼こそこの
に手応えを感じていたかもしれない。

そして注意深く直面し、抵抗しながら、また4着。
理解したのは昇級が厳しい現実、という有り様に。

4着△43.0

【三回戦】
起家から、大平→八尾→塚田→江上

ついに満貫をアガることができ、トップ目で迎えた

南1局 親 ドラ

 


形が苦しいが手役がいろいろ見えるドラドラの手牌。
間違いなくあがりたい。8巡目。
ここに2900点差の2着目、南家の八尾がドラを切る。


「ポン」をした。打

 

タンヤオに向かうつもりが次巡ツモ。打

 

次巡ツモで役なしのドラ4のテンパイに。


そしてツモ

 

 

 ポン

 

12巡目。


が3枚切れていてノーテンが寒すぎるが、形式テンパイ

を狙う手ではないと考える。


がドラ切りの八尾に通ることも幸いしチンイツ一向聴に。
直後八尾が300/500のツモアガり。

 

そして南3局、痛恨の放銃をしてしまう。
八尾のリーチ。ドラ

リーチを受けて数巡後の手牌

 

 

リーチ後にが切られていた。


を押すつもりがないので早々に切ればよかったのだが、


を切って半端にタンヤオで復活することに執着して

しまったと思う。
さらに親の塚田からリーチを受けて手詰まってしまった。


親に
待ちの可能性が少ないことからを選んでしまい

これが八尾に2600。
ある瞬間切らないと決めた牌を、別の瞬間切るという

判断は必ずしも悪いとは思わないが、この時の自分は

悠長に構えすぎた。とても反省した。

結局、小さな2着に。
2着+8.2

【四回戦】

起家から、江上→塚田→大平→八尾

本日の最終戦だが、手が入らない局が多かった。
大きく負けていることを考えればもがきたいところだが、
独立した半荘としては、ちょっと我慢の回。
ラスだけは、と思ったが、また4着を引いてしまった。
完敗だった。

4着△46.6

第4節着順4424
トータルポイント△152.8

この日、勝たなければ昇級は厳しいので、負けた場合は

どの程度負けても同じつもりでいたが、さすがに降級しそう

になってしまった。

負け惜しみではないがタイトル戦はもちろん、公式対局で

「勝利」という評価を得られる可能性は、少ない。
何年挑戦しても毎回、勝てないことの方が多いのに、毎年

必ず勝者が表れることは決まっている……。

その中で、高確率で起こる負けを受け入れ、選手としての

自分を表現し、勝ちを目指し続けなければいけない。
私はプロになって1年だが、この自覚においてはいっちょ前

であると自負している。
ただ、誰がなんと言おうと弱者の負けは、とてもダサい。

  

申し遅れましたが、39期前期入会の大平亜季です。
現女流最高位です。
蝶のように舞い、蜂のように刺さりました。
という訳で、私が成し遂げようとしていた前代未聞の

あることとは会場内ラスなのにドヤ顔で自戦記デビュー

でした!

来期も「C3リーグ」でがんばります。

 

(文責 大平亜季) 

 

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