コラム・観戦記

【飯田正人杯・第8期最高位戦Classic準決勝レポート】坂本大志

4月から開幕した「第8期飯田正人杯・最高位戦Classic」も、ついに準決勝までが終了しました!!

 神楽坂ばかんすでの準決勝の様子

そんなわけで、今回は準決勝の模様をお伝えします。

まずは準決勝のシステムについて。

準決勝は
本選を勝ち上がった13名の他、
現Classicの松ヶ瀬選手、予選1組優勝の土田選手、予選2組優勝の土井選手を加えた16名で争われます。

 
 現Classic 松ヶ瀬 隆弥プロ (RMU)

 

まずは総当りで1人1回ずつ対戦し、5半荘打ちます。
この時点で1位の選手が決勝進出、下位7名が敗退となります。
残りの8名がポイント持ち越しで1半荘を行い、上位3名が決勝進出というシステムになっています。

それでは、しばし駄文にお付き合い下さい。

一回戦
一番最初に「ツモ」の声を発したのは3卓の川上選手。
好配牌そのままに1段目にリーチして高めを引き当てる。

   ツモ

このリードを守りきり、初戦トップの川上選手は絶好のスタートになりました。

 

    川上 貴史 選手             植村 里菜 選手

 

1卓では現Classicチャンピオンの松ヶ瀬選手と協会のエース木原選手と現雀王の鈴木たろう選手が初戦から激突!!
こんな辛い面子を相手に、紅一点の植村選手はどこまで闘えるのか?
なんて思っていたら、臆する事なく坦々と模打を繰り返していました。
新人ながら既に鉄のメンタルを備え持っているようですね。

そして南2局にトップ目の鈴木選手が連荘。
2本場では、木原選手の先行リーチを受け鈴木選手はこの牌姿。

ドラ


はリーチ者の現物、は無筋。
三段目、安めは打点変わらずという事もあり、切りリーチ。

強欲なイメージが強い鈴木選手なら、切るかもと期待していたが、流石にここは冷静でした。

 

  

     鈴木 たろう 選手            木原 浩一 選手

 

1卓はこの局も制した鈴木選手が59000点の大トップ!!
2卓は、東場で土田選手が40000点オーバーでそのままトップ。
4卓では水巻選手が東1局の2000/3900のリードを守りきりトップという結果に。

二回戦では、鈴木選手が60000点の大トップでまたしても完勝!!
トップスタートの土田・川上両選手がラスになり、逆にラススタートの現チャンピオン松ヶ瀬選手がトップでポイントを戻すなど、鈴木選手1人を除いては混戦模様となりました。

大きくポイントが変動したのは三回戦目。

1卓では植村選手が、4卓では川上選手が、
共に親番で四暗刻をツモアガリ大トップ!!

植村選手は
ドラ

 

の高め18000テンパイから、終盤にとツモってきての役満成就。

今期のClassicでは、予選から本選にかけての7連勝スタートと、破竹の勢いで勝ち進んできた彼女は、初のタイトル戦で決勝まで駒を進めてしまうのか?

2卓では、現發王位の佐藤選手が初トップで上位前線に浮上。

 

3卓ではオーラスに逆転劇がありました。
そのオーラス、ラス目の土田選手のリーチを受けた鈴木選手。

ドラ

 

   チー

現状3着目だが、7700あがれば一気にトップに。
は生牌では土田選手の河に1枚。
そして、現最高位の近藤選手が親で仕掛けており、どちらも危険牌。

どちらかを勝負するのもあるし、ポイント持ってるから3着でも良いと思ってオリの選択もある。

鈴木選手の性格から考えると、後者だけは無さそうだが…

少考の後を勝負!!
数巡後に土田選手がをツモ切るも、終盤に、近藤選手が待ちになってた対子のに手をかけ放銃。

これで鈴木選手は3連勝。
決勝進出がかなり濃厚になりました。

四回戦は佐藤・木原選手がトップで2位の川上選手に追走。
RMU所属の渡辺選手と現最高位の近藤選手もトップで、こちらは借金返済。

前回大トップの植村選手は箱下になりそうな大きなラスを引き、前回の貯金を殆ど使い果たしてしまう。

好スタートの水巻選手も三、四回戦と連続ラスで30を超える負債を抱えてしまった。

五回戦開始前のポイントはこちら

1     鈴木 たろう    92.0
2     川上 貴史    59.5
3     佐藤 聖誠    48.4
4     木原 浩一    36.6
5     渡辺 卓也    19.8
6     コウ    5.6
7     山下 健治    3.4
8     土田 浩翔    1.6
9     近藤 誠一    -0.1
10     植村 里菜    -16.0
11     松ヶ瀬 隆弥    -35.3
12     水巻 渉    -36.9
13     篠原 健治    -40.3
14     竹内 朋之    -43.1
15     山本 篤史    -45.5
16     土井 泰昭    -50.7

この回が終わると、1位が決勝進出。下位7名が敗退となります。

今日1日、終始苦しい戦いが続いた篠原・山本・松ヶ瀬・竹内選手らは五回戦目もポイントを戻せずに敗退。

2組を優勝して勝ち進んだ土井選手も、3回戦の役満ツモられが響きここで敗退。
これまで我慢を続けてきた、山下・近藤両選手も、ここでポイントを減らして敗退となりました。

逆に敗退濃厚の水巻選手が58000点のトップで、最終戦に望みを繋げる。
コウ選手、土田選手もトップを取り、決勝が狙える位置で6回戦進出を決めました。

6回戦
1     鈴木 たろう    117.0   決勝進出


2     川上 貴史    66.9
3     木原 浩一    42.0
4     佐藤 聖誠    40.9
5     コウ    28.4
6     土田 浩翔    20.0
7     渡辺 卓也    12.4
8     水巻 渉    3.1
9     植村 里菜    -6.3


10     山下 健治    -13.3   以下7名は敗退
11     近藤 誠一    -14.5
12     土井 泰昭    -41.9
13     竹内 朋之    -50.2
14     松ヶ瀬 隆弥    -58.1
15     山本 篤史    -71.8
16     篠原 健治    -75.6

1卓
川上・佐藤・土田・水巻
2卓
木原・渡辺・コウ・植村

この組み合わせで1半荘行い、上位3名が決勝進出。
卓内1位なら文句無し、2位だと別卓次第といった感じ。

1卓では東場から水巻選手のアガリが続く。
3900を佐藤選手から、11600を土田選手から出アガリして早くも卓内2位に躍り出る。

しかし佐藤選手も粘りをみせ、7700を川上選手から出アガリして再度卓内2位に浮上。

オーラス、水巻選手は佐藤選手との8.8P差を縮めなければ敗退。

必死に条件を満たしに行く水巻選手。
しかし、この局での条件達成が厳しいと判断するや、親の土田選手の仕掛けに差し込みをして延命。
このあたりは流石の判断でしたが結局ここまで。

 

      佐藤 聖誠 選手                 水巻 渉 選手

 

トータルポイントの卓内1位の川上選手は決勝進出確定。
佐藤選手は卓内2位で別卓の結果待ちとなる。

2卓
木原選手が細かくアガリ、淡々と進む展開も、南場に入り渡辺選手がトップ目に。
オーラスになり、親は木原選手。
現状卓内1位なので、99%最終局。
トップ目とはいえ、現在卓内2位の渡辺選手が木原選手を捲る為には跳満のツモアガリか満貫の直撃が必要。
それ以外は別卓次第だが、最低限満貫クラスの加点は必要に思える。

そんな渡辺選手。
終盤に「ツモ」の発声。

   ツモ


タンピンツモ三色、一翻足らずで、満貫止まり。

これだけ見ると、「何故リーチしていないの?」
と思う方も多いだろうが、場にはが3枚切れ。
そして既に局面は終盤。

リーチして高めツモで条件は満たすのだが、同時に闇テンにしたくなる条件も揃っている。
非常に判断が難しいところであった。

 


      渡辺 卓也 選手

 

こうして6回戦が終了し、結果はこうなった。
順位    登録名    ポイント
1     鈴木 たろう    117.0
2     川上 貴史    56.0
3     佐藤 聖誠    48.1
4     木原 浩一    44.6
5     渡辺 卓也    41.7
6     水巻 渉    36.4
7     コウ    7.5
8     土田 浩翔    -9.6
9     植村 里菜    -17.3
10     山下 健治    -13.3
11     近藤 誠一    -14.5
12     土井 泰昭    -41.9
13     竹内 朋之    -50.2
14     松ヶ瀬 隆弥    -58.1
15     山本 篤史    -71.8
16     篠原 健治    -75.6

決勝進出は
鈴木たろうプロ (協会)
川上貴史選手 (最高位戦)
佐藤聖誠選手 (最高位戦)
木原浩一プロ (協会)

結果論になってしまうが、渡辺選手はリーチの一声があれば決勝に残れていた。
麻雀とは本当に残酷なゲームである。

奇しくも決勝進出者は、Aリーガーか現役のタイトルホルダーという豪華な顔ぶれとなった。

激戦必至の最高位戦Classic決勝は
8/18(日)と8/25(日)
の二日間、全10回戦で争われます。

正午対局開始で観戦は自由かつ無料となっておりますので、お時間ある方はこの熱い戦いを生で観戦されては如何でしょうか?

文:坂本大志

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