コラム・観戦記

【36期後期C1リーグ第4節自戦記】有賀一宏

前期C1リーグ最終節の最終半荘、4着さえとらなければほぼ昇級というポジションにいながら昇級を逃した。全20半荘中、唯一のラスがここ一番で来るなんて・・
その対局直後は立つこともままならないほどの放心状態。
「なぜ自分はいつも大事なところで・・!」
今にもあふれ出してきそうな悔し涙を必死で堪えた。どうせ泣くなら昇級して流そうじゃないか。新たな決意を胸に後期のリーグ戦に臨んだ。
1節2節と大きくプラスすることができ、その時点では微差ながらトータル首位。
しかし第3節に3連続ラス&3着の全逆連対をかまし、1位から13位まで転落。
昇級するためには大きなプラスが必要な第4節。その自戦記を有賀(あるが)一宏がお送りいたします。どうぞ最後までお付き合いください。

対戦相手は土井孝輝、鳥居裕一、桐生美也子の3人。
土井は同期、桐生とはリーグ戦で何度か対戦している。鳥居だけが初対戦だが、私はプロテストや新人研修を担当しているので少し情報があり、土井、桐生よりは鳥居がどういったスタイルで戦ってくるのかはある程度わかっているつもり。
面子によって打ち方が大きく変わることはないが、今日のこの組み合わせでは1つやらない方がいいことがあると思っていた。それは試合の流れで説明するとしましょう。

さて、1回戦。
起家から桐生 有賀 土井 鳥居
東1局 ドラ 
15巡目ながら先制テンパイ。

が特別良い待ちという訳でもないが、誰もテンパイしていなそうなのでリーチと行ってみた。すると16巡目、回っていると思っていた対面の鳥居から追いかけられる。
ハイテイで掴んだが鳥居の当たり牌。
 ロン 裏

リーチ、ホウテイ、ドラ、裏 の満貫。ピンズの上がいかにも残っていそうな場況であり、鳥居のスタイルからしても当然の追っかけリーチなのだが、「今日もこんな感じか・・」と少し苦笑いしそうになる。
ただ、自分のリーチ判断に後悔はなく、この時点で落ち込んだりすることはない。しかし、鳥居としてはさぞかし気分の良いあがりだろう。その後も鳥居が快調に先制テンパイを入れリーチをする展開が続き、苦しい状況でオーラスを迎える。

点棒状況は以下の通り。親の鳥居から
鳥居 43200
桐生 32200
土井 25400
有賀 19200
という点棒状況。目下の目標を3着目の土井を捲くることとすれば、1300・2600のツモか6400以上の出アガりが必要。

西家 ドラ
配牌

ドラが2枚あり、打点的には申し分なし。愚形が多く、自分のアガリがあるとすれば終盤になりそうなイメージ。
しかし6巡目にトップ目親の鳥居からリーチが入る。
自分もイーシャンテンになり通っていない牌を2枚切ってみたが、8巡目に

の形からを切りきる判断が出来ずギブアップ。他の2人も降りている様子だったので中抜きし親のテンパイ連荘にかける。
が、大人しかった3着目土井が12巡目にリーチ宣言!!
トップ目鳥居から満貫を討ち取り、なんと200点差で土井のトップ。
私が一人沈みのラスとなりトータルポイント的には一番嫌な展開となる。しかもこの時点で一時期は200P近くあったトータルポイントもマイナスの世界へ。昇級どころか今日の結果次第では降級も考えなくてはならないかもしれない。

2回戦
起家から 有賀 桐生 土井 鳥居
この半荘は東1局が象徴するように凄まじい乱打戦となる。
まずは私が東1局に桐生からメンタンピン裏1の12000をあがる。

1本場
鳥居が5巡目にツモ切りリーチ。そして一発ツモ。
 ツモ

幸い裏ドラは乗らずで1300・2600の1本場。

東2局
今度は桐生が5巡目にツモ切りリーチ。そして一発ツモ。
 ツモ

こちらも幸い裏ドラが乗らず4000オール。

土井も負けじと親でドラ暗刻のリーチを鳥居からあがって12000.
その親は私が2000・4000をアガるが、鳥居の親リーチには一発目に桐生が飛び込み7700。
折れない桐生、2巡目にリーチ。ほどなくツモ1300・2600。

そして迎えた南1局 
東家 ドラ 配牌

好配牌をもらい6巡目にはこうなる。

一応テンパイなのだが、問題はリーチ判断。親の先制でドラが1枚、役はない。リーチをする選択もあるだろう。その時の私はダマテンを選択。これにはもちろん理由がある。
それは対戦相手のスタイル。今日の対戦相手はいわゆる攻撃的な麻雀を打つイメージ。
例えば私なんかは親に先制リーチをされようものなら、自分の手がよほど勝負手でない限り割と対応しながら打つのだが、こういうタイプは行けると踏んだらリーチがかかっていることを知らないかのようにノーテンから何枚も無スジを連打してくるイメージがある。もちろんその分放銃も増えるが、踏み込んで得るリターンもある。ちなみにこのイメージは私が勝手に思っているものなので、実際に打ったら違うんだけどという苦情は受け付けない。

さて、私が冒頭で述べた、「やらない方がいいこと」というのは、親の先制だからという理由だけで精度の低いリーチを打たないこと。今回の手牌でも、相手がリーチに対応してくれるのであれば牽制をしてゆっくりツモるという選択もできるが、深く踏み込んでくる相手であれば、向こうの本手とはぶつかりたくないのでこちらが一歩引けるように構える。先制ドラ1愚形のリーチを絶対にしないということではないが、今回はドラ表示牌と少し待ちが悪い。少なくともリャンメンになるか、ピンズの情報が増えてくれないとリーチには踏み切れないと判断した。
そしてその後が振り代わり、ダマでも出アガリが効くようになる。対面の土井からリーチがかかった直後にをツモ。2000オール+1000点の収入を得た。結果的には最初の形でリーチしていても同じだったかもしれないが、自分としては落ち着いて打てていると思える局であった。
しかしさらに乱打戦は続く。私の親が流れた南2局、土井が満貫ツモ。

南3局 西家 ドラ
配牌

第1ツモでが重なり、すぐに対面から出た白をポン。続けざまにチー、チーとし高め満貫テンパイ。
 チー チー ポン

しかし上家がを切ってきたということはテンパイもしくはイーシャンテンだろう。予想通りすぐに鳥居からリーチがかかる。さすがに上家もしくは私の放銃かツモあがりで決着がつくかと思いきや、なんと下家桐生が打!!
相変わらず深いところまで踏み込んでくるが、今回はその牌を捕えることができた。
オーラスを迎え、2着目土井とは約10000点差をつけたトップ目。
親の鳥居から早いリーチが入り、そこに桐生が追っかけ。私もドラで自風のが暗刻のテンパイが入ったが、その打牌が桐生に放銃となってしまった。ともあれなんとかトップで終了。

その後の2半荘も落ち着いて打つことができて、終ってみればラスの後の3連勝。この日は+95P。暫定8位となり、なんとか最終節に望みを繋ぐことができた。残るはあと1節4半荘。最終節も私が自戦記を担当するのだが、できれば昇級をして気持ちよく勝ち自戦記を書きたいものだ。

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