9月3日、土曜日。
前回の対局から1ヶ月近く間が空いたこともあり、待ちに待ったC1リーグ第3節の日である。
会場に入った私を、いつもどおりのヨン様風の優しい笑顔で有賀一宏が迎える。
「いっしー、今日同卓だよ」
200ポイント近くのポイントを持った首位に立っているからこその余裕の笑顔というわけではない。
200ポイントというのは大きなアドバンテージではあるが、運が悪ければ築いてきた
200ポイントをたった一日で失うこともある。
それが麻雀。それがリーグ戦というものである。
昇級候補の最有力と目されながらも、ふがいない結果に終わった経験もあるだろう。
有賀が、最終節最終戦まで昇級ポジションにいながら、最終戦でラスを引き昇級を逃したのは
つい最近のことである。
有賀の落ち着いた笑顔の裏に、今日の対局に向けるたぎらんばかりの熱い闘志が
隠されていることを、私はもちろん知っている。
だからといって、俺も、負けるわけにはいかないのだけれど・・・。
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第3節の対戦相手は以下の3人である。
紺谷 博
有賀 一宏
荒井 芳昭
1回戦
東1局南家 ドラ
配牌
可もなく不可もなくの配牌が、道中ドラを重ねて11巡目にテンパイしてリーチ。
17巡目にツモで、裏は乗らなかったが、2000・4000の幸先よいスタートとなる。
東4局西家 ドラ
6巡目
ツモなら即リーチ、ツモなら切りヤミテンで
がポンされなければ次巡にリーチするつもりだった。
そこにツモ。
テンパイだがドラのはションパイである。を切って1300の
シャンポンリーチを打つつもりはないし、切りでテンパイを取ったときの
ツモやツモよりもを切らないでおいた時のツモの方が断然うれしいので、
をツモ切り。
2巡後にツモ。
を切ればツモでテンパイと受け入れは広がるが、
ツモの1300のシャンポンテンパイもうれしくないし、ツモのペンカンも嫌なので、
実質増える受け入れはツモだけ。
を切った時のツモのピンフテンパイよりも、ツモ切りした時のツモの
テンパイの方が2倍以上うれしいので、これもツモ切り。
次巡、ツモ
待ちの3面待ちになって、盤石のリーチである。
には声がかからず、リーチの一発目は3人とも温存していたを合わせる。
運よくを一発ツモ!
ツモ
裏は乗らなかったが1300・2600と大きな加点となった。
南1局南家 ドラ
2巡目に早くも以下のリャンシャンテンとなる。
少なくともタンヤオかドラ1のリャンメン待ち以上のリーチをかけたいところだ。
その後と続けてピンズを引き
となり、ここにツモ
を切れば手広いイーシャンテンとなるが、3巡目までに東家と北家がを1枚ずつ捨てているためすでには薄いと感じていた(序盤に切りした他家はを持っているケースが多いため)。
仮にであがれたとしても、タンヤオもドラもなく点数的におおいに不満であるため、打とした。
ほどなくを引き、何をツモってテンパイしてもタンヤオがつく十分形になる。
8巡目に下家がをポンすると、ツモ、打でテンパイ。
ドラをツモればリーチ・タンヤオ・ツモ・ドラ1の満貫になるし、待ちも3面待ちで申し分ないので
当然のリーチ。
しかし、をポンしていた下家の有賀が私のリーチに無筋を連打してくる。
有賀は守備的なスタイルの打ち手なので、よっぽどのことがない限りリーチに
無筋を連打してくることはないはずだ。
これは有賀に満貫級のテンパイが入っているなと確信したが、
リーチをしている私にはどうにもできないので祈るだけだ。
「ツモれ!掴むな!」
と心の中で叫びながら、二人して延々とツモ切りを繰り返すが、
結局二人とももツモらず掴まず流局した。
有賀の手牌は
やっぱり満貫。掴まなくてよかったと、ホッとした。
その後、親番で北家の紺谷に5200を放銃し、オーラスには親の荒井に2000オールを
ツモられて荒井にトップを逆転されてしまう。
オーラス1本場西家 ドラ
トップの親、荒井とは2500点差。
ということは、400・700をツモるか2600出アガリで逆転。
また流局して私がテンパイ、荒井がノーテンでも逆転する。
参考までに、南家の紺谷とは6100点差、ラスの有賀とは8000点差である。
親が2巡目に捨てたをラス目の有賀がポン。
一瞬にして場に緊張が走る。
例えば役牌の暗刻があるとすると、400・700ツモでも3着に浮上するが、
門前でリーチすれば2着やトップが見えるこの点棒状況だからこそ、2巡目にして早くもリーチの選択肢を捨てて、をイチ鳴きし、ツモまたは直撃に賭けるとは考えにくい。
したがって、それなりの打点のある仕掛けだと推測できる。
まず警戒しなければならないのは、ホンイツの可能性。
しかし、ポンの後、すぐにを切り出してきたのでホンイツではなさそうだ。
とすると、次に考えるのはドラがらみ。ドラが暗刻である可能性もあるし、ドラと
もう一つ他の役牌を対子で持っている、いわゆるダブルバックも考えられる。
しかし、中盤に有賀がドラを切りだしてきたので、その可能性も消える。
そうすると、トイトイかチャンタ系のどちらかの可能性にほぼ絞られる。
荒井も紺谷も、それがわかっているので、役牌はおろか、一九牌さえもほとんど場に顔を出さない。
有賀はツモ切りを続け、三者が真ん中付近の牌を選らんで捨てる展開で巡目が進む。
私も有賀の仕掛けに対応しながらも、あわよくばテンパイを目指して手を進めていると、
終盤残りツモ3回というところで役なしテンパイが入る。
この時点でおそらく有賀はイーシャンテン、親はオリていてノーテン濃厚。
このまま流局でもトップになれるので当然リーチはしない。
結局、私の一人テンパイで流局し、ラッキーなトップを取ることができた。
ちなみに、を仕掛けた時点で有賀の手牌は下のような形だったらしい。
がポンできればジュンチャン三色同刻の満貫であり、
すぐに清老頭に手替わりしそうな恐ろしい仕掛けだった。
2回戦
東1局、6、7巡目に南家の有賀が仕掛けを入れると、親の荒井がおもむろにツモ切りリーチ。
あっさり一発ツモの8000オール。
ツモ ドラ 裏ドラ
これには私も有賀も紺谷も、溜息しか出てこない。
東1局1本場、2巡目に出たをスルーすると、
10巡目にドラなし高め三色のテンパイが入りリーチを打つ。
ただし、1、2巡前に高めのを先に2人に処理されており、あまり気分のよいリーチではない。
私のリーチに対し、親が無筋を2枚押して追いかけリーチ。
待ちに自信もないし、親のリーチは高そう。
こんな時は悪い予感しかしない。
一発で掴まなくてラッキー!である。
ツモ番のたびに「ツモれ!」ではなく「掴むな」と祈る。
結果は運よく?親がツモってリーチタンヤオツモドラ3の6000オール。
これには私も有賀も紺谷も、溜息さえ出てこない。
その後は淡々と局が進み、無難に3着で終了。有賀は2半荘連続ノー和了のラス。
3回戦は、ほぼ原点の3着で迎えたオーラスで、配牌でダブ南暗刻とドラがらみの
一面子ができているチャンス手が到来する。
条件は跳満ツモでトップ、満貫ツモで2着、トップ目の西家・紺谷か2着目の東家・荒井からの満貫出アガリで2着になる。
8巡目に1枚目のをチーして満貫テンパイ。
直後に北家の有賀がを3枚連打するのを見て、チーして正解!とひとり納得。
親の荒井がと続けて押してきたので、も掴めば出るな・・・・と期待が膨らむのも束の間、有賀のに荒井がロン!でチャンス手潰える。
1本場は紺谷があっさりとアガり、3着のまま終了。
起家ではじまった最終4回戦。
東1局配牌 ドラ
ピンズのホンイツ本線で、とりあえず打
次巡ツモでマンズのペンチャンを外す。
すぐに出た1枚目のをスルーすると、続々とピンズのツモがやってくる。
6巡目以下の形になって、
ツモ
ピンズホンイツをちょっとでもぼかすために打とする。
あたりまえだけどこういう細かい気づかいは大事だと思う。
次巡ツモ、打でイーシャンテンとなったところで、北家の有賀からリーチが入る。
すぐにをツモり安全牌のを切ってコソっとツモッパネのテンパイ。
ちなみに有賀の切っているピンズはだけ。
西家の荒井から出たを躊躇なくポンして打とする。
その後、荒井がをツモ切り12000の和了となった。
4回戦はこのリードをなんとか守り切り、トップで終了することができた。
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というわけで、第3節は1、3、3、1で+38.9ポイント、トータル+59.7ポイントと、
ちょっとだけポイントを伸ばすことができました。
ただ、残り2節、半荘8回では、昇級にはかなり厳しい位置なので、
どこかで勝負を賭けないといけないだろうなと思っています。
是が非でも昇級したいんですけどね・・・・まあ、最後まであきらめずに頑張ります!
私の自戦記は今回で終わりですが、第4節と第5節の自戦記は、
今回登場した有賀選手が担当します。
第3節で160ポイント以上もポイントを減らし、昇級圏内から一気に後退してしまった有賀選手が、
残り2節で巻き返し、昇級争いに絡んでいく自分の姿をどんなふうに描いてくれるのか、
個人的に楽しみにしています。
第4節は9月24日(土)、「麻雀柳 勝どき店」にて開催されます。
※すべての対局会場の情報は最高位戦HPのサイドバーにある「年間予定・対局会場」のリンクからご確認ください。
それでは、みなさま、当日勝どきでお会いしましょう!