コラム・観戦記

【36期最高位戦Aリーグ第8節自戦記】佐藤崇

第8節の自戦記を担当します、佐藤崇です。
よろしくお願いします。
 
飯田、金子両巨頭の休場もあって随分と若返った今期のAリーグ。

加えて村上は最高位なのでリーグ戦はお休み。
モチベーションは今までと変わらず高いつもりなんですが、どうにも会場の空気感と言うか…こう、

ピリッとした気分になれないのは正直な所でして…。
やはりそれだけあのお二方の存在感は、僕にとって大きいものだと言う事なのでしょう。
 
決してそれを言い訳にしてはいけないのですが、開幕から調子が上がらず、

現在降級ポジションの11位。
 
ここいらで本気で巻き返しにかからないと、いよいよB1リーグ降級が見えてきます。

いやいつも本気なんですけどね思いっ切り(笑)
 
Aリーガーと言うのは多分全員そうだと思いますが、『何がなんでも落ちたくない』と思って

戦っています。
いやもちろん、どのリーグにいてもそうでしょうけど…。
Aリーガーの誰しもが、あの厳しいB1リーグの昇級枠[16分の2]を経験しているだけに、

尚更そう思うはずなのです。
 
僕の場合、もちろん内容にもよりますが、4位で決定戦に残れない事の3倍は11位での降級が

悔しいと思います。
決定戦には残れなくてもAリーグにいる限り、毎年チャンスはある訳ですからね♪
 
と言う訳で…今節を含めて残り5節、半荘20回戦。当面この私の目標は
『無理に決定戦進出を狙うのではなく、残留争いに勝ち残る為に少しでもポイントを挽回しておくこと』
なのです。
 
 
いや…なのでした。
 
結果から先に書きますと、この日は今期初!と言っていい程の大勝利!!
1・1・2・1で+165。
降級ラインから一気に6位に浮上する事が出来たのでした!よっしゃー!!
 
なので話の8割方が『勝ち自慢』になってしまうのですがそこんとこは悪しからず(笑)

今節の対戦相手は
曽木 達志(そぎー)
上野 龍一(うえじい)
大柳 誠(やなぎ)
以下敬称略。
ついでに、途中いくつか出てきます登場人物の呼び名は、失礼ながら普段から呼んでいる愛称で

書きたいと思います。
 
-1回戦-
特筆すべき局は見当たらないのですが、勝負所は南2局。ドラ

 
東家曽木 
 リーチ

南家上野  リーチ

西家大柳  ポン

北家僕  
 リーチ

全員ピンズ待ち!軍配は私に。

 

 ツモ ドラ ウラ

 
全員テンパイでぶつかった局を制して、そぎーを逆転!
この局が決め手となって幸先良くトップスタート!
 
 
-2回戦-
いい感じで迎えたオーラス。持ち点は
東家僕 39900
南家上野 18000
西家大柳 21700
北家曽木 40400
 
点差が示す通りそぎーとの一騎打ちです。
僕が第一打の
をぺちっと打ちます。少し気合いを込めて。
すると南家のうえじいがなかなか牌を切りません。
 
…こ、これはもしや。来るのか?来てしまうのか?

うえじい『リーチ』
 
はい来ましたー!やっぱり来ましたー!!(泣)
 
その時の僕の形
 

 ドラ
……。
まあ絶望的ですよね。だがしかし!点棒状況だけ考えると比較的行きやすい立場でもあります。
跳満を打つと3着まで落ちてしまいますが果たして…。
 
問題はうえじいが取った『間』です。
普段からノー理牌で打つ、形に明るいうえじいの事ですから、テンパイかどうかの確認作業だけで

ここまで時間は使いません。
絶対とは言い切れませんが、この『間』を信用すると、これにはほぼ二通りしかありません。
・そぎーか僕から出ると打点が足りない。裏ドラ勝負になってしまう。
・跳満直撃が狙えるが待ちが悪い。
 
他にも悩むパターンがない事もないでしょうが、恐らく7~8割方上記の方だと考えていいでしょう。
という訳で少しずつ前進。
そしてものすごいツモが押し寄せて来ての14巡目。分岐点がやって来ます。
 

 ツモ

全員の捨牌


東家僕  


南家上野

西家大柳

北家曽木
 
実は11巡目、配牌からは想像もつかないツモり四暗刻のイーシャンテンになっていました。

ツモ番は残り4回。さてさて、どうしましょう…。
 
あくまで経験上の話ですが、こういうのって『一つだけアガリへの道筋がある』ように思えて

ならないのです。
 
やなぎが3巡目にうえじいの切った
をポンしています。微妙な所だけど恐らくテンパイ。

何が何でも打ってはいけないそぎーは必死のベタオリ模様。
 
実はこの時、うえじいの待ちはカン
かカンなんじゃないかと予想してました。
さらにやなぎがテンパイしているとすると、
は最も打ちづらい牌。
なのでこのどちらも出て行かない形にすべきと考えていた訳です。
さらには
は自ら作った中筋。
なのでここでの一打は打
以外ないと結論。
 
四暗刻の未練を断ち切るのは勇気がいりますが、そうも言ってられません。
 
16巡目。引いたのはベストオブツモの
!!

 

 
 
ツモ番はたったの2回ですが、もうこうなったら立直に決まっとるのです!
を叩き切っての立直宣言。
 
そして最終18巡目…。
 

 ツモ ドラ
 
この瞬間の親指の感触ったら…天にも上る気持ち良さでした♪
 
 
うえじいのタブリーはこんな感じ

 


何と三色完成とは…!でもヤミテンじゃ足りないと。なるほどこれは確かに悩ましい所ですが、

やはりリーチでしょう。そしてやなぎの仕掛けは
二人の待ち牌を一人で引き続けた奇跡的な4000オールで2連勝!!

-3回戦-
東1局、そぎーがうえじいに12000を献上するも、何故かそこからそぎーが大爆発!
ロンロンツモツモ止まりません。ひげが止まりません。
南2局には7万点近くまで持ち点を伸ばします。

ラス目で親番のやなぎが2副露して対々和テンパイ濃厚…でも止まりません(笑)
 
(伏せ牌7枚) ポン
ポン
 
二つ目を仕掛けて
とターツを払った所。
流石にテンパイやろこれ!って所に
!!!!!と叩き切って立直と来るそぎー。
はいはいまいりましたと流石にベタオリ。が、軍配はやなぎに。
対々和の3200オールで僕はラスに叩き落とされ、点棒は1万点と少し…。
オーラス親番が残っているとは言え、流石に今回はラスを覚悟しましたが…。
 
次局、何度もテンパイ外してこねくり回して最終的にはこんな悶絶テンパイ!

 

 ドラ

 
うえじいが先制立直しています。まあ当然追っかけ立直ですよ。
しかしこれが中々出ないツモれない…(泣)
 
最終ツモでも空振り。諦めかけたその時!うえじいの最終ツモが
!!

 

 ロン ドラ ウラワスレタ
 
ツモより嬉しい満貫直撃で3着浮上。
 
更に南3局、うえじい、やなぎの2軒立直に対してホンイツの700・1300をツモあがり。
これでオーラスの親番を迎えます。
 
しかしここで今節唯一の大ミスをやらかしてしまうのでした…(泣)
 
オーラス。トップのそぎーは遥かかなた。
3着目のやなぎとは約5000点差、4着目のうえじいとは約10000点差。

 

 ポン

 
おどかしついでに鳴いてみただけのドラポンでしたが、残り4巡を残して偶然テンパイ。

さてさて、カンかカンか…?
 
まーぶっちゃけどっちでも良かったのですが、ここは敢えて場に2枚飛んでいるカン

選択してみました。
どのみち出アガリはあまり期待できないのですが、少しでも相手の推理の逆を突こうとした訳です。リャンカン残りならカン
に取る訳ないやろと。
点棒情況が示す通り、この手はアガリ切る事が出来なければ伏せるつもりです

(ノーテン宣言でこの半荘を終わらしてしまう)。
しかし!次巡のツモは見事な裏目の

 
内心『あっちゃ~』とツモ切る僕。

…大馬鹿者です。

ここはフリテンのに受け直す一手に決まっています。ツモ番は後2回。
他3人はかなり受け気味。もはやカン
の出アガリなど期待できるはずもないのに…。

この局を見ていた村上最高位にも対局終了後、散々ツッコミ入れられました。そりゃそうだよね(泣)

 

 ポン ドラ 
 
と河に並んだワンズが悲しく僕に語りかけます。『あなた…へ・た・ね♪』

この12Pが最後に響いてきそうな予感がします。あー泣きたい。

-4回戦-
この日の最終戦は独壇場。7万点の大トップ!!
 
途中、あまりに気持ちいいアガリが連発できたので、顔がにやけっぱなしの私…。
奥歯を噛み締めて必死ににやけ顔を隠します。
が、これも対局終了後のお酒の席で、散々そぎーに笑いネタにされました。
 
ま、何を言われても嬉しい一日でしたけどね♪
 
 
このレポートがアップされる頃には、Aリーグは残り3節、半荘12回を残すのみです。
 
いい大人達が必死こいて闘ってます。
 
決定戦争いも、残留争いも混迷を極める今年のAリーグ。
その中には必ず感動的なドラマが生まれます。
 
これをご覧の皆様、是非観戦に起こし下さい!お待ちしています!!

文責  佐藤 崇

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