2011年7月25日、11度目の女の戦いの幕は開けた。
昨年の第10期で石井あやが優勝するまで、
9度の開催で3人しか誕生していなかった女流最高位。
決勝で待つ石井に挑むのはフレッシュな若手か、それとも実績を持つ者なのか。
第一節の結果は以下の通り。
女流A
1 涼崎いづみ 190.7
2 花本 まな 75.7
3 吉川 愛莉 25.9
4 山口 まや 14.4
5 柳 まお 5.9
6 京杜 なお -5.0
7 池下真理子 -9.7
8 野添ゆかり -18.2
9 亀山 馨 -29.9
10 須山いづみ -40.8
11 渡辺 洋香 -59.2
12 浅見 真紀 -90.3
13 和田 聡子 -101.5
実績・実力ともに上位の涼崎・山口・須山・渡辺・和田の5人を、
若手が如何に打ち倒せるのか。ここに注目が集まるAリーグ。
大きく飛び出した涼崎を除けば誰もこの先を考えられるような成績ではない。
最下位スタートと出遅れた和田も含めて全員にチャンスがある。
女流B
1 櫻田 由樹 193.9
2 三國 麗子 129.0
3 桜庭 史恵 118.8
4 小林 里紗 102.9
5 茅森 早香 80.6
6 日向 藍子 65.0
7 高橋 美佳 63.8
8 近藤 加那子 46.7
9 内間 祐海 42.8
10 華村 実代子 24.4
11 中里 春菜 14.3
12 岡部 未来香 5.9
13 谷崎 舞華 1.5
14 小池 美穂 -2.5
15 元島 明子 -10.2
16 成宮 瞳 -22.5
17 北島 朋子 -25.2
18 西嶋 千春 -49.9
19 久慈 麻里那 -50.6
20 神谷 結貴 -63.5
21 川端 美雪 -75.8
22 細谷 映里子 -98.1
23 桐生 美也子 -109.7
24 江上 知代子 -185.0
25 宮本 祐子 -198.6
フレッシュなメンバーが揃ったBリーグ。
実力上位と思えるのは久々の復帰となった茅森を筆頭に北島・川端くらいか。
その北島・川端も重い出足となり、スタートは大乱戦となっている。
まず自分が注目したのはBリーグ3卓、西島・川端・神谷・日向(起家から)。
スタートに失敗した川端に先ほど行われた最高位戦クラシックで準決勝に進出した西島、
若手の神谷と新人日向がどう立ち向かっていくのか。
東1局はを仕掛けた西島が700オールで静かなスタート。
1本場は西島にチャンス手が入る。
6巡目、ドラ
しかしここは西島の本手気配を察知した川端が、前巡に聴牌し西島の河のを見てダマテン。
今後予想される西島のリーチに対して放たれるを捕えるための川端らしい選択である。
結果はすぐにをツモって400・700は500・800。
「いい上がりをした、だから次はいい流れが来る。」
自分はこういった考え方を持っていない。
東2局、親の川端にはなかなかの配牌が舞い降りるが、
イーシャンテンにすら進まないうちに日向のリーチ、そして…
一発ツモ ドラ 裏ドラ
ドラこそないが役牌暗刻の両面先制聴牌、ごくごく自然なリーチである。
しかし結果は川端にとって最悪、日向にとっては望外の跳ツモとなったのだ。
その後川端が点数申告を行うことは無かった。
オーラスはラス目の西島とのめくり合いに敗れてラスを押し付けられる。
女流Bリーグ3卓1回戦結果
日向 藍子 +41.3
神谷 結貴 +15.1
西嶋 千春 -15.4
川端 美雪 -41.0
結果から言うとこの日の川端は4・3・3・4で-119.8、
トータル24位と準決勝進出はかなり厳しい状況に追い込まれた。
抜け番中や対局後に話を聞かせてもらったが、
自分の読みと対局者の思考に差が有り、さらに結果も付いてこない。
そんな状況で焦りや苛立ちが打牌に影響し、さらに成績に悪影響を及ぼす。
最終戦のオーラス、3着目の川端は2着目のリーチに対して一発で放銃。
8000を打てばラスに落ち、更に着順アップの聴牌はかなり厳しいイーシャンテン。
本人も後であれはやりすぎだったと認める痛すぎる12000+順位点20000だった。
川端程の実力者でも結果がマイナスに偏れば冷静な判断が下せなくなる、麻雀とは恐ろしい…。
また、一回戦をトップで終えた日向はこの日+128.7でトータル2位に浮上。
第一節は同期や後輩との対局が多く、先輩と多く同卓できる二節を楽しみにしていた。
今のポイントは気にせず頑張っていきたいとの事。
まだ新人ながらファンも多いと思われる日向の活躍を期待したい。
二回戦はBリーグ6卓、華村・岡部・三國・内間を観戦。
この中で一番プロ歴が長いのが三國とかなりフレッシュな卓である。
東1局から三國の11巡目のリーチに親の華村が真っ向勝負で15巡目にリーチ。
結果は2人聴牌の流局となったが、激しい打ち合いを予想させる。
1本場は華村に破壊力のある配牌が!
ドラ
これを5巡目のポンから仕掛け始める華村。
ここに生牌の字牌を連打する三國・岡部。あっという間に華村に満貫聴牌が入る。
ポン ポン ポン
予想通りの殴り合いがスタート…かと思ったが、
ドラシャンポンの聴牌を入れていた三國が1000・2000のツモ上がり。
さらに東2局、華村に2度目のチャンスが訪れる。
ドラ
すでにが二枚切られていて少し微妙な選択となったが、
あまり悩まず打とした。
字牌を絞るような面子でも無いので、ポンテンの満貫はやはり魅力的である。
そして期待通りにすぐをポン。今度こその思いが高まる。
しかし、今度は誰も前に出てこない…
挙句の果てに最終手番で岡部にチーテンを入れられての2人聴牌で流局。
なかなか本手が得点に結びつかない華村。
対照的なのは三國、1本場にリーチ一発ツモ裏の満貫で効率的にリードを広げる。
そして印象的だったのは東3局、ここまで全く出番のなかった内間にチートイドラドラの聴牌が入る。
挽回のチャンスとなると思われたが、すぐに親の三國からリーチが入る。
ここですでに自分で切っている、リーチに対して無筋のを持ってきた内間。
選択は…オリ。
打撃戦になると思っていたこの卓だが、内間の守備意識は非常に高いようだ。
結果は三國の1人聴牌で流局。
この1本場はタンヤオドラのポンテン・チーテンをひたすら我慢した岡部が14巡目にリーチ。
我慢が実って満貫のツモ上がりとなった。
これで有利になったはずの岡部だが、ここでミスが生まれる。
ツモ ドラ
仮テンで手替わりを待っていたところに持ってきた。
選択肢は・・といったところか。
しかし岡部の選択はツモ切り。
次のツモはで3面張の聴牌を逃すことに。
その後三國・内間のリーチに挟まれてオリ、内間に6000オールを引かれる。
かわせる余地があっただけにもったいなく映るこの局、岡部にも後悔があったのだろうか。
その後もずるずるとミスを重ねていく。
自分の意見を述べさせてもらうと、ミスは誰にでもある。
ただ経験のあるものはそれがわかっているから、ミスを引きずって重ねていくようなことはしない。
岡部には雀力よりも経験が足らないように思った。
結局この半荘を制す内間は第二節終了時+103.7でトータル5位につけた。
新人離れした我慢ができる内間はもしかしたらいいところまで行くかも、そう思わせるものがあった。
逆に+75.5の8位でこの日を終えた岡部は現在のポジションは良くても、今年は厳しいかもと思う。
しかし、そんな予想を跳ね返すような成長と結果を見せてもらえる事を期待している。
女流Bリーグ第二節を終えて首位に立ったのは小林里紗。
この対局に向けての練習ではかなり結果が悪かったが、それを本番に生かすことができた。
そう語った小林、実際にかなり練習熱心という話が伝わってきている。
いっぱい打てば勝てるというものでもないとは思うが、
少なくとも自分は努力している人が勝って欲しいと思っている。
勝ち上がりが厳しいBリーグではまだ安泰といえるようなポイント状況ではないが、
きっと小林の努力は結果に結びつくのではないだろうか。
卓組の都合で一卓しか見られなかったAリーグ。
しかし、組み合わせが発表された時点で、今日はこの卓に合わせて自分の観戦予定を立てよう。
そう思わせられた卓があった。
4回戦のAリーグ1卓、亀山・山口・須山・涼崎。
Aリーグの中でも実力上位の3名、そしてただ一人挑戦者の亀山。
かなり厳しい組み合わせとなったが女流最高位のタイトルを獲得するためには、
こういった厳しい対局も当然勝ち上がっていかなければならない。
東1局、須山と涼崎の配牌はかなり悪く二人とも慎重に手を進めているうちに、
山口があっさりとポンテンの500・1000をツモ上がり。
どうにもならなそうな手格好の2人にとっては不幸中の幸いといったところか。
東2局は山口・亀山の2人聴牌で流局、1本場で須山らしさが見られる。
ツモ ドラ
7巡目で場にはともに1枚。リーチを打つ人も多いと思うが須山の選択は切り。
次巡にを引き入れてリーチ、これは上がれるかも…
しかし10巡目に亀山が追いかけリーチ、そしてツモ上がり。
ドラなしペンチャンの500・1000と果敢な上がりを披露する。
続く東3局は今度は先制リーチの亀山。河にはかなり早い巡目からソウズがバラ切りされている。
涼崎がドラ2のイーシャンテンから切ったにその亀山からロンの声がかかる。
ロン
かなり手順が読めない河で、迷彩としては完璧に近い。
東4局、ここまで良い所の無い涼崎にくっつきのイーシャンテンが入る。
ツモ ドラ
ノータイムで放ったに山口からポンの声がかかる。
さらに涼崎もツモでとりあえずの聴牌、打とする。
一気に緊迫感が増し、山口と涼崎の一騎打ちと思われたこの局。
しかし意外な結末が待っていた。
ちょうど今聴牌した須山の平和がこのを捕らえたのだ。
これぞ須山の真骨頂。手数もあまり多くないが簡単には降りない。
そして目立つような牌を打たずにこっそり聴牌をしっかりかわす。
余談になるが今年の最高位戦クラシックの本戦で自分と須山が同卓した時に、
オーラスに自分が三元牌を2つ副露して高め大三元の聴牌を入れた。
誰も押してくるものはおらず、流局まで楽しめると思っていた。
しかし同じように須山のダマテンにかわされたのだ。
南1局、今度は涼崎に見せ場が。
涼崎の8巡目の牌姿。
ツモ ドラ
ここで聴牌を取らず打とした。
しかし10巡目に亀山のリーチを受けた直後にツモ。
今度はリーチの筋のを打って聴牌を取り、更にツモでシャンポンに受けかえてリーチ!
結果は流局に終わったが、亀山の待ちは。涼崎の受けの柔らかさが光る。
南2局は全員が前に出る叩き合い。
涼崎が3900聴牌で山口に2900放銃となった。
この2900が決定打となりこのまま山口が逃げ切りを決めた。
オーラス親番の涼崎はかなり早い巡目から平和三色のイーシャンテンを入れていたが、
結局聴牌を入れることすら叶わなかった。
この辺りは須山の絞り・守備力がやはり効いている。
女流リーグ第二節結果
女流A
1 花本 まな 180.2
2 山口 まや 82.5
3 浅見 真紀 68.2
4 涼崎いづみ 49.1
5 柳 まお 44.6
6 渡辺 洋香 14.7
7 須山いづみ 9
8 池下真理子 -34.5
9 亀山 馨 -40.1
10 野添ゆかり -58.8
11 和田 聡子 -59
12 吉川 愛莉 -84.9
13 京杜 なお -215
ダントツの首位でスタートした涼崎だったが、この日は大きくポイントを減らすこととなった。
しかし、あの内容なら心配は少ない。実力をしっかりと見せてくれるのではないだろうか?
京杜はかなり厳しい状況に追い込まれてしまったが、それ以外はいまだ混戦といったところか。
逆にだいぶ有利になったのは花本。このまま準決勝、そしてその先を目指して頑張ってもらいたい。
女流B
1 小林 里紗 205.6
2 日向 藍子 193.7
3 茅森 早香 180.7
4 三國 麗子 142.7
5 内間 祐海 103.7
6 櫻田 由樹 89.6
7 桜庭 史恵 86.4
8 岡部 未来香 75.5
9 谷崎 舞華 74.3
9 近藤 加那子 74.3
11 中里 春菜 42.3
12 高橋 美佳 9.5
13 北島 朋子 -7.4
14 久慈 麻里那 -13.3
15 華村 実代子 -18.9
16 西嶋 千春 -27.2
17 成宮 瞳 -47.4
18 元島 明子 -90.3
19 神谷 結貴 -97.3
20 小池 美穂 -99.7
21 細谷 映里子 -135
22 桐生 美也子 -151.1
23 宮本 祐子 -177
24 川端 美雪 -195.6
25 江上 知代子 -223.1
若手の多いBリーグの中でしっかりとした麻雀を見せているのが茅森。
ここでは格が違うという貫録をこれからも見せてほしい所だ。
逆に若手には簡単にはやられないという気概が見られるとやはり嬉しい気持ちになる。
色々な思いが交錯する最高位戦女流リーグ、ぜひ一度足を運んでいただきたい。
文責 浅井裕介