36期後期入会の大塚哲也です。
「プロデビュー当日はどんな打ち方にするかな……」
研修会合格で晴れてプロになったその日から、ずっとこのことばかり考えていました。
最高位戦ルールはオカなしと普段の麻雀よりムリしてトップを狙う価値が低いことから、
着順確保を意識した麻雀が打つのがベターなのかなと、大学4年から5年間くらい続けていた
着順重視の麻雀で行こうと決断。
コーナー4隅を制球よく変化球でつくような、なるべく試合を壊さないピッチングを
しようというワケです。
第1節の同卓者は海老沢・元島・中原・安藤の4選手。
アレ、1人多い? 僕の卓は抜け番ありの5人卓でした。
1回戦は先制した点棒を守り切ってトップ。2回戦はツモられ貧乏で苦戦するも、
小刻みに加点してなんとか3着。
当初は緊張でガッチガチだった身体も、半荘を経るごとにだんだんほぐれていくのがわかりました。
3回戦 起家から、大塚・安藤・海老沢・元島
東パツの4000オールで危なげなくリードを保ったまま局を進行していましたが、
オーラスに元島の6000オールで2000点差まで詰め寄られる。
ヒップに火がついた1本場、6巡目にドラなし役なしのテンパイが入り、
リーチを打つかダマに構えるかの選択を迫られました。
リー棒を出して親マンに振り込むと3着転落という状況。
プラスをキープするならダマの選択もあったけど、元島の捨て牌にがあり、
掴めば切るであろうを捉えきれないのもヌルいと思いリーチを敢行。
結果、元島のを一発で捕まえ、這々の体ながらもトップを守れて一安心。
5回戦 起家から、元島・中原・大塚・海老沢
現在のところ全体で5位につけていたので、持っているポイントをラスで大幅に
減らさないようにするのがとりあえずの目標かな。
今までよりさらに守りを固めようと考えていた矢先、とうとうリーグ戦初の放銃を
経験してしまいます。
東3局親番、28000点持ち
ドラ
のメンホンイーシャンテンで海老沢、元島の2軒リーチが入ってさぁ困った。
ここにワンチャンスのを引いて少考。オリるなら現物の
、
1枚切れのがあるけど、親マンや親ッパネをアガれれば確実に成績上位に食い込める……
そんな欲望に満ちた切りで海老沢に放銃。
なになに、だとタンヤオも三色も消えるリーのみか。よかった、よかった……と思ってたら
裏ドラが暗刻に乗ってしまう。ゲーッ、マンガン? レフト線にポトンと落ちるヒットを打たれた
ようなこの気持ち、おわかりいただけるでしょうか。(わからない)
親番でダマの7700を中原から直撃してラスはどうにか脱出。あとはできれば2着……
だけどオーラスで2着目の元島とは14800点差でハネツモ、満直条件とけっこうキビしめ。
なら3着でもまぁよしとするか……と思っているところに
ドラ
のテンパイが入り、そこへトップ目海老沢の親リー。トップ目の親リー?
ダマの利かない好形テンパイ? それとも素点を稼ぎにきたかっぱぎリーチか?
そうこうするうちに、海老沢の切ったダブを長考してからホンイツ模様で
仕掛けた元島も無スジを3枚通して参加。2000点程度のテンパイでここまで
親リーには押すまい。逆転のマンガン手が入ったなと考えているところに、僕はを
引きこんでこちらも大長考。は海老沢の現物で、
を切ってリーチを掛ければ高目ハネツモの3面張。だけど問題は、
僕の捨て牌にがあってフリテンなこと。もうひとつは
はダブ
を仕掛けた元島への
超危険牌ということ。
どうするかな……僕がそろりとを打ち出すと、元島から元気のいいロンの声が掛かり、
ラスにこそならなかったモノの3着でジ・エンド。
しかし、この局面はいろいろ失敗が多く、自分の甘さを思い知らされる一局でした。が当たり牌かどうかは結果論として、そもそも本気でマクりにかかるなら
最初のテンパイでカン即リーだったし、リーチせずという選択ならば元島の通した牌で
オリのどちらかを選択するのがスジだった気がします。切りダマってのは非常に
中途半端な打牌でした。
僕の卓が終わるまで待っていてくれた同期の人たちと試合後に飲んだ席でも
「あのがね……」とうわ言のように繰り返す僕を、後ろで一部始終を見ていた
研修生同期の阿部が「アレはしょうがないッスよ」と慰めてくれましたが(優しい人ですw)、
最後の最後で試合をブチ壊す一打をしてしまったと猛省しています。
麻雀プロになったと知人に報告すると、麻雀を知らない人、知ってる人からも決まって、
麻雀プロって何なの?と聞かれることが多いです。
麻雀のように不確かな要素が多いゲームで必勝するというのはあまりに理想論であると
僕は考えています。
では、何を持ってプロと定義するかですが、必勝ではないながらも勝ちを目指して
勉強しようとする姿勢や向上心を持つこと、麻雀そのものに対しての知識や造詣の深さ、
業界の発展に寄与できるよう尽力すること、麻雀を覚えよう、強くなろうとする人を
ナビゲートできるような懐の広さ、つまり「麻雀に対するあり方がプロなんだ」と答えるように
しています。
まだ麻雀プロ駆け出しの僕ですが、このような理想を掲げてプロとして麻雀に精進して
いきたいと思います。
これから麻雀を通じて関わっていく皆様方、どうぞよろしくお願い致します。
(文中敬称略)