一年前、2組の予選で須田(協会)との接戦を制した私は、予選を1位で通過し準決勝へのジャンプアップと今年1組から出場する権利を獲得することができた。
その差わずか1.3P。点数にして1300点。どこかで不用意に2000点でも放銃していたら‥このルールにおいてはいつも以上に1000点の重みがある。
たかが予選ではあるが、私にとっては意味のある1位通過だった。毎年このclassicの予選には各団体のトッププロが集結する。その中で最良の結果を残せたことは大きな自信に繋がった。
そして今年、予選初日に1着3回3着1回と出来過ぎな結果で大量の貯金を作れたのだが、2日目の初戦で大きなラスをくらってしまった。
南2局まで接戦だったのだが、親の忍田(麻将連合)に6000allを引かれた次局、嶋村の3000・6000が出るのだがそのあがりがあまりにも強烈だった。















この手を中盤にリーチしてツモあがる。この時確かに嶋村はラス目ではあったが、2着までは2000点ほどしか離れていなかった。自分にはまだこのリーチはかけられない。勿論かけないことによって得てきた点棒もあるだろうが、勝ちきるためにはどこかでこういった勝負駆けをする必要も出てくる。嶋村の経験に裏づけされた勝負勘に圧倒された局であった。
さて、前置きが長くなったが、そろそろ予選3日目を振り返ろう。
最終節を迎えた時のポイントはこちら。
1 水巻 渉 52.3
2 土田 浩翔 36.3
3 有賀 一宏 31.9
4 新津 潔 23.6
5 佐藤 崇 15.1
6 須田 良規 1.7
7 忍田 幸夫 -0.6
8 嶋村 俊幸 -12.5
9 上野 龍一 -14.3
10 石橋 伸洋 -31.6
11 根本 佳織 -51.0
12 熊田 健志 -55.9
1組は1位が準決勝にジャンプアップ、2位から6位までが本戦に行ける。私は通過ボーダーが+10P前後になると予想。最初の半荘の結果次第で1位狙いか予選通過狙いに分かれるといったところか。
1回戦(起家から 新津、水巻、有賀、土田)
東1局に土田から1300を出あがり、東2局は新津の平和ツモ。静かな立ち上がりで迎えた東3局親番でチャンス手が入った。















こんな配牌をもらい、4巡目に
5巡目に
を引き入れイーシャンテンとなった。そして6巡目、安全牌の
を引き、打
とし、ピンズの3面張とドラ
ツモの保険を捨てた。親でこれだけの手をもらって目一杯に構えないのはヌルいかもしれない。しかし、この時全体的にピンズが高く、ソーズが安かった。特に上家の水巻は1巡目に
、2巡目と3巡目に
という切り出しをしており、将来的にピンズが危なくなるかもということと、
がこぼれてくる可能性は高いと考え、先に
を切ったのである。









8巡目に
を引き、もしも
を引っ張っていればピンズの3面張の受けを残せたのだが、やはりピンズは高いので嬉しくはない。そのままツモ切った。


12巡目、ようやく
を引きテンパイ。














この時点で
は3枚切られており、自分から
は全て見えている。もう少し巡目が早かったらリーチをしていたが、ここは慎重にダマを選択。例え2900になってしまってもあがりの可能性を少しでも上げたかった。


そして15巡目、待望の
を自ら引きあがった。リーチしていれば4000allになっていたかもしれないが、2900でもいいと思っていたのだから、2600allは十分な収入である。結局これが決定打となり、この半荘を制することができた。

トータルポイント的にも1位通過が現実的となってきた。
2回戦(起家から 嶋村、有賀、根本、土田)
東1局 ドラ

根本から6巡目にリーチ。






情報が少ない上に自分は戦えそうにない手。降りてはいるものの、17巡目に少し困った。
17巡目手牌














現物の
は1枚ある。が、次巡のハイテイで手詰まるかもしれない。

とはいうものの、通りそうな牌もある。
リーチ後に
と
が通っており、
と
は3枚ずつ見えている。




何より、根本のリーチ宣言がノータイムだった。このルールで手役絡みや愚形だったら少しは躊躇うのではないだろうか。そう考え打
とした。そして私の浅はかな考えを打ち砕く根本から「ロン、5200」の申告。















ドラが雀頭のカン
。いわゆるオリ打ちというやつだ。classicルールでは致命傷になりかねない点数。一瞬頭の中が真白になりそうになるが、気を取り直して点棒を支払った。

続く親番の7巡目。














対面の土田が序盤に
を1枚、
を2枚切っており、脇の2人の河にもソーズは安い。
を払えばメンホンのイーシャンテン。東1局に大きな失点をしている。テンパイをとるべきではないかもしれない。しかし私は
を切りテンパイにとった。結果即
をツモ。1600allで先ほどの失点のほとんどを取り返したが、正着を打てたかどうかはわからない。





東2局1本場は流局、東3局は根本→嶋村1300、東4局土田→根本5200 の横移動。
根本が頭一つ抜け出し、そのまま逃げ切られた。
3回戦(起家から 佐藤(崇)、有賀、水巻、忍田)
現状1位の水巻との直接対決。1位まで22P差の2位ではあるが、通過ボーダーの6位とは40P強の差。つまりここで水巻より上の着順であれば1位通過も夢ではなくなる。しかしラスを喰らってしまえば通過できるかどうか。
東1局は忍田から水巻に3900の移動があり迎えた親番。
序盤に忍田が
をポンしてホンイツ模様。タンピンドラ1のイーシャンテンから役牌を二つ被せて
テンパイ。

















場にはピンズの中張牌しか切られていないくらいピンズが安いがどちらも2枚ずつ飛んでいるためリーチはせず。役牌を被せた時点で警戒はされているが少しでもあがる確率を上げたかった。結果は
をツモで2600all。

1回戦では決定打になった2600allだったが、ここから忍田が盛り返す。
1本場にリーチツモチートイツの1600・3200、親では6面張リーチのド高目ツモで4000all。














これで忍田が大量リード。2着争いに照準を合わせにいく。
南1局に忍田から1300を出あがり、微差ながら2着に。すると親でチャンス手が入る。
2巡目にドラの
が重なりこの形














4巡目ツモ
でソーズを払い、さらに
、
と連続引き。とりあえずのカン
に受ける。




ベストな手変わりは
引きだが、9巡目に引いた牌は役ありとなる
















ピンズが高い場況だが、自分の河にはマンズがなく、とりあえず警戒されやすいのはマンズであろう。なにより自分で引きあがりさえすれば一撃で忍田をまくれる。息を潜めダマテン。
そして10巡目に
を引いた。空切りをするのだが、リーチをするかを少し迷う。2着で充分だと思っていたものの、これだけのチャンス手が入ればトップを狙える。ふと予選二日目の嶋村に魅せられたリーチを思い出した。

頭取りの麻雀だったらリーチもありかもしれない。しかしこれは予選。この半荘ラスにならなければほぼ通過は決められる。
ラスにさえならなければ・・そんな弱気な心を知ってか知らずか上家佐藤が13巡目に
を打ってくる。明らかに強い牌だ。ほぼテンパイであろう。そして持ってくる
。


佐藤の捨て牌にはピンズが1枚も切られていない。
私は長考の末
を抜いた。ノーテン罰符がないのだから、
を切らないのであれば中途半端なテンパイ維持をする
や
は悪手だと思う。しかし自分にドラが2枚あり勝負手であればやはり押した方が良かったのであろう。




その局の最終手番、弱気な私をあざ笑うかのように
がいた。腹を括れる者とそうでない者の差が確かにそこにはあった。

親が流れ、もはやトップの位置は厳しくなりオーラスでは水巻にあがりを許してしまう。
望み通りラスを避け、1位は遠くなってしまったが予選通過はほぼ手中に収めた。いわゆる危なげない戦いはできたのではないだろうか。
1組予選最終結果
1 水巻 渉 78.5
2 忍田 幸夫70.9
3 有賀 一宏 25.7
4 新津 潔 22.4
5 石橋 伸洋 13.4
6 土田 浩翔 3.6
7 嶋村 俊幸 -1.9
8 須田 良規 -4.9
9 佐藤 崇 -17.0
10 上野 龍一 -33.8
11 根本 佳織 -77.7
12 熊田 健志 -86.2
結局予選は3位通過。しかし今日のような内容ではこの先勝ちきれはしない。最終目標は予選突破ではなく優勝。1組予選での結果に不満があるわけではないが、ここで満足している訳でもない。決勝を見据え、それまでに少しでも研鑽を積み、満足する内容で戦っていきたいものだ。