コラム・観戦記

【36期B1リーグ第5節自戦記】中嶋 龍太

B1リーグはAリーグと違って牌譜は採らない。

つまり自戦記を書くには、自分で局面や牌姿を覚えていなければならない。

自分はたとえミスをしても、それを忘れて次局に持ち込まないようにすることを心がけている。

しかし自戦記担当となる本日はそれはできない。

覚えておかなければ後で書く時に困ることになる。

悪く言ってしまえば、いつもより余計なことに気を遣う分、対局への集中力が落ちるのだ。

そんなわけで今回負けたら、自戦記の執筆を頼んできた”T”氏のせいに違いない。

と、言い訳めいたことを始まる前から考えながら挑んだB1リーグ第5節。

今節の自戦記は31期前期入会の中嶋龍太が担当します。

<<1回戦>>
対戦相手は齋藤、嶋村、山口の三人。

立ち上がりはまったく手にならず、ひたすら我慢する展開。
脇ではそこそこ点棒移動があったものの、自分は1000・2000をツモられただけで凌ぐ。

迎えた東4局の親番4巡目。
(東家、4巡目)

 ツモ ドラ


を落として良い単騎待ちにしようか、切りのリャンメンリーチを打つかの選択。

という捨て牌よりも、
という捨て牌でのリーチの方が他家は困るだろうが、打点は低い。

若干迷ったが4巡目のドラの無い手で、折角の役牌暗刻を切ることもないかと、マンズ落としを選択。


結局次巡
を引き、ノベタンの形でリーチ。
(東家、5巡目)


しかし暫くして、齋藤が
切りリーチで追いかけてきた。
アガりを逃した者が数巡後に掴んだ牌はドラの

 ロン ドラ 裏ドラ

この振り込みでラス転落。

 

その後も齋藤はアガりを重ね、独走態勢に。

自分はノー和了(ホーラ)のままじっと我慢して、迎えたオーラスの親。

11巡目にピンフのみの聴牌を入れる。
(東家、11巡目)

マンズの上は比較的安いものの、自分の捨て牌には一枚もマンズが無く、
リーチして出るとは思えない。
ダマを選択したのだが、次巡あっさりと
を持ってきてツモアガり。

(リーチしときゃ良かったか?)

と心の中で軽く舌打ち。

続く南4局1本場、今度は8巡目に三色の聴牌が入る。
(東家、8巡目)



は場に2枚出ており決して良い待ちとは言えないが、三色のみの出アガりでは打点に満足ができない。

 

何より手変わりを待っていたら散家(サンチャ・子の意味)に追いつかれてしまうだろう。

 

リーチして散家を牽制し、その間にツモれれば僥倖。
流局でも良しだ、と考えここはリーチを選択。

 


その結果見事に
をツモり、4000は4100オール。2着に浮上する。

2本場は山口が3着確定のアガりをして1回戦が終了した。

<<2回戦>>
齋藤が2回戦目も絶好調。

東1局に親でリーチをかけ、リーチ後にドラのをアンカン。
そしてそれをアガり切り、リーヅモドラ4の6000オールスタート。

東2局では山口が親でダブ東ホンイツの4000オールをツモって、齋藤を追撃する。


ツモられ貧乏で苦しい立場の東4局の親番6巡目、上家の嶋村から3枚目のが出る。
(東家、3巡目)

 ドラ

自分の捨て牌にはソーズが無い。
ここはソーズのホンイツと見せかけた三色ドラドラでさっくりアガろう。

 

と、考えこのをチーして打

しかしその後ソーズを立て続けにツモ切ることになってしまい迷彩は破綻。
リーチをかけてきた齋藤の満貫に振りこみ、更なる独走態勢に入らせてしまう。

だが、それに待ったをかけたのが嶋村。
南3局の親番で、齋藤が鳴きを2つ入れて防御が脆くなったところにこのリーチ。


一発で齋藤が当たり牌を掴み、18000の直撃。一気にトップ争いに浮上する。

 

 

結局2回戦は、齋藤のこの失点で利を得た山口が逃げ切りトップで終了。

自分は東場の放銃が響き、ラスで終わった。

<<3回戦>>
今日は手が悪くて勝負にならないな~。

ついてない日なのかな~。

朝、自販機でお茶買おうとしたらお金入れたのに商品出てこなかったしな~。

なんて溜め息交じりで配牌を取った東1局西家。
(西家、配牌)

 ドラ

キター!
今日一番の好配牌。しかも第一ツモがカンチャンを埋める
引き。
三色は厳しいかもしれないがサックリあがれそうだ。

 

と思ったのも束の間、親の齋藤が4巡目にリーチ。

 


(おいおい、この配牌で先手を取られるようじゃどうしようもないな…)

 

 嘆いていても仕方ない。
次巡
を引き、を切って追いかける。

リーチ後に危なそうな中張牌をいくつも持ってきたが不思議と振り込まない。
齋藤も同じく中張牌は持ってくるものの
だけは掴まない。

(もしかして同テンか……?)

 

 

と思ってた流局間際、河が弱くなったため前に出てきた山口がタンヤオドラ1をツモアガる。
ちなみに齋藤はドラの
待ちだったらしい。

掴まなくて良かった、とホッとしつつも、アガれないことに軽く溜め息。

 

この好配牌がアガれなかったことを皮切りに、3回戦もズルズルと沈んでいくこととなる。

次局1本場は山口へ4巡目のホンイツに放銃。
東2局では山口の親番リーチに追いかけるも、結局競り負け12000の放銃。

 

迎えた自身の親番でも先行リーチを打つも、今度は齋藤に追いかけられて8000の放銃……。

オーラスのトイツ、1枚という配牌も結局、

 ポン ポン

小三元聴牌止まりでアガれずに終了。

 

 

トップは南場の親でリーヅモ裏3をアガった齋藤。

自分は△63.3という大敗を喫し、この日の負債は100を超えてしまった。

<<4回戦>>
背水の陣で臨んだ、本日最終戦。

 

しかしこの半荘、大きなミスを最後にしてしまった。

恥ずかしくて正直思い出したくないのだが、自分への戒めとして自戦記に記すことにしよう。

東1局南家9巡目、下記で聴牌。
(南家、9巡目)


ピンズは場に高く、その上聴牌打牌が
なので、リーチで脇からの出アガりは期待できない。

慎重にダマを選択するも、数巡後にあっさりとをツモアガり。

(リーチしときゃ良かったか?)

本日何度目かとなる、心の中での軽い舌打ち。

 

 

いや、いつもの自分ならリーチかけていたかもしれない。

 

本日ここまでの大敗で弱気になっていたのだろうか…。

 

 

その後は大きな波乱もなく南場へ進んだ、南1局南家の配牌。
(南家、配牌)

 ドラ


ダブ
を早々に鳴けるのが一番理想的だが、他家から出ることは無く5巡目に聴牌。
(南家、5巡目)

 

ドラ跨ぎのリャンメン待ち。
贅沢だが”渋々”のリーチ。

だがこの手も鳴きを一つ入れていた齋藤にあっさりと蹴られる。

 

今日は齋藤に上手くやられてしまっているなー。

今のところ微差のトップ目だが、この半荘も駄目だろうか?

 

 

またもや弱気になるが、南2局の親番でこんな手が入る。
(東家、6巡目)

 ツモ ドラ


6巡目に引いてきた

安全牌のを抱えてを切り、の両面を固定させても良かったが、ドラがなのでグッと我慢。

その甲斐あって数巡後ドラのを引き、打
そして
引きの切りリーチ。

終盤をツモって4000オール。

ようやく頭一つ抜ける形になった。
(東家、14巡目)

 ツモ ドラ

 

 

 

さて皆さん、いよいよ今日のその時がやってまいります。

 

 

ラス親の齋藤が軽くアガって1本積んだ南4局1本場。
ラス目の嶋村が南家で
を仕掛け、マンズの染め手気配。

 

 

齋藤、山口は降り気味で、あまり警戒する必要は無いだろう。
とにかくマンズと字牌は切らないようにしよう。

 

 

そう考えながら打って、マンズと字牌を抱えてチートイツイーシャンテン。
そこに
を持ってきた。

(ソーズか……)

マンズじゃないなら大丈夫、と普通にツモ切り。

そして固まる場の空気。


気づいて血の気が引く自分。

 

 

 

ここまで書けばおわかりですね?

はい、はドラでした。

結局の最終形は嶋村はこの形。

 ポン ポン

この
単騎の跳満を嶋村がツモり最終戦自分はトップで終了したものの、点数条件を考えればドラ待ちだって十分ありえる局面。

満貫を放銃すれば2着転落となるのに、ドラを切るなんてありえない。

今回は運よくそのミスを咎められることはなかったが、集中力が切れた時にとんでもない牌を切ってしまう癖、気をつけないとなぁ…。

とにかく反省しきりな一局だった。

―36期B1リーグ第5節終了時結果
1 中嶋 龍太 252.3
2 山口 まや 205.0
3 清原 大 128.1
4 新井 啓文 125.2
5 冨澤 直貴 57.4
6 谷口 竜 9.6
7 嶋村 俊幸 9.4
8 齋藤 敬輔 6.2
9 浅野 剛 -2.8
10 山内 雄史 -5.4
11 坂本 大志 -24.1
12 浅埜 一朗 -39.7
13 武中 真 -102.3
14 いわま すみえ -199.5
15 篠原 健治 -208.1
16 中村 英樹 -224.3

最終戦トップを取りなんとか首位は守ったものの、結局この日は△63.6で下位との差は大きく縮まってしまった。

今節一番の敗因は…

やはり冒頭で言ったように、自戦記の執筆を頼んできた武中氏のせいってことにしておきます(笑)。

文責:中嶋 龍太(文中敬称略)

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