コラム・観戦記

【36期B2リーグ第1節自戦記】齋藤 巧也

最高位戦に入って3年目。


2年間お世話になった飯田橋東南荘には別れを告げた。
ここでたくさんのことを学び、僕は少し強くなった。
どうもありがとうございます。

今年はついに坂を登ることができる。
飯田橋から神楽坂を登った先に新たな戦いの舞台となる

バカンスがある。
今までは運営でしか来ることがなかった会場で

ついに選手としてプレイできるのだ。
目標とするAリーグ、最高位決定戦が行われる聖地。

麓にはたどり着いた。
もう、あとは頂を目指すだけだ!

私の第1節の対戦相手は須藤、松田、橋本。

1回戦、東1局、西家、

誰しも先手をとりアドバンテージを得たいところで以下の聴牌。

 

  ドラ

 

を切ってリーチ。


一発で出あがり5200。
幸先のいいスタートだ。
気分が高揚し鼓動が速くなるのを感じる。
落ち着かなければ。

東2局、南家、ドラ

上家(親)が1副露、対面が2副露。


親はカン
をチーして打
その後はツモ切りが続いている。
河には中張牌が濃くなっている。
対面は
をポン。


後手を踏み諦めかけたところでここが入ればというドラをひく。

 

  ツモ

役牌が非常に危ない場況で、ダブ東で親に打てば

12000まで覚悟しなければいけない。
対面のトイトイ仕掛けに打っても5200は固い。
頭ではそう思っていても、気持ちが前掛かる。
「ひよりたくない。まだ通ってない役牌もある。」
都合のいい発想だ。
を切ってリーチとでる。
しかし、すぐに甘い考えだと気付かされる。
親からロンの声。

 

      ロン

3900の放銃。
声がかかったときは背筋が凍った。
正直3900で助かったと思った。

このとき対面の手は

 

  

8000の聴牌だった。
終盤で待ちも薄くなっておりあまりに無謀な選択だった。
今日1番の失敗だ。

その後は手がよく入り、親番では2600オール、

7700は8000とあがり1回戦はトップで終えることができた。
反省する放銃があったので内容よりいい結果がついてきたと思う。
こんな日はポイントを伸ばすチャンスかもしれない。

1回戦スコア
齋藤 +42.0
須藤 +10.3
橋本 △10.1
松田 △42.2

2回戦はうって変わって苦戦を強いられる。
オーラスまでノーホーラ。
だが、無駄な失点を重ねたわけではない。
「まだ、ワンチャンスある。」
そして、向かえたオーラス。
平場で須藤が松田から7700をあがりトップが入れ替わる。

南4局1本場
南家 齋藤 22400
西家 橋本 31600
北家 松田 30300
東家 須藤 35700

トップ目が親番なので3000・6000でトップ。
2000・4000でも2着。
直撃狙いもあるが、この状況でラス目のリーチに向かってくることは

非常にリスキーだ。
松田は2着順落ちることはないので手牌次第で押してくるかもしれないが、
須藤、橋本に関してはほぼべたおりになると想定した。

松田がをポン、橋本がタンヤオ仕掛け。
トップ争いが熾烈を極める。
9巡目以下の聴牌。

 

 ツモ ドラ

 

正直うれしくない入り目だ。


はもちろんでもリーチを打つつもりだった。
ソウズが場に安く
もよい待ちだと思っていた。
しかし、入り目が
では裏ドラが乗らなければ順位は上がりそうにない。
オーラスのラス目でなければ恐らくリーチを宣言していた。
聴牌とらずの打
とした。
するとたらればのあがり牌
をすぐに橋本がツモ切る。
須藤から松田に2600は2900移動。
再逆転のトップとなる。

2回戦スコア
松田 +33.2
須藤 +12.8
橋本  △8.4
齋藤 △37.6

はリーチを打てば止まった牌かもしれない。
しかし、気持ち悪さはある。
対局中はこれが自分のフォームだからと無理やり気にしないことにした。
しかし、後に橋本に話を聞き少し後悔することになる。
橋本には
待ちのポンテンが入っており、私がリーチすれば相当難しい選択を強いられたはずだ。
トップになった松田も聴牌していれば押してくる可能性はあった。
仕掛けが入った時点で、私は既に後手なのだ。
ラス目の私には手牌の形を追う猶予などなかったのかもしれない。

3回戦でもオーラスは激しい争いが勃発。

南家 橋本 36000
西家 齋藤 31900
北家 須藤 20400
東家 松田 31700

配牌をとったとき自分のあがりは相当厳しく思えた。
純チャンの4シャンテン。
守備的に打つ。
特に須藤のリーチには絶対に放銃しないようにする。
そう決めた。

橋本が4枚目のを切るが私はスルー。
手牌を短くすることは避けて七対子に構える。
後に上がるであろう火の手に備え切りやすい牌を手の内に集めた。

すると、誰も逆らいたくないラス目の須藤がリーチ。
さらに、次巡親の松田が追いかけリーチ。
七対子の2シャンテンで2軒リーチに向かっていく勇気は私にはない。
ましてや橋本が放銃するか須藤がツモあがれば1着順アップする可能性がある。
必死に対応するだけだ。

仕掛けて捌きに行った橋本が手詰まり、松田に一発で3900放銃。

 

 

  ロン  ドラ


トップが入れ替わったが、
親の連荘でもう1局ある。

南4局1本場

南家 橋本 32100
西家 齋藤 31900
北家 須藤 19400
東家 松田 36600

6巡目にカンでタンヤオの聴牌が入る。
リーチしてツモればトップだが、
苦しい待ちなので手変りを待つ。
を引いたときだけリーチしようと思っていた。
そのまま橋本から1300は1600。
2着を確保した。

最高位戦ルールにはオカがない(30000点持ち30000点返し)ため、
2着を取ることには大きな価値があると思っている。
また、リーチを打てば須藤と橋本は押し返す可能性が高い。
そのときにカン
では不十分だと判断した。

3回戦スコア
松田 +36.6
齋藤 +13.5
橋本 △9.5
須藤 △40.6

4回戦は前半で大物手が飛び交う展開となる。
起家 齋藤
南家 松田
西家 橋本
北家 須藤

東1局 齋藤から須藤へ8000
東2局 齋藤が1000・2000ツモ
東3局 橋本から松田へ8000
東4局 齋藤が2000・4000ツモ

そして極めつけは南1局。
南1局
私が親で先制リーチを打つ。

 

 ドラ

 

するとしばらくして須藤が追いかけリーチ。
すぐに須藤がツモあがる。
開かれたその手は

 

 ツモ

 

なんと四暗刻!!!8000・16000!!!
私は痛恨の親かぶり。
正直ダマテンにしておけば良かったと思う。
リーチ宣言牌が
なので一気通貫の手変りがフリテンになるため

リーチを選択したが、連荘狙いで1500ならさらっと拾えていたかも

しれない。

これが決定打となり4回戦は須藤が大きなトップ。

4回戦スコア
須藤 +61.5
松田  +2.0
齋藤 △19.5
橋本 △44.0

第1節終了時
須藤 +44.0
松田 +29.6
齋藤  △1.6
橋本 △72.0

諸先輩方が「リーグが一つあがると実力は1枚も2枚も違う」と

言っていたのを思い出した。
確かに対戦相手は数段手ごわくなっている。
終始恵まれた展開だったにも関わらずポイントをプラスにできなかった。
こんな厳しい戦いがあと11節もあると思うと気が遠くなる。
しかし、そんな気持ちとは裏腹に私の心は次の5月1日の第2節を

待ち焦がれている。
その日のことだけを考え毎日麻雀牌を握っている。

負けるわけにはいかない。
頂を目指す戦いは始まったばかりなのだ

 

 

四月十日 B2リーグ第1節 自戦記 齋藤 巧也

 

コラム・観戦記 トップに戻る