コラム・観戦記

【第19期發王戦準々決勝レポート】

發王戦準々決勝レポート

トーナメントを勝ち抜いてきた14名に土井發王位・村上最高位を加えて、
發王戦準々決勝が行われた。

卓組はこちら

1卓 土井泰昭(發王位・協) 中村毅(連) 四柳弘樹(連) 山内雄史(最)

 

2卓 村上淳(最高位) 浅野剛(最) 嶋村俊幸(最) 宮田信弥(R)

 

3卓 坂下幸夫(101) 上野龍一(最) 石橋伸洋(最) 大脇貴久(雀竜位・協)

 

4卓 瀬戸熊直樹(鳳凰位・連) 今西祐司(最) 大柳誠(最) 古川正和(一般)

日本プロ麻雀連盟(連) 日本プロ麻雀協会(協) RMU(R)
社団法人日本麻雀101競技連盟(101)

奇しくも4人の現タイトルホルダーが4つの卓に分かれる形となった。
ベスト16に相応しい豪華な顔ぶれ。
やはりタイトルホルダーを中心に戦いは進んでいくのだろうか。

 

 

 1卓 

 

左 「現發王位」 土井泰昭(協会) 

 

右 山内 雅史(最高位戦) 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昨年、10年ぶり2回目の發王位に輝いた土井泰昭。

優勝のスピーチでは、自身の初タイトルである發王位への思い入れを熱く語っていた。

その土井の連覇にいきなり赤信号が灯る!
1回戦は一人沈みで箱下のラス。窮地へと追い込まれた。

土井の熱い思いに、今年も女神は振り向いてくれるのか?

 

1卓2回戦
東2局 ドラ
しかし、攻めたい土井の思いとは裏腹に他家のリーチ攻勢を受け、防御を余儀なくされる。
迎えた東2局の親番、土井はわずか3巡にしてをポン!!
は場に一枚も見えていない!3者の表情に緊張が走る。

 

他家もこの手においそれとは攻められない。
じっくりと手を進められれば超大物手に育つ可能性も・・・。
しかし、この手も脇に対応され実ることはなかった。
親番だったがテンパイさえも取れず4人ノーテンで流局。
土井の不調を象徴するような一局だった。

東場は山内の一人舞台、5万点近く点棒を稼ぐ。
一方土井は南入した時点で21200点、僅差とはいえラス目。
2ラスを引けば土井の發王戦は、ほぼ終了となってしまう。

結局、土井は粘って3着に食い込むもトータルは一人マイナス状態。
土俵際の土井、3回戦に奇跡を起こせるのか!

1卓2回戦終了時トータル
山内 +63.7
中村  +7.5
四柳  +6.4
土井 -77.6

                           

2卓

 

左    村上  淳(最高位戦)

 

右    宮田信弥(RMU)

 

右手前  嶋村 俊幸(最高位戦)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麻雀プロには誰しも旬と呼ばれる時期がある。

いま最高位戦で、いや競技麻雀界で最も旬な男と言えば、三冠王村上淳だろう。
長年デジタル派のホープとして実力を評価されてきた村上。
しかしプロになって13年間、タイトルとは無縁だった。
それが昨年、日本オープンを皮切りに、最高位戦クラシック、最高位と一気に3つのタイトルを獲得。
『強欲は善(映画ウォール街)』
麻雀に対して最も誠実な男は、最も強欲な男でもある。
村上淳が四冠を目指して邁進する!

しかし、村上1回戦は不調。オーラスにラス抜けして3着を取るので精一杯。
2回戦・3回戦で挽回したいところ。

2卓2回戦

その村上の前に立ちはだかったのは、最高位戦の大先輩である嶋村。

東3局の親番で下の形でリーチ、

ドラ

裏ドラのをツモってメンピンツモイーペイコー裏4000オール。
他の3人を突き放す。
村上は南入時点で2着と1800点差のラス目。
激しい2着争いに巻き込まれる。

南2局 ドラ

 

親の浅野、5巡目にこの形


1回戦トップだったのでここは手堅く単騎のテンパイに取るかと思いきや、
切ってテンパイ取らず。
その後ツモって高目タンピンリャンペイコーをテンパイ。
ダマに受けてツモで1300オール。(2枚切れ、1枚切れ)

ツモ

ツモの6000オールなら窮地に立たされた場面だけに、村上もホッと一息。

南4局1本場 供託1000 ドラ
宮田 28800
浅野 28200
嶋村 41300
村上 20500

村上が苦しい。1回もアガれないままオーラスを迎えてラス目。
このままでは3回戦に厳しい状況が待っている。
しかし手がまとまらないうちに2人に仕掛けられる。
宮田

 
浅野


村上、親だけに一刻も早くリーチが打ちたい。
しかし村上がリーチをする前に、宮田が浅野に1000は1300放銃。
村上はラスのままになってしまった。

2卓2回戦終了時トータル
嶋村 +57.2
浅野 +48.9
宮田 -50.0
村上 -56.1

結局3回戦は上位の2人がうまく卓を回して、そのまま勝ち抜け。
村上はラス目からメンタンピン一発ツモドラ6000オールをツモり一矢報いるが、反撃もそこまで。
村上、四冠の夢ついえる・・・。

2卓1位通過 嶋村俊幸 2位通過 浅野剛

                            

 

3卓 

 

左手前  上野 龍一(最高位戦)

 

左     大脇 貴久(協会)

 

右     坂下 幸夫(101)  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上野は忘れていない、あの屈辱を・・・。

昨年發王戦決勝まで勝ち残ったが、1人大きくマイナスしてしまい、最終戦大トップをとってもトータル3位入賞を目指すことしか出来なかった。

最高位戦リーグ戦でも、味のある打ち筋でいぶし銀の存在である上野。

もうバイプレイヤーにはならない。俺が主役のドラマが始まる!

3卓2回戦終了時トータル
石橋 +106.5
大脇  +15.3
上野  -36.5
坂下  -86.3

石橋は当確として、上野のライバルは大脇。
3着順か2着順&1万点差をつけなければならない。

3卓3回戦
東1局2本場 ドラ

 

親の大脇が1500、1300オールと軽快に親でアガる。
2本場もダブ東を仕掛けて更に攻勢をかける。

しかし上野も譲れない、ドラ3枚使いの3面張リーチ!

 

二人の手が真っ向からぶつかり合う。
軍配が上がったのは上野。をツモって3000・6000!
ライバル大脇にハネ満を親かぶりさせる値千金の1局となる。

しかし、続く上野の親番で今度は大脇が満貫ツモ。
デッドヒートは続いていく。

南入時点で、上野42100、大脇42700。
差は僅か600点で捲くること自体は難しくないが、
上野は大脇と1着順だと3万点差をつけなければならない。

南2局 ドラ
上野の親番、ここで点棒を稼がなければならないラストチャンス。
仕掛けて必死に連荘を目指す。

上野がハイテイでツモった牌は、ツモ切ると石橋のチートイに刺さる。
ここで上野の戦いは事実上ジ・エンド。
ちなみにハイテイの1つ前に大脇がツモった牌は上野のアタリ牌の
まさに一牌の後先が明暗を分ける形となった。

3卓1位通過 石橋伸洋 2位通過 大脇貴久

                          

4卓

 

左      古川 正昭(一般)

 

右      大柳 誠(最高位戦)

 

右手前   今西 祐司(最高位戦)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本プロ麻雀連盟に、その人並みはずれた攻撃力から暴君と呼ばれる男がいる。

瀬戸熊直樹、その人である。
瀬戸熊は昨年、自団体最高峰のタイトル鳳凰位を獲得。正真正銘のキングとなった。
その鳳凰位決定戦は今月末。ディフェンディングとして迎え撃つ瀬戸熊、發王位のタイトルを手土産とするのか!

4卓2回戦終了時トータル
今西  +95.5
大柳  +11.0
瀬戸熊 -33.6
古川  -72.9

こちらも2連勝の今西は当確。目指すは大柳との44.6P差。
瀬戸熊と大柳のマッチレースが始まった!

4卓3回戦
東2局 ドラ
迎えた瀬戸熊の親番、しかしいきなり古川の先制リーチを受ける。

そのとき瀬戸熊の手牌


1枚切れ・生牌)

瀬戸熊は小考して切り。
その後と引き入れ切り追っかけリーチ!

 ツモ 打 リーチ

安目だがをツモると、裏ドラ表示牌は対子落とししたラス牌の!!
リーチツモ裏3、4000オール、一気にリードを奪う。

しかし続く1本場、再び古川の先制リーチを受けると、
親の瀬戸熊はピンフテンパイしてドラのを切って追っかけリーチ!
これが古川のリーチドラ3に刺さって満貫放銃。
勝負の行方は以前わからない。

リードしてもアグレッシブに攻め続ける。これが暴君の暴君たる所以か。

南1局 ドラ
古川  34300
瀬戸熊 32300
大柳  29500
今西  23400

大柳がリーチをすると、瀬戸熊が追っかけリーチ。
ライバル同士がぶつかり合う渾身の1局。
瀬戸熊


大柳


大柳が声高らかにツモったのは裏ドラの、メンピンツモドラドラ裏3000・6000!
勝負局を制した大柳が、そのままこの半荘を制した。

4卓1位通過 大柳誠 2位通過 今西祐司

さて最初にお伝えした1卓。
土井の奇跡は起こらなかったが、別の波乱が起きていた。
2回戦までトップで大きくリードしていた山内が、
3回戦はジリ貧状態になり2位と3位にかわされ、
なんと敗退してしまったのだ。
勝負は最後までわからないとは、まさにこのことである。
結果、1卓は連盟の2人がワンツーフィニッシュで準決勝進出を決めた。

1卓1位通過 中村毅 2位通過 四柳弘樹

以上の8名で争われることになった準決勝。
決勝へのトーナメント最後の戦い、更なる熱い勝負が繰り広げられた・・・。
その模様は、また次回に。
(文中 敬称略)

レポーター 平賀 聡彦

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