10月18日に神楽坂のばかんすにて女流最高位戦の準決勝が行われました。
最終日となるこの日はここまでに勝ち上がっている8名による残り4回戦。
上位3名と根本女流最高位で、2日間全8回戦の決定戦を行うことになります。
2日目までのトータルポイントは以下のとおり
1. いわますみえ 138.1
2. 涼崎いづみ 74.9
3. 石井あや 62.6
4. 山口まや 44.7
5. 鳥越智恵子 41.0
6. 野添ゆかり 40.6
7. 須山いづみ 14.4
8. 池下真里子 6.4
昨年も決勝に進出し、リベンジに燃えるいわま・涼崎両選手が1,2位につけています。
しかし、全体的にポイントは団子状態であるうえ、1回戦ごとに奇数順位卓(1,3,5,7位)と偶数順位卓(2,4,6,8位)に分けて卓組を決定していくため、これはほぼ全員にチャンスがある状態といえるでしょう。
まずこの混戦から勢い良く抜けだしたのが5位スタートの鳥越選手。
9回戦開局早々いわま選手から12000を打ち取り、その後も他者からのリーチをくぐりながら跳満をツモるという力強いシーンを2度も見せてくれました。
9回戦A卓(鳥越、須山、石井、いわま)
東3局1本場 ドラ
親の石井選手がドラをアタマにしてペンの先行リーチ、南家のいわま選手が同巡で追いつき
–
–
でリーチを打ちます。
そこで鳥越選手がさらに追いかけ、リーチ!
宣言牌は。ギリギリでくぐり抜けます。
そして鳥越選手が一発ツモ ツモ
リーチ一発ツモホンイツ3000・6000
この手牌でを切ってリーチを打っているので
どのソーズでももはや止まらなかったのではと思われます。
ここでの選択にはさまざまな意見があるかもしれませんが、鳥越選手はここで打撃戦を制したことで後半にものびのびと打つことができたのかもしれません。
実際にこの回のオーラス
南4局3本場 ドラ
親のいわま選手が6巡目にリーチを打つと鳥越選手その宣言牌をチー
トップ目自らさばきに行くのかとハラハラして見ているとほどなく鳥越選手からツモの声。
倒された手牌は
ツモ
ダブ南ホンイツドラドラ3000・6000!!
ここでも鳥越選手が跳満をツモり、大きなリードを得て後半の戦いを余裕を持って進めていくことになりました。
続く10回戦も鳥越選手はオーラスで須山選手と10800点差のところか供託1本込みの満貫をつもりトップとなり2連勝。
決勝進出にむけ大きくコマを進めました。
仮に鳥越選手が東場の2軒リーチに対し向かって逆に放銃していたらどうなったでしょうか。
「さすがにやりすぎた」と反省してその後、手足が縮こまり、思うように打てなくなってしまい、オーラスのいわま選手のをチーして跳満をツモるという結果にはつながっていなかったかもしれません。
あるいは「放銃もやむなし」と割りきってその後も迷いなくまっすぐ打てていたのでしょうか。
例えば危険牌を勝負して、放銃してもその後も全く揺れない強い心で打ち続ける打ち手もいます。
昨年の決定戦を観戦中、根本佳織選手にはそのような強さを感じる場面が何度となくありました。
鳥越選手はポスト根本世代のさきがけとなるのでしょうか。
この絶好調の鳥越選手にぴったりとつけてきたのが3位スタートの石井選手。
落ち着いたミスの少ない麻雀で着実にポイントを重ねていきます。
10回戦B卓(池下、山口、石井、涼崎)
南3局1本場 ドラ
石井選手(親)8巡目にこの形 ツモ
下家の涼崎選手は国士気配。
ここでリーチにふみきる石井選手。ソーズは良くないと感じたのか打としてリーチ!
序盤に打たれなかったはまだ山にいるという読みでしょうか。
涼崎選手はここで国士イーシャンテン、ドラ()とドラ表示牌(
)がまだ引けていない形ですが攻めていきます。
緊迫した戦いは終盤にもつれ13巡目、石井選手がをツモって決着。
裏が一枚のって4000は4100オールとなります。
このとき石井選手の一発目のツモは。
この瞬間石井選手は心の中で「もうダメ(国士放銃)かも…」とかなり肝を冷やしたようです。(が、周りからは全く動揺している様子は感じられませんでした!)
同様に続く2本場、3本場も、冷静かつ秀逸なメンツ選択が功を奏し、700は900オール、4000は4300オールとアガリを重ねていき結果57000点の大きなトップで暫定2位につけます。
そしていわま、涼崎両選手の不調をよそにしっかりとポイントを重ね、10回戦終了時で3位につけてきたのが山口選手。そしてそこへ前半我慢を重ねつつ、徐々に手が入りだした須山選手がポイントを大きく詰め上位に食い込んできます。
11回戦A卓(山口、鳥越、涼崎、須山)
東4局 ドラ
親番を迎えた須山選手
このリーチでをツモ。メンタンピンツモイーペーコー、4000オール。
東4局1本場 ドラ
続く1本場も須山選手が中盤にドラをアタマにして高め三色の形でテンパイ
ここは大事にダマを選択。
すると16巡目、テンパイをとった山口選手からが出て18000は18300。
南1局 ドラ
親の山口選手が10巡目次の形でテンパイ ツモ
すでに7巡目にを打っている山口選手。
ここはフリテン三面張に取らず、打としてタンヤオ三色が確定する
–
を選択します。
すると山口選手の次のツモは
次巡ツモ切りの牌が鳥越選手に1300の放銃となり失点を挽回できないままラスになってしまいます。
ここでトップをとった須山選手が暫定3位で最終戦を迎えることになりました。
11回戦終了時のポイントは以下のとおり
1. 石井あや 167.1
2. 鳥越智恵子 153.5
3. 須山いづみ 64.8
4. いわますみえ 54.9
5. 山口まや 45.5
6. 涼崎いづみ 21.0
7. 野添ゆかり -18.6
8. 池下真里子 -67.5
A卓(野添、山口、石井、須山)
B卓(鳥越、いわま、池下、涼崎)
石井選手と鳥越選手は大きなラスをひかなければほぼ通過というところ。
3番目の椅子を残りの全員で争うような形。トップを取り、かつ別卓の結果次第となります。
先に激戦を制したのはA卓山口選手。
小場が続く中、僅差を制し2着の須山選手と2700点差で競り勝ちます。
B卓は前半池下選手が先行するも、涼崎選手が東場の親番で6本場まで積む粘りを見せます。
すると後半はいわま選手が親番で粘りの連荘。力強さを見せたのはその4本場。
南2局4本場 ドラ
8巡目いわま(親) ツモ
は場に2枚と薄いがここでドラを離し、2巡後に
をツモり、打
としてリーチ!
数巡後見事にをツモ!!
4000は4400オールとしトップに立ちますが、別卓の結果次第ではトップでも安心とは言えません。
いわま選手はその後も攻め続け、7本場まで積んで5万点近いトップに!!
終わった直後の山口選手
「粘ってトップ条件クリアしたけど、いわまさんに寄り切られちゃった~。」
まさにいわま選手の寄り切りでした!!
最終結果は以下のようになりました。
1. 石井あや 156.5
2. 鳥越智恵子 135.5
3. いわますみえ 103.6
4. 山口まや 80.4
5. 須山いづみ 75.0
6. 涼崎いづみ -22.9
7. 野添ゆかり -53.1
8. 池下真里子 -54.3
石井あや選手、鳥越智恵子選手、いわますみえ選手が決定戦に進出します。
根本現女流最高位の6連覇となるのか
先日第8期プロクイーンに輝いたばかりの石井選手が2冠を達成するのか
4回目の決定戦進出となるいわま選手のリベンジなるか
新人の鳥越選手が嵐を巻き起こすか
今回ここまでおもしろいコトをほとんど書かなかった筆者ですが…
先日入手した情報によると、準決勝を観戦して対戦者の研究もかかさない根本選手が
なんと6連覇したときにやってくれる芸も研究中のようです!!
2日間にわたって観戦したあかつきには何かおもしろいモノが見られるかもしれません
女流最高位決定戦は11月1日(月)および11月14日(日)
神楽坂の「ばかんす」にて14時より開始されます。
みなさんお楽しみに!
レポーター・葉月たまみ