コラム・観戦記

35期Aリーグ第10節レポート

2010年8月25日(水)、最高位戦35期Aリーグ第10節。

12節までのレースもそろそろラストコーナーといったところか。

開始前のポイントは以下。

1.水巻 渉 599.3
2.大柳 誠 192.7
3.村上 淳 187.4
4.太田 安紀 101.3
5.上野 龍一 71.1
6.金子 正輝 15.2
7.佐藤 崇 △12.0
8.平賀 聡彦 △63.1
9.張 敏賢 △215.1
10.冨澤 直貴 △272.2
11.近藤 誠一 △294.2
12.石橋 伸洋 △320.4

1位~3位までが決定戦進出、11位と12位がB1リーグに降級となる。

卓組は

A卓・・・冨澤、上野、村上、平賀

B卓・・・大柳、水巻、金子、近藤

C卓・・・石橋、太田、張、佐藤

となっている。

ご覧の通り、水巻が首位独走中。残りの節で多少崩れたとしても決定戦進出は堅いか。

現在3位の村上は、前節にプラス158.9という特大ポイントを叩き出しており、先日行われた第5期最高位戦classicにおいても見事優勝を飾っている。

この勢いのままポイントを重ね決定戦に残れるか、注目が集まる。

A卓1回戦

起家から村上、冨澤、平賀、上野。

東1局1本場 ドラ

平賀、子で 

 リーチ、ツモ 裏ドラ

の2000・4000は2100・4100

東2局 ドラ

冨澤、親で   リーチ、ツモ 

の4000オール

など、大物手が飛び出す。村上は4000親被りと4000オールツモられで煽りを受けた形になるが、着実に巻き返し、南入した時には30000点を超えていた。

東3局2本場 ドラ

西家で 

ポン ツモ

の1000・2000は1200・2200

東4局 ドラ

 リーチ、ロン

の3900

その後は親番の平賀の早いリーチに冨澤が12000を放銃するなどがあり、オーラスを迎えて以下の点棒状況。

村上:38700
冨澤:22000
平賀:40900
上野:17400
(供託:1000)

村上と平賀によるトップ争いの展開が濃厚であったが、麻雀もとい勝負とは最後までわからないもので、

これまでずっと静かだった上野が最後の親番に、3者からそれぞれ点棒を略奪する。

リーチ、ツモ ドラ 裏ドラ

の6000は6300オール

リーチ、ツモ ドラ 裏ドラ

の4000は4400オール

最後は村上が平賀から8000は9800をアガる。

実に全19局を要した大激戦となった。

A卓1回戦終了

上野 +51.0
村上 +21.3
平賀 △21.1
冨澤 △51.2

言わずもがな常に決定戦進出大本命である金子だが、今期は未だ上位陣に食い込めずにいる。

しかし金子の感性の鋭さは全く衰えているとは思えない。

B卓3回戦に、その瞬間を垣間見ることができた。

東4局 ドラ 7巡目

子で 

の牌姿。少考して初牌のドラを切りピンフのヤミテンにすると、次巡ツモでノータイム切りリーチを敢行。

 リーチ

そしてを一発でツモ。

確かにマンズは場に安く、理にかなっているといえばそうなのかもしれないが、リーチの瞬間に当然一発でツモると思わせる自信、オーラに満ちていた。

前年のリーグ戦にて私がレポートを担当させて頂いた際に、金子がバイマンツモ条件を、

リーチしての高め一発ツモによりクリアしたのを見て、背筋が震えたのを思い出した。

また、C卓では、佐藤による美しい役満が飛び出す。

3回戦、東4局にて

佐藤 配牌 

から、4巡目にをポンして

次巡を引き

となり、發ホンイツのテンパイ。そこから

と形が変わり、リーチしていた太田がツモ切ったをポンして

 

となり、ついに緑一色テンパイ。

これに張がリーチ者の太田に通りそうなを切り、お見事、役満の完成となった。

佐藤の河も

となっており、は死角になっている。

これまでに71300点の牙城を築いていた張だが、その半分近くを失う痛すぎる局となった。

その半荘終了後、結局2着だった張の声が遠くから聞こえてきた。

「そういえば緑一色なんて役あったんだね、忘れてたよ。あはは。」

次の4回戦で、張は平然と対局し、5万点を超えるトップを取る。

屈辱であるはずの役満放銃を笑い飛ばし、すぐ次の戦いに切り替えられる底知れぬ精神力が、

トッププロの強さであり、張を張たらしめているものなのかもしれない。

10節最終結果

1.水巻 渉 617.2
2.村上 淳 192.0
3.大柳 誠 166.1
4.上野 龍一 85.5
5.佐藤 崇 33.1
6.太田 安紀 △5.5
7.金子 正輝 △22.3
8.平賀 聡彦 △33.3
9.張 敏賢 △191.6
10.近藤 誠一 △248.0
11.石橋 伸洋 △282.2
12.冨澤 直貴 △321.0

文責:志村友基

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