コラム・観戦記

35期前期C1リーグ自戦記

皆さんこんにちは。
32期後期の坂井秀隆です。

この度35期前期C1リーグの自戦記を担当することになりました。
私自身、レポート等を書くことは初めての経験です。
下手なりに「自分らしさが伝わる文章」をテーマに書きましたので、最後まで読んで頂ければ光栄です。

まず自己紹介から。
私は、32期後期に最高位戦(以下、当団体)に入会しました。
当時大学4年生だった頃、チャイナ八王子店で村上淳プロと出会い当団体への受験を決めました。
でも実は昔、他の団体へ入ろうと思っていたんですよ・・・本気で(笑)。
高校生の頃から、他団体の某有名プロの勉強会やリーグ戦の見学に行ったり&友人の多くが別団体に所属していたりして。
しかし、ほぼ初対面の自分の質問に何度も親切に答えて下さった村上さん。
この出会いが無ければ、今自分がこうして自戦記を綴ってはいないでしょうね。
今の自分にとって「最高位という頂点を目指すリーグ戦で、心から信頼し尊敬する方々と対戦する」という目標・・・。
そしてこの目標達成への意識の高さが、少なからず最近のリーグ戦の結果(34期後期C2リーグに続く2期連続優勝での昇級)に繋がったと感じています。

さて本題へ。
前期C1リーグは、32人が16人ずつ2組に分かれ、各組上位2名のみしか昇級できない狭き門。
飯田橋から神楽坂へ・・・頂点への丁度折り返し地点のB2リーグ(神楽坂ばかんすでの通年リーグ)を目指す選手達が凌ぎを削るリーグ。
※ちなみに、今回の自戦記に関しては、幸運にも恵まれ最終節を迎えた時点でポイント的にかなり優位だったので、最終節の対局の詳細中心のレポートではなく、全節を通じて自分自身が感じたこと(自分の麻雀観や印象に残った1局など)を書きました。また、牌姿や点棒状況等の細部に多少のズレがあるかもしれませんがご了承ください。
 

第1節、初めてのC1リーグへ挑戦する緊張感とリーグ戦独特の張り詰めた空気を心地よく感じながら迎えた。
前述の通り、昇級枠がわずか2名のこのC1リーグでは、1ポイントでも多く叩くことが必要となる。

そこで自分が特に意識したテーマは「徹底した揺れない攻め」と「相手の手牌読み※特に速度&聴牌ノーテンについて」である。
この日は、1回戦(3着)・2回戦(2着)で△20ポイントと苦しい展開。
三回戦に6万点のトップを取って迎えた4回戦(沖野-真殿-坂井-吉村※敬称略)、自分の掲げたテーマへの追求が良い結果に繋がり始める。

この半荘、東1局から起家の沖野の先制リーチや早い仕掛けが三人を苦しめる。
4本場まで積まれるも、できる限り放銃を回避しながら、沖野の親番の4局中3局を聴牌(もう1局は横移動)で凌ぐことに成功する。
和了できない状況での加点が生きて、そのリードがあるからこそできる有利な選択と優位な展開で局が進む。
当たり前のことと言われてしまえばそれまでだが、自分自身がAリーグやトップレベルの選手との麻雀で、聴牌・ノーテンでのアドバンテージがいかに大切か痛いほど経験している。
尚且つ放銃を回避しながら流局まで粘るテクニックに関しては、渋谷ジパング(※佐藤崇プロ・坂本大志プロを初めとする、多くのトッププロが在籍する雀荘)での経験が本当に生きていると実感した。

特記する1局は、第1節最終半荘トップ目で迎えたオーラス。
吉村(東家)15000 沖野(南家)32000 真殿(西家)18000 坂井(北家)55000
15巡目の手牌
(ドラ)

序盤に親の吉村がドラのを1枚切り出していて、11~12巡目位からツモ切りを続けている。
南家と西家に聴牌気配はなく、親の安牌を合わせている。そこで南家が切るをポンして打で形テンを取る。
そこでハイテイ1巡前にをツモっての以下の形。

  ツモ
場況→親の河にはが各一枚ずつあり、序盤に手出し-中盤にの順で手出し-手出し-最終手出しは
他家の河と手出しを判断するとソウズが場にかなり安い。
そして、全体の河には二枚-二枚-二枚-一枚-二枚-一枚-一枚-二枚。

皆さんは何を切りますか?

(以下、自分の思考)
①親は聴牌気配があるものの、ドラなし&この点棒状況でリーチしてこないのであまり怖さはない。
自分のハイテイでのツモ和了に対する最善の一打を考えた。
②選択で悩んだのはor。打は現物ではないので放銃抽選を受けることとなる。
しかし、親の切り出し(中盤の順で手出した後の終盤手出し)でで放銃するケースの少なさに着目。
③親のソーズの手牌をパターン分け(可能性の多いケースにおいてのみ)してみると、親の手牌が道中、

(A)と他の色のターツでの面子選択において、落とした後に埋まっての打ならが内蔵1枚だけである、


(b)と他の色のターツとの面子選択の後で、先にが埋まって面子になったへのツモorでの空切りのパターンなら、これもorが内蔵1枚だけである。
さらに手役絡みでのが手牌に含まれている可能性も否定できない。
※他家の2人の手牌に関しては、親の安牌を合わせているので残りの枚数を読む材料にならず。

以上の点から、自分が選択した打牌は
要するに、「放銃抽選を含めた失点のリスク」<「手牌読みを加味した和了(加点)の追求」を選択したのである。

そしてハイテイツモは、幸運にも
結果1000・2000は1100・2100のツモ和了。
この約4ポイントで第1節は微差のトップスタートを切ることができた。

第2節以降も上記のテーマを追求し、1ポイントでも多く加点し、且つ1ポイントも無駄な失点を避けることを心掛けながら対局に臨んだ。
特に、第2節での大きなポイントの加点が効を奏し、第3節以降も展開よく着実にポイントを重ねることができた。
その結果、以下のポイントで最終節を迎える。
1 坂井秀隆 371.4
2 萩原裕太 169.2
3 橋本辰徳 167.8
4 真殿貴   149.1
5 佐野秀一 73.2
6 太田元基 72.0
7 沖野立矢 -6.7
8 須田春恵 -29.2
9 浅井裕介 -30.3
10 淵田壮  -32.4
11 長南雅明 -43.9
12 吉村昌敏 -56.2
13 中邨光康 -142.7
14 京杜なお -150.9
15 佐藤かづみ -194.7
16 石井あや -319.7

 前述の通り、上位2名だけしか昇級できない前期C1リーグ。自分でも望外の出来過ぎの結果で、圧倒的優位な位置で迎えた最終節。
会場に入ると、やはり最終節独特のピリピリした雰囲気が広がっていた。

同卓者は3位の橋本・9位の浅井・11位の長南。3位の橋本との直対で捲くられなければほぼ昇級。
さらにポイント的に一回トップを取れば安全圏という状況。

1回戦は、苦しい展開が終始続いてぶら下がりの3着。橋本とポイントが50ポイント縮まり少し焦る。
2回戦、トップ目でオーラスを迎える。3着目のラス親の浅井のリーチを受けるも、役牌を仕掛けての捌きに成功。
このトップでほぼ昇級が確定する。
3回戦・4回戦は、橋本とのトップ-ラスを引かないことをテーマに、トータルポイントを意識せずに打牌を心掛けた。
(以下、最終結果)
1 坂井秀隆 316.1
2 橋本辰徳 229.7
(※B2リーグへ昇級)
3 佐野秀一 228.5
4 真殿貴   226.7
5 太田元基 166.3
6 萩原裕太 133.5
7 長南雅明 2.7
8 吉村昌敏 -76.3
9 浅井裕介 -83.5
10 沖野立矢 -91.2
11 淵田壮  -95.0
12 須田春恵 -139.0
13 中邨光康 -156.5
14 石井あや -201.3
15 京杜なお -207.9
16 佐藤かづみ -256.8

35期前期C1リーグの全20半荘が終了した。リーグ戦復帰後の連続優勝とストレートでのB2リーグ昇級という結果は素直に嬉しい。
しかし、全5節を通じて新たに見つけた自分の麻雀の課題を検証しレベルアップしなければならない。
なぜなら、今回の昇級は目標への通過点に過ぎないのだから。
※私は、1打1打の「思考のクオリティ」こそ麻雀の実力を評価する上で重要なファクターであると考えている。
故に、「最善の1打」を毎巡考え続け、そのクオリティを向上させることこそが、目標達成への近道であると信じている。

麻雀&麻雀プロ・・・・

この世界も、結果を出すことが、何よりも大切なのは分かっている。
プロたるもの、結果でしか評価されないのも分かっている。
麻雀というものが、いくら努力してもそれ相応に報われる(良い結果につながる)ケースが少ないことも・・・

でも、過程(思考の向上に対する努力や姿勢)を突き詰める事こそが、結果へと繋がっていくことを証明したい。

今後の目標は、ストレートで昇級を続けること。
さらには、最高位決定戦・・・あの4つのイスに1日でも早く座りたい。

最後に、このように自戦記を書く機会を頂けて本当に光栄に思っています。
今後も、自分らしさを大切にしながら麻雀プロとして大成できるよう頑張ります。
今の生意気キャラが許される位、過程と結果への追求を日々精進しますので、応援宜しくお願い致します!!

文責 坂井秀隆

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