第10期マスターズ
第17期發王位
第34期Aリーグ8連勝
とある男の功績である。
今期はAリーグで490.6ポイント
2位と242.6ポイント差
6月2日のAリーグ第6節、この日この男の麻雀を見た観戦者数9名
この男の名は水巻渉という。
Aリーグでダントツのこの男、今期のこの男の麻雀を知りたいという人は多いはずである。
過去の観戦記にも彼の麻雀は書かれているが今の彼の麻雀を見てみたい、知りたい、そう思う人は多いはず。
今回はこの男をフューチャーして書いていこうと思う。
Aリーグ第6節1回戦
起家から 水巻 太田 村上 金子
金子との対決は今期が初めて。
東1局 親番 ドラ
座っていきなり親番、○○オールとか言いそうな予感だ。
が、実際は・・・
8巡目
アガリには遠そうである。太田はチートイ本線の捨て牌でドラは見えてない、金子も3巡目からいきなり少考、村上は同順ドラを手出しで不穏な空気が流れ始めている。
この局の決着は早かった。10巡目に太田が手牌を開ける。
ツモ
太田のスタートダッシュが決まった。水巻は親っかぶりスタートである。
いつもと違う・・・そう思ったかもしれない。
しかし東2局でその思いを吹き飛ばした。
東2局 北家 ドラ
7巡目にすんなりテンパイしてリーチ。
11巡目にさくっと六ツモ。裏ドラも乗せて1300-2600のアガリ。
とられてもすぐ取り返す、さすがである。
しかしこの半荘の明暗を分けた局があった。
東3局 2本場 西家 ドラ
ノーテン罰符で3着まで落ちてしまってここはあがりたい所。
8巡目にトップ目からリーチ
リーチ者の河は、となっている。
水巻の手牌は
ここは勝負と言わんばかりに水巻は押して12巡目にを引き入れリーチ。
そして太田が一発でを掴み河に置く
「ロン」「ロン」
発声がかぶった。別卓かとおもいきや同時に声を出した男は隣にいた金子であった。
前巡しれっと4をおしてテンパイしていたのである。
後で太田の手を見てみたら
こんなをつかまされる太田、あの手を上がれせてもらえない水巻、金子の前に二人の手がつぶされた。水巻は一発と裏ドラで倍満のアガリをつぶされたのである。さすが金子といったところである。
南1局 親番 ドラ
村上のリーチを受けて15巡目
ツモ
白は生牌でが安牌。水巻は生牌のを何事もなかったかのように切った。すべて無スジである。
ラス目の親番とはいえ25700点持っていてトップと10000点しか差がない。
こんな終盤で生牌をイーシャンテンで勝負するなんてらしくないなと感じた。
テンパイしたら無スジを勝負するのか?しかしぎりぎりまで粘って勝負に行くという水巻の姿勢が感じ取れた。
この局は水巻テンパイせず村上1人テンパイで流局した。
しかし次局水巻は見せてくれた。
南2局1本場 北家 ドラ
7巡目にリーチ。水巻の河がおもしろい。
が手出し。水巻の手は
河を見ると下の三色が濃厚に見える。チャンタにもみえる。
こんなすぐに釣れ出せそうな河である。ただ一人村上だけ自分の目からが両方とも4枚づつ見えてそこでチートイツと気付いたらしい。
しかしこの山にごっそり眠っていた。これをツモアガり1600―3200は1700-3300の収入を得る。
南3局はリーチをうった金子の一人テンパイで流局。いよいよオーラスである。
南4局1本場 南家 ドラ
点棒状況が
水巻 31400
太田 30000
村上 28500
金子 29100
供託で1000点、ラス目の村上ですら2000点上がればトップという緊迫したオーラスである。
水巻の配牌は
オタ風のトイツが2つ、不自由な手格好である。
11巡目村上からリーチを受けてようやくシャンテン
西は2枚切れできつい形である。しかし太田があっさりピンフテンパイの手をツモアガリ。
一半荘目は2着で終了。
水巻 +10.9
太田 +33.8
村上 -33.0
金子 -11.7
2回戦
起家から水巻 太田 村上 金子
東1,2局と手が入らず受け気味で打ってた後の東3局、7巡目にすんなりテンパイ、リーチといった。
2巡後四をツモアガり裏ドラをのせ1000-2000の収入。
南1局 親番 ドラ
6巡目ドラを重ねてイーシャンテン
ツモ
が場に2枚、が場に1枚、が場に1枚とんでいる状況で手拍子でを切りそうだが水巻は打とした。シャンポン待ちになるのを嫌ったのだろう。8巡目カンが埋まり-待ちのリーチ。だがをしかけていた村上がリーチを受けた直後の太田から1000点の出アガリでこのリーチをさばく。-は山に5枚生きている。今日の水巻は本手があがれない・・・厳しい。
南2局も村上が300-500と局を進める。
南3局 西家 ドラ
水巻にようやく速そうな手が入る。配牌が
ドラをひくか234の3色あたりが狙える。さくさく進み3巡目にピンフテンパイ、リーチ。
2巡後太田からで出上がり、裏ドラ乗らずの2000だが、トップ目から上がれたのは大きい。
オーラス、点棒状況は
水巻 32700
太田 35700
村上 26700
金子 24900
またも僅差である。
南4局 南家 ドラ
水巻は3巡目でこの牌姿
789の3色かドラが絡んでのピンフになって欲しいところである。
4巡目にラス目で親番の金子からリーチ。
3色確定のリーチである。は1枚切れ、河はとよく出来たリーチだ。は山に3枚眠っている。
ポイントを持ってる水巻は当然のオリにまわる。
これに立ち向かっていったのはトップ目の太田である。
、、と無スジ、生牌を押し11巡目にテンパイ。
このは生牌でもうやめている水巻、村上からは出ない。
金子と太田の一騎打ちである。
しかし軍配が上がったのは金子のほうであった。
太田がこのを掴んでしまい、裏ドラと裏ドラも乗せて12000の出アガリとなった。
これで金子がトップに立った。
南4局1本場 南家 ドラ
今度はトップ目と4200点差開いてしまった。しかし700-1300でまくれる。
気になる配牌、第一ツモは
ツモ 打
かが引きたいところだ。引ければ一気に引き締まる。
10巡目にピンフのテンパイ。
ヤミテンを選択。が場に3枚、マンズは安くヤミならひょっこり出てきそうである。
トータルポイントをいっぱい持っているので2着で良しということだろう。
しかし13巡目にトップ目の金子が動いた。
ポン
高め5800のテンパイ。上がれればいいなという仕掛けである。上がれなくても伏せればトップである。
しかし親の金子の現物にがあったおかげかで1000は1300の上がりで2着をキープ。
水巻 +14.0
太田 ―36.3
村上 -14.6
金子 +36.9
2着2着と今節も調子がよさそうである。
3回戦
起家から村上 金子 太田 水巻
東1局北家 ドラ
11巡目、水巻の牌姿は
ツモ
は2枚切れ、は生牌、水巻はは他家と持ち持ちである可能性が高いと読み打でチートイにシフトチェンジ。
14巡目にテンパイ
次巡を持ってきてを切る。実ははフリテンである。これは前々巡にドラのをツモ切っている金子がテンパイ気配、親の村上はテンパイかわかりづらいが太田は降りに回っていて、は村上の現物で金子に安全度の高い牌なのである。
そして次巡金子がを切ってリーチ。そして水巻の持ってきた牌はなんと・・・あちっ。
この局は水巻と金子の2人テンパイで流局。
東2局2本場 西家 ドラ
前局は金子太田水巻の3人テンパイで流局。
12巡目太田がリーチ。
次巡水巻もテンパイ。
ツモ
は無スジでは現物、ドラのは3枚見えているのでを勝負。
その次巡水巻がをつかみ3900は4500の放銃となった。
東3局は金子に3900放銃、東4局は村上が2000-4000ツモで親かぶり、南1局は金子が2000-4000ツモと久しぶりに点棒を4局連続で払った。今期入って初めてここまで点棒を払っただろう。久しぶりの苦しい展開である。
南2局西家 ドラ
13巡目親の金子がリーチ、それを受けての水巻の牌姿は
ツモ
とりあえず宣言牌のを切る。、ともに生牌。
次巡ポンと仕掛けていた太田が生牌のをツモ切り。
太田の手牌は
ポン
このを水巻はスルー。点棒は欲しいが親のリーチに当たってもおかしくないを1000点の仕掛けで切りたくないし他に親にケンカ売ってる人間いるし温かく見守ってあげようという感じだろう。
しかし次の瞬間、水巻は
ツモ
打東で
「リーチッ!」
・・・!?
えっ?目を疑った。水巻のバランスにこのリーチはない。いつもの水巻なら勝負に行かず見に回っているはずなのに・・・ポイント持ってるから遊んでいるのか?
太田も次巡をもってきて金子にスジ、水巻にはワンチャンスのを勝負する。
このは2人の現物である。水巻の目から見たら太田の手はドラ3の8000でも全然おかしくない。ここまでのリスクを冒すリーチを打つ必要は本当にあったのか・・・
結果金子がを掴み水巻はあがりきった。
裏ドラはと乗らずのノミ手1300の出和了りである。
結果和了れたもののといった感じだ。
南3局は村上が、自風のを仕掛け、親の太田がリーチを打った直後に、1000点を水巻から出和了り、オーラスに持ち込む。村上は2着目でオーラスを迎えることが出来た。
村上 31500
金子 39100
太田 30000
水巻 19400
村上、太田はマンガン手が入って欲しいところ、金子はなんでもいいから上がりたいところである。水巻は親なので何でも連荘したい。
南4局親番 ドラ
全員の配牌は
水巻
村上
金子
太田
ドラドラの村上が良い。だれも苦しいと思える配牌はいない。さてこのオーラスどうなるか・・・
水巻が7巡目
ツモ 打
このをドラを暗刻にした村上が仕掛ける。
村上
チー 打
さらに2巡後水巻が切ったをチー
チー チー 打
次巡水巻もチートイのテンパイ
ツモ 打
ヤミテンに構え待ちごろの牌を待つ。
次巡場に1枚切れのを持ってきて、と入れ替えリーチ。
シャンテンの太田も無スジのをおす。
現物ならが3枚あるがここは勝負と太田はふんぎった。
数巡後水巻がを掴み村上に8000の放銃。
これで村上はトップに立った。4着3着と厳しかったのでほっとしただろう。
村上 +40.5
金子 +19.1
太田 ―10.0
水巻 ―49.6
水巻今期初のラスである。23半荘目にして初めてのラス・・・
12節48半荘あるので、割合的に言ったら2回しかラスを引かないことになる。
真にすごい男である。
4回戦
起家から 水巻 金子 太田 村上
東1局親番 ドラ
金子が村上の第1打を仕掛けて3巡目まででという河である。上家の水巻はピンズが打ちづらい。
水巻の牌姿は
村上にを切られしぶしぶ仕掛ける。これは完全に仕掛けさせられた感じである。さらにカンをチー。とのくっつきシャンテンに構える。
9巡目に太田、村上が同巡にリーチ。
太田
村上
1発目に水巻はをひいて来てドラのを切ればテンパイ。しかしのアンコ落としとする。さすがに2軒リーチには押しづらい。
数巡後村上が高目をツモリ裏ドラのを乗せ3000-6000のツモアガリ。
次局を仕掛けてトイトイのテンパイをとった金子が太田のリーチに一発で掴み5200の放銃となった。
この後もなかなか手が入らない。この半荘も苦しい・・・
今日は今期初のマイナスか・・・
南1局親番 ドラ
最後の親番、水巻の点数は19900、ラス目である。上の2人は40000点近く持っている。この親番は、なんとか巻き返しを図りたいところである。
その水巻の配牌は
ドラのが重なって欲しいところである。
手なりで進めて7巡目
ツモ 打
水巻はドラのを4巡目に重ねたがこのピンズの形がネックである。
、と切ってあるのでソーズの横伸びでフリテンになるのを嫌ったのだ。
先にマンズが埋まったらカンチャンか、シャンポンでリーチをうつだろう。
ここはなんとしても上がりたい。上がりきれるのだろうか・・・
と心配していたら、10巡目ドラのを暗刻にしてリーチ。
一発でをツモリ6000オールの和了りである。
さすが水巻、ここ一番の強さを魅せてくれた。
一気にトップ目に立つ。
次局1本場も水巻果敢にリーチ。
このリーチは和了れず流局してしまうが親権を維持に成功。
南1局二本場 親番 ドラ
トップ目に立ったものの2着目とはまだ4000点差の38400持ちのトップ目である。
ここはさらに加点したいところである。
5巡目、
ツモ 打
これはソーズが安いのでペンは埋まるだろうと考えたのである。
かつて水巻はこの世で一番嫌いなものはペンチャンだと言っていた。
このペンチャンには自信があるのだ。さらに埋まらなくてもチートイにも出来る。
そうすれば効率よくドラのを使いきれる。ギリギリまで形を決め打たない水巻らしい打ち方である。
14巡目ラス目の金子からリーチが入り、金子の一人テンパイで流局。
次局太田の一人テンパイで流局、さらに南3局は水巻以外の3人がリーチ合戦、ラス目の金子が村上から1300点は2500点、さらに供託の3000点と他家のリーチ棒で、金子が7500点の収入を得る。水巻には悪くない展開である。
オーラスの点棒状況は
水巻 36400
金子 23900
太田 30800
村上 28900
南4局 南家 ドラ
ドラドラの金子が4巡目にを仕掛け2シャンテン
ポン
水巻は同巡1シャンテン
太田も5巡目にカンをチー
チー
さらに7巡目村上がを仕掛けてテンパイ
ポン
完全にスピード勝負である。
同巡に水巻テンパイ
10巡目にテンパイを入れた金子が水巻のロン牌を切る。
水巻が和了りきりトップを守りきる。
水巻 +37.4
金子 -37.1
太田 +10.8
村上 -11.1
水巻今節もプラスで終えることができた。
今年の最高位戦クラシックも予選1組を首位で通過、準決勝にジャンプアップと今年の水巻は強い。
一体誰がこの男を倒せるのだろうか・・・
水巻渉第35期最高位に向けてただいま爆走中である。