コラム・観戦記

B2リーグ中間(第5節)レポート

第4節終了時スコア

1 竹中 誠 312.9
2 齋藤 敬輔 267.9
3 清原 大 258.3
4 松田 猛 194.7
5 森川 健太 182.0
6 宮本 祐子 164.3
7 浅埜 一朗 141.8
8 中嶋 和正 118.7
9 三ヶ島 幸助 100.7
10 相島 翔 -16.3
11 川端 美雪 -17.2
12 宇野 公介 -55.6
13 中村 英樹 -57.5
14 長谷川 聡 -100.7
15 土井 孝輝 -103.1
16 嶋村 恭介 -106.3
17 小池 美穂 -110.2
18 和田 聡子 -121.4
19 武田 哲也 -124.8
20 松本 浩司 -137.1
21 白鳥ケイタロウ -159.9
22 根本 佳織 -187.7
23 佐藤 慎也 -191.1
24 野口 洋貴 -260.4

さてこのB2リーグ。
昇級は24人中4人と、B1やC1に比べてむしろ比率的にも多い。
しかし特筆すべきは降級人数。24人中12人と半分が降級。
過去にはプラススコアでも降級枠になってしまった選手もいるほど。
まさにサバイバルレース。
年間リーグ生き残りをかけて激しい争いが繰り広げられるリーグである。

5節卓組


A卓 齋藤 竹中 清原 浅埜


B卓 武田 相島 宮本 森川


C卓 三ヶ島 川端 小池 土井


D卓 松田 中村 長谷川 和田


E卓 佐藤 野口 根本 白鳥


F卓 宇野 中嶋 嶋村 松本

注目はなんと言ってもA卓。
なんとB1リーグに続いて、B2リーグも5節は1・2・3位直接対決。
これは全くの偶然なのか、それとも昇級へ向けて課せられた必然なのか。

今期B2昇級レース注目の一戦となった。


一方E卓、なんとこちらは下から4人が顔を揃えた。
先ほども述べたとおり、B2には過酷な降級枠がある。
焦る気持ちを抑えて、泥沼のマイナスゾーンから抜け出すきっかけを掴めるか。

Cリーグは赤白に分かれているので、B2が最高位戦一番の大所帯。
24人が入り乱れる大舞台、最後に笑うのは誰か!

A卓1回戦
起家から、齋藤・竹中・清原・浅埜の順。

東1局 ドラ
浅埜が軽快にから仕掛けると、親の齋藤がリーチ。

このとき浅埜の手牌は
 

ここから親のリーチを受けて、の暗刻落とし。
浅埜は仕掛けは多いが放銃は少ないタイプ。
今日も仕掛けて自分のリズムを作っていくつもりだろうか。

結局この局は、齋藤がをツモって、メンピンツモ1300オール。

同1本場 ドラ
竹中が7巡目にリーチすると、親の齋藤が12巡目に追っかけリーチ!
竹中

齋藤

齋藤はツモれば6000オールの大物手。
一気にこの半荘を決定付けるかと思えたが、ここはを掴んでリーチタンヤオチートイ6400放銃。
親に追いかけられた竹中、胆を冷やしたがここは助かってホッと一息。

途中にトイレ休憩を挟んだり、取り出しを間違えそうになったりと、
4人ともいつもに比べて若干緊張しているようだ。
今日の結果が大事なのは百も承知、その上でいつも通り打てるかが大事。

東3局 ドラ
竹中、下の手牌からツモで切り。
  ツモ 打

面子オーバーの形に受けるとこれが大正解。


と連続でツモって下の形でリーチ。

齋藤のリーチ宣言牌を捕らえて、リーチ一発2600出アガリ。

その後、ツモられなどで点棒を減らした齋藤。
ラス前に竹中から發ホンイツ3900をアガるが、オーラスを迎えて一人沈みの状態となっていた。

南4局 ドラ
齋藤    20600
竹中    32900
清原    32300
浅埜・親  34200

トップから3着まで1900点差の大接戦。
スピード勝負になりそうなだけに、ハネ満が必要な齋藤はちょっと苦しい。

親の浅埜が聴牌を入れると、清原も聴牌。
接戦だけにリーチ棒は出したくない。2人とも変化形を見ながら闇聴に構える。
浅埜

清原

結果は清原がを掴んで、浅埜に三暗刻4800放銃。

同1本場 ドラ
齋藤    20600
竹中    32900
清原    27500
浅埜・親  39000

親の浅埜がトップ目で二着と4000点以上離れたので、アガれなければノーテンとするだろう。


この局1局勝負となる可能性が高い。
そんななかラス目の齋藤が大物手を聴牌する。

ダブ南イーペイコードラドラ。
ツモればハネ満で浅埜と同点トップ。
竹中からの出アガリなら二着。他の二人からの出アガリは三着。

リーチをすればハネ満確定であるが、この局で終了の可能性が高いこと、
白待ちになる変化形やチャンタへの手変わりがあることなどを考えるとダマにするのがクレバーだろう。
着順を一つ上げるのも大事と思ったのか、齋藤もダマを選択した。


私が他の3人の手牌進行を追っていると、トップ目の浅埜からが出た。
浅埜は二着陥落、竹中ラッキートップかあと思っていると、
齋藤が少考の末に発声した。
・・・『チー』
チー!!!???
マジかよ!満貫ツモっても三着のままだし、脇も煮詰まっていて染めてる余裕とかないって!

その後、と切り出した齋藤は、数巡後また発声した。『ツモ!』
  ツモ

ダブ南白ドラ3、3000・6000!!!
トップ目の浅埜からを喰いとってハネ満。同点トップである。
まさにミラクル&マジック!
どう考えても鳴かないほうがハネ満になりやすいと思うけどなあ。
チーやポンで高目ハネ満ならまだわかるけど・・・。


ちなみにこれが唯一の手筋なら劇画チックだけど、鳴いてすぐ喰い流してるから!

齋藤敬輔、時に無謀とも言える打ち筋を見せるが、目の離せない打ち手である。

A卓1回戦スコア
齋藤 +22.9
浅埜 +22.9
竹中 -10.2
清原 -35.6

B卓2回戦
起家から、武田・相島・宮本・森川の順。

東2局、武田のドラポンと森川のホンイツがぶつかり、武田が森川から中ドラ3、8000出アガリ。
1回戦5万点トップの武田、2回戦も幸先の良いアガリでリードする。

東3局1本場 ドラ
親の宮本、配牌でドラが暗刻。3巡目に下のイーシャンテンになるが中々テンパらない。

その間に相島がポン、ポンと仕掛けてピンズのホンイツテンパイ。
  

宮本はイーシャンテンでツモ切り。ツモ切り。
  ツモ 打

これはをツモ切ったほうがいいのではないか?
ホンイツに危険だが、自分も親でドラ暗刻の勝負手。
ツモでのテンパイ逃しが痛すぎると思うが・・・。

結果は相島からチーして切りでテンパイ(待ち)。
3人テンパイで流局となった。

東4局1本場 ドラ
親の森が9巡目にリーチ。

しかしアガったのは武田。
 ツモ

タンヤオツモドラ3、2000・4000。

武田はこの後、南場の親でも満貫をツモって連荘し6万点オーバーまで突き抜ける。
一方、他の3人は僅差のままオーラスを迎える。

南4局 ドラ
武田   68800
相島   16700
宮本   17000
森川・親 17500

武田以外の3人は、なんとかして二着になりたいところ。
宮本ががむしゃらに3フーロしてテンパイ。
   

すると、相島が仕掛け返して300・500ツモ。
   ツモ

宮本の仕掛けは待ちがほぼ絞られており、ラス目だが焦ることなくアタリ牌を止めてアガった相島の雀力と胆力が光った1局だった。

B卓2回戦スコア
武田 +68.5
相島  -2.2
森川 -23.0
宮本 -43.3

武田大トップ2回で+120P近く、今日は大勝かと思えたが信じられないミスを犯す。
3回戦 東4局
宮本が仕掛けて小四喜テンパイ。
  

この時、武田も仕掛けていてトイトイののシャンポンでテンパイ。
このまま流局かと思われたが、終盤に生牌のを持ってきた武田。
なにを思ったかの対子落としで小四喜32000放銃。
確かに場にともに一枚切れだったが、
宮本は中盤に対子落としがかぶってが3枚連続で切られてる異様な捨て牌。

対局後に武田に話を聞くと『役満の可能性は頭から抜けていた』と語った・・・。
プロになって8年目で念願のBリーグ入りした武田だが、
このような放銃をしているようでは厳しい結果が待ち受けているだろう。

一方、アガれるはずのない役満をアガったバカヅキ宮本。
勢いに乗って3回戦4回戦と連続トップ、80Pスコアを伸ばし、昇級圏内の3位に食い込んだ。
宮本は第1節から同じワンピースを着て全節プラス、勝負ワンピースの呪い、恐ろしやー。

 
C卓 2回戦
起家から、土井・小池・川端・三ヶ島の順。

東2局 ドラ
東1局にアガって親番を迎えた小池だが、いきなり土井がダブルリーチ!

親の小池の4巡目

ここから少考して切り。そしてを2枚ポンせずにふかす。
さらにをチーしてをツモ。チャンタ三色ドラ2600オール。
  ツモ

三色が確定しているわけでなく、すでにリーチが入っている状況。
ここは親だし、ペンチャンをはらってをポンして捌きに行くかと思われたが、
小池の腹をくくった手役へのこだわりが実った1局となった。

その後、三ヶ島が3900、2000・4000とアガってトップ目に立って南入。

南1局1本場 ドラ
三ヶ島がマンズの染めて模様。
小池がタンヤオイーペイコードラドラの勝負手をテンパイし、エイっとを切るとこれがカンチャンにストライク!
 ロン

メンホン一通北12000。
小池、手痛い放銃となった。

結局、このまま三ヶ島が5万点の大トップ!
一方小池はラスとなってしまった。

C卓2回戦スコア
三ヶ島 +53.2
川端  +14.7
土井  -19.3
小池  -48.6

A卓3回戦オーラス
南4局1本場 ドラ 供託1000
齋藤   25100
竹中   24000
浅埜   34700
清原・親 35200

浅埜の9巡目

ここから決意のドラ切り。
をポンして切りで、竹中からをロン。
仕掛けには絶対的な自信を持っている浅埜、トップをもぎ取る。
  ロン

A卓3回戦スコア
浅埜 +37.0
清原 +15.2
齋藤 -14.9
竹中 -37.3

A卓4回戦
ここまで竹中が-80Pと一人苦しい展開。
齋藤は+50P、浅埜は+30Pと調子がいい。
最終戦はどのような展開になるのか?

起家から、竹中・浅埜・清原・齋藤の順。

東1局1本場 ドラ
親の竹中が配牌イーシャンテン!

しかしこれがなかなかテンパイせず、9巡目にようやくリーチ。

若干もったいない感もあるが、中盤のドラ切りリーチなので押さえつけの意味もあり。
ちなみに捨て牌には一枚もマンズ無し。
結果はツモで1000は1100オール。

同2本場 ドラ
6巡目に齋藤がリーチすると、同巡に浅埜が追っかけリーチ。
齋藤

浅埜

齋藤がを掴んで、浅埜がリーチドラドラ裏8000は8600出アガリ。

東4局 ドラ
親の齋藤がメンホンをテンパイすると、清原も満貫テンパイして押し返す。
齋藤

清原

二人のがっぷり四つの戦いかかと見ていると、
竹中が切ってピンフイーペイコードラドラ8000放銃。
竹中もピンフテンパイの形だったが、清原が親の上家でマンズを押していることを考えると、
かわし手ではなく勝負手だと思われるのでここは二人にまかしたほうが良かったか。

南3局2本場 ドラ
齋藤が4巡目にリーチ!

竹中から一発で出てメンピン一発3900は4500出アガリ。
ちなみに齋藤の捨て牌は

イーシャンテンでとドラが孤立牌でドラを先切りしてかぶった形。
巡目が早いのでテンパイまで引っ張っても良かったか。
ちなみに裏ドラも、ヒョエーーー!

南4局 ドラ
竹中   15700
浅埜   32600
清原   40600
齋藤・親 31100

今日はパッとしない竹中が一人沈んで三人の争い。
浅埜が早々5巡目にリーチ。

ツモればトップだったが、すぐに竹中からがでて1600。
ここは2着で上々といったところ。

A卓4回戦スコア
清原 +40.6
浅埜 +14.2
齋藤  -8.9
竹中 -45.9

結局A卓は竹中が130P近くマイナスして、3人がその浮きを分け合う形となった。
展開の良し悪しや、微妙な選択もあったが、やはりポイントは1回戦オーラスだろう。
齋藤に対局終了後に話を聞くと、
『トータル首位の竹中をマークしていて、トップにする並びにはしたくなかったのでチーした』
と語っていた。
ならスルーのがいいのではと思うが、それだけこの対局にかける想いがあったという事だ。
結局竹中は大きくマイナスして、齋藤はトータル首位に立った。
ライバルを作ることや、対局に想いをかけるのはいいことだとボクは思う。
しかし、まだ12節のうちの5節。
そして竹中以外にもまだ22人の選手が一緒に戦っているのだ。

そこを忘れては木を見て森を見ずともなりかねない。
最終節は10月10日(日)、闘いの答えは結果だけが知っている・・・。

第5節終了時スコア

1 齋藤 敬輔 309.0
2 清原 大 287.1
3 宮本 祐子 244.3
4 浅埜 一朗 202.7
5 竹中 誠 182.1
6 中嶋 和正 157.5
7 松田 猛 139.3
8 三ヶ島 幸助 133.9
9 森川 健太 88.9
10 川端 美雪 69.8
11 中村 英樹 12.5
12 松本 浩司 -53.9
13 相島 翔 -60.9
14 武田 哲也 -67.1
15 和田 聡子 -84.1
16 野口 洋貴 -102.6
17 宇野 公介 -121.3
18 長谷川 聡 -154.6
19 嶋村 恭介 -162.6
20 小池 美穂 -166.0
21 土井 孝輝 -167.5
22 根本 佳織 -184.7
23 白鳥ケイタロウ -253.6
24 佐藤 慎也 -258.2

レポーター 平賀聡彦

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