コラム・観戦記

第34期最高位戦Aリーグ 選手紹介

氏名(カナ) 入会期 主な獲得タイトル 決定戦進出筆者予想◎○▲△
選手紹介
「選手から一言」
筆者コメント

金子正輝(カネコマサテル) 6期生 第9,11,12,24期最高位,名人位その他多数 ○
相手の手牌読みに対する精度は競技選手の中でも随一と言われる。それに加えて,牌の流れを読む『牌流定石』は有名。この2つを武器に,昨年あと少しのところで逃した最高位奪還を狙う。
金子の麻雀に関する逸話は数知れず。みなが口を揃えて「金子さんって,どこまで読めてるんだろう?」と言うほどの手牌読みの技術。実力と昨今の活躍に鑑みれば,決定戦に出場するのはほぼ間違いないんじゃないかと思います。筆者予想も○にしてみました。

張 敏賢(チョウトシマサ) 24期生 第31,32期最高位,第19期最強位
最高位を連覇した勢いそのままに,昨年には最強位を獲得。現在,最もノリに乗りまくっている選手の1人。最高位を飯田に明け渡したため,今期が3年ぶりのAリーグ出場。
「2年ぶりにリーグ戦に出るわけですが,Aリーグのみなさんは,決定戦の残り2つの椅子を争ってください!」
えーっと,最高位決定戦出場枠は3つですね,はい。ところが,張選手は2つと言っていますね,はい。決定戦出場枠数を勘違いしているものと思われます。いや,嘘です,自分の中ではもう決定戦出場は確定なんですね,確かにこれぐらいの気持ちがないと連覇とかできないですよね!

佐藤 崇(サトウタカシ) 24期生 第9期優駿位 △
昨年は,優駿位獲得,最高位戦Classic準優勝,最高位決定戦出場と大飛躍。張と同様,旬の打ち手。手牌読みには定評があり,佐藤に教えを請う若手も多い。
「オレ様が一番強いということがよくわかると思うので,皆様ぜひ会場にお越しください。お待ちしてます!」
「オレ」に「様」がつきましたね。佐藤が「オレ」に「様」をつけている間は,日本は平和な気がします。渋々で構いませんので,次節以降も佐藤の活躍を観にきていただけるとうれしいです。

冨澤直貴(トミサワナオタカ) 28期前期生
冨澤の麻雀について最高位戦のどの選手に尋ねても,同じ答えが返ってくる――「剛腕」。本手の打点が高いということに留まらず,かわし手でも自分に分があると思えば勝負にいく。昨年は次点で最高位決定戦出場を逃したが,手牌読みの精度と押し引きのメリハリを武器に,今期は決定戦出場に期待がかかる。
見た目はすごく怖いおにーちゃんなんですが,話してみるとすごくいい人なんですよ。冨澤の麻雀で疑問に思ったことがあったら,試合後に何でも質問してみましょう!きっと気さくに答えてくれます。

平賀聡彦(ヒラガトシヒコ) 29期前期生
現行システムになってから,ノンストップでAリーグまで駆け上がった初めての選手。Aリーグでも,1期目から安定した成績を残している。緊張とは無縁。ちなみに筆者と同期生であるが,今やAリーガーと末席に座る一会員である。
「Aリーグではいつも後半に失速するので,今年は最後まで失速しないようにがんばりたいです。」
平賀は自分でも言ってるんですが,「オレは星だけで勝ってきた」そうです。つまり,「勝っちゃう星の下に産まれちゃった」と。自分で言った責任は取ってもらいましょう!ということで,みなさん,高い手アガるとこ観たいなら,平賀聡彦の後ろに集合!!

水巻 渉(ミズマキワタル) 23期生 第10期麻雀マスターズ 第17期發王位 ◎
つい先日,發王位を獲得。いわゆるデジタル派の打ち手として有名。相手の攻撃をひらりとかわす柔らかさだけでなく,直線的な攻撃も持ち合わせている。相手への対応ということでは日本一であろう。
「前人未到の發王位と最高位のダブルタイトルを狙います!今期でAリーグ通算5期目なんですが,1度も決定戦に残れてないんですよ。まあ,今思うと1期目とかは実際に弱かったんですけど。そのころよりは格段に強くなってるんでよろしく!!」
常に応援者が多いという印象がありますねー。魅力的な麻雀ばかりでなく,人柄もすごく魅力的だったりします。發王戦の安定した戦いぶりに,筆者は◎の大本命としてみました。ちなみに入会当初,恥ずかしながら筆者は「渉」が読めなかったので,本紙ではフリガナをふってみました。これで安心。

伊藤英一郎(イトウエイイチロウ) 8期生 第21期八翔位,第12,18期名翔位
101競技連盟の対局にも出場する唯一のダブル登録選手である。最高位戦Aリーグでも常に好成績を収めている印象が強いため,伊藤がいまだに最高位を獲得していないというのは不思議なくらいである。101競技という他ルールもこなす幅の広い麻雀で,いざ初戴冠へ。
「いつもと変わりません。ポジティブなんで,負けることなんて考えてまっせーん♪」
いつも明るいです。テンション高いです。麻雀のこととか,何を聞いても快く答えてくれます。今回のコメントをもらうときも「テンション高いんで,負けることなんて考えてまっせーん♪」と明るく答えてくれました。しかし,筆者にはどうしても「テンションの高さ」と「負けることを考えないこと」の因果関係がわからなかったので,上記コメント欄では筆者が「ポジティブ」に替えといたのは内緒です。

尾崎公太(オザキコウタ) 22期生 第29期最高位,第7期優駿位 ▲
1年間で最高位と優駿位の2冠を獲得したのは記憶に新しい。コンスタントに決定戦出場を決めていたが,昨年は久々の下位に甘んじた。飯田・金子以外で常に優勝候補として名が挙がるのは,この尾崎ぐらいであろう。
「去年はふがいない成績でしたが,今年は万全の状態で臨みますので期待してください!」
麻雀って,評価が難しいゲームだと思うんですね。そんな麻雀というゲームで,誰に聞いてもあいつは強いという答えが返ってくる人って,なかなかいないですよね。実は,筆者にとって初めてのそんな人は,尾崎公太であったわけです。筆者はどうしても尾崎が負けるところを想像できない。というわけで,今回の予想でも▲をつけてみました。

石橋伸洋(イシバシノブヒロ) 28期前期生
トントン拍子でリーグ戦を勝ち上がり,2年前からAリーグに参戦。この2年間はあまり良い成績とは言えなかったが,Aリーグで初めから好成績を残せる者などそうそういるものではない。Aリーグを2年こなして出場する今期,石橋の真価が問われることになるであろう。
「決定戦を目指してがんばります。Aリーグにビビることはなくなってきたんで,今期は思い切りよく打ちたいと思います!」
「最高位を目指して」と言わずに「決定戦を目指して」と言っている時点で思い切りよくはないと思うが,ほんとうに大丈夫であろうか?まあ,おそらくこれも,「謙虚な人」アピールであると思うので,だまされてはいけません。

上野龍一(ウエノリュウイチ) 22期生
Aリーグ在籍後の成績はあまり芳しくないが,それでも残留を続けているところに上野の勝負強さを感じることができる。相手の攻撃を受けたときに「1牌勝負」に持ち込むのがうまいという印象。すなわち,回って回って,テンパイと同時に出る1牌を勝負するところまで持っていくのが非常にうまい。主戦場はサンマ(3人麻雀)であり,そこで培われた押し引きと手牌読みを最高位戦ルールにうまく還元することができれば,決定戦出場の可能性も高い。
筆者はタイトル戦の本戦で2回ほど上野と同卓したことがあるんですが,そのときの印象は,「いってるんだかオリてるんだかわからない」でした。上記の通り,回って回って最後にとんでもない勝負牌が出てくるので,そこで初めてビックリすると。しかも,同じようなテンポであっさりとそれが出てくるので,同卓者3人が「えっ!?」という目をしたのを覚えています。あまりいないタイプの打ち手だと思うので,一見の価値ありです。

村上 淳(ムラカミジュン) 22期生
最高位決定戦出場経験も持つ村上がまさかの降級をしたのは,一昨年のこと。しかし,大混戦のB1リーグを1年で切り抜け,ダントツの昇級で今期からAリーグに復帰。以前,オカルトバスターズという企画を雑誌で連載しており,デジタル派の先頭に立つ選手の1人。村上を師と仰ぐデジタル派の若手も多い。
「B1に落ちたことで,一回り強くなって帰ってきました。」
B1に落ちて結構ヘコんでるのかなあなんて思っていたら,たった1年でAに復帰。で,このコメント。村上にかかれば,B1に落ちたことも最高位への糧になってしまうのか!?こんな風に何でも成長の糧にしちゃう人って,ほんとに麻雀強いなあと思いますよね。最近,結婚式も挙げて私生活も充実している村上であるが,「幸せ量保存の法則」(なんじゃそりゃ)からすると今期は苦戦の予感?

大柳 誠(オオヤナギマコト) 24期生
一昨年のB1リーグを圧倒的な強さで勝ち上がった大柳だったが,昨年初出場のAリーグでは終始マイナスポイントを重ね続けた。しかし,1度Aリーグを経験して臨む今年は,B1リーグのときのような圧倒的な強さを見ることができるかもしれない。
「昨年の正直な気持ちを言うと,飯田さんや金子さんと打ててうれしかったという気持ちがあったんですね。けどAリーグにも慣れてそういうのもなくなったんで,今年は大丈夫だと思います。昨年はギリギリ残留だったんで,まずはそうならないようにがんばりたいと思います。」
今期は大柳にとって重要な1年となりそうな予感。というのも,大柳が師と仰ぐ村上と初の同リーグなんですね。村上を必要以上に意識しなければいいなと思います。大柳は体が大きいため,よくサイドテーブルにぶつかるんですが,そのとき大柳は「サイドテーブルがぶつかってくるんですよー」と言ってのける。それぐらいの気持ちで臨めば,上位が見えることでしょう。本人も、とにかく対局を楽しみたいと言っていました。

正直どの選手も決定戦に残りそうに思えてきてしまうので,筆者予想を付けることに大変苦労しました。そんな選手たちが繰り広げるアツイ戦いを観に,次節以降もぜひ会場にお越しください!

※選手紹介の順番は,期首順位の順。文中敬称略。

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