コラム・観戦記

第34期C1リーグ最終節観戦記

16人中2人という少ない昇級枠に、全5節の短いスプリント勝負。
C1リーグは実力者泣かせのリーグである。
幾多の挑戦者がBリーグを目前にして厚い壁に撥ね返され、涙を飲むのを眺めてきた。
今回も赤組白組あわせて32名が憧れの年間リーグB2リーグへの昇級をかけて争う。

前節までの成績

C1リーグ後期(赤組)第4節終了時スコア
1 宮本 祐子 353.3
2 松本 浩司 202.2
3 真殿 貴 136.6
4 長谷川 聡 99.7
5 志村 友基 93.5
6 相島 翔 57.4
7 栗田 寛 11.7
8 佐野 秀一 -29.7
9 淵田 壮 -39.1
10 神谷 ゆき -45.2
11 大関 忍 -48.9
12 長南 雅明 -54.5
13 斎藤 巧也 -79.6
14 河本 智彦 -117.9
15 大竹 信秀 -222.7
16 工藤 恵 -321.8

C1リーグ後期(白組)第4節終了時スコア
1 佐藤 慎也 244.1
2 小池 美穂 183.0
3 浅井 裕介 171.9
4 白鳥 ケイタロウ 100.9
5 依田 暢久 63.8
6 武田 哲也 45.6
7 萩原 裕太 27.2
8 石井 あや -26.4
9 橋本 辰徳 -28.7
10 仲山 真史 -33.6
11 粟田口 能久 -43.3
12 太田 元基 -64.8
13 関元 宏純 -119.6
14 谷崎 舞華 -154.9
15 塚本 泰隆 -158.6
16 近藤 加那子 -214.6

全5節。1~2位がB2リーグへ昇級。10~16位がC2リーグに降級。

まずは赤組。さすがに宮本の昇級は決まりだろう。
注目は松本・真殿・長谷川の2・3・4位直接対決。ポイントと並びを考えながらの熾烈な争いになりそうだ。
3人が揃ってマイナスするようなことがあれば、5位志村も僅かにチャンスありか。

つづいて白組。こちらは首位の佐藤が頭一つ抜けてるが小池・浅井を含めて三つ巴の戦い。
小池と浅野は同卓のガチンコ対決!4位白鳥と5位依田も佐藤と同卓だけに最後まで諦めずに昇級を狙う。

白組C卓(橋本・浅井・萩原・小池)

1回戦
東2局、親の浅井が3巡目に早くもイーシャンテン。しかしもっと早かったのが萩原。
5巡目に小池からイーペイコウドラドラ5200出アガリ。そのまま東場は萩原がリードして南場へ。

南1局2本場 ドラ
前局に役牌を仕掛けて1300オールをアガった親の橋本。またも仕掛ける。

のこりツモ2回というところでをツモって發ホンイツドラの満貫。5万点近くまで突き抜ける!

同3本場、こうなると浅井・小池は相手よりも上の順位を目指す形か。
そんな2人の思惑を打ち砕くように橋本が仕掛けて1000オールツモ。まだまだとまらない。

同4本場、萩原が親を流すべく西・東と仕掛ける。が、実は2つ鳴いてリャンシャンテンのブラフ仕掛け!
しかし南・北も場に見えてないだけにまわりは対応させられ、橋本も河に1メンツ並べてしまう。
北を頭にしてテンパイし返した橋本がリーチ。結果は橋本・萩原の2人テンパイ。

同5本場、小池が仕掛けて白ドラドラ1000・2000をアガってようやく長い親が終わる。

南3局 ドラ
親の萩原が6巡目にリーチ。

一発目に小池にを打たれて熱っ!
しかしすぐにツモって裏ものせリーチツモ三色ドラウラ6000オール。

南4局
橋本   49400
浅井   12300
萩原   41900
小池・親 16400
上2人のトップ争いと、下2人の昇級をかけた3着争い。

ここは萩原があっさり仕掛けて北ドラ2000をアガって終了。

橋本 +47.4
萩原 +23.9
小池 -23.6
浅井 -47.7

小池しぶとく3着を確保し浅井との差を30Pに広げる。

赤組A卓(長谷川・真殿・松本・長南)
赤組注目の2・3・4位直接対決。1回戦は松本1着、真殿2着、長谷川3着と差が広がる展開に。
残る1人長南がキーパーソンとなるのか。

2回戦
東1局
親の長谷川がタンヤオで積極的に仕掛けると、長南が長谷川の現物カン8ソーで三色ドラドラテンパイ。
脇の2人が受けに回るなか、長谷川が長南に満貫放銃。長谷川苦しいスタートとなる。

東場は長南リードのまま進み南入。
松本は終始受けに回る展開、ポイント差を考慮して残り3半荘逃げ切るつもりか。

南1局1本場 ドラ
親の長谷川が仕掛けてイーシャンテンのところに、長南が10巡目リーチ。
長谷川

長南

さらに長谷川をポンしてのシャンポンで親のハネ満テンパイ!
が3枚見えていて長南の待ちは確かに優秀に見えるが、トップ目ということを考えるとハイリスクか。
しかし長南力強くツモ、ウラドラ表示牌も。リーチタンヤオツモドラウラウラ、3000・6000。
引き弱と言われる長南らしくないツモで3人を突き放す。

2着争いは真殿が頭一つ抜け出し勝負はオーラスに。
南4局
長谷川  21000
真殿   30600
松本   21600
長南・親 46800
松本が仕掛けると真殿も仕掛ける。
真殿は2着キープはもちろんだが、トータルポイント的に松本をラスにしたいところ。

松本はと自風ののシャンポンテンパイからドラを持ってきて回る。
その間に真殿はホンイツテンパイ、長谷川も必死のドラ単騎でチートイツテンパイ。
結果は2人テンパイで流局。真殿・長谷川のタッグで松本にラスを押し付ける。

長南  +45.3
真殿  +12.1
長谷川 -17.5
松本  -39.9

真殿、トータル2位の松本との差を40P弱に縮める。

白組A卓(佐藤・白鳥・依田・武田)
2回戦が終わった時点で佐藤が+30Pとポイントを伸ばすなか、他の3人は仲良く-10P。
ボーダーとの差も広がり苦しい展開。

3回戦
東3局2本場 供託2000 ドラ
7巡目にを仕掛けた依田、カン待ちと苦しいがリーチ棒2本を取りにいった。
続いて白鳥も仕掛けてテンパイ、こちらはの形の二面張。
依田は危険牌を掴んで迂回、元々ツモれたらラッキーぐらいのかんじ。
結局白鳥がをツモって500・1000は700・1200。
供託もゲットして小さなトップ目に立つ。

南1局1本場 ドラ
親の白鳥の7巡目

の形からを789の形でチーして切り!
牽制の意味もあるだろうが、トップ目で親番を捨てる気か!

その鳴きでテンパイを入れた佐藤9巡目にリーチ。

軽やかにツモるかと思われたが結果は流局。
手牌を短くした白鳥もなんとかオリきり凌ぎきる。

南3局3本場 供託2000 ドラ
供託と本場が大きい。この局を制したものが大きくトップに近づく。
親の武田が仕掛けると依田がリーチ。
武田

依田

さすがに武田が有利か?
すぐに武田がツモって500は800オールでリーチ棒3本ゲット。
武田、このアガリでラス目から2着に浮上。

その後、武田は小さなアガリとテンパイ連荘で6本場まで積み上げる。

流れてオーラス。
南4局7本場
白鳥   38200
佐藤   25900
武田   34600
依田・親 21300

白鳥・佐藤が相次いで仕掛ける。
本場が大きいだけに何が起こるかわからない。そんな運命のオーラス。

結果は佐藤が南ドラ500・1000は1200・1700をアガりきる。
白鳥はイーシャンテンで佐藤の当たり牌が浮いた形。
まさに危機一髪でトップを守りきった。

白鳥 +37.0
武田 +13.4
佐藤 -10.0
依田 -40.4

最終半荘を残すのみとなったところで、
赤組は宮本250P、松本164P、真殿144P、相島134P。宮本は当確で残る3人の三つ巴の戦い。
松本・真殿は同卓なので着順勝負、別卓の相島はポイントとの勝負となる。
長谷川はボーダーから80P離されてしまったが、同卓の2人と並びを作っての大トップに賭ける。
一方白組は浅井が転落、3位の白鳥もボーダーから120P離されてしまった。
昇級は佐藤・小池の2人で決まりだろう。

赤組A卓(長谷川・長南・松本・真殿)

4回戦(最終戦)
東2局 ドラ
松本のホンイツと真殿のチートイツドラドラがぶつかる!
真殿、松本の現物の単騎でテンパイするが、松本の当たり牌を持ってきてやむ得ず待ち変え。
健闘空しく松本ツモ。

ツモ

發ホンイツ1300・2600をツモリ、まずは松本がリードする。

東3局 ドラ
この日のハイライトとも言える1局が訪れる。
9巡目に長谷川がリーチすると、テンパイしていた親の松本が追っかけリーチ!
そして松本が一発ツモ!

 ツモ

リーチ一発ツモ三色ドラドラ6000オール。
松本にとっては会心の一撃。
真殿・長谷川にとっては痛恨の一撃。
松本5万点のトップ目に。

東3局1本場
しかし長谷川も諦めてはいない。
發ドラ3をツモって松本に親かぶりをさせて喰らいつく。

東4局
こうなるとラス争いとなった真殿は苦しい。
松本との点差は36000点、遥かな道のりに感じられる。
そんななか長谷川・松本の2人が相次いで仕掛ける。
親ながら対応させられる真殿、我慢の時間帯が続く・・・。

南1局
親の長谷川、ここでアガり続けて並びを作らなければならない。
大連荘か大きなアガリが必要だ。
積極的にリーチをかけるも1人テンパイで流局。
前へ前へ進み続けるしかない。

南1局1本場
長谷川、仕掛けて必死にタンヤオドラドラをテンパるが、真殿の南トイトイに刺さってしまう。
真殿、いまだ3着目で松本との差は3万点。しかしオーラスの親番にかけて最後まで諦めない。

南3局1本場
前局仕掛けて連荘した親の松本がまた仕掛ける。すると長谷川、真殿が相次いでリーチ!
手詰まった松本が真殿に一発で放縦。
メンピン一発ドラ、8000は8300。真殿、執念で松本から満貫をもぎ取る。

南4局
長谷川  43500
長南    8300
松本   41500
真殿・親 26700

真殿は、とりあえず松本をまくること。
松本は、トップならほぼ確実。2着でも今の点数なら別卓の相島が5万点以上のトップでなければOK。

そんな中、8巡目に長谷川がリーチ。
前に出るしかない親の真殿からメンタンピンドラの満貫を出アガり、トップをものにした。

長谷川 +51.5
松本  +21.5
真殿  -21.3
長南  -51.7

一方、別卓の相島は一歩及ばず2着で終了。
最終結果は下記のようになった。

C1リーグ後期(赤組)最終成績
1 宮本 祐子 242.7
2 松本 浩司 186.0
(以上、2名がB2リーグへ昇級)
3 相島 翔 144.7
4 長谷川 聡 136.4
5 真殿 貴 122.9
6 大関 忍 88.8
7 栗田 寛 79.9
8 佐野 秀一 52.0
9 淵田 壮 0.4
(以下、7名がC2リーグへ降級)
10 志村 友基 -3.3
11 長南 雅明 -61.3
12 河本 智彦 -86.8
13 斎藤 巧也 -118.0
14 神谷 ゆき -154.3
15 工藤 恵 -325.2
16 大竹 信秀 -331.6

C1リーグ後期(白組)最終成績
1 小池 美穂 292.7
2 佐藤 慎也 222.9
(以上、2名がB2リーグへ昇級)
3 白鳥 ケイタロウ 143.8
4 武田 哲也 90.3
5 浅井 裕介 54.0
6 石井 あや 22.3
7 萩原 裕太 13.7
8 粟田口 能久 5.0
9 依田 暢久 -2.6
(以下、7名がC2リーグへ降級)
10 橋本 辰徳 -7.0
11 太田 元基 -72.2
12 仲山 真史 -76.6
13 関元 宏純 -119.6
14 塚本 泰隆 -131.6
15 谷崎 舞華 -141.9
16 近藤 加那子 -304.2

宮本祐子
『とにかく嬉しいです。これからがスタートだと思います。
Bリーグに向けてオフシーズンに今まで以上に勉強していきたいと思います』
周囲の予想をいい意味で裏切り、トップで連続昇級を果たした宮本選手。
B2リーグでもイリュージョン麻雀は炸裂するのか。

松本浩司
『前期のリベンジのツモリで臨んだ後期。いきなりのマイナススタートでしたが、
2・3・4節で挽回できました。素直に嬉しいです』
前期に首位から終盤転落し昇級を逃してしまった松本選手。
今回の得た経験をBリーグでも活かしてほしい。

小池美穂
『3回目のB2リーグなので今回はしがみついて戦っていきたいです。
前期は惜しい成績だったので悔しさをバネに頑張りました』
最終日はトップ3回の好成績で見事首位に輝いた小池選手。
来期B2リーグで繰り広げられる6人の女流たちの戦いも目が離せない。

佐藤慎也
『初のBリーグにようやく上がることができた。
リーグ戦前半にポイントをを重ねられたのが良かった。後半は凌いだかんじ』
最終半荘に大三元をうってヒヤリとした場面もあったが、しぶとく逃げ切った佐藤選手。
苦節9年目に掴んだ切符。胸に秘めた想いは誰にも負けない。

年間リーグとなるB2リーグからが、リーグ戦の醍醐味が味わえる本当の闘い。
見事に駆け抜けていった4人のスプリンターたちに、健闘を称えエールをおくりたいと思う。

レポーター 平賀聡彦

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