コラム・観戦記

第4期最高位戦Classic SAB級予選観戦記

今年も最高位戦Classicの季節がやってきた。

設立4期目となる、まだ若いタイトル戦ではあるが、この大会で使用されるルールは“旧最高位戦ルール”。
ご存知の方も多いと思うが、最高位戦は最も古くから存在する競技プロ団体。
現在こそ一発裏ドラのある、一般的なフリー麻雀に近いルールが用いられているが、以前はこの最高位戦Classicと同じルールが採用されていた。

 

最初にルールを簡単に説明すると、

 

・30000点持ち30000点返し
・順位点は4-12
・一発裏ドラ、カンドラカン裏ドラ無し
・ノーテン罰符無し
・1本場300点
・連荘は親のアガリのみ(アガリ連荘)
・リーチ後のアンカン禁止

 

見ての通り、とにかく何もない。
一般的なフリールールの対極に位置するルールと言っても過言ではないだろう。
私自身もこのルールを“旧最高位戦ルール”としてではなく“Classicルール”として知ったのですが、まだまだ経験が浅いので、拙いレポートになってしまうかもしれませんがご容赦頂きたい。

 

さて、この大会、システムも一風変わっています。
本日はSAB級予選。最高位戦内部のシード者のみの予選。
シード者のみ?!
そうなんです。普通シードと言えば、ノンシード者が勝ち上がった先から出てくるもの。
例えば本選から出場とか、準々決勝からとか。
この大会のシードは、シード者予選があるのです。
S級シードをもらった選手は、S級予選へ出場。
同じS級シード選手と戦い、勝てば本選へ勝ち上がり。
A級・B級・プロ予選との格差は勝ち上がり比率で付いており、勝ち上がり先は同じ本選なのです。
S級予選ともなるとそうそうたる顔ぶれ。
いくら勝ち上がり率が良いとはいえ、このメンバーの中で勝ち残るのも簡単なことではないでしょう。

 

S級a卓一回戦(飯田正人、伊藤英一郎、張敏賢、新津潔)
東1局9巡目 北家新津
ドラ

 ツモ

 

場に動きはないが、字牌が全然切れていない。
親の飯田は序盤からピンズとソーズのチュンチャン牌をバラ切り。
そしてたった今ション牌の
を手出し。

 

新津はこのを切らず、この局をここで捨てた。

 

次巡、飯田はション牌のを手出し。
Classicルールの経験が浅い私でも、「入ったか?」と感じる
だ。
すぐに伊藤の打牌を捕える。

 

 ロン

 

新津のはまだ間に合っているし、形だけ見れば鳴かれないことの方が多いだろう。
しかしこのルールの7700は決定打であり、致命傷である。
自らのアガリ以外失点の挽回がきかず、またアガリ連荘なため局数も少ない。
上記の手恰好から万が一も7700放銃したら目も当てられないだろう。

 

東1局1本場8巡目 北家新津
ドラ


 

上家の張がR*をポンしていて、ピンズのホンイツ模様。
ソーズは場に安く感触十分だが、丁寧にヤミテン。
リーチでも悪くないと思うが、それよりも「1300/2600で十分」ということだろう。

 

新津は現在もう第一線を退いた選手だが、古くからこのルールで戦ってきた選手だ。


この2局を見て、さすがS級選手だと感じさせてくれた。

 

この日はA,B級予選も同時に開催されていたが、やはりS級だけレベルが違うように感じられた。
一般ルール慣れしすぎているせいか、それとも単純に経験が浅いだけか、若手選手の中にはルールに対応しきれていない者も見かけられた。

 

例えば、

B級一回戦
南2局1本場 南家31200点持ち
ドラ

 

ここから打とする。
一発裏ドラのあるルールなら
で構わないのかもしれないが、Classicルールでドラ受けと下の三色を捨ててしまうのはもったいない。
としてソーズのイッツーを主眼として進めるか、打として下の三色に狙いを定めるかの2択ではないかと思う。

 

A級一回戦
東4局10巡目 北家 28000点持ち
ドラ

 ツモ

 

親(下家)の河が、



 

となっていて、からはすべて手出し。
が2枚切れているだけで、単純にピンズに寄せたように見える。
実際はこの形でテンパイ。
東家10巡目(34600点持ち)


 

はカラ切りであり、打でテンパイが入っている。
ここの河に対し、打
とする。
非常に危なっかしい。本手に刺さってもおかしくない
だ。

 

ちなみにこの二人、持前の攻撃力を生かして持ち直し、本選進出を決めている。
シードになるほどの選手である。そこら辺はさすがというべきか。

 

そういえば歴代Classicを見てみると、第1期の立川、第2期の飯田はこのルールを主として闘っていたし、第3期の下出も競技歴はベテランと変わらない。
まだまだ若手の台頭は難しいか。
いや、それでももう4期目である。
ベテランの壁を打ち崩す若手選手が現れることを、今期は期待したい。

 

文責:佐藤聖誠

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