コラム・観戦記

第34期Aリーグ10節 張自戦記

*これは昨年秋に書いたものに若干加筆したものです。 

HPリニューアルのゴタゴタで掲載が大変遅れてしまいました。 

申し訳ありません。 

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三期ぶりのリーグ戦となった今期も早いものであと3節―。

ここまでの成績は-50p余り。

ここ数年の充実した結果から見れば、何とも物足りない成績かと思われても仕方のない所であるが、私自身としては納得している。今年は訳あってどうも卓から気が離れがちで、燦々たる結果となっていてもおかしくない内容なのだが、ギリギリの所で踏み止まれている。

そしてその一点で、ほんの僅かながらの満足を得ているのである。

この日の同卓者は金子、水巻、上野。水巻以外の3人は大きなマイナスさえ背負わなければ良く、ほぼチャラの水巻は大きなプラスで上位戦線に食い込みたい、といった所でスタートしたこの日の対局。振り返ってみると、一回戦目の開局から何局かの展開、結果が、そのまま1日のそれとなった感があった。

東1局 西家 ドラ
この日の序盤戦、私の調子は決して悪くはなかった。現に開局の僅か4巡目にして、このテンパイとなる。

は親の上野が2巡目に切っていて、私は2巡目にの形からを切っていた。通常ならフリテンの可能性など無視してを切る所だが、ここまでの16枚の捨牌が偏っていて、マンズが全く切れて無く、6枚がピンズだった。上野は3巡目に手出し、南家の金子は切り出しからと手出し、次巡ツモ切り、北家の水巻は2,3巡目にと手出しである。カンで即リーでも良い、むしろ行かねば駄目だという者がいてもおかしくない局面である。がしかし、親の上野の手がまとまっていそうという事もあって、その選択は今の私にとって勝気に溢れ過ぎる気がする。結局引きに期待してを切った―。

ここまではまだ良いとしても、問題は次巡である。ツモと来てなぜかを切ってしまう。前巡に絶好のカンを外したならば、リャンメン以上のテンパイを求めなくてはいけないし、最悪でもシャンポン形にはしたい。そう思っていたはずなのに、たった1巡で頭から抜けてしまう。当然すぐに後悔するものの、ソーズで手替わりすれば同じだし、そのままツモる事もある、と気を取り直した私を嘲笑うかの様に次巡ツモ。自分を呪いながらツモ切りし、次次巡(8巡目)のツモの直前で、上野と金子にツモ切られたを見た私は自棄になってと入れ替え、場に高く全く感触の無いマンズの一通を見たイーシャンテンに戻した。

そしてツモ切りを繰り返していた上野から、10巡目にリーチが入った所でツモ
  
ようやく念願のツモを手に入れたものの、上野の河にはマンズが一枚も無い上、これまでの展開を加味すれば勝負にいけるはずもなく、を落とす。この時点では7枚見えていたが、上野はいずれも切っていて、上手くいけばピンフでかわせそうだ。実際その後三人が一枚ずつ切るのだが、それはツモ切りを繰り返し、6巡後の最後のツモでを引いてくる前だった。
流局して開けられた上野の手はメンピンで、マチは。一発で飛び込まずには済んだのだが、上野はリーチ後直ぐにも持って来ていて、普通に打てばどうやっても私の一人テンパイか上がりであった局であった。本当にありえない様な局だが、今期の私を象徴している局でもある。

とにかくこの日も、開局早々先行きに暗雲が立ち込めてしまう。

こんな失態で親の連荘を許してしまえば、大体親に良い目が出る物で、実際次局、次次局と上野から先制リーチが掛かるが、1人テンパイで流局が続く。開けられた手はどちらも愚形で、どうやら上野もあまり良い出来では無さそうだ。
迎えた3本場もドラがという事もあって重い展開となっていたが、開局からこれまで手になってなさそうだった南家金子が終盤にチーテンを入れ、流局寸前にとドラののダブルバックを安目ながらツモあがる。5200+3900のおまけ付き。
    ツモ

このアガリを見て、次の親を迎える金子に持っていかれるものだと思っていたし、金子自身もそう思っていたに違いない。
東2局 ドラ 
私の配牌は見るも無残な物。予想通り金子に明らかに手が入っている様子で、それを隠そうともしていない。私は遠い789のチャンタ三色を見ながら、いつ金子からリーチが来てもいいように安牌を抱えて打ち進めていると、5巡目にリーチと発声したのは水巻。
()  ()がツモ切り                    
と切ってのリーチ。決着はすぐ付いた。7巡目に金子が僅かに逡巡した後河に投げたのは。これに水巻から声が掛かる。
    ロン
リーチイーぺーコーの2600。しかしが裏ドラになって8000となる。

金子は からツモ放銃となった。
金子の手牌、切りが手広いが、ここまでに3枚引いたマンズに感触があったのか。

上野がソーズに寄せていた事もあって、真直ぐいった形に近い所であろう。ツモに弄ばれ出ていった、そして裏3。感触良く迎えた親番でまさかこの結末とは・・と金子の表情が語っていた気がした。

しかし思い切ったのは水巻である。3巡目にを切った所でこの形。

ここにのツモ切りを挟んでツモでリーチ。待ちは一枚使いのペン。状況的には親の金子とぶつかりそうで、上野は明らかにソーズに染めているし、ドラのは見えてない。

 

最もドラに関しては、1打目からかなり変則的な打牌の私と上野は配牌の時点ではトイツで入っている事は考えなくて良いし、金子も気配を出し過ぎなので持ってない、と読める局面ではあった。
がしかし、山にいる確信が持てない1枚使いのペン。親の金子がすぐに追いついて来る事は明白で、いくら早いといっても、Aリーグではスジを頼りに切られる事の方が少ないであろう。あがった所で裏がないと2600でもある。

やはりあまり良い選択ではない気がするが、勿論水巻もこんな事は分かっていて、リスクは覚悟の上での決断だったのだろう。大きく浮かなくてはいけないこの日。もしかすると、ノーテン続きで点棒が削られ、若干焦りもあったのかもしれない。しかしともかく、水巻は賭けに勝った。しかも最高の結果で・・。

冒頭に述べた様に、ここまでの展開、結果がこの日の結果そのものとなる。水巻以外の3人はどこか歯車が噛み合わず、結果的に水巻の4連勝で終わった。3半荘目までは満貫を1回、2回、1回と上がり、後はおとなしくしていれば脇がやりあって労せずしてトップの展開―。全く羨ましい。

私は1回戦目、2回戦目とオーラスで捲るチャンスがあったのだが、これが実らない。もっとも紹介した局以外にも、酷い選択で上がり逃しを重ねているので仕方のない所なのかもしれないが。

一回戦目のオーラスは6巡目にこんなリーチ。
  ドラ
点差は6600点差で、水巻は親番。ツモか裏1ならトップという所で、待ちにも自信がある。2着目の上野からすぐに出上がるも裏は乗らず。

2回戦目も6巡目にリーチ。
  ドラ
今度はツモって裏1の満ツモ条件。入り目はカンで4枚使いだったを一枚外してのリーチ。こちらも感触十分。巡目も早かったので、僅差で競っていた上野から出ても見逃すつもりだった。3巡ほどツモ切った所で、ラス目の金子がリーチ。悪い予感しかしない。
  
案の定このリーチに一発でを掴みラスまで落ちてしまう。たられば、であるが今度は裏が乗っていた。

こんな時には乗ってなければいいのに、といつも思うのは私だけだろうか・・・。

3回戦目ではまたも東1局に大ポカをしてしまい、それ以降全く手が入らず。結局上がらず、振らずで何も出来ないまま3着で終わる。
ここまでで約-30p。あいかわらず酷い内容ながら、まだ許容範囲の成績であるが、徐々にじり貧になって来ていて、最終戦を前に嫌な気しかしない。

最終戦が始まるとその不安は現実となり、開局早々起家の上野が6000オールの後、何とここから7局連続で失点してしまう。最高でもリー棒付きの満貫ツモの失点であったが、塵も積れば何とやらで、10000点余りを失う。その間にこれまで3連勝の水巻は着実に上がりを重ね、東ラスの親番を迎えて二人テンパイ、一人テンパイ、2200オールで上野を捲り、12900を金子から上がって更に突き放していた。今回は完全に独壇場である。

連続失点を重ねる内にダンラスとなり、それまでの酷い内容もあって完全に惰性で打っていた私であったが、金子が放銃して僅かながら私より下になった事で、少しだけ正気を取り戻した。

その次局の配牌。
   ドラ
相変わらずの手格好である。4巡目までにと引いてこの形。

これでも冴えない事には変わりない。ドラのも1枚という事でチートイになればいいかと思っている所に次巡ツモ

切ってチートイの目を残しながら、カンチャンのどちらかが入ればドラ切りか、と一瞬思った。と同時に、そんな考えを一瞬でも持ってしまった自分を恥じた。今までの自分ならありえない選択で、いくらなんでも酷過ぎるからである。ぼんやりとしていた頭が急に冴えて来るのが分かった。自分の麻雀ならば、この状況ではこの牌しか切る物がないではないかー打
すると次巡ツモで形が出来上がる。ようやく捉えた―。

2巡のツモ切りを挟んだ9巡目にを引いてテンパイ。は上野と金子が序盤に切っていて、水巻が掴んでも切りそうな河である。そっと息を殺し、一矢報いるチャンスを待つ。すると11巡目に下家の金子が放ったを、水巻が少しためらいながらもカンチャンでチー、そしてを切って来る。これも上がれないのかと思ったが、上野が流れて来たツモを水巻の河を見ながらツモ切りしようか迷っている様子を見て、その牌がである事を確信する。結局その牌は上野から放たれ、水巻の4連勝が決まった。おめでとう。
そのまま何とか2着で粘り、結局6000オールスタートの上野がラスで最終回は終わった。

 

この日も酷い内容で崩れかけたが、ギリギリの所で踏み止まる事が出来た。果たして最後まで持ちこたえられるのかは自分でも分からないが、今の精一杯で取り組むしかないであろう。

選手としての活躍を期待してくれる方々には本当に申し訳なく思う。

これまでの道のりと同様、どうも人とは違う道を選んでしまうようだ。成績は振るわなくても、自分では進んでいると確信しているのでご安心を。

自戦記なので好き勝手に書かせて貰いました。仕上がりが遅くなり本当に申し訳ないです。その割にはあまり時間かけられず、読み苦しい所あると思います。

 

張 敏賢(文中敬称略)

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