コラム・観戦記

【發王位を連覇するまで その2】

第20期發王戦決勝。自身2度目の決勝進出でした。
対戦相手は、
石橋伸洋 最高位・發王位
竹内孝之 プロ協会
佐藤崇  最高位戦

すごいメンツが出揃った。
石橋は現發王位としての防衛戦であり、私の初決勝である36期最高位決定戦の覇者。
竹内は第15期の發王位。
佐藤崇は13期以来2度目の發王戦決勝進出。最高位戦もAリーグで決定戦進出経験が2回。
私以外は3人とも過去に發王戦決勝経験がある。これ以上無いくらいのメンバーです。

そして私にとって大切なことがもう一つ。それは石橋伸洋へのリベンジマッチ。
『石橋にだけは勝たれたくない』
正直、決勝メンツを見て一番最初に思ったことがこれでした。
もちろん自分が勝つに越したことはないけれど、最高位と發王位2冠の石橋に勝たれてしまうと、完全に石橋時代の到来。
しかも自分は2度も決勝の舞台に立会っているわけですから、ここで負けたら石橋に完膚無くやられたように映ってしまいます。
「石橋時代に待ったをかけるのは自分でありたい」という想いも強く持っていましたが、石橋に勝たれてしまうことの方が怖かった覚えがあります。

それ以外には特に気負っておらず、知った顔が相手だったこともあり、かなりリラックスして挑めたと思います。決勝が準決勝の翌日だったことも大きいんでしょうね。間が空くとあれこれ考えてしまって、やはり気負っていたかもしれません。

最高位決定戦では最初かなり緊張していて力を出し切れなかったので、發王戦決勝では極限までリラックスして挑みました。どうせ会場入りしたら緊張しちゃいますから、リラックスしすぎなくらいがちょうど良いと思ったんです。

前置きはこれくらいにして、麻雀の話に入りましょう。
私にとって最高位決定戦に続き2度目の決勝戦。戦い方に意識を置いていました。

1回戦での私の攻撃は、

東2局 リーチ        ツモアガリ
東3局 親リーチ      追っかけリーチに放銃
東4局1本場        メンゼンかわし手をダマテンで出アガリ
南1局 リーチ       ダマテンのかわし手にかわされ
南2局 追っかけリーチ  先行リーチ者から出アガリ
南3局 親          メンゼン勝負手をダマテンでツモアガリ

なんと一度も仕掛けていない!

当時は今よりもメンゼン寄りバランスだったこともありますが、最高位決定戦での石橋・曽木のマッチレースが頭から離れなかったのです。
最終日をニコ生・DVDでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、本当に手に汗握る展開でした。
私はそれを特等席で観ることができ、そこからいろんなことを感じました。
「そうか、決勝とはこう戦うものなんだ」
漠然とこう思った覚えがあります。


決勝は特殊ステージ。決勝には決勝の戦い方というものがあり、ルールや相手が同じでも全く違うものになるのです。
今は更に経験を積んだので当時とはまた少し違いますが、当時は「普段より踏み込みを深くすること」「特殊な状況に陥ったときの押し引き」などを意識していました。

最高位決定戦が初めて放映されたあの日、私の席からみえた景色は、そりゃあそのときは必死でしたけど、思い返して最初に出てくる言葉は『うらやましい』で、何度思い返してみても最初はやっぱり『うらやましい』しか出てこなくて、自分もあんな風に戦ってみたいなあと思ったのです。


私が初タイトルを獲ったこの決勝を簡潔にまとめてしまうと、石橋・曽木の戦い方に憧れて、憧れ補正がかかったバランスで挑み、いろんなものに恵まれたこともありうまく結果が出てくれたというものでした。

次の記事からはちょっと牌譜を出してみます。

つづく

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