コラム・観戦記

第35期最高位決定戦⑨

18回戦、先ほどまで好調だった飯田は東1局の放銃を皮切りに点数を減らし続け、

東4局の私の連荘中に箱を割ってしまう。逆に自分は東場だけで7万点近くまでリードを広げ、

南場で少し減らしたものの余裕のトップ逃げ切り。途中解説を入れたい局もいくつかあるが、

何よりも東一局の飯田の仕掛けが印象に 残った半荘だった。


これでトータルポイントは次のようになった。


村上60.7
佐藤-9.3
水巻-22.5
飯田-32.9


残 り半荘2回、相当有利に決まってはいるが、気持ちに変化はなかった。

とにかく、逃げてはいけない。当然無謀な攻めは論外。今まで通り、メンゼンで先手を取 れば

怖くてもリーチ。リードしているからと言ってかわし手を多用してはいけない。

自分のバランスを崩すことだけはしてはいけない。冷静に、いつも通り。
東1局、そんな自分を試すかのように10巡目テンパイ。

 

ドラ 裏ドラ

 

7巡目にドラ表示牌を手出しした親の飯田がと連続手出し。

崇も水巻もオリてはいない(水巻はのあわせ打ちでオリ気味に見えたが…)。
普通は片割れのが拾いやすいわけでもなく、の片アガリのヤミテンだろう。

他家から攻撃されたら素直にオリる、それで全く問題はない。
だがしかし、この巡目はギリギリ先制リーチが通用する巡目だ。

飯田もイーシャンテンから危険牌2枚になればオリるはず(実際にはリャンシャンテンであっ た)。

この自戦記で書き続けていることであるが、自分の中での最悪はヤミテンにしたせいで他家に

テンパイを入れさせてしまうこと。もちろんヤミテンからオ リに回るのがベストの局もあるが、

この局はまだそこまでの場況ではないと判断した。
よって、ものすごく怖いけどリーチ。こんな大舞台だからこそ、現在首位を走っているからこそ、

やはりリーチなのだ。

書き忘れていた気がするが、この日の麻雀は全てDVD撮影されていた。

下の会場では4人の手牌がモニターに写され、実況や解説までついている。

このリーチが親に追いかけられ放銃にでもなれば、バッシングの嵐は避けられない。

4巡後、もっとも恐れていた飯田からの追いかけリーチ。
そ りゃそうだ、そうそう毎回うまくいくわけはない。先制リーチをした瞬間、その後起こりうる

全ての出来事は覚悟の上だ。仮に一発で親マンを放銃したとして も、後悔はない。

日本オープン決勝、トップ目から鎌田にハネマンを放銃した時と同じ心境だ。

こうやって勝って来たのだから、同じようにリーチ。結果が最悪 であろうと、

それは自分の実力なのだから仕方なし。
今回は飯田の一発ツモ、4000オール。放銃にならなければじゅうぶんな結果だ。

ヤミテンでいれば他の2人から1300を拾えていた可能性も少しはあるが、

それは自分の打ち方ではない。これでいいのだ。

続く一本場、4巡目にこうなった。


ドラ

自分の打ち方的には引きで即リーチを打つので、イーシャンテンにはとる。

さて、どちらを切るか…
場にはすでにが二枚、くっつきの効率だけ考えたら切りだが、

自分は必ず打点を追うタイプ。のサンショクがある以上、打だ。


次巡、ドラを重ねた。


もションパイであればここでを切る手もあるが、

5巡目にしてが一枚ずつ切れ。切りでリャンシャンテンに戻すのもありだが、

万が一の引きも考えて打
次巡、残したをくっつけ、後は一本道。安目引きテンパイだったが、ツモ裏で30006000に仕上がった

 

 

ドラ 裏ドラ

 

 

 

次局、土田さんや来賀さんにはミスと言われたが、自分の中ではミスではない。

(牌譜、5巡目の切り)

 

 

 

から1メンツ出来るかもしれないことくらい誰でも知っている。

自分のバランスでは一枚切れのくらいを残すほうがバランスが良いと思うからだ。

結果四暗刻を逃した可能性もあるが、全く後悔はない。

 


次局のペン待ち即リーチは

 

 

 

飯田第一打、崇4巡目と6巡目切り、この2人の捨て牌が決めてとなった。

実際にリーチの瞬間飯田も崇もを持っていない。さすがにもっとマンズが高い場であれば

このリーチは打たない。

この後は特に解説すべき局はない。飯田に再逆転を許したが、

ミスもファインプレーもなかったと思う。

この結果
村上 +88.3
飯田 +26.1
佐藤崇 -39.1
水巻 -79.3

ほぼ飯田との一騎打ち、という形で最終決戦にのぞむこととなった。

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