最終決戦…さすがに「普段通りに打つ」とは言えない。
現実的に自分と飯田以外の2人は優勝の可能性はほぼゼロなのだ。
こちらが意識しなくとも、崇、水巻の打ち方はかなり制限される。
とはいえ、方針は今まで通りだ。
「しっかり攻めてしっかり守る」飯田にだけは打たないように、とか他の2人になら打ってもよし、
といった思考は緩手に繋がる。自分が点棒を持ってさえいれば、他三人はなすすべがないのだ。
飯田だけは72200点あれば自分が30000点二着でも優勝だが、
起家を引いた時点でかなり厳しくなった。自分はもちろんのこと、自分以外の2人も
親が残っている限りはアガりに来る可能性が高いからだ。まずは、普通に打つ。
東1局、飯田の親で早くも勝負となった。
ドラ 裏ドラ
9巡目の役なしリャンメンリーチ。もはや解説の必要はないだろう。
怖いに決まっているし、ヤミテン派の打ち手を非難するつもりは全くない。
東2局、事実上第35期最高位を決めたハネマンツモ
ドラ 裏ドラ
ヤミテンでマンガンを出アガっていても最高位になっていたかもしれないし
、リーチという選択が正しかったと言うつもりはない。
ただ決定戦5日間を通して、14年間積み上げて来た「リーチの精度」「打点の高さ」が、
「村上がリーチをかけると他家三人がどう対応するか」につながっていたことは確かだ。
そして確実に言えることは、今回発した全ての「リーチ」は、その局の結果がどのようになろうとも
受け入れられるものであった。
初日のチートイドラドラツモ番残り一回追いかけも、最終日のたくさんのリーチのみも。
村上淳の個性をいかんなく発揮した上に、第35期最高位という称号までいただいた。
麻雀打ちとしてこれ以上の幸せはない。
最後にその個性をデータとして見てみると…
決定戦半荘20回、メンゼン率は90%を超えた。
別に鳴かないことが偉いと言っているわけではなく、個性がしっかり出ているなと思う。
平均打点は7080点。最終日に1000点をたくさんあがってかなり下がったが、
破壊力は証明できた。まああれだけリーチをすれば当然か…
ちなみに「第11回モンド杯」でも同じようなデータとなった。
八人で最大半荘9回と少ないが、メンゼン率はトップ、打点も上位。自分の個性と言えると思う。
今回共に戦った水巻、協会の鈴木たろう、小倉、麻雀連合の小林剛…同じ「デジタル派」でも
みな打ち方はまったく異なる。いわゆる「デジタル派」が単なる牌効率重視、速度重視でないことは自分のデータからも明らかであろう。
「デジタルなんて基本はわかってるに決まってる、
俺はその上で見えないものを見ようとしているんだ」
「基本的にはなるべくデジタルに打っている」
こんなセリフが的外れなのも理解していただけると思う。
「デジタル」=基本、効率、確率…そんなものではない。自分にとってデジタルとはそう、
牌はランダムに並んでいるという単なる真実…全ては考え方の話だ。
追記…「デジタル」とゆー言葉が誤解を生むのかな。これからは「ロジカル派」とでも言おうかしら…
こうして「2010年度三冠王」村上淳は生まれました。土田さんのおっしゃる通り、
「最高位」という称号にふさわしい麻雀を追求するとともに、その称号に恥ずかしくない
人間性を身につけていかねばならないと思っております。
最後まで読んで下さってありがとうございました!!
第35期最高位 村上淳
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