コラム・観戦記

第5期最高位戦Classic⑦

 

6回戦を奇跡的なまくり方でトータルトップ目になったが、いわゆるデジタル派の自分としては「流れにのって強気に!」とかは全くなく、また普段通りにしっかり打つだけという気持ちで臨む。

まだトータルポイントも気にせず、次の半荘も1着順でも上、1ポイントでも上を目指して打とうと思っていた。

東2局、トータル2着目の井出がトータルラス目の下出に2900は3200放銃。自分はトータルポイントを気にせず打っているのに、他で勝手にいい並びが出来上がる。いわゆる展開がいい、というやつですな。
次局も下出のアガり。2000は2200オール。この局も下出は配牌から5巡連続手出し、その後ずっとツモ切りで、自分は中盤からしっかり下出ケアができており、下出に放銃はなさそう。

自分的には「いいアガりができた」時よりも「ちゃんと場が見えてるな」と感じる時のほうが気分が良い。次局も親の下出が第1打2、第2打ダブ東といかにも「手が入ってますよ」という切り出し。この局は無事流局。

東3局、小林がヤミテンの3000・6000。

 

  ツモ 

 

自分はダブ東ポンの井出に対してすでにオリ気味に打っていたので放銃はない。もともと2着狙いだったのが、これで3着狙いに変わった。もちろん先ほど3万点差をまくっているので、どうなるかはわからないが。

次局、13巡目に高めメンタンピンのドラ1リーチ。待ちで、井出が明らかなコクシだったのでわりと山に残っていそう。実際には山に5枚。3着狙いとはいえ自分の中でリーチすべき手はリーチだ。しかし1回もツモらせてもらえず下出がツモチートイドラドラ。

 

これでトップ下出と2万点差、2着小林と15600点差で南1局の親に。

7回戦南1局    ドラ

 

この局の事は優勝した後に多くの人にこう言われた。

 

「クラシックルールであんなリーチするの村上だけだよ」

 確かに8巡目に役アリリャンメン、ダマテン12000(リーチしても出アガりは12000)、セオリーはヤミテンだ。まわりが口を揃えて言うのは「空振るのが怖すぎる」
自分の麻雀は皆が知っている通りリーチを多用する麻雀だ。リーチの理由には様々あって、例えば6回戦の親リーチのように「自分がアガれなくても、誰かがアガりを逃してくれればオッケー、もしアガれたらかなりラッキー」というブラフ気味のリーチもあれば、もっと消極的に「全くアガれる気はしないけど、ヤミテンでいるよりはリーチのほうがマシかな。もしかしたらテンパイ料がもらえるかも。まぁ追いかけられてマンガンくらい打っても仕方なし」なんてリーチもたまには打つ。テンパイ料のないルールではさすがにしないが。

で、今回のは明らかに本手である。この場合は「与えられたチャンスを最大限に生かす」リーチである。メンゼンの手が一番高くなるのは、当然「リーチ、ツモ」の2ハンが加わった時である。もちろんヤミテンでもツモれば同じ、という場合もあるが、簡単に言うと「ヤミテンの出アガりがベストとは思えない」時がこれにあたる。

今回は打点はヤミテンでも十分なのだが、他家3人の捨て牌が良すぎた。まず西家の井出が第1打。続いて南家下出が2巡目に打を持っていませんよ、と教えてくれている。

北家小林も6巡目に切り、ここにはが縦(2枚以上)である可能性があるが、とのスライドであればは一枚、もしくは0だ。よっては全山、もしくは山に3枚。の所在はわかりずらいが、小林の打がスライドであれば小林は0枚、他2人は不明。平均すると1.5枚山といったところ。
全てを総合するとは約5枚山にいるような捨て牌なのだ。自分がリーチして残り10巡ツモらせてもらえるなら、ツモれない可能性のほうがかなり低い。

もちろん、こんな初歩的な捨て牌読みは外れることも多々ある。それでも、リーチを打ちやすい理由がもう一つある。それは、6000オールならトップ目まで行くが、4000オールでは3着と400点差の2着止まり、井出から出アガりの場合は3着のままなのだ。これだけの条件が揃っていると、自分としてはヤミテンのほうが「損」であると思えてしまう。実際にどちらが得なのか数値化するのは難しいと思うが、現状でリーチ派が少数なのは間違いないようだ。

 

ひとつ言えることは、もしこのリーチが流局していたとしても、自分は自分の選択が正しかったと胸をはって言えるし、後悔はしない。それが14年間培って来た自分の麻雀なのだ。

結果はたまたま最高、次局も追加点をあげることができ、この半荘も大トップ。6000オールも次局の2600オールもツモれたことは偶然だが、リーチにはしっかりと自分の意志が込められている。

 

ニ連勝で有利な立場になって…正直、かなり優勝を意識した。ただ弱気になった時のほうが逆転を許すパターンが増えそうなので、アガりに行く時はしっかりと攻めようと気を引き締めなおした・・・。

 

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