今回から後半戦の戦いをお届けしますが、まずは2日目を迎えるにあたってしたことを。
日々の生活があるので特別に変わったことはできませんが、決勝前日の土曜日はあらかじめ休みをとっていたので、朝から卓を使って初日の牌譜を並べました。
半荘5回を並べているうちに、他三人の打ち筋やバランスがかなりわかって来て、2日目の半荘5回に対する自信がつきました。
ちなみに水巻、石橋、清原、坂本、新井が手伝ってくれたのですが、五人の客観的評価で初日の技術点は村上、小林、下出、井出の順番でした(実際には下出首位)。
最 高位戦の人間だけで検証したのですでに客観的ではないかもしれませんが、俺もその順番に見えました。要は井出さんは本調子ではないなと。とにかく少しでも 相手の打ち筋を研究しようとしたとゆーことですね。あとは夕方帰って早めに寝ました。これは普段のリーグ戦の前日と同じですが・・・。
そして2日目のスタート。6回戦の感想です。
東家スタート、10巡目に高目ツモ3900オールのリャンメンリーチ!初日と同じように高目をツモってくれと願うも、このリーチは流局。まあ特に自信のある待ちでもなかったので精神的にはなんの影響もなし。ただ三人より1000点下になったという事実は大きい。
流局をはさんだ東3局、俺がチーテンを入れた6巡後井出さんがヤミテンツモ2600オール。さらに次局、14巡目に4000オール!
正直この瞬間はこの半荘ラスだけ避けようと思った。
次局は自分が8巡目からベタオリ、10巡目に小林にメンホンテンパイ、同巡下出にドラアンコのテンパイが入る。下出アンカンをはさんで14巡目下出から小林に初牌の東で8000は9200。
おそらく下出もテンパイだったと確信、今日もやめ時は間違っていないと確認できた。二着は遠くなったが、トータルトップの下出がラスになり、自分がラスの可能性もかなり下がったので展開としては悪くない。
下出から小林への2900をはさんで東1局1本場、自分にしては珍しい2フーロ。明らかに下出もテンパイ、かなり痺れる展開だったが、下出から7700は8000を出アガりホッと一息。
これで下出はラス確定、自分は2着小林まで5100差の3着となって南1局の親番を迎えた。
おそらく、この南1局の親での選択が今回自分の優勝につながったと思われる。
ドラ
自分は9巡目テンパイ。
トップまではまだまだ遠い22400点差、東が1枚切れ(小林が2巡目に切っている)、セオリーではヤミテンだろうが自分はリーチと出た。
理由はいろいろある。
井出と小林が2人とも6巡目にを切っていて、も山生きかもしれないと思ったこともあるが、
一番は小林の手がかなり進んでいると読んだことだ。8巡目までに手出しが6回、しかも前巡には初牌の。イーシャンテンかテンパイ、自由に打たせては数巡後にアガられる可能性が高い。
リーチが流局しても小林との差は6100点だ。あと3局で逆転可能な点数。少なくとも小林がアガるよりはマシなはずだ。
そう思っての流局上等のブラフリーチ。もちろんツモの3900オールも少しは夢見ていたが。
実はヤミテンにしていた場合、次巡小林にこのテンパイが入る。
さらに12巡目、を引く。が3枚切れなのでに待ち替えするだろう。
するとすぐに下出がをツモ切る。下出は
こうなっているはずで、親の現物のが止まることはないだろう。下出から小林に1600、これがセオリー通りの結果だ。
実際には強引なリーチによってこれをネジ曲げた。小林は一発でつかんだソーズを切りきれず、12巡目のテンパイはドラのタンキ。さらに無筋のソーズを掴んでオリにまわっている。もちろん、自分が小林の立場でも親リーチには勝負しない。リーチによって相手の手を曲げる、14年間貫いて来た戦術が最もいい形で決まった、改心の牌譜である。
リーチ後に2000オールをツモったこと、その後トップの井出までまくれてしまったことは偶然であるが、少なくともこの瞬間「リーチ!」と発声できたことは偶然ではない。
観戦記では「嬉しかった」の一言で終わっていたが、実はこの「リーチ」の発声が優勝を決めたかもしれない、そのくらい大きな1局だったのだ。
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