そして、いよいよ運命の最終戦。6回戦が始まった。
ここまでのトータル
水巻 +47.8
佐藤 △0.4
平賀 △5.3
山田 △42.1
6回戦(山田―平賀―水巻―佐藤)
東1局は山田が2つ仕掛けて500オールで連荘に成功。
続く1本場 ドラ
佐藤の5巡目、
ツモ
ソウズが二度受けになっているので、を切る手もあるが、佐藤は
切りを選択。
素直にイーシャンテンにした。
ソウズは鳴くのかどうか注目していたのも束の間、すぐに絶好のを引き入れて高め満貫のリーチ。
このリーチに勝負を挑んだのは水巻。
1牌も押さずに上手く回って14巡目にこの形。
ツモ
ドラ
ポイントを持っているので放銃が怖いが、こうなったら勝負の一手だろう。を横にしてリーチを宣言。
ここででもツモれば、水巻はかなり楽になるが、すぐに佐藤が山田のテンパイ打の
を捕らえ、3900は4200。
東2局 ドラ 裏ドラ
この局最初のテンパイを入れたのも佐藤。
マンズ、ソウズにくっつけての多面張リーチが理想だろう。
ツモで3面張となるも、
が3枚切れでここも闇テンに構える。
その間に親の平賀からリーチを受けるも、絶好のツモで5面張となり当然の追っかけリーチ。
流石に待ちの強さが違いすぎた。
程なくしてをツモアガリ、大きな2000・4000。
佐藤の現状のトータルポイントはまだ届かないが、水巻が3着に落ちた瞬間に入れ替わるので、これでほぼ並んだようなものだろう。
東3局は、またしても佐藤がアガリ、水巻の親を落とす事に成功。
東4局 ドラ
(全体牌譜)
この局先手をとったのは山田。
7巡目にリーチ。
河からは七対子とは断定出来ない上、待ち牌のは前巡に佐藤が切った1枚のみ。
変則手の平賀が持っていなければ勝算は高く、山田も感触があったのではないだろうか?
実際は山に2枚残りも、このが姿を現す前に平賀が追いついた。
ツモ
そっと中を置いて闇テン。
ドラ表示牌のカンと待ちは苦しいが打点は充分。
山田の手にが対子も、1枚残っている。
平賀が、
と無筋を切り飛ばしていくも、最後の
が水巻に流れ純カラに。
後は山田のがいつどこへいくかだと思っていたが…
平賀の次のツモは。
これで三暗刻は消えるが、待ちは3面張にグレードアップ。を切り、追っかけリーチ。
ドラ
は無いが、
と
は山に2枚ずつ生きている。
形勢逆転した平賀が、16巡目に力強くを引き寄せ大きな3000・6000。
トップ目佐藤に肉薄し、初タイトル奪取へ望みを繋げる。
手痛い親被りの佐藤だが、水巻が3着目になったのでこれでトータルでもトップ目に立った。
東場を終えて
山田 21300
平賀 35500
水巻 23500
佐藤 39700
このまま終われば佐藤の連覇。
平賀も佐藤を捲れば一気にトータルトップ目に立つ。
水巻は満貫分差を詰めればOKと、まだまだどう転ぶかわからない。
南1局 ドラ カンドラ
山田はもう完全に後が無くなった。
ここまで展開に苦しめられ続けたが、諦める事なく必死に喰らいついていった。
最後の親番であるここで、何とか粘り一矢報いたい。
そんな大事な局面で手にした配牌は、その思いを嘲笑うかのようなものだった。
わずかな希望を胸に必死に手を進める山田だったが、水巻からのリーチにより、わずか3巡目にして希望を絶望に変えられる。
山田は前に来ざるを得ないが、追い付かなければ水巻のアガリか流局だろう。
水巻と佐藤の間で観ていた私はそう予想したのだが、この私の浅はかな予想は佐藤によって見事に裏切られる。
佐藤はリーチを受けすぐにを掴んだものの、これが重なり戦える形になる。
佐藤6巡目 ツモ
打
ドラ
そして
7巡目 ツモ 打
8巡目 ツモ 打
一気にツモが噛み合い、10巡目にはをチーしてドラ
の片アガリのテンパイ。
チー
と
が山田に流れ、お互い待ちは1枚ずつ。
もう後がない親の山田は
ポン
となっており、テンパイすればどちらかが溢れるだろう。
流局もチラつき始めた14巡目、山田は持ってきたをカンするもテンパイ出来ず。
佐藤は新ドラがもろ乗りで跳満に打点アップ。
そして佐藤のツモ番。
力強く、そして僅かに震えながら引き寄せた牌は紛れもないであった。
水巻のリーチを潰した事も加味すると非常に大きく、点数以上に価値のあるアガリだろう。
これで山田は事実上の終戦となった。
南2局 ドラ
親番を迎えた平賀は約20000点上にいる佐藤を捲らなくてはならないが、ここも佐藤があっさりとアガリ、平賀もかなり苦しくなった。
南3局 ドラ
佐藤にとっては最大にして最後の難関、水巻の親落とし。
親の水巻は好配牌。
雀頭さえ作れたら先手を取れそうだ。
・
・
・
と引いた5巡目、水巻の手が止まった。
これは選択が難しい。
候補は・
・
あたりで、形最優先ならドラの
だが、水巻が選択したのは打
。
打点も視野に入れた選択である。
この選択がズバリ!!
次巡のツモは最も嬉しい引き。
当然リーチを宣言した。
佐藤としては、この親を流しにくる者はいないので、自力で親を流さなければならない。
一発も消せる為、宣言牌のをチーして前に出る機会を伺う。
チー
次巡、佐藤のツモはなんと。
もし佐藤が動かなければ水巻に6000オールをツモられていた。そんな事を知る良しもない水巻は程なくしてツモ。
裏は乗らず2600オールで、まだ佐藤が上である。
1本場 ドラ
(全体牌譜)
今回も中々の配牌の水巻。この局で佐藤より上に行っておきたい。
5巡目には既に万全のイーシャンテン。
しかしここからが長い。
テンパイしたのは実に14巡目である。
一方の佐藤は、水巻が早いことを捨て牌から察知。
無理に先手を取りに行かず、危険そうな牌を先に処理して形をスリムにし、押し返しでのアガリを狙う。
佐藤の11巡目
ツモ
どう打つのだろうか?
ここで安牌の南は打ちたくないし、マンズの両面ターツは最も面子が作り易く見える。
それ以外からの選択だと、、
、
、
、
、
あたりが打牌候補か。
守備の面も考えると、を残してソウズやピンズを打ち出したい。
しかし水巻はどう見てもイーシャンテン以上に見えるので、ターツの処理が終わる前にリーチと来られたらこの局はまずオリになるだろう。
勝敗を決めかねない選択、流石の佐藤も長考に入る。
考え抜いた結果は、最も場に高いソウズの両面ターツを嫌う、切りを選択。
同巡に平賀からが鳴け、打
。
水巻がリーチとくる前に危険牌を処理できた。
14巡目、前述の通り水巻がようやくを引き入れテンパイし、リーチ。
・
は残り1枚であり、流局が濃厚か?
佐藤は一発目にを掴み安牌の
と入れ替え、16巡目に
を引き入れる。
ツモ
ポン
水巻の捨て牌に注目してもらいたい。
面子手と読めばまず好形待ちに見え、残っている好形は・
とソウズ両面。
ソウズ待ちの場合、と
が
や
より前に手出しされているので、
跨ぎの両面待ちが本線になる。
いくら超攻撃型の佐藤とはいえ、残りツモ番2回で危険度Sランクのは流石に押せない。
そう思っていたが、佐藤はを勝負した!!
単純な1局単位で見れば、これは損な選択だろう。
しかし今回はタイトル戦の決勝である。
もはや普段の損得勘定だけではなく、
時には何処かで腹を括って勝負をしなければならない。
それが正にこの局だと佐藤が判断したのだ。
今の私には到底出来ない1打である。
次巡、佐藤の勝利への強い意思に導かれるように、最後のをツモりあげた。
オーラス ドラ
佐藤 54500
山田 10300
平賀 29500
水巻 25700
このまま終われば佐藤が優勝だが、水巻の1人テンパイだと水巻が優勝。
水巻は平賀との3800差を捲れば優勝。
平賀は佐藤からの倍満以上の直撃か役満。
山田の優勝条件は現状存在しない。
水巻としては、リーチ棒を出すと佐藤が1人ノーテンでもOKになるので、できる限りリーチ棒を出さずに捲れる手を目指したい。
佐藤はノーテンに出来ないので、少しでも条件を楽にして次局に入りたいところ。
12巡目に佐藤がテンパイ。
ドラ
当然の闇テン。
すぐに平賀からが打たれるが、佐藤はスルー。
これはどういうことだろうか?
平賀からあがっても今度は素点で差がつくので、次局の水巻の条件は1600・3200以上のツモか12000以上の出アガリで、もちろんテンパイノーテンでも変わらない。
条件を勘違いしたかと思ったが、対局後に聞いた佐藤の回答は違った。
より厳しい条件を押しつける為に、水巻以外からは1枚だけ見逃すつもりだったとの事。
終盤に思惑通りツモアガリ、4000オール。
これで水巻の条件は、佐藤から満貫以上の直撃か跳満以上のツモアガリとなった。
1本場 ドラ
この局は間違いなく最終局。
水巻の5巡目
ツモ
これを跳満にしなければならない。
メンピンツモ三色ドラか
メンタンピンツモ、オモウラあたりか
三色だと有効牌がかなり限定されるので、切りでタンピンへ。
水巻待望のテンパイは11巡目。
ツモ
切りでツモ裏条件のリーチ!!
山にはまだが3枚生きている。
1牌ツモるごとに会場全体が息を飲む。
水巻もツモる動作に自然と力が入るも、結果は無情にも流局。
記録の為に捲った裏ドラのが、水巻の悔しさを倍増させた事だろう。
第21期發王戦は佐藤聖誠發王位の連覇で幕を閉じた。
おめでとう聖誠!!