コラム・観戦記

第8期アマ最高位戦決勝観戦記

寒さが厳しさを増してくる師走。
今年もアマチュアNo1の打ち手を決めるべく、北は北海道、南は九州から、激しい予選を勝ち抜いた総勢32名が12/19、横浜「シルバー」に集結した。

 

 

 

アマ最高位戦決勝大会システム

32名で半荘4回戦を行い、上位8名が準決勝進出。
準決勝は半荘1回戦を行い、上位4名が決勝進出。
決勝は半荘1回戦を行い、トータルポイント最上位が第8期アマ最高位となる。
(ポイントは1回戦から全て持ち越し)

今回、激しい戦いを勝ち抜いて決勝に進出したのは以下の4名。

 

1位通過
木原孝文(東京代表) 156.8P
1回戦目からいきなりの4連勝!!
準決勝は他家3名の包囲網でラスを押しつけられるも、余裕のトータルトップで決勝進出。
先日SSC主催による(最高位戦サポーターズクラブ)第1期プロアマオープンを制し、勢いがある打ち手だろう。

 

2位通過
山崎裕功(横浜代表) 118.8P
トップが最低条件の準決勝でトータルトップの木原とのトップラスに成功し、優勝が現実的なポイント差で決勝進出を決めた。
若さと勢いを武器にタイトル獲得なるか?

 

3位通過
小松剛(北海道代表) 117.5P
準決勝開始時はトータル2位も、1位とは約100P差。しかも別卓とあれば何がなんでもトップが欲しくなる。
しかし1人抜け出すと冷静に2着をキープし、決勝進出を決めた。
その冷静な判断力が決勝でも冴え渡るか?

4位通過
寺本喜一 116.7P
第1期のアマ最高位でもある。
他団体のタイトル戦を連覇した事もあり、競技麻雀の実績においてはプロ選手を含めてもトップクラスである。
アマ最高位戦史上初の2度目の優勝となるだろうか?

最高位戦ルールは1着順で20Pの差がつく。
木原以外の決勝戦開始前での優勝条件としては、
木原は他3名と約40P差なので、トップ+木原を三着以下に沈めれる事が条件となる。
木原2着だと他選手はおよそ2万点差をつけたトップが必要になる。
それ以外は木原の優勝である。

起家から(木原・小松・寺本・山崎)
タイトル戦決勝独自の重い空気の中、ただ1人緊張した素振りの無い木原が軽快に配牌を取り始める。

現在最も優勝に近い位置にいる木原。
東1局から配牌も味方する。

ドラ

ドラこそ無いが、三色や一通がはっきりと見える好配牌。
親満クラスでも飛び出そうものなら、東1局とはいえ決定打になりかねない。

わずか4巡目、木原の捨てたが横に曲がった。

三色や一通はおろか両面待ちにすらならず、木原としても不満なテンパイだったのではないだろうか?

トータルトップ目の親リーチ、誰だって放銃は避けたい。
このまま悠々自適に終局までの1人旅になるかとも思われたが、8巡目に寺本選手が追いつく。

こちらは本物の勝負手。ドラのを重ねての単騎でのリーチ。

は残り1枚。
は残り2枚。
自身の河にもあり、親の木原の河にも3巡目にがある。
他2人は手詰まったらよりかはを選ぶだろう。

寺本有利の廻り合いだったが、結果は流局。

1本場、またしても好配牌の木原。

ドラ

8巡目に高め三色のテンパイとなり、またしても先制リーチ。

今度はツモアガリ。
安目ので、1000は1100オール。

次局は流局し3本場、寺本が丁寧な手順で満貫をツモアガリ。
木原の親落としに成功した。

ドラ
ツモ

トップ目にたった寺本だが、トータルポイントはまだ足りず…
ここから誰が抜け出して誰が脱落するのか注目していたが、3局連続で流局と均衡した状態が続く。

アガリが出たのは東3局3本場
西家木原が13巡目にリーチ。

ドラ

この巡目にしてなんと山に5枚残り!!
他にテンパイしてるものもおらず、アガリは濃厚か?

16巡目、超弩級の手牌のイーシャンテンだった山崎がを打ち出してしまう。

残り巡目や残ってる待ちはピンズぐらいしかない点を加味すると、切らない方が良いのは山崎自身も百も承知のはず。

しかし、絶対にトップで、かつ木原を3着以下にしなければならないこの半荘は、もはや目先の損得ではない。
どこかで分の悪い勝負に勝たなければならないのである。

それがこの局だと踏んでの事だろうが、結果的には木原を助ける展開となってしまった。

東4局、親の山崎が最終手番でテンパイを入れ、執念の連荘を果たし1本場、15巡目にまたしても木原からリーチの声がかかる。

ドラ

この半荘3度目の高め三色リーチ。
待ち牌のは場に1枚切れも、残りは全て他家の手牌にあり純カラ。流局が濃厚に思われたが小松から高めのがこぼれる。

この半荘、ここまでひたすら我慢を続けてきた小松だったが、そんな状況でようやく入ったテンパイだけに踏ん張りがきかなかったか?
木原にとっては願ってもない展開で南場を迎える事となった。

ここまでの点棒状況は
木原 43600
小松 15800
寺本 39300
山崎 21300

絶対にトップを取らなければならない3者と、トップと2万点以内なら2着でも良い木原。
まだ全員に親番が残ってるとはいえ、木原が圧倒的有利な立場にいるのは間違いない。

その木原が2000オールをツモアガリ、更なる加点に成功する。

ドラ
ツモ

テンパイした10巡目で、が2枚ずつ見えてる事もあり慎重に闇テンとしたが、南家小松はマンズに一直線。
西家寺本はちょっとわからないが、7巡目までにを切っておりピンズは厚く持ってないように思える。
北家山崎はソウズに一直線で、まだ誰もテンパイしてなさそう。

残り4枚ののうち、3枚は山に残ってそうなら勝負を決めに行くつもりでリーチでも良かったか?

次局は寺本が満貫ツモで木原を100点差で捲り再度トップ目にたつ。

南2局、この決勝戦ここまで良いとこ無しの小松だったが、最後の親番で意地をみせる。

まずは寺本とのリーチ合戦に勝利して3900。
次局も山崎の先制リーチを1000は1100オールでかわす。

が、ここまで。
2本場は寺本が終盤にツモドラ1をアガリ、小松はこれで一段と苦しくなった。

ラス前の南3局、寺本の親番で木原にとっては是が非でも連荘を阻止したいところ。

その寺本、7巡目にイーシャンテンとなる。

ドラ

6000オールにでも仕上がれば、トータルポイントでも一気に木原を捲る。
普段あまり表情やしぐさに変化のない寺本だが、牌をツモる動作に力が入ってるのが伝わってくる。

そして次巡にツモったのは
で両面テンパイではあるが、三色も一通もタンヤオすらもつかない。
打点的には不満が残るが、寺本は仕方なしといった感じでリーチとした。

山崎が一発目に切った現物のを木原がチー。

かなり苦しいところからではあるが、ほとんどの字牌が安牌の為、これは一発消しの意味合いの方が強いだろう。

この仕掛けで寺本のアガリ牌の喰い下がる。
そして木原の手牌もまとまり始め、14巡目にフリテンのが鳴け木原も追いつく。

  チー チー

テンパイ打で無筋のを勝負してるとこをみると、木原は勝負所と踏んだか?
おそらくギリギリまでテンパイ維持して、親落としをするつもりだったのではないだろうか?

「リーチ!!」

完全に2人の勝負だと思っていたが、突然リーチの声が割って入る。
声の主はもう親番の無い小松。

親番が無くなった事で、見落としていたが、もしここで一発でを木原から直撃でもしようものなら、オーラスに現実的な優勝条件が出来る。
は親の現物になっていて、2フーロしてる木原からこぼれる可能性もある。

こうなると、山崎は完全に撤退。
最後の親番に全てを賭ける。
小松のリーチの同巡、木原のツモはドラの

ツモ チー チー

流石に2人に無筋のは切れない。
が完全安牌なので、とりあえずそれで3巡凌ぐだろう。
木原としても小松にツモられる分には全然OKといったところ。

しかし、木原は別の選択をする。
親の現物のを抜いたのだ!!

小松に差し込みにいったのだが、跳満放銃した場合は3着落ちとなりトータルで寺本に捲られる上、小松も満貫ツモで優勝の条件が出来てしまう。
また小松の河はソウズを1枚も切っておらず、序盤にマンズとピンズの中張牌を並べた後に字牌が手出しされていて、ソウズに寄せてるのは明らか。
宣言牌こそだが、寺本の無筋なので自身の手牌とは関連してない可能性もある。

ここでを差し込みに行くのはかなりの覚悟が必要だが、結果はマンガン放銃止まり。
一歩間違えばもっと大きな代償を払っていた可能性もあったが、木原の思惑通りトータルトップでオーラスを向かえる。

オーラス 親から
山崎 14400
木原 35700
小松 28700
寺本 41200

主な優勝条件を整理しよう。

山崎はとにかく連荘する事。
木原はあがれば優勝。
小松は跳満ツモか寺本以外から倍満。
寺本は木原から満貫以上か、倍満。他家からリーチ棒が出れば跳満ツモでもOK。


注目の配牌
ドラ
山崎

木原

小松

寺本

オーラスも木原が一番配牌に恵まれた。
小松、寺本は条件を満たすのが厳しいのでひとまず山崎の連荘を期待しつつといった感じになるか?

親の山崎が4巡目にを重ねる。
1面子も完成してないがターツは足りてる為、ここからツモが噛み合えば先手がとれそう。

小松はツモが良い。
4巡目にはこうなった。

跳満ツモ条件なので七対子に決めても良いが、ひとまず切り。
次巡ツモ切りしたを木原が鳴き、数巡後に木原はテンパイを果たす。

ポン

12巡目、行くしかない親の山崎がをツモ切った瞬間、激闘に終止符が打たれた。

第8期アマ最高位は
木原孝文さんでした。
おめでとうございます!!

 

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