コラム・観戦記

B1リーグ中間(第5節)レポート


4節終了時スコア

1位 佐藤聖誠 310.6
2位 嶋村俊幸 259.3
3位 新井啓文 157.6
4位 石井一馬 108.2
5位 坂本大志 96.2
6位 谷口竜 85.2
7位 山口まや 77.3
8位 浅野剛 12.3
9位 曽木達志 ▲6.8
10位 山内雄史 ▲27.1
11位 篠原健治 ▲56.6
12位 いわますみえ ▲95.4
13位 須藤泰久 ▲169.3
14位 井上慎司 ▲171.2
15位 熊林真也 ▲209.7
16位 中嶋龍太 ▲376.6

今期のB1リーグは第4節終了時点で、
首位の佐藤をはじめ、石井・坂本とB2リーグからの昇級組が活躍中。

今から4年前、昇級組のボク・冨澤・石橋に佐藤(崇)・大柳をあわせた5人は、
初のAリーグ昇級を目指して一歩も譲らぬ闘いを繰り広げていた。
結果は佐藤・ボク・石橋の3人が昇級(繰り上がりのため3名)、次の年に大柳・冨澤が昇級。
結局5人とも今はAリーグでしのぎを削っている。

他の4人はわからないが、ボクはいまAリーグでなんとか戦えているのは、
5人で死に物狂いで争ったあの経験があったからだと思う。
最高位戦選手なら誰もが目指す最高峰の闘いの場Aリーグ。
その頂に辿り着く前にどうしても乗り越えなければならない最後の壁B1リーグ。

今年も僅か2つの椅子をめぐって、激しい争いが行われている。

さて今回の卓組は、
A卓 佐藤 嶋村 新井 須藤
B卓 いわま 中嶋 井上 熊林
C卓 山内 篠原 谷口 坂本
D卓 曽木 浅野 石井 山口

注目は1・2・3位直接対決のA卓。
まだ5節とはいえ、ここでの結果が今期のリーグ戦を占ううえで重要なのは間違いない。
もちろん選手も今日の対局の意味は十分理解している。
誰が抜け出し、誰が落ちていくのか、お互いをマークしながらの闘いとなる。
一方、昨年のリーグ戦途中から低迷中の須藤も、このままずるずるとやられるわけにはいかない

今日の対局をターニングポイントにして、上位への浮上を狙う。

というわけで今回はこのA卓にしぼってレポートを書こうと思う。
まあ、誰が降級圏から抜け出すのか待ったなしB卓も、ある意味面白いと言えるのだが・・・。

A卓1回戦
起家から、佐藤・新井・須藤・嶋村の順。

好調なもの同士の闘い、1回戦から早くも壮絶な叩き合いになる。

東1局1本場に親の佐藤がリーチツモドラドラ4000オールをアガると、
2本場は新井・須藤の2軒リーチを須藤が制して、リーチ發ドラドラ8000を新井からアガる。

東2局は、親の新井がメンピンツモドラドラ裏6000オール。
波に乗る新井、次局も嶋村から親満をアガって佐藤をかわしてトップ目に立つ。

そんななかあおりを食ってしまったのが嶋村。
3人がトップを争うなか、東2局で持ち点は1万点を割ってしまう。

東4局 ドラ
しかし、やすやすと負けるわけにはいかない。
親を迎えた嶋村、3巡目に勢いよくリーチ!

 

高目のW東をバシっとツモりたいところ。
しかしそこに立ちふさがったのが佐藤。
チャンタ三色發ドラ3をテンパイすると、をしれっと切ってダマ。

 

結局、佐藤が嶋村から16000を出アガり5万点オーバーまで突き抜ける。
一方嶋村は箱下1万点となり、さらに苦しい状況に。

南1局、勢いに乗る佐藤、5巡目リーチで一発ツモ。メンピン一発ツモ2600オール。
同1本場、トップ争いの2人の攻勢はとどまることを知らない・・・。
新井、メンピンツモドラドラ裏3000・6000!再び佐藤を逆転してトップ目に立つ。

南3局、佐藤がリーチしてペンチャンを一発ツモ。
リーチ一発ツモ白裏裏3000・6000!!佐藤、再々逆転!

 

 ツモ

南4局 ドラ
佐藤    61800
新井    55900
須藤    17200
嶋村・親 -14900

親の嶋村の手がまとまらないうちに佐藤が3面張でリーチ。
前に出るしかない嶋村からでアガると、裏ドラが
リーチドラ裏裏8000。満貫をアガって点棒だけでなく精神的にもダメ押しして終了。

 

 ロン

佐藤 +69.8
新井 +35.9
須藤 -22.8
嶋村 -82.9

1半荘に、満貫5回・ハネ満3回・倍満1回が乱れ飛ぶ超乱打戦。
この乱打戦を制したのは佐藤、トータル首位からさらにリードを広げる。
一方大きく沈んでしまったのが嶋村、全くアガれず箱下2万点。
しかし、漢・嶋村、このままあっさりと引き下がるわけにはいかない。
次の半荘、開始早々嶋村が魅せる!

A卓2回戦
起家から、須藤・嶋村・新井・佐藤の順。

東1局 ドラ
嶋村が3巡目に下の形のドラドラチートイのイーシャンテン。
1回戦のマイナスを取り戻すためにも、ぜひともアガりたい。

 

すると4巡目に、5巡目に、6巡目にと三連続で暗刻にしてリーチ!

 

出アガリでもリーチトイトイ三暗刻ドラ3の倍満、ツモればもちろん四暗刻である。
テンパイまでがものすごいヒキだったので、すぐにツモるかと思ったがなかなかアガれない。
終盤、捨て牌も3段目に入り流局かと思われた刹那、嶋村が勢いよくツモ!!!
ツモ、四暗刻8000・16000。嶋村の逆襲が始まる。

1回戦の打撃戦の流れはこの半荘も続いていた。
東2局、新井が南白ホンイツドラドラ3000・6000をツモり、嶋村に親かぶりさせて追撃体制に入る。
東3局は、須藤が佐藤に5200放銃。

東4局、嶋村の先行リーチに、須藤がタンヤオドラ3のカン待ちで追いつく。
すると、親の佐藤が待ちでリーチ。
須藤が一発目に掴んだのは
『南無三』とツモ切って佐藤にリーチ一発裏テンパネの9600放銃。
東パツ役満親かぶりスタートの須藤、ついに箱下に転落してしまう。

東4局1本場 ドラ
親の佐藤がW東から仕掛けて3フーロ。

 

   

軽々とをツモって4000オール。トップの嶋村に4000点差に迫る。

同2本場、嶋村がチートイ単騎でリーチすると、佐藤も仕掛けて中ドラ3テンパイ。
佐藤の待ちはのシャンポン。ここは一歩も譲らず2人テンパイで流局。

同3本場、嶋村が暗カンすると須藤がリーチ、すぐに佐藤が追っかけリーチ!
結果は、須藤が親の佐藤にメンピンイーペイコードラ裏12000放銃。
佐藤がついに役満をツモった嶋村をかわしてトップ目に。

じつはこの須藤のリーチ、カンチャンの役無しでテンパイしていて嶋村のカンを受けてのツモ切りリーチ。
先行リーチしていればもう少し局面も変わっていたか・・・。

同4本場、その須藤が箱下2万五千点から一矢報いる。
佐藤の仕掛けにドラ切りリーチでメンピン一発ツモドラ裏3000・6000。
ようやく長かった佐藤の親番が終わる。

南1局 ドラ
新井が先行リーチをすると、佐藤がホンイツ仕掛けで追いつく。

 

  

箱下で前に出るしかない親の須藤がを切ると、『ロン』の声が重なる!
新井の頭ハネ、メンタンピンドラドラ8000!

 

 ロン

南2局 ドラ カンドラ
親の嶋村、中盤メンホンチートイドラドラのイーシャンテン。
終盤にテンパイすると、須藤のカンでカンドラものって24000に!!!

 

しかし、仕掛けた須藤がタンヤオトイトイ三暗刻2000・4000をツモって終局。
嶋村の河には2枚が悲しく光っていた・・・。

南3局
この頂上決戦には更なるドラマが待ち受けていた。
親の新井がピンフをリーチすると、をポンしていた須藤がをツモって大三元テンパイ。

 

  ツモ 打

新井が掴んだのは一枚切れの
苦渋の表情でツモ切り、須藤がロン。32000!!!
この半荘2回目の役満。
須藤箱下1万点から一気に復活、かわって新井が箱下に。

新井、親とはいえさすがに役ありリーチはやりすぎた・・・。
箱下の須藤をなめてしまったか、それとも乱打戦の流れの勢いに乗せられたか。

南4局
須藤   22200
嶋村   46800
新井   -4000
佐藤・親 55000

嶋村が12巡目にリーチ。
佐藤も仕掛けてタンヤオをテンパイしていたが、ここは冷静にオリ。
結局、嶋村が須藤からメンピン裏3900出アガリ。

佐藤 +55.0
嶋村 +30.7
須藤 -21.7
新井 -64.0

役満が2発も飛び出す、1回戦を上回る大荒れの展開だったが、トップをとったのは役満をアガってない佐藤。
親での3連続のアガリでものにした。首位佐藤、さらにリードを広げる。
一方、新井は一打で50P近く損してしまい、悔いの残る半荘となった。

このあと、佐藤は3回戦もトップをとって3連勝!
最後は2着だったが、1・1・1・2で+180P。
トータルを500P近くまで伸ばし、首位独走状態に入った。

嶋村は-100Pで大きく後退。順位も4位にダウン。
『役満アガって100負けなんて、やってない』とボヤいていた。

新井は+20Pで可もなく不可もなく。3位のままで現状維持。
大三元の放銃はあったが、なんとか昇級戦線に踏みとどまった。

一方、別卓でポイントを伸ばしたのが石井。
曽木・山口というベテラン相手にいつもどおり次から次へと仕掛けまくり。
首位佐藤と同じく1・1・1・2の着順で+170Pを稼ぎ、トータル2位へとジャンプアップした。

5節終了時スコア

1 佐藤 聖誠 489.1
2 石井 一馬 273.3
3 新井 啓文 177.4
4 嶋村 俊幸 157.2
5 坂本 大志 137.8
6 山口 まや 74.8
7 篠原 健治 20.3
8 谷口 竜 16.8
9 曽木 達志 1.4
10 いわま すみえ -45.6
11 山内 雄史 -78.2
12 浅野 剛 -158.5
13 熊林 真也 -208.7
14 井上 慎司 -261.0
15 須藤 泰久 -265.5
16 中嶋 龍太 -338.6

とは言え、まだ12分の5が終わったところ。
大きく抜け出した佐藤も含め、最後まで気の抜けない闘いになるのは間違いない。
最高峰の舞台を目指し、16人の戦いは続いていく。

レポーター 平賀聡彦

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