コラム・観戦記

第34期Aリーグ第2節観戦記

34期Aリーグ 第2節

A卓
尾崎、水巻、上野、大柳

1回戦 (上野、水巻、大柳、尾崎)※カッコ内は起家から順。

南1局
静かだった卓が突如動き始める。
西家大柳が配牌ドラ暗刻から以下の形で6巡目に先制リーチ。
ドラ

これを次巡親の上野が追いかけるも、結果は上野がをつかみ、大柳8000のアガリ。
続いて南2局に尾崎が11巡目リーチ。
ドラ

高目のをツモ。

二人が抜け出すも、南3局に親の大柳が水巻から7700をアガり、トップ目に。
オーラスは大柳が配牌からある、3巡目に引いてくる自風のの3枚を
重ねる事に心中した手組み。苦しいながらもトップへの意志がひしひしと感じられる。
ようやく10巡目に1枚切れのを重ね、13巡目にポン。  
ドラ 

 
16巡目にツモ
自ら1回戦目に決着をつけた。
大柳+48.5
尾崎+13.5
水巻△16.3
上野△45.7

2回戦 (尾崎、大柳、上野、水巻)※カッコ内は起家から順。

小刻みに局が進む。
動きがあったのは南2局1本場

ドラ
南家の上野が5巡目にダブを仕掛け、7巡目に聴牌を入れる。
 
尾崎はタンピン形の一向聴で不要なをリリース。
上野が8000のアガリとなった。

その後も、小さなアガリを重ねたベテラン上野がこの半荘を制した。

Aリーグは場況を考えながらの打ちまわしがよく見られる。
私から見たらリーチを打つのに闇に構えたり、
相手の聴牌気配を察知して降りたり、早い巡目から牌を絞ったりする。
そのため流局が多かったり、小場になるケースが多い。
彼らの思考などその場ではついていけなかったりするのが本音だ。

上野+42.5
水巻+18.5
大柳△8.2
尾崎△51.8

3回戦 (尾崎、水巻、大柳、上野)※カッコ内は起家から順。

この半荘も流局や小さなアガリで局が進む。
リーチ後の放銃や、その小さなアガリに捕まった尾崎にとって苦しい展開となる。
迎えたオーラス
東家:上野 35000
南家:尾崎 17100
西家:大柳 31300
北家:水巻 36600
親の上野が9巡目にリーチ。
ドラ

後がない尾崎はを暗槓する。
上野の河にはが2枚。
尾崎は数巡止めていたを河に置いた。
上野7700のアガリとなる。
このまま逃げ切り再び上野がトップ。
放銃もなく小さなアガリを続けた水巻が2着となった。

上野+42.6
水巻+17.9
大柳△9.3
尾崎△50.6

4回戦 (大柳、水巻、尾崎、上野)※カッコ内は起家から順。

東1局に2000点をアガった水巻。
東3局1本場
ドラ
11巡目にテンパイを入れる。

巡目も深いのでダマ。
次巡あっさりとをツモ。
東4局に尾崎に2000・4000をツモられるが
ここは水巻がトップを守り切った。

水巻+36.1
上野+9.6
大柳△12.3
尾崎△33.4

發王位を獲った水巻、もともと安定した麻雀には定評があるが、
自信をつけたのか、放銃の少なさとアガリを拾う力にさらに磨きがかかったように感じた。
彼本来の打ちまわしというものを目の当たりにできた。
そしてこの時点でトータル首位に立つ。

B卓 平賀、富澤、石橋、村上

1回戦 (石橋、村上、平賀、富澤)※カッコ内は起家から順。

東場では打撃戦が続き、迎えた南1局
東家:石橋 35300
南家:村上 35000
西家:平賀 35500
北家:富澤 14200

石橋、村上、平賀はトップに向けてアガリが欲しいところ。
5巡目 親の石橋がいち早く聴牌を入れる。
ドラ

待ちの悪さと、打点の十分性から当然の闇テン。
10巡目にを引き入れ平和の形でリーチ。
この巡目に平賀もカン待ちで断公九ドラ1のテンパイ。
しかし12巡目、アガリの発声をしたのは村上だった。
富澤がトイツから落とした、村上の手は

ツモり四暗刻であったが12000の大きなアガリとなる。
村上はこのリードを守りきり、トップをとった。

村上+60.1
石橋+15.2
平賀△10.1
冨澤△64.2

Aリーグにトップで返り咲き先日結婚もした村上、1節目こそ振るわなかったが、
この勝利は愛妻に良い報告になったに違いない。

2回戦 (富澤、平賀、村上、石橋)※カッコ内は起家から順。
この半荘は東場が小刻みに進む。
またしても大きな動きがあったのは南1局であった。
東家:富澤 30000
南家:平賀 35600
西家:村上 15500
北家:石橋 37800

ドラ
石橋の配牌 
2巡目にをポン。
4巡目にをポン。
5巡目にを重ねて聴牌。
    
11巡目、平賀が1枚切れのをつかむ。
9巡目から、平賀は以下の形でソーズの面清を聴牌していた。

石橋が8000のアガリ。
その後、村上が盛り返すも、石橋のこのリードが響き
この半荘は石橋が制した。

石橋+38.5
村上+14.7
冨澤△12.1
平賀△41.1

3回戦 (富澤、平賀、石橋、村上)※カッコ内は起家から順。

この半荘も小場で局が進み、迎えたオーラス。

東家:村上 23200
南家:富澤 28700
西家:平賀 33000
北家:石橋 34800    
ドラ
ラス親は村上。
一番早くテンパイを入れたのは富澤、10巡目。

ドラなし、一盃口崩れの平和。
すぐに村上からが出るがこれまでの2半荘耐えに耐えていた富澤は当然のように見逃し。
同巡をツモり、切りのフリテンリーチ。
2巡後、富澤がツモの発声。
ツモった牌はであった。
奇しくもは親の村上の手に3枚あり、ラス牌であった。
富澤のリーグ戦にかける熱意をここに見た。

富澤+36.7
石橋+12.8
平賀△8.7
村上△40.8

4回戦 (石橋、富澤、平賀、村上)※カッコ内は起家から順。

東1局 2本場
ドラ
石橋が平賀の先制リーチに追いかける。
平賀 7巡目

石橋 9巡目

一発で富澤から一枚切れので出アガリ。
裏ドラがなんと
18000のアガリとなった。
その後富澤は執念でアガリを重ねるが、18000のビハインドはあまりにも大きすぎた。
石橋がこのリードを守り切る。

石橋+54.3
村上+6.2
冨澤△15.0
平賀△45.5

最年少Aリーガーの石橋が大きくポイントを叩き出し、この日の勝ち頭となった。

C卓 金子、伊藤、張、佐藤

1回戦 (佐藤、伊藤、金子、張)※カッコ内は起家から順。

東場は小場が続き南場をむかえてほぼ点棒はフラットな状態。
ここから抜け出したのが金子だった。
4巡目にリーチ。
ドラ

早い巡目にドラを暗刻にしてどうしてもアガりたい局面。
14巡目に聴牌を入れた親の佐藤が打
金子が8000のアガリとなった。
しかし佐藤が南3局で6400を張からアガり、迎えたオーラス。
東家:金子 37100
南家:佐藤 29200
西家:伊藤 35100
北家:張 18600
ドラ
金子が3巡目にを仕掛ける。
8巡目に佐藤がリーチ。

満貫ツモでトップ、5200を金子、伊藤からアガれば2着。
いずれも裏1条件となるが30000点越えの3着でも悪くはない。
そして9巡目に張もリーチ。

ここで大物手が入るのが最高位2連覇した張の強さなのか。
結果はトップ目の金子から放たれた
張は16000のアガリとなり、最高位返り咲きへの執念を見せた。

張 +35.6
伊藤+15.1
佐藤△11.8
金子△38.9

2回戦 (伊藤、金子、佐藤、張)※カッコ内は起家から順。

またしても均衡を破ったのは金子だった。
東3局 1本場
金子が6巡目にリーチ。
ドラ

一発でをツモり、一歩抜きに出る。
さらに南2局の親番で3本場まで積み、独走状態に。
オーラスを迎えて
東家:張 32600
南家:伊藤 14200
西家:金子 47400
北家:佐藤 25800
3着目の佐藤が7巡目にリーチ。
ドラ

17巡目にをツモり、裏を2枚乗せて倍満。
しかし金子のリードは大きかった。

金子+43.3
佐藤+22.1
張 △15.5
伊藤△49.9

3回戦 (伊藤、佐藤、張、金子)※カッコ内は起家から順。

東1局から伊藤が6本場まで積み51500点。
腰を据えた麻雀でしっかりと聴牌を入れる実にベテランの伊藤らしい立ち上がりとなった。
この連荘にストップをかけたのが張。
ドラ
7巡目にテンパイを入れる。

ダマで佐藤からを出アガリ。
佐藤は今日の不運が見て取れるような痛恨の打ち込みとなった。
そして迎えたオーラス。
東家:金子 28300
南家:伊藤 42000
西家:佐藤 18900
北家:張 29800
金子が執念の9600を佐藤からアガるが、1本場で佐藤が金子から8000をアガり、終了。

伊藤+42.0
金子+10.6
張 △10.2
佐藤△42.4

実に22局に及ぶ長い半荘を制したのはベテランの伊藤だった。

4回戦 (佐藤、伊藤、張、金子)※カッコ内は起家から順。

東1局
7巡目に張が先制リーチ。
ドラ

ドラ雀頭の十分形。
流局間際、17巡目にをツモる。
ここから張の勢いは止まらなかった。
南3局の親番で4000オール、6000オールを立て続けにアガり、
他の追随を許さなかった。

張 +41.6
金子+8.6
伊藤△12.0
佐藤△48.2

結果的にこの半荘は張の一人舞台となった。
佐藤にとっては、随所にファインプレーを見せるが、苦しい1日だったのではないだろうか。

2節目を終え上位4名が、水巻、金子、上野、石橋。
しかしAリーグはそう簡単に予想がつくものではない。
この日健闘が光った張、村上をはじめ、誰もが上位を狙っている。
次節以降も目が離せない。

第3節は4月8日(水)正午より、場所は神楽坂ばかんすにて。
観戦は無料ですので、是非お越し下さい。

レポーター 中村英樹

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