コラム・観戦記

第34期B1リーグ最終節観戦記

B1リーグ第11節終了時スコア
1 近藤 誠一 591.7
2 太田 安紀 462.2
3 山内 雄史 210.2
4 篠原 健治 194.9
5 嶋村 俊幸 123.7
6 いわま すみえ 100.4
7 須藤 泰久 -30.5
8 浅野 剛 -34.5
9 曽木 達志 -78.8
10 熊林 真也 -116.1
11 新井 啓文 -253.8
12 熊田 健志 -275.8
13 山口 まや -312.6
14 和田 聡子 -581.7
15 清原 大 途中休場
16 太田 智康 途中休場

全12節。1~2位がAリーグに昇級。12~16位がB2リーグに降級。

遂に迎えたB1リーグ最終節。
よほどのことが無いかぎり昇級は上の二人で決まりであろう。太田(安)がポイントを伸ばせば優勝争いがあるくらいか。
一方、残留争いのほうは最後まで目が離せない。新井・熊田・山口に加えて、大きくマイナスすれば熊林も危ないかも。
途中休場の2人を抜かして3つのババの押し付け合いが始まった。

A卓(山内・いわま・熊林・新井・浅野)
この卓の注目はなんと言っても現在残留ボーダー11位にいる新井。
12位の熊田との差が20pしかないだけに少しでもポイントを稼ぎたいところ。

1回戦(山内抜け番)
新井、東1局にメンピンドラ3900をアガって幸先の良いスタートを切る。
さらに東3局親番では、リーチタンヤオウラ7700、發ドラドラ9600と連続してアガり5万点越えのトップ目に立つ。

東4局は親の浅野の大物手をかわし、磐石の形で南入を迎える。
新井

ロン ドラ

浅野

しかし南入すると徐々に新井の歯車が狂い始める。
南1局 ドラ

新井が仕掛けてテンパイを入れたところに親のいわまからリーチが入る。
新井

 

いわま

新井が一発目に持ってきたのはいわまの捨て牌ののスジの

変則的な河に対して切りづらくオリると、次のツモは元々のアガリ牌のドラ・・・。
なんとも感触が悪い。結果はいわまの1人テンパイで流局。

南1局2本場 ドラ
新井配牌

ナイス配牌キター!
元気良くと切り出し、を引き入れをチーしてテンパイ。
さらに中*をポンして待ち変え。

  

するとここで親のいわまがリーチ!

新井も無筋を切り飛ばし真っ向勝負!
さらに熊林も仕掛けてテンパイ。

 

三者一歩も譲らぬままハイテイで新井が持ってきたのは
ここで新井はいわまの現物のを切って、熊林にタンヤオホーテイドラドラの満貫放銃!
熊林もある程度押してきていたので、ここはドラまたぎのよりもリーチ後に通したを切った方がよかったか・・・。

新井には現在残留ボーダーであるという状況のほかにもう一つの試練があった。
A卓の最終半荘の抜け番は自分であるため、ある程度スコアを叩かないと下位の選手の目安にされてしまうのだ。

新井は南2局にメンピンドラ1300・2600をツモって前局の失点を挽回すると、
オーラスもいわまと熊林の2着争いを横目にゆうゆう逃げ切った。

新井  +44.6
熊林  +11.7
いわま -12.4
浅野  -43.9

新井、まずはトップで降級圏から遠ざかることに成功。

B卓(太田・篠原・嶋村・熊田)
1回戦2着だったがボーダーの新井がトップだったため、60P近く離されてしまった12位の熊田。
2回戦以降に猛チャージをかけたいところ。
一方、2位の太田(安)は1回戦トップ。3位との差を広げ目指すはB1優勝・新人王か!
(最高位戦のB1優勝者は慣例的に新人王と呼ばれる)

2回戦
東1局に篠原が太田とのリーチ合戦で満貫出アガリスタートすると、篠原と熊田の叩きあいに。
東4局
熊田

 ロン

メンホン西の満貫を嶋村から出アガリ。
途中の切りの時にを切って待ちにも出来たが、ここは四暗刻への変化も見て切り。
熊田の残留にかける執念を見たような気がした。
さらに熊田は次局も満貫をアガって篠原を逆転、意気揚々と親番を迎える。

南2局 ドラ
熊田11巡目

上の形からドラのを重ねてチートイツ単騎テンパイ。
さらにを暗刻にしてイーペイコウ待ちに待ち変え。

磐石かと思えたが結果は流局で太田との2人テンパイ。
待ち変えした後に続けて切られたを恨めしそうに見つめていた・・・。
次局、熊田は篠原にチートイツドラドラ6400は6700放銃、トップを捲くられてしまう。

南4局 ドラ
太田   20700
熊田   45600
嶋村     900
篠原・親 52800

篠原2巡目に下の形のイーシャンテン

すぐさまリーチかと思われたが、とツモるとここからと切り飛ばしてチーして片アガリのテンパイ。

 

さらに10巡目にをツモるとアガらずに切り!さらにツモでチンイツテンパイ。
篠原は1500をアガっても2着が満ツモ圏内なので大きく加点する気らしい。

 

すると嶋村、太田が相次いでリーチ!
嶋村

太田

息詰まるような3者の争いを制したのは嶋村。
満貫をツモって一矢報いた。

篠原 +48.8
熊田 +23.6
太田 -22.3
嶋村 -50.1

トップとはならなかったが大きめの2着をとった熊田、しかし別卓の新井も2回戦2着。
ジリジリとしたデッドヒートが続く。

C卓(近藤・須藤・曽木・山口・和田)
1回戦は7万点のトップをとったが2回戦は箱下ラスと激しい結果になった13位山口。
上の2人を抜かなければ残留はない。もとよりリスクは承知の上。差は120P、残り2半荘に賭ける。
2回戦に2着をとってトータルを600Pに伸ばした近藤。
第1節を除きオールプラスと抜群の安定感、最終節もプラスで完全優勝でのAリーグ復帰となるのか。

3回戦(抜け番曽木)
山口が東1局・東2局と連続してアガって迎えた親番。
東3局 ドラ
山口が終盤にリーチすると、すぐさま和田が追っかけリーチ。
山口

和田

ここも山口がアガるようならトップはほぼ決まりかと思えたが、
和田がしぶとく最後のツモでツモ、リーチタンヤオツモドラ2000・4000。

リーグ戦序盤で大きくマイナスしてしまい、ほぼ降級確実と厳しい状況になってしまった和田。
しかし最後までしっかりと自分の麻雀を貫き通す。

南3局1本場 ドラ
前局に5800をアガってトップ目に立った親の山口の第一打牌が曲がる。
『リーチ』、ダブルリーチ!!!

待ちは悪いが同卓者は知る由も無い。親のダブリーというだけで迫力がある。
ここにまたしても立ちはだかったのが和田。10巡目に追っかけリーチ。

ここも和田が山口から2600は2900をアガって勝負はオーラスへ。

南4局 ドラ
和田   35200
須藤   24100
山口   36900
近藤・親 23800
山口と須藤が早々と仕掛けてテンパイ。親の近藤も仕掛けてようやく追いつく。
山口

  

須藤

  

近藤

 

結果は近藤がをツモって待ち変えでを切り、須藤に2000放銃。   

山口 +36.9
和田 +15.2
須藤 -13.9
近藤 -38.2

山口、執念のトップをもぎ取ったが新井も3回戦トップ。
残留ボーダーまでの120P差は変わらず、依然として苦しい。

最終戦を前にして昇級は予想通り近藤・太田(安)で決まり。
残留争いは以下の状況となった。

9位  新井 -135P(終)
10位 浅野 -137P
11位 熊林 -156P
12位 熊田 -200P
13位 山口 -265P

12位以下が降級である。新井は最終半荘抜け番だが安全圏。
浅野・熊林は同卓のため着順が上ならセーフ。下の場合は別卓の熊田との争い。
熊田はポイント差を考えるとトップか大きめの2着が必要か。
山口は超特大トップをとって上が落ちてくるのを祈るのみ。

ここまで熊田は221で+70P、山口は141で+40Pと残留を目指してスコアを伸ばしてきている。
一方、浅野は434で-100P、熊林は243で-40Pと下降気味。
始まる前に降級ラインと浅野は240P、熊林は160Pと離れていたことを考えれば、
まさか降級争いに巻き込まれるとは思ってもいなかっただろう。
追うものと追われるもの、プレッシャーの中最後の闘いが始まる。

B卓4回戦(嶋村・熊田・太田・篠原)
熊田が東1局に3900をアガると、迎えた東2局親番も2局連続リーチ。
いずれも流局となるが残留を目指して必死に攻め続ける。

東2局2本場 ドラ
熊田が3連続となる親リーチをかけると、篠原が追っかけリーチ!
熊田

篠原

ここは熊田の執念が勝ったか、ツモで1000は1200オール。
熊田44000まで点棒を稼ぐ。

しかし東3局に熊田が仕掛けると嶋村がドラ切りリーチ。
一発で熊田が2枚持っていた高目をツモ。

 ツモ

メンピン一発ツモ三色3000・6000、熊田はトップを逆転されてしまう。

A卓5回戦(浅野・山内・いわま・熊林)
南入した時点で
浅野 41200
山内 45600
いわま 4000
熊林 29200
浅野は熊林に捲くられなければオッケー。
熊林は3着だと別卓の結果次第になってしまうので少しでも着順を上げたいところ。

南1局 ドラ
山内が仕掛けてテンパイ。

  

これに熊林がリーチ宣言牌で飛び込んでしまう、W南白ドラ8000放銃。
山内のテンパイ打牌はがかなり前に切ってあるだけにはかなり濃厚。
丁寧に対応する熊林らしくない放銃、やはり追いかけられる焦りがあるのか?

熊林は次局満貫をツモり返すも、南3に親のいわまに7700放銃。
結局最後のラス親も浅野にさばかれて終了。熊林は別卓の熊田の結果待ちとなる。

山内  +54.7
浅野  +21.7
熊林  -20.2
いわま -56.2

一方B卓も南入。
東ラスの親で連荘した篠原と熊田のトップ争いに。

南2局 ドラ
親の熊田が仕掛けると嶋村がリーチ。
熊田

 

嶋村

すると篠原が仕掛けてすぐに嶋村からロン。

  ロン

三色ドラドラ3900で熊田に迫り、次局も満貫をアガってトップ逆転。

南4局
嶋村   14200
熊田   46400
太田   10400
篠原・親 49000

実はこの時点で熊田は2着でもギリギリ残留であったが、当然本人は知らない。
なんとかトップを目指して苦しい手牌からアガリに向かう。
すると太田が篠原からピンフ三色ドラ8000出アガリ。熊田ラッキートップ。
最後まで諦めなかった熊田が残留の最後の椅子をものにした。

熊田 +46.4
篠原 +21.0
太田 -21.6
嶋村 -45.8

B1リーグ最終成績
1 近藤 誠一 550.9
2 太田 安紀 410.4
(以上、2名がAリーグへ昇級)
3 山内 雄史 312.9
4 篠原 健治 245.9
5 いわま すみえ 21.8
6 嶋村 俊幸 3.2
7 須藤 泰久 -88.7
8 浅野 剛 -116.2
9 曽木 達志 -127.0
10 新井 啓文 -135.2
11 熊田 健志 -154.5
(以下、5名がB2リーグへ降級)
12 熊林 真也 -177.1
13 山口 まや -221.2
14 和田 聡子 -527.9
15 清原 大 途中休場
16 太田 智康 途中休場

闘いは終わった。今期は近藤のAリーグ返り咲き、太田(安)のAリーグ初昇級というかたちで幕を閉じた。
来期も新しい選手を加えて最高峰のリーグを目指す闘いが行われる。
お疲れ様。今は新たなる闘いに備えてゆっくりと羽を休めるときだ。

レポーター 平賀聡彦

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