-「僕今日のレポートで出番ってありますか !? 」
対局終了後、ある選手が私にそう問いかけて来た。
2009 年 10 月 11 日
12 節計 48 半荘に渡る第 34 期 B2 リーグの戦いも、ついに最終節を迎える。
まず 11 節までのポイント状況は以下の通り。
1 坂本 大志 446.7
2 石井 一馬 394.7
3 佐藤 聖誠 286.0
4 井上 慎司 213.9
5 中嶋 龍太 181.1
6 宇野 公介 174.1
7 三ヶ島 幸助 150.8
8 谷口 竜 143.2
9 森川 健太 137.2
10 松田 猛 48.2
11 齋藤 敬輔 37.2
12 川端 美雪 -29.1
13 中村 英樹 -78.6
14 清水 昭 -108.8
15 根本 佳織 -161.4
16 平林 佑一郎 -166.9
17 嶋村 恭介 -169.3
18 野口 洋貴 -177.5
19 津田 博愛 -221.7
20 佐藤 かづみ -235.9
21 阪元 俊彦 -300.9
22 中邨 光康 -446.7
23 秋田 大介 -464.2
B1 リーグへの昇級枠は上位 4 名。
現状 1 、 2 位の坂本と石井は昇級ボーダーからやや抜けており、このポイントを維持するか更に上積みできれば最終戦を前に昇級がほぼ確定する。ポイント的に有利なのは間違いないが、当人達の気持ちとしてはなるべく早い内に勝負を決めてしまいたい所だろう。
3 位の佐藤聖誠から 9 位の森川までは誰が昇級してもおかしい差ではない、降級の可能性もほぼ皆無な為かなり激しい叩き合いが予想される。
もう一つの注目は残留争い、こちらは 14 位以下の 11 名が C1 リーグに降級となる。
余談となるが、最高位戦リーグは全リーグを通じて休場 / 退会者が出た場合の繰り上がりシステムを採用している。具体的な例を書けば、この最終節の結果で残留となった選手の 1 人が来年諸事情で B2 に出られなくなった場合、降級者で一番順位が上の 14 位だった選手が B2 に繰り上がり残留となるわけだ。
今年 B2 より上のリーグで既に休場している選手数と例年の傾向などを加味すると、今年は 14 位は助かり残留となる可能性がかなり高い。 15 位で 5 割強、 16 位だとやや厳しいといったところだろうか ( ※これは筆者の勝手な予想です ) 。
「いやいや、あなた方プロならそんなセコイこと考えてちゃ駄目でしょ」という外野の声も聞こえてきそうだが、この順位一つで来年 1 年の所属リーグを左右することが十二分に考えられるわけだから軽視はできない。残留争いをしている選手もその点は当然頭に入っているだろうし、最終戦まで1着順でも上の順位を目指して打ってくるに違いない。
尚最終節の卓組は以下の通り。各選手とも対戦者のポイントと順位は特に意識されるべき部分なので、最初に記載させて頂く。
1卓(石井、宇野、松田、根本、秋田)
2卓(佐藤聖誠、中嶋、森川、中村、中邨)
3卓(三ヶ島、齋藤、嶋村、津田)
4卓(井上、谷口、平林、佐藤かづみ、阪元)
5卓(坂本、川端、清水、野口)
※ 5 人打ちの卓は左から順に抜け番
各選手がそれぞれの思惑を胸に秘め、第 34 期最後となる年間リーグ戦が定刻通りに開始された。
■1回戦
[ 5卓 ] 清水、坂本、川端、野口
現在トータル 1 位の坂本。最終節の対戦相手は 3 人とも残留争いをしている清水、川端、野口。卓内に自分を標的としてくる選手がいない点で、組み合わせに恵まれていると言って良い。 4 半荘の内 1 回でも連対すれば概ね昇級が確定するが、できれば 1 回戦で決めてしまいたいところだろう。
東場は手が入らず苦しい展開だったが、南2局の親番であっさりとその時が訪れた。
南2局 坂本 8 巡目
ロン
7 巡目聴牌でダマテン、 8 巡目に野口から和了しドラは無いが僥倖の 12000 を得る。
結果このリードを活かした坂本が 35500 点の2着を確保、 B1 への椅子が早々に一つ確定した。
残る椅子は後 3 つだが、トータル 2 位の石井、 3 位佐藤聖誠、 4 位井上と 5 人打ちの卓にいる為 1 回戦は 3 人とも抜け番になっている。追う選手は是が非でも良いスタートを切りたいところだろう。
[ 3卓 ] 津田、齋藤、嶋村、三ヶ島
三ヶ島は開始時点でトータル 7 位だが他の同卓者に上位の選手がいない為、自分でポイントを大きく上積みするしかない。1回戦目、オーラスの親番。
南4局 ドラ 裏ドラ
三ヶ島 35900
津田 25600
齋藤 22000
嶋村 36500
まず先手を取ったのは北家の嶋村。 9 巡目に以下牌姿で聴牌。
アガリトップとは言え、これだけ積極的に仕掛ける嶋村を筆者は知らない。それだけ残留にかける思いが強く表れているということだろう。対する三ヶ島、 6 巡目から中々手が動かない。
9 巡目に切られた上家嶋村の聴牌打牌は 、 をポンされており三ヶ島から見て 6 枚目の となるのだが、ここを堪えてスルーする。
14 巡目にようやく を重ね場況的に絶好の 待ちでリーチ。一発はならずも 16 巡目に ツモ、裏が で 6000 オール。
ツモ
この後も連荘を重ねた三ヶ島、 55000 点オーバーのトップという絶好のスタートを切った。
また1卓ではトータル 6 位の宇野が2着を、4卓では 8 位の谷口がそれぞれ安定した内容でトップを取り、上位との差を縮めてきた。
そして 1 回戦の最も注目すべき卓は2卓
[ 2卓 ] 中嶋、森川、中邨、中村 ( 抜け番 : 佐藤聖誠 )
現在トータル 5 位の中嶋と 9 位の森川の対決。抜け番の佐藤聖誠を追撃する為にも、ここはお互いより上の着順が是非とも欲しい。大きな動きはないまま迎えたオーラス。
南4局1本場 ドラ
中村 34800
中嶋 32600
森川 31300
中邨 20300
供託 1.0
西家森川のリーチと東家中村の2軒聴牌で流局した後の一本場、まず中村と中嶋が 7 巡目に聴牌を入れる。
中村
中嶋
これに次いで森川も 9 巡目に聴牌
ツモ
トップまで 3500 点差なのでリーチは不要となったが、どちらの待ちに受けるかが非常に悩ましい。平面ならば打 の 待ちのノベタンに受ければいいだけの話なのだが、ドラの での和了がほぼ期待できないことを考えると、実際は と の優劣が鍵となる ( ちなみにどちらも 1 枚切れ ) 。
中村と中嶋の聴牌はほぼ明白、アガリ逃しは許されない局面。小考の末、森川が選んだのは打 。
場況的にソーズの上は安く、中村は をポンしている。おまけに前巡に下家中邨が手出しで切った はトイツ落としの可能性も高く、単騎に受けたくなる要素はかなり多い。
しかしこれが結果最悪となった。同巡中邨から は出ず、中嶋からは をツモ切られてアガリを逃す。おまけに次巡持ってきた であえなく中村に放銃。
2 本場は中嶋、森川共にリーチをかけるも流局して中村がトップ。中嶋は2着、森川は痛恨の3着となった。
■2回戦
ここから現在 2 位の石井、 3 位佐藤聖誠、 4 位井上が登場、これを追う同卓の宇野、中嶋、谷口は今回抜け番となる。
[ 1卓 ] 石井、秋田、根本、松田 ( 抜け番 : 宇野 )
南3局
根本 27100
松田 23200
石井 23200
秋田 46500
秋田のツモ攻勢の前に松田、石井はほとんど手が出せない形で東場が終了。
迎えた南3局、石井がようやく先制リーチを打った。
役無し、ドラ無し、愚形とリーチを控えたくなる要素はいくつでもあるが、石井に関して言えば「これを曲げなければ俺じゃない ! 」という声でも聞こえてきそうなリーチだ。
結果は 10 巡目に秋田から出るも裏はのらずに 1300 止まり。たったの 1300 だが、このリーチが躊躇なく打てるなら石井に追われるプレッシャーはなさそうだ。
オーラスは松田が 2 本場まで粘るも、何とか3着をキープして初戦を終えた。
[ 4卓 ] 平林、佐藤かづみ、阪元、井上 ( 抜け番 : 谷口 )
2軒リーチで流局した東1局 1 本場。 15 巡目に 井上が先制弾を決める。
東1局 1 本場 供託 2.0 ドラ 裏ドラ
ツモ
佐藤かづみの高目三色の追いかけリーチを掻い潜ってのリーチ棒 3 本付の満貫ツモ、 最高の立ち上がりと言って良いだろう。
しかしこの後井上の様子がどうもおかしい。 牌を取る手が時折小刻みに震え、打牌選択にも非常に迷いが多くなっている。
不安気に観戦を続けていると、東 2局 では阪元のダマテンにドラの で淡泊な 12000 を放銃。ほぼ振り出しに戻ってしまった後は、怯える様に安全牌を抱えてまるで前に出てこようとしない。筆者は ” 重圧 ” という見えない敵に井上が圧されているのが手に取る様に分かった。
南3局 ドラ 裏ドラ
阪元 33800
井上 26100
平林 23800
佐藤かづみ 36300
何とかラスだけは避けたい井上だが、そこに立ちはだかったのは平林。
ロン
12 巡目にドラを切ってリーチ、一発で阪元から出アガると裏ドラは望外の で一気に2着浮上。井上はこれでオーラス 400 ・ 700 を他家にツモられると同点3着、それ以上だと親被りで単独ラスになる。
迎えたオーラスでも平林が 5 巡目リーチの一発ツモ。ドラは無いが 2000 ・ 4000 。
ツモ
平林、裏 3 と連続の一発和了によって僅か2局でラスからトップに駆け上がる。
オーラスの親被りによって井上はラスに転落、3着順差を抜かれた佐藤かづみも残留へ向けて赤信号が点灯しつつある。
井上が 3 回戦までの小休憩の間にこう語りかけてきた。
「正直プレッシャーに潰されていたよ。」
やはり重圧感は相当なものだったに違いない。これだけ熾烈な昇級争いの下で一番狙われるべき順位にいるのだから無理もないだろう。
このまま井上は転落して行ってしまうのか … そんな筆者の杞憂を他所に力強い言葉が続く。
「でも今のラスで吹っ切れたから、もう大丈夫。」
果たして自身へ言い聞かせる強がりか、それとも真意か。口元に少しだけ笑みを浮かべて次戦の卓へと向かって行った。
一方3卓の三ヶ島は終始手が入らずラスを引かされて、一歩後退。
2卓の森川は勝負手が全て空振りしてラスを引き、昇級争いから事実上脱落。だが佐藤聖も中邨の攻勢の前に3着で終わり、トータル 2 ~ 4 位の 3 人が全員逆連対スタート。
昇級争いはますます混沌としてきた。
■3回戦
前半戦終了時点の成績は以下の通り。 1 半荘で 4 ~ 8 位までは簡単に順位が入れ替わる大混戦となっている。
1 坂本 大志 423.4
2 石井 一馬 381.3
3 佐藤 聖誠 265.0
4 中嶋 龍太 194.2
5 宇野 公介 184.8
6 谷口 竜 184.6
7 井上 慎司 176.0
8 三ヶ島 幸助 164.7
9 森川 健太 79.9
10 齋藤 敬輔 57.1
11 川端 美雪 28.6
12 松田 猛 -30.9
13 中村 英樹 -38.5
14 根本 佳織 -104.1
15 清水 昭 -127.8
16 平林 佑一郎 -169.6
17 嶋村 恭介 -178.4
18 野口 洋貴 -192.9
19 佐藤 かづみ -234.3
20 津田 博愛 -246.4
21 阪元 俊彦 -303.3
22 中邨 光康 -423.6
23 秋田 大介 -439.7
そして 3 回戦から最大の勝負所、同卓の上位陣による直接対決がついに始まる (1,2 回戦は上位者が抜け番だった為、同卓内での対決はまだ始まっていなかった ) 。
中でも2卓の佐藤聖誠と中嶋、4卓の井上と谷口の対決は昇級枠を直接奪い合う戦いになるだろう。
[ 2卓 ] 佐藤聖誠、中村、中嶋、中邨 ( 抜け番 : 森川 )
少し余談となるが、筆者は佐藤聖誠と同期で最高位戦に入り、彼の麻雀を今までよく見てきている ( つもりだ ) 。そんな筆者の中でイメージしている佐藤聖誠の麻雀バランスから判断すると、今日の初戦の内容は正直「危なっかしい」と感じた。
元々負けん気の強いプレイヤーではあるが、いつもより前のめりになっている様に見える。 1 回戦こそ大きな放銃は無かったが、このままの状態で行くと中嶋との直接対決で致命傷も負いかねない … 。
東1局 2 本場 ドラ 裏ドラ
連荘はしているが決定打を生み出せない中迎えた 2 本場、佐藤聖誠 4 巡目に以下牌姿。
小考の後打 とする、この巡目でこの形なら聴牌を慌てて取る必要もないだろう。
次巡 を引くがやはりツモ切り、しかしその後有効牌を全く引かないまま 9 巡目に再度 を引き入れると今度は打 でリーチに出た。
確かにそろそろ悠長な聴牌形を作っている時でもないだろう。聴牌を外している間に が 2 枚、 が自分を含めて 3 枚切れておりソーズでの手変わり変化が薄くなっている。 は 2 枚切れだが、場況的に確実にヤマにはいそうな牌だ。
しかしこのリーチを打った同巡、宣言牌の を中村がチーした後、中嶋と中邨が何と追いかけリーチを打ってきた。いくら場況が良さそうだと言っても 3 件リーチ下で自分が 2 枚切れのカンチャン待ちでは流石に分が悪い。もしここで中嶋に放銃をする様なことになれば、昇級争いは更に混迷を極めることになる。
緊迫の中佐藤聖誠の最初のツモ、中嶋と中邨両方に一発となる牌 ( 自身の一発は中村のチーで消えている ) で、力強く を引き寄せた。裏ものって親満の和了。
ツモ
「あの ツモでようやく気が楽になった」と後に本人が語った通り、この和了を皮切りに 5 万点オーバーのトップを取った佐藤聖誠、昇級に王手をかける。中嶋も南場に満貫を 2 回、跳満を 1 回和了し、2着に食い込んだ。
[ 4卓 ] 谷口、阪元、井上、佐藤かづみ ( 抜け番 : 平林 )
序盤は佐藤かづみが一歩抜け出す展開となったが、谷口と井上はほぼ並びの状態で局が進む。
先に和了したのは東4局 1 本場の南家谷口、供託込みで 5200 の収入を得て一歩リード。
東4局 1 本場 ドラ
ツモ
南2局 ドラ 裏ドラ
18100 点持ちのラス目、阪元が 14 巡目にリーチを打った。
阪元の河はソーズの無筋が非常に危険に見える。誰も逆らう者もいないだろうなと見ていた 16 巡目、佐藤かづみの手牌。
ツモ
アガり牌のはヤマに確実に2 枚いる国士聴牌だが、佐藤かづみは現在 38700 点持ちのトップ目。平素のバランスならば残り巡目と阪元の河、そして点棒状況を考えると、役満とは言えこの を切る行為はリスクがかなり大きい様に思える。
しかし現在のポイントが -230 オーバーで残り 2 半荘しか残されていない状況ではもはや選択の余地が無い。小考の後やはり打 、この 12000 放銃で彼女の今期の戦いは実質幕を閉じた。
そしてこの放銃、佐藤かづみだけでなく井上にもかなり痛い。この時点での点棒状況は以下の様に変わった。
阪元 30100
井上 26900
佐藤かづみ 26700
谷口 36300
谷口がトップに押し上げられたことに加え、一人離れたラス目だった阪元が2着に浮上。おまけに自身の位置はラス目と 200 点差に突然縮っている。井上に吹き続ける逆風、この半荘も収まらないのか !?
否、次局井上が渾身のダマテンを決める。
南2局 1 本場 ドラ
ロン
13 巡目に阪元から 8000 は 8300 を和了。手元を見ると震えは既に消えており、いつもの淡々とした井上の麻雀に戻っている。どうやら先程筆者に言った言葉、強がりではなかった様だ。
南3局は阪元が佐藤かづみのリーチに追いかけ 12000 を和了、以下点棒状況でオーラスを迎えた。
佐藤かづみ 11900
谷口 36300
阪元 36300
井上 35500
谷口、井上双方にとってこのオーラスがどれくらい重要なのか、理屈だけで語るのは少し難しい。ただこの半荘を観ていた筆者は「ここをトップで終わった方がおそらく昇級するだろう」、まだ直接対決は 2 半荘残ってはいるが、そんな思いで眺めていた。いつも冷静な谷口も心持ち牌をツモる動作に力が入っている様に見える。
平場は佐藤かづみのリーチ後、聴牌を入れた井上が 2000 点を放銃。
迎えた 1 本場、点棒は井上が 33500 、谷口が 36300 となっている。
南4局1本場 ドラ カンドラ
3 巡目、早くも谷口に分岐点が訪れる。
ツモ
選択候補はいくつかあるが谷口は打 とした。カンチャンを払って三色とタンヤオの目が残る、筆者もおそらく同じ選択をするだろう。
しかし次巡のツモは無情にも 、この後 と引きペン の聴牌を果たすも、結果論とは言え7巡目のツモ和了を逃したことになる。
谷口がツモ切りを続けていた 12 巡目、阪元が をアンカンしている親佐藤かづみの現物、かつ谷口の筋牌である を切ると井上からロンの発声。
ロン
阪元の放銃つき谷口が単独2着とはなるものの、井上は値千金のトップをものにした。
1卓では根本が 1 ・ 2 ・ 1 と好調で残留がほぼ確定、宇野も2着で昇級戦線に踏み止まった。
5卓では初戦ラスの野口が意地の連勝で最終戦に残留の望みをつないだ。
■4回戦
4 人打ちの3卓と5卓は、 5 人打ちの卓待ちの為休憩となる四回戦。
[ 1卓 ] 秋田、石井、宇野、松田 ( 抜け番 : 根本 )
秋田が局面をリードする展開で迎えたオーラス、宇野がおそらくこの日一番頭を悩ませたであろう局面が来た。
南4局 ドラ
秋田 40000
石井 25600
宇野 25900
松田 28500
まずラス目の石井が 9 巡目にリーチ。
これに対して宇野が 12 巡目に追いつく。
打ち出す は無筋だがノーテン罰符でも石井に捲くられてしまうので、聴牌を取るのは必然。問題はリーチをするかどうかの判断で、これが非常に難しい。
リーチをする理由として、安目の が石井か秋田から出ても3着のままで終了してしまう。 はリーチに対して無筋だが、石井はアガリ牌でなければ当然ツモ切るしかない。この局ラス親の秋田も現在トータル 23 位で、この半荘が最終戦となる (5 回戦目は抜け番 ) 。残留には無限連荘をするしかないので、途中 を切ってくる可能性も十分にあるだろう。
リーチをかけない理由としては、ツモなら安目の でも2着になれる上、リーチ棒を出すと 2 人聴牌の流局時に松田を捲くることができない。おまけに上家の石井からたった今 が切られており、ダマテンにしていればリーチ者の現物として出てくる可能性も考えられる。 なら石井、秋田のどちらから出ても2着になるので問題ない。
小考の末、宇野の選択はダマテン。
結果同巡に松田と秋田から は出ず、おまけに石井が即座に を掴んでしまった。
最終戦の条件を少しでも楽にする為に何としても2着に入りたいところだったが、これ以上勝負を引き延ばして自身がラスに落ちるのが一番怖い。宇野、苦渋のアガ 3 でこの半荘を終える。
石井が連続ラスとは言え 2 人の差はまだ約 120 ポイント、宇野がトータル 4 位までに入るにはかなりの素点を最終戦で叩く必要が出てきた。
2卓では佐藤聖誠が連勝、石井を抜いて 2 位に浮上し昇級をほぼ確定させた。中嶋はまたも粘って 3 戦連続2着、佐藤聖誠との争いには敗れたものの、気付けばポイントを 230 以上に伸ばしている。
4卓では 3 回戦を制した井上が連勝、 4 番目の椅子に王手をかけた。逆に谷口は持ち点を 10000 点近くまで削られる大きなラス、昇級戦線から大きく後退してしまう。
ついに残すは後 1 半荘。