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第36期最高位決定戦開幕特集!選手コメント&見所は?

 

 

「飯田、金子のいないAリーグなんて・・・」今期よく耳にした言葉である。

確かに、両御大の抜けた穴をすぐに埋めるなんか出来やしないし、それ以前から実績ある選手達

が降級という形では無く、何らかの事情により抜けた為にいびつな形で世代交代したのも事実で

ある。ただ、「麻雀のスタイル」は確かに変わったけれど、揶揄されるように「麻雀のレベル」

体が極端に落ちたかと言うと、決してそんな事はないと思う。

ギリギリ「昔の麻雀」を知る身としては、どちらが良いという様な優越をつけるものでは無く、あくまで価値観の違いだし、今の方が進化している事もあると思うのである。

 

 

いよいよ明日19日より始まる「第36期最高位決定戦」。村上淳最高位に挑むのは、佐藤聖誠、

石橋伸洋、曽木達志の3名。彼らに事前に話を聞き、今期の決定戦がどんな戦いになるのか?

を探りだそうと思ったら、付随して「今の麻雀のスタイル」が垣間見える回答が返って来た。

長くなって恐縮だが、出場選手とコメントを紹介した後に、今回の決定戦の見所を紹介する為にも

少し触れてみることにする。

 

 

まずは、今期昇級組の佐藤、曽木。ぶっちぎりで早くから出場を決めた佐藤。曽木は以前一度Aに

昇級したものの、1年で降級。出戻りとなった今期はいきなりの決定戦進出となった。

 

■佐藤 聖誠 

 

・初の決定戦を間近に控えての心境は?

基本的には、「決定戦」というリーグに昇級したという感覚なので、Aリーグのデビュー戦を迎えた今期の最初とあまり変わりません。ただ、観てくれる・応援してくれる方の総数が全然違うと思うので、今からすごく楽しみにしています。程よい緊張感が心地良いです。

 

・今期を振り返って。
今期の第1節(Aリーグデビュー戦)がすべてだったように思います。3回戦に地和をツモったんですけど、地和のおかげでトップになった3回戦のことではなくて、4回戦南1局の親番をラス目で迎えて、トップ目の石橋さんに2フーロされて諦めかけた所で望外の12000をあがることができ、そこから8万点オーバーのトップを取れたんです。あの半荘で「Aリーグでも闘えるかも!?」と自信をつけることができ、その後は伸び伸びと打てたように思います。決定戦も初日が自分にとって一番大切だと思っています。

 

・相手三人の印象
3人とも大先輩なので恐縮なんですが・・・

 

<村上淳>
一緒に研究会をやらせてもらっているので、打ち筋は何度も見ました。
攻撃巡目が自分よりも少し遅いので、自分の間合いには一番合っていると思います。
ただ攻撃力が高いので、型にはめてしまうと圧勝されてしまいそう・・・。

 

<石橋伸洋>
プロの世界を全く知らなかった自分に、最高位戦を紹介してくれた先輩。
最高位戦の中では、雀歴が自分と一番似ている人かもしれません。
引き出しが多い戦略家のようなイメージで、個人的には本命印を付けている人です。

 

<曽木達志>
B1を一緒に勝ちあがり、今期も一緒に決定戦進出。
リーグ戦での対戦回数は一番多く、攻撃巡目が自分とほぼ同じで攻めっ気も強いためよくぶつかります。そして、本当によくアガるんですよね。
リーチ合戦でどちらに軍配が上がるかが1つのカギになりそうだなと思っています。

 

・自分の麻雀のどこを観てほしいですか?
 
プロですから、一番は結果を見て欲しいと思います。
麻雀の内容では、なんだこれ?と思うような一手がたくさんあると思うので、「どういう思考でこの選択をしたんだろう?」と考えてもらえれば幸いです。

・戦略的な作戦はありますか?
初の決定戦なので作戦も何もありませんが、冒頭で記述したとおり新しいリーグ戦という感覚で挑みたいと思っています。自分の一番良いときの麻雀を打てるように!

 

・最後に一言
勝負は時の運もありますから、どれだけ良い内容で闘っても勝つこともあれば負けることもあると思います。最高位になれるのは一人だけなので、負ける事の方が圧倒的に多いでしょう。
それでも結果にこだわりたいと思っています。どれだけ良い内容で闘っても、負けたら同じですから。
応援よろしくお願いします!!!

 

■曽木 達志

 

・初の決定戦を間近に控えての心境は?

 競技を10年以上もやってると、緊張する事も無くなってきましたが、タイトル戦決勝なんて初めてなもんで、手がプルったりするんですかね。初日まだかな?

 

・今期を振り返って。
 雀力評価 中の下(佐藤崇スカウタ-談)の私と致しましては、攻めるしか無かった訳でして、大負けの日が来なかったのはラッキーだったね。終盤戦は愚直すぎてあぶなかった。

 

・三人の印象は?
最強のヘビーフェイス村上
空気読めない暴れん坊聖誠
羊の皮を被った超ドS石橋

 

・自分の麻雀の見所
世界中のちびっ子達に夢と希望を与える為に、やられてもやられても立ち上がるお。

 

・作戦
マクラが替わっても、やるこた一緒。

 

・最後に一言 
がんばってみるよ、僕の勇気は泉。

 

 

相手三人付いて聞いた質問が二人とも印象的で、佐藤はクレバーさよく出ており、曽木は飄々としたキャラが垣間見える言い回しながら、よく特徴を捉えているように思える。

続いて現發王位の石橋と最高位の村上。石橋は2年ぶり2度目の決定戦進出。昨季3冠に輝いた

村上最高位は現在まで無冠。この決定戦は何としてでも勝って連覇を果たしたい所。

 

 

■石橋 伸洋

 

・決定戦を間近に控えての心境。

前回は決勝進出を決めたあとは頭のことが決勝の事ばかりになっていましたが
今回はそのような高揚感もほとんどなく、いつもより自然体で当日を迎えられそうです。

 

・今期を振り返って。
リーグ戦では佐藤聖誠選手が独走しましたが、12名中3名も11名中2名もさほど変わらないので気にせず打ちました。
勝負どころの第11節で、2位の曽木選手を捲くれたのが大きく最終節もプレッシャーがかからず打てたように思えます。
リーグ戦以外でも發王位獲得、モンド杯、天鳳名人戦出場など非常に充実したシーズンだったと感じています。

 

・相手三人の印象

全員に共通して言えるのが「メンゼンでリーチ多用型」。
フラットな状況で捌きの鳴きはほとんどしない(特に村上)。

押し引きのバランスがそれぞれ異なり
曽木はリーチに対して無謀じゃないかと思えるくらい強烈に印象に残る攻めをしてくるし、
佐藤も自分に利があると踏んだときは腹を括って攻めてくる。
3人のなかでは村上が常識的なバランス派だと思います。

攻めが強いが多いと「優勝」を考えた場合とにかくやりにくいので、何とかしたいところ。

特別マークする人はいません。
自分はマークされる立場にありたいし、常にそれを考えて打っています。
…が、今回のメンバーだったら考えてることは同じじゃないでしょうか。

 

・發王戦を勝った事で何か変わった事はありますか?

自分の麻雀に関しては変わっていませんし、タイトル戦を優勝するという結果だけで自分が特別強くなったと考えることもありません。
ただ、發王位を取ったことでモンド杯や天鳳名人戦に出ることができ多くの人に自分の麻雀を見てもらえることは嬉しい事です。

 

・自分の麻雀のどこを観てほしいですか?

「自分の動向を他家からどう見られるか(進行速度が早い、打点が安い、高い、待ちの良さ、など)」を常に意識し打っています。
手牌だけでなく、「捨て牌、仕掛け、リーチ」も合わせて見てもらいたいです。

また最高位戦ルールでは順位点が10-30で差が20ポイントと大きいので、
自分がダントツのトップまたはラスにならない限りは、ほぼ順位戦だと考えています。
自分のアガりが見えないときは「鳴かせる、アシストする」「他の人にアガってもらう、放銃してしまう」ことが自分にとって得になる局面もあると思います。
そういった局回しにも注目してもらいたいです。

 

・長丁場の決定戦ですが、戦術的な作戦はありますか?(答えられたらで良いです)

20回あるので序盤でマイナスしても焦らないようにすること。
他は状況によるので始まってから考えます。

 

・最後に意気込みを お願いします。

前回決定戦に出た2年前は飯田、金子、尾崎と最高位経験者が相手で何もできずに大敗を喫しました。
あれから前回の大敗を含め経験を積んできましたし、今年ははっきり言ってチャンスだと思います。
最高位を獲るためのベストな選択を追求し、いい麻雀を打って優勝します!!!

 

 

■村上淳

 

・去年と比較して今の心境は?

心境はだいぶ違いますね。去年は永世最高位飯田さんがいたことで、水巻、佐藤崇とともに完全に挑戦者という立場でしたから。「胸をかりる」という表現がぴったりで、失うものは何もない!って気持ちでした。
今回は全員かなり後輩(曽木さんは年上ですが)ですし、実績でも自分が一番手。去年とは真逆で挑戦される立場ですよね。決定戦が始まれば条件は全く同じなんですが、自分は勝たないと最高位を失う、という形になってしまう。自分だけ半荘48回のリーグ戦を戦っていないですし、發王戦、日本オープン、クラシックと敗退続き。正直に言って精神的には去年より良くないな、と思っております。
とはいえ自分ができることは常に同じなんで、卓についたらとにかく卓上と対戦相手に集中するだけです。内容を良くすることが、結局は勝ちへの近道ですからね…
体調を整えて、全力を尽くします!!

・三人の印象は?

 良く知っている三人と言えると思います。
石橋、曽木は2人が入会当初から水巻渉や佐藤崇と一緒に勉強会をやっていました。
もちろん2人ともその当時(7~8年前?)よりも格段に強くなっているに決まっていますが、基本ベースはなかなか変わらないですからね。
ま、一番変わらないのは自分かもしれませんが…

佐藤とは現在進行形で5人リーグ戦形式の勉強会をやっています(VS研究会)。B1リーグ所属の清原大に誘われて始めたのですが、自分的に非常に勉強になっていますね。
今年で3年目で、自分は1年目は優勝、2年目は準優勝。そしてきよまさとまさしが入った今年は現在3番手、Aリーグ同様きよまさが1位独走中です…
今年は坂本まさしもB1リーグ優勝、園田賢もC1リーグ優勝(清原はB14位)。毎年この勉強会メンバーはすこぶる成績が良いです。

 

マークは…優等生ぶったコメントで申し訳ないのですが、三人全員ですね。三人とも後手を踏んだ後の押し返しがものすごく強くて精密だと思うんですよ。軽い先制リーチは通用しませんね。いい待ちか打点を作らないと簡単にやられると思います。
毎局序盤からしっかりと相手の手牌読みをして、攻め返されるのを覚悟で攻める必要があります。

石橋だけたまにフェイクで手が入っているような河にしてくるので、そこだけ注意が必要かな…

自分だけ半荘48回を戦っていませんが、12日間全て立会人をしていたので、自分だけ後ろから観ることができた、という優位性はあると思っています。親に追いかけられて「ロン!18000!!」と言われても精神が揺れない自信はあります(;^_^A

とにかく、半端な攻めはしないように腹くくって攻めます!

・自分の麻雀の見所は?

去年のDVDではあまり見られなかったのですが、「丁寧かつ正確な受け」を見てもらいたいです。
第11回モンド杯では受けやオリでも見せ場が作れたので、そういう局面ができれば解説したいなと思います。
「アガれない局でも麻雀は難しくて面白い」とみなさんに思ってもらえたら嬉しいです。

もちろんそんな局が全然なくてアガりまくってれば絶対連覇なんですけどね…

「対戦相手をリスペクト」これに限ります。相手を少しでも舐めた瞬間、集中力は下がり、読みの精度がグッと落ちます。
後輩三人といえど、雀力にそれほどの差があるわけないのです。後は5日間どれだけミスを減らせるか…
半荘四回終わったらしばらく歩けなくなるくらい、脳ミソ回転させて集中します!!

 

 

・最後に一言

 

今年4月、2人目の子供が生まれました。
周りからは「なんと無謀な」と言われましたし、自分でも少しそう思います…
しかし生んだからには親としての責任を果たさなければなりません。将来子供達に「村上家に生まれなければ良かった」なんて言われないよう、最低限のことはしてやりたい…
そのためにはきっと、最高位の連覇が必要なのです。
昔偉い人が言っていました。「自分以外の誰かのために戦う人間は強い」と。

こういうことは自分で言ったらなんか違う気もしますが(;^_^A

とにかく家族のために勝ちます!!

そして育ててくれた親や自分を応援してくださる方々のためにも…!!

昨年ギリギリで敗れた、飯田さん、水巻、崇のためにも!!

ちょっとカッコつけすぎました、ゴメンなさい。

とにかく勝たねばならぬのですたい!!!

良かったら応援して下さいm(__)m

 

 

やはり各自の印象に当てはまったコメントが帰ってきた。 石橋は「戦略に長けている」事が伺えるし

、村上は王者らしいというかいかにも村上らしいコメント。曽木の「最強のベビーフェイス」という

村上評にニヤけてしまう。石橋は最近の充実ぶりも伺えるのが印象的。

 

 各自のコメントに共通する「攻めの強さ」であるが、曽木は、「リーチに対して無謀と思うほど攻めてくる」(石橋)、「攻撃巡目が近くリーチでぶつかる事多い」(佐藤)更に村上は「3人とも先手を取られても押し返しがものすごく強くて正確」と評していて、曽木自身も「攻めるしかないのが自分で決定戦でも同じ様にやるだけ」と言っている。

 

コメントだけ読むと、皆ががむしゃらに攻めてきて、単純で大味な麻雀だと捉える向きもあろうが、

事はそう単純ではない。どんな麻雀でも攻めるだけでは放銃も多くなってしまい、勝ちきるのは難しい事は周知の通りである。

 

効率的かつ打点を求めた手作り、山読み、捨て牌からの手牌読み、研鑽を重ねあった経験からの人読み、など読みの材料を全て使い、相手と駆け引きしながらギリギリまで踏み込む事による攻め合いなのだ。勿論村上が言う「丁寧かつ正確な受け」も駆使しながら。

石橋の佐藤評に「自分に理があると思った時は腹をくくって攻めてくる」とあるが、基本的に皆

に共通する事で、その精度が一様に高いからこそ、彼らは勝ち切れているのである。

 

 

そしてこのスタイルが「昔のスタイル」と大きく違う事にも重なる。基本的に1対3の戦いである事、元々上がりにくいClassicルールの影響が大きかった事などから「相手に上がらせない事」や「受け」

が重要視されてきた。詳しく書くと長くなり、もの凄く大雑把で恐縮だが、ボクシングで例えるとアウトボクシングとインファイトの違いという感じであろうか。

 

 

決定戦の事に話を戻そう。

 

注目は、やはりリーグ戦ぶっちぎり首位の佐藤であろう。ぶっちぎりの要因は、佐藤本人も語っているように第1節で大爆発した事でポイントに余裕を持った事が、攻め抜きやすい状況を作ったこと。

そして石橋が話しているように、他選手が早々と「11人中2位」を目指してマークが外れた事も大きな要因だったと思われる。

勿論佐藤の技量について疑問符が付くわけでは全く無いが、最初からダントツという事は、フラットな

状況からスタートする事は久々で、佐藤自身も「初日が勝負」と言う理由はそのあたりにあるのかも

しれない。更に佐藤は曽木とぶつかる事を見越して、「 リーチ合戦でどちらが勝つのかが一つの鍵」と言ってる事、村上も石橋も様子見に徹する様なタイプで無い事からも、初日からギリギリの攻防が続く戦いになる事は間違いなさそうである。

 

 

いずれにしても例年同様、楽しみで仕方が無い決定戦になる事は間違いないようだ。

 

(文中敬省略・編集部)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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