いよいよ女流リーグも佳境に突入。
迎えた準決勝二日目、16名が2回戦毎に4名計8名が脱落となる過酷な闘いに臨む。7月から続く長い戦いも、負けてしまえばそこで全てが終わってしまう。
皆が求めるものは唯一、女流最高位という栄冠。しかしそれを得られるのは只一人であるばかりか、挑むことが出来るのもたったの3人。
長い道程もようやく頂が見え始めてきた。辿りつくのは誰か、道に潜むのは「鬼」か「蛇」か。蓋を開ければ、待っていたのは壮絶なる打撃戦の嵐であった。
準決勝二日目開始時スコア(4回戦まで終了)
1 櫻田 由樹 100.0
2 谷崎 舞華 68.6
3 石井 あや 67.4
4 京杜 なお 51.0
5 野添 ゆかり 36.7
6 西嶋 千春 32.3
7 内間 祐海 28.0
8 根本 佳織 27.8
9 日向 藍子 16.0
10 吉川 愛莉 -1.0
11 花本 まな -30.6
12 宇佐美 うみ -49.5
13 北島 朋子 -52.0
14 涼崎 いづみ -62.3
15 池下 真里子 -89.0
16 桐生 美也子 -145.4
※6回戦終了時下位4名が敗退。
※8回戦終了時下位4名が敗退。
※11回戦終了時上位1名が決定戦進出、下位3名が敗退。
☆ 5回戦☆
A卓 (櫻田-花本-日向-石井)
開始早々の東2局、花本が8000オールを引きあがり一気に突き放す。これで花本はある程度楽に攻められるようになった。続く東3局、花本は
ドラ
この仕掛けを入れてゆく。ダメ押しになるかと思われたがそれをカットしたのは前局ヤミテンで花本の親を流していった櫻田。
リーチツモ
安目は純カラだが、薄い待ちをツモあがり2000/4000。続く東4局の石井の攻勢による連荘も、花本からの5200直撃という最高の形で断ち切った。
櫻田に迫られた花本だが、南2局の親番で
ツモ ドラ
出アガリでも親倍という豪勢な手をツモり16000オール!!ダメ押しとなりこれで90000点のトップとなる。
これで箱を割ってしまったのが日向。三色リーチを安目ながらツモあがり持ってきた南3局の親番で得たのがこの手牌。
ドラ
すんなり-リーチが打てればというところで持ってきたのは難しい。ここから日向は打とすると、続くツモがでリーチと出た。少しでも点数を戻したい日向だが、持って来たをアンカンし、リンシャンからツモ切ったに無常にも声をかけられた。
あがったのは櫻田。親リーチの現張りで高めのタンピン三色。薄い待ちではあったが望外の満貫を得て、30000点以上ツモられで減った点棒を原点まで戻した。
B卓(野添-京杜-吉川-根本)
東2局、なんと根本が中盤国士無双のテンパイを入れる!が、待ち牌のは吉川にアンコで純カラ。京杜もチンイツのポンテンを入れてゆくが流局。
1本場、東3局と野添が連続してアガリリードを奪うと、安定した打ち回しでそのままトップを攫った。
C卓では、西嶋が終始局面をリードし60000点越えのトップ。一気に2位まで躍り出た。
5回戦終了時スコア
1 櫻田 由樹 110.9
2 西嶋 千春 93.8
3 野添 ゆかり 74.2
4 京杜 なお 60.6
5 花本 まな 59.3
6 内間 祐海 49.5
7 石井 あや 40.3
8 谷崎 舞華 22.1
9 根本 佳織 -6.1
10 北島 朋子 -13.6
11 吉川 愛莉 -14.2
12 日向 藍子 -57.7
13 涼崎 いづみ -69.4
14 池下 真里子 -73.8
15 宇佐美 うみ -110.9
16 桐生 美也子 -167.0
☆ 6回戦☆
いよいよ6回戦終了から脱落者が出始める。また、総当りで15名と対戦を終えたため、その時点での順位による組み合わせとなる。上位から下位までがバランスよく当たるようになるため、逆転の芽が大きくなってくる。
A卓(根本-桐生-櫻田-谷崎)
櫻田由樹は、プロボクサーという珍しい肩書きを持っている。麻雀プロとしてはまだ日が浅く、牌を扱う手つきなど覚束ない部分も確かにある。ボクサーとしては世界王座戦の経験もあり、「勝負」に関してはその経験はベテランに引けを取らない。基本に忠実かつ好形好打点を目指す打ち筋と、勝負所で前に出る攻めの姿勢が上手く噛み合い好成績を叩きだしている。
東1局から6巡目リーチで3900をアガると、東2局でも一通ドラをツモアガリ。
東4局、谷崎の親満と根本の満ツモで追いすがられるも、南3局には決め手となる
ツモ ドラ
このリーチを一発ツモ。終わってみれば悠々50000点のダントツトップ。誰もこの人の勢いを止めることはできないのか。
B卓(西嶋-石井-宇佐美-北島)
5回戦の勢いのままに開局から西嶋が飛ばす。7700、4000オールと連続でアガり、またしても50000点トップ目に立つ。しかし経験豊富な試合巧者の石井・北島も黙ってはいない。北島がヤミテンとリーチを丁寧に使い分け点棒を積み上げていけば、石井は
ツモ ドラ
このリーチを一発で引きあがり3000/6000。
なんと北島トップ、石井2着で西嶋は終わってみれば3着。北島石井の勝負強さが印象に残る半荘となった。
C卓(池下-吉川-内間-野添)
昨年女流最高位決定戦に進出し、女流最高位目前まで行きながらも惜しくも戴冠を逃した野添ゆかり。シードにより準決勝からの参戦となったが、同じくシードの石井同様その強さ、安定感を発揮している。
東1局、内間から満貫を出あがると続く東2局も
ツモ ドラ
5順目リーチをあっさりツモり2000/4000。
南1局では48500のトップ目で
ツモ ドラ 裏
このテンパイを強気にリーチ。しっかりとをツモアガリ裏ドラも載せて3000/6000。
東発に満貫を打ってから苦しいのは内間。他家のテンパイが早く、丁寧に当たり牌を止めてうまく回ろうとしてはいるのだがいかんせん後手後手では点棒は減る一方。
しかし箱を割ってしまい後が無い南3局の親番で必死の形テン連荘で5本場まで積むとトップ目の野添から
ロン ドラ
ぽろりと親満がこぼれてくる。続く6本場もリーチを打つが野添に400/700でかわされ終了。ラスはラスだが、歯を食いしばり耐え忍んだラスであった。
6回戦終了時スコア
1 櫻田 由樹 161.3
2 野添 ゆかり 132.8
3 花本 まな 101.9
4 西嶋 千春 91.5
5 京杜 なお 70.2
6 石井 あや 59.5
7 谷崎 舞華 36.6
8 北島 朋子 27.2
9 内間 祐海 4.4
10 根本 佳織 -22.8
11 吉川 愛莉 -35.4
12 池下 真里子 -66.1
(以下の4名は敗退)
13 涼崎 いづみ -84.0
14 日向 藍子 -95.3
15 宇佐美 うみ -168.6
16 桐生 美也子 -215.2
涼崎、日向、宇佐美、桐生の4名がここで敗退。日向は役満ツモられ含む2半荘で110ポイントを失っての悔しい敗退となった。
☆ 7回戦☆
A卓(櫻田-石井-池下-谷崎)
好調の櫻田に待ったをかけたのはやはり石井。
東2局に
ツモ ドラ 裏
この4000オールで口火を切ると、南1局の技有りのカン三色リーチなどで60000点の大トップ。
石井は非常にクレバーで、他家の動向を見逃さず守りも考えながら打つ。そしていざ攻めに転じると一瞬でアガリまで最短距離で向かう。バランスの取れた選手である。やはり今期女流リーグでも本命の一人にあげられるか。
そんな中でも石井の攻めをかいくぐり櫻田はリーチ、リーチで45000の2着と好結果。あおりを食った池下、谷崎は素点も少ない3着4着と黄色信号が点灯してしまう。
B卓(吉川-京杜-北島-野添)
東1局
北島 リーチ ドラ
京杜 リーチ
吉川
吉川のテンパイ打牌がで京杜に掴まる。乱打戦を予想させるこの闘いが嵐の幕開けだった。
次局北島が-待ちのリーチを打つと京杜も同テンのノベタンに受ける。
カンのテンパイを組んでいた野添がツモ打でリーチに出ると京杜の頭ハネ5800。
この後も大体二人以上に勝負手が入り、打ち合うことになる乱打戦。
しかし南3局大きな大きな一撃が飛び出す。
野添が
ドラ
このドラドラ先制リーチを打つと、そこに被せて来たのは親の北島。その手はというと待ちの国士無双!!めくり合いになった時点で山にはが1枚、が2枚と北島有利。ほどなくを快音と共にツモり16000オール!!本日2度目の親の役満ツモとなった。
7回戦終了時スコア
1 櫻田 由樹 187.1
2 石井 あや 120.5
3 野添 ゆかり 107.9
4 北島 朋子 103.8
5 花本 まな 84.1
6 京杜 なお 68.8
7 西嶋 千春 52.5
8 内間 祐海 21.3
9 根本 佳織 17.1
10 谷崎 舞華 -17.8
11 吉川 愛莉 -85.7
12 池下 真里子 -98.5
☆ 8回戦☆
いよいよ準決勝二日目も最終戦。ここで更に下位4名が脱落となってしまう。
下位の選手にしてみれば、なんとか脱落を逃れて最終節の直接対決3半荘に望みを託したいところではある。
A卓(櫻田-西嶋-池下-京杜)
櫻田が東1局からダブとのシャンポンをリーチして高めのをツモり4000オール。
その後も櫻田はとにかく攻め続け点棒を増やしてゆく。
南1局の親番でもドラのとのシャンポンリーチを打ち(これは流局)、続けて5巡目のピンフドラ1リーチをあっさりツモアガリ2600オール。これには同卓者も思わず苦笑い。ポイント首位の止め処ない猛攻に少しずつ対局者の気持ちが削れていくのが見てとれた。
櫻田は南3局親の池下のドラポン仕掛けに元気良く飛び込み12000を献上するも、43000点のトップ。この日130ポイント上積みで終えた。
B卓(内間-石井-吉川-花本)
こちらはほぼ石井の独り舞台だった。東2局、花本の先制リーチと内間の追いかけリーチを受けてひっそりヤミテンツモで700オール。続く1本場も内間の先制リーチに今度は追いかけリーチで6000オール。
一度持った点棒はほぼ失わないのが石井の強み。局回しも非常に上手く、ダントツを作ったままオーラスへ。
親花本28600 内間16100 石井58200 吉川18100
誰よりも早くテンパイを入れたのは花本。しかし
ドラ
ここからを切ってリーチ。が1枚切れだったので三色両面に受けた方がいいかと思ったが、切り間違いだろうか。次のツモは無常にも・・・
まぁあがれれば、あるいは連荘すればそこまで酷いことには、、、と思っていると内間が気合を入れた声でリーチ。
ドラ
ドラをアンコにしカンを引き入れてのリーチ。ツモか直撃なら2着になれるが・・・
これを花本がまさかの一発掴み。掴んだが裏ドラとなりよもやの12000直撃。これにより花本はラス落ちとなってしまう。一打の選択が天国から地獄へと彼女を誘った。
C卓(北島-谷崎-根本-野添)
5~9期女流最高位、現在唯一の「永世」の名を持つ根本佳織。
一昨年の女流決定戦で石井に惜敗し、昨年も準決勝で茅森現女流最高位にかわされ決勝への切符を逃した。今期は予選Aリーグを首位で通過するも、準決勝では苦しい戦いが続き気付けば脱落間近に迫っている。後が無い女王根本だが、東3局に
ツモ ドラ
このリーチをツモりあげ4000オールでアドバンテージを得る。しかし今日の根本はここから後が中々続かない。
東4局には野添が6巡目にリーチ。
ドラ
山に5枚生きでこれをあっさりツモり2600オール。続く2本場でもリーチを打ってゆく。
野添 リーチ ドラ
北島
谷崎
根本
親リーチと仕掛けに挟まれ更にはアンカンまで入り、手牌が危険牌だらけで根本が手詰まりを迎えてしまう。とのワンチャンスでをつまむも、野添に痛恨の7700放銃。これで野添に追い抜かれてしまう。
根本と同じく後がない谷崎も、親番で必死に粘る。
谷崎 リーチ ドラ
根本 リーチ
これは流局。崖っぷちの者同士での必死のぶつかり合い。次局は、カンでテンパイを入れていた根本がダマのまま押し、谷崎の当たり牌であるを引き入れ三色手変わってリーチ。これをツモり大きな2000/4000。これで根本が野添をかわしトップ目に立つ。
根本43500、野添41900で迎えた南3局 根本の親番。ここでの根本の手順がすさまじい。
ドラ
ここからツモ 打でテンパイとらずを選択!ツモツモ切りで更にツモ打でタンピンテンパイ、ツモ打でリーチといった。
最初の–でリーチを打つ人も多いと思う。少なくともテンパイを取る人が多いのではないか。仮にそこでとらずともメンタンピン手変わりで満足してしまいそうだ。
しかし根本はそれをしない。自身の納得いく形まで、最高の形になるまで待つ「セレブ打法」。近年流行するスピード重視とは真逆のスタイルではあるが、ここまで己を貫き通す姿は格好いい。テンパイ打牌のが野添の満貫に放銃となってしまうのだが、を引き入れてリーチを宣言した時は見ていて鳥肌が立った。後ろで見ていて、惹きつけられる、ワクワクドキドキするような選手である。
オーラスは何事もなく進行し、野添が50000点近いトップでこの日120ポイント勝ちで終えた。
8回戦終了時スコア
1 櫻田 由樹 230.1
2 石井 あや 178.7
3 野添 ゆかり 156.3
4 北島 朋子 55.9
5 花本 まな 38.4
6 西嶋 千春 36.8
7 根本 佳織 34.1
8 内間 祐海 30.7
(以下の4名は敗退)
9 京杜 なお 26.8
10 谷崎 舞華 -36.3
11 池下 真里子 -83.8
12 吉川 愛莉 -107.6
京杜、谷崎、池下、吉川の4名がここで敗退となった。
上位は櫻田、石井、野添の3名が少し抜けた感じだろうか。16000オールを決めて100ポイント勝った北島・70ポイント勝った花本だが、それでも4位、5位に甘んじてしまうのは上位陣の安定感を感じさせる。
しかしながら最終節は8名2卓での直接対決になってくる。トップラスで少なくとも70ポイントは変動があるのでまだまだ決勝の切符の行方はわからない。
女流リーグ準決勝最終節は10/18(木)正午より、神楽坂ばかんすにて開催となります。
観戦は無料・自由となっておりますので、皆様是非とも華麗なる戦いを見に足を運んでみてはいかがでしょうか?
(文中敬称略)